海外情報紹介 環境活動を討議するICAO加盟国会議はMBMsについては意見の一致が見られずに終了

ICAO本部(カナダのモントリオール)にて、9月24日〜10月4日まで第38回ICAO総会が開催されていますが、航空機排出物低減による地球温暖化対策として、MBMs(市場に基づく対策)で世界的にCO2の排出量を管理する制度を設立しようと、加盟国の合意を得てこの総会の決議文に関連条項を組み込もうとする動きがありますが、国によって意見が異なり、今回の総会で具体的な枠組みを決めるのは困難な状況にあるようです。どの程度の内容が最終的に決議文に組み入れられるのか注目されるところです。greenaironline.comに掲載された報告の要約をご参考までに掲載します。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1758

ICAO第38回総会:
http://www.icao.int/Meetings/a38/Pages/default.aspx

 2013年9月27日(金)−ICAOの環境保護計画を検討する、昨日の午前中の会議で、代替燃料、国家的活動計画や国家援助に関するICAOの作業について加盟国間で広く支持を得られた。しかし、午後の会議は総会に提出される気候変動決議案(WP/34)の、論争の的になっている市場に基づく対策関連の表現の扱いにほとんどの時間が費やされた。ICAOの運営組織であるICAO理事会が合意した妥協案のあたりで合意を形成しようという大多数の加盟国の要求にもかかわらず、国家的及び地域的な暫定的MBMの制度を扱う段落と、そのような制度から160カ国余りの発展途上国を適用除外とするde minimisの条件を扱う2つの段落(17と18)に対しかなりの異議が出された。主要な発展途上国からはまた、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)の、共通だが差別化された責任の原則をよく認識すべきだという要求もあった。

 相違の度合いを考えて、第38回総会の会長でもある、会議議長のフランス大使Michel Wachenheim氏は、今日の午後(27日金曜日)に非公式の二国間協議を持ち、明日に加盟国の主要グループに合意を求めると述べた。来週の水曜日(10月2日)の総会で提示することになる、現在の決議草案の下書きの改善を目的とした、次週の早い時期のさらなる会議が見込まれている。総会は来週の金曜日(10月4日)に閉会し、同じ決議について合意が得られないことを最終日に議決しただけという、2010年の前回総会の再現は何としても避けたいところであろう(記事を参照のこと)。

 会議ホールを満席にした会議では、現在のままの決議案をよしとする44カ国の欧州国家からの幅広い支持があり、韓国、日本、マレーシア、そして多くのラテンアメリカ国家からは条件付きの支持があった。決議には統一的立場をとっているアフリカ諸国は、世界の総計のRTK shareが1%より少ない発展途上国家を暫定的MBM制度の適用対象から外すde minimisの段落(18)がある限りという条件で、大部分を支持した。

 アメリカ合衆国はde minimisで例外扱いすることを真剣に懸念している。国家ではなく運航者に適用されるべきだという方針を設定して採用した前例のためである(ロイターの記事を参照のこと)。昨日、例外扱いに懸念を表明した他の国家にはカナダ、日本そしてニュージーランドが含まれている。

 ロシア、中国、ブラジルそしてインドは、南アフリカ、サウジアラビア、キューバ、ボリビア、ベネズエラを含む様々な国家の支持を得て、世界的制度に先立ち実施される国家的或いは地域的MBM制度 − EUの欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)が含まれることになる − に不満がある。そのような制度は双方の合意によってのみ、一方的でなく、適用されるべきで、発展途上国の共通だが差別化された責任(CBDR)の原則が守られるべきであるという意見の加盟国がある。

 サウジアラビアの意見では決議草案は先進国をひいきしてゆがめられており、さらなる手続きの前に発展途上国へのこの制度の経済的影響について調査を行うようEUに要求した。インドの代表は、EU ETSを引き合いに出して、地域的MBM制度は報復措置の寄せ集めを作り出すと述べ、法律問題が発生するのでインドは空域方式には反対するとのことだった。

 新政府が政権の座について国内の炭素税を止める予定のオーストラリアは、MBMsに関するICAOの作業に反対はしないが、多くの条件付の下でのみ支持を示し、それまでの一方的な行動には反対した。

 航空排出物を低減する必要については争うところがないと会議の議長は結論づけ、ICAOこそ討論の場であるがMBMsについては意見の相違があることを認めた。