海外情報紹介 航空の国際的MBM開発に関する新組織設立を目的としたBRIC国家による提案をICAO理事会が承認

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1804

 2013年12月20日金曜日−BRIC国家(ブラジル、ロシア、インド、中国)は、ICAO総会において市場に基づく対策(MBMs)に関し発展途上国から広い支持をとりつけることに成功したのに続き、国際的MBMの開発を主導する組織をICAOが設立するという彼等の共同提案は、ICAOを運営するICAO理事会によっておおむね承認された。環境諮問委員会(EAG)というこの新組織は、報告を直接ICAO理事会に対して行い、MBM問題に関わったこれまでの組織より広い範囲の代表を集めることになる。EAGへ付託される条項と役割はこれから策定され次回理事会会議で提示されることになろう。
 EAGが承認されたことは欧州や米国などの先進国から発展途上世界への力の移行を表し、国際的MBMのこれから3年間の開発におけるICAOの作業を大いに際立たせるだろう。提案が行われたのは、MBMの開発の過程において大半が発展途上国であるICAO加盟国の余すことなき参加を確実にするためである。

 炭素排出軽減の責任は先進国世界が負うという、共通だが差別化された義務(CBDR)という国連気候変動枠組み条約の原則は、BRIC提案によれば、いかなる国際方式にも取り入れられることになる。BRICの圧力によってICAO総会の気候変動決議(A38-18)に採用されたCBDRの表現は、結果として欧州や米国や他の先進国からの正式な抗議を受けることになった。

 MBMsに関しては、2006年からICAO理事会とICAO総会内においては二極化した論争以外のものをほとんど生み出してこなかったとEAGの提案者は趣意の中で記した。

 「そのような状況の中、今こそA38-18に沿った国際的MBMsの開発に向けて、1歩を踏み出す時である。」と彼等は意見し、審議過程と方法の変更が必要だと付け加えた。「その政治的性質を鑑みるに、この問題が引き続き同じやり方で、すなわち事務局が主導するようなやり方で処理されるのは好ましくない。」

 彼等の提案によれば、新組織は地理的公平性に配慮するため理事会メンバーで構成されねばならない。他の理事会メンバーや理事会メンバーでない代表者もまた組織に参加でき、産業界、NGOや他の組織からのオブザーバーも招かれる。全加盟国の利益が反映されるように、直接ICAO加盟国と諮るようなメカニズムを提案者は推奨している。「というのも、第39回総会でことをうまく運ぶには全加盟国を巻き込むことが不可欠だからである。」

 国際的MBM開発に伴う技術的問題での作業が見込まれる、ICAOの環境保護委員会すなわちCAEPは、この提案の下で、通常の場合のように直接理事会に対して報告を行うのではなく、EAGに対して報告を行うことになる。

 BRIC提案は、EAGが執り行う数多くの任務を列挙している。

 •世界的に導入か可能かどうかや予測される実施継続期間もだが、起こりうるその環境影響や経済影響も含めて国際的MBMの採用可能な選択肢の選定条件1式を作成すること;

 • 技術的側面や、先進国及び発展途上国への環境影響及び経済影響を含め、選択肢の実現性と実用性を調査すること;

 •同じ目的を同様に達成しうる、税金や、燃料か炭素に付加する料金のような他の選択肢を調査すること;

 • 発展途上国への支援を可能にするために、CBDRや、特殊状況と個々の能力(SCRC)の概念を国際的MBM制度に取り込む;

 • 主要な論点や課題をあぶり出して適切な対処法を提案するための加盟国との協議プロセスを開始するため、選出結果を理事会に報告する;

 •実行可能なMBMとそれの世界的導入や基本条件の評価を含める、理事会への最終報告準備のために、肯定的な結果である場合は加盟国からの回答を精査する;

 この提案の論争を呼ぶ側面として、欧州に宛てたと見られる「この組織の作業が上首尾の結果を出せるような」条件の設定がある。BRICによれば、全加盟国は「実質ともに」ICAO決議A38-18に従うことになり、国際的MBMが施行されるまで、同意無しにはいかなる国(々)をもその国家的或いは地域的MBM制度の対象とせず、そして実施されている現在のすべてのMBMs或いは炭素税制度の役割を国際的MBMが施行される前に終わらせることを請け合うことになるだろう。

 ICAO理事会は理事長に対し、事務局長の支援を得て、EAG設立に関し次回理事会会議で報告書を提出するよう要請した。同じ会議においてA38-18決議の幅広い実施のための行動計画も提示される予定である。

 環境に関する論点についてはこれからは航空輸送委員会では検討せず、代わりに直接ICAO理事会に諮ることが決められた。