海外情報紹介 英国の飛行効率改善を目的としたNATSの環境効率イニシアチブに褒賞が出た。

 11月1日付けのGREENAIR ONLINE.COMの記事に英国の航空交通管制業務プロバイダーであるNATSの飛行プロファイルモニター(FPM)システムに関する記事が掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。  2012年11月1日木曜日−空港運営者協会が、英国の航空交通管制業務プロバイダーであるNATSの飛行プロファイルモニター(FPM)システムに対して最高環境イニシアチブ賞を与えた。航空機の着陸や離陸の環境性能について以前はほとんど情報が無いかあるいは全く情報が得られなかった空港とエアラインが、FPMのおかげで騒音やCO2排出ガス低減のための運航支援にデータを使用できるようになった。Edinburgh空港での試行の主な結果から、進入時に継続的に降下するなら20%の改善が達成可能であると見込まれ、これにより年間8,000トンのCO2を排出せずにすむだろう。NATSは英国航空と共に、4ヶ月間、ロンドンヒースロー空港から北大西洋上空を通過する一連の環境的に「完璧な」飛行試行実施にも関わっている。一方、ANSPによると、NATSの3DI飛行効率単位に関する最近のデータは2012年の環境目標を順調に達成していることを示している。

 FPMの今年これまでのEdinburgh空港での試行では、出発の95%で継続的上昇−NATSによれば、最も環境的に効率のよい飛行プロファイルである−を達成し、着陸では55%のみが継続的降下進入(CDA)を行った。CDAを20%改善することで、8,000トンのCO2節減に加えて、エアラインにとって年間150,000ポンド(242,000ドル)相当の燃料費の節約が見込まれ、着陸時の飛行経路下の共同体への騒音も低減される。

 Edinburgh空港での作業はradar serviceの改善も含めて引き続き行われているが、NATSは飛行経路監視システムをNATSの環境プログラムの一環として英国の他空港に広げる計画を立てている。

 2010年にNATSはPerfect Flight計画に関わっていた。計画では英国航空のHeathrowからEdinburghへのフライトは飛行の全ステージを通じて環境的に最適化され、1/4トンの燃料を節約し、ほぼ1トンのCO2を節減した。フライトごとの経験に基づいて、NATSは英国航空やカナダのANSP(air navigation service provider)であるNAVCANADAを含めた、英国、カナダや米国の航空産業の他のメンバーと共に作業しながら、TOPFLIGHT計画を率いる予定である。欧州の空域を近代化して調和させるためのEUのSingle European Skyイニシアチブの技術的及び運用上の構成要素であるSESARプログラムの中でTOPFLIGHT計画は推進されてきた。

 計画の第1段階では、車両に押されて搭乗スポットから離れることに始まり、地上走行、巡航、連続降下進入(CDA)等の飛行全般を通じて遅延と排出物を最小化するために最適化された北米空港への大西洋横断飛行を60機が実施する。各フライトは約500kgの燃料を節約する見込みで、これはほぼ1.6トンのCO2に相当する。第二段階では周辺の空域を飛行する航空機に不利益をもたらすことなく、同時に多数のフライトの測定と実行が可能であるという概念をもたらすという目的で、多数の完璧な飛行が大西洋をいっせいに横断する。

 FAAのNextGen Implementation Planと連携して、SESAR は計画を拡張してBoston Logan国際空港やNew York JF Kennedy 国際空港へのフライトも計画に含め、北大西洋を横断する継続可能なゲートからゲートへの完璧な飛行の概念を創出する予定である。

 NATSはその管制下にあるフライトの環境性能や飛行効率を、NATSが開発した3Di効率単位を使って今年の初めから監視してきた。公開された第3四半期のデータにより、運用を始めた最初の9ヶ月で、英国のCAAが設定した尺度に基づき、3Diの目標値24に対し達成値が23.9であることが分かる。これは2012年の前半6ヶ月の結果と比較して0.1の改善を表す。

 CAAとの事前の合意で、3Di性能評価はオリンピック期間中のフライトは除外した。空域の効率のためにかけられる費用内ではあるが、容量増加支援と遅延最小化のために設計されたロンドン周辺での一時的空域調整のためである。

 3Diは、英国空域における各フライトの効率を正確に測定し、できるだけ環境的に最適なルートに近づけて飛行するよう航空管制官が航空機を誘導するのを支援する。航空機の実際の航跡をレーダーデータから取り出し、パイロットが要求する、最も直線に近い点から点への経路飛行のようななめらかに継続する降下或いは上昇の利点を計算するような最適プロファイルと比較する。3Di計量の得点は完全に効率的な飛行を表す0から、100を超える数字まで幅があり、ほとんどの飛行は概して15から35の間にある。

 NATSによれば、現在の結果では2014年までのCO2の600,000トン低減を順調にこなしていて、エアラインの燃料代を1億2千万ポンド(1億9千4百万ドル)節約しているとのことだ。CAAの目標を上回れば財政的にも利益を得、期待される効率向上が得られない場合に罰金が課される可能性もあるという、このように報奨金によって奨励される世界で唯一の航空交通事業であるANSPであるとNATSは指摘する。
「これら最新の結果が示すのは、我々の管制官達が従っている新しい手順が違いを生んでいるということだ。」とNATSの環境問題担当責任者のIan Jopson氏が語った。 原記事:http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1613

NATS – 3Di:http://www.nats.co.uk/environment/reporting/3di/