NATSは騒音低減と容量増加のために、ヒースロー空港への到着便の進入角を熟考する。

 Air Traffic Management.netの12月10日付け記事に、エミレーツ航空がA380型機を5.5゜の進入角でヒースロー空港に着陸させようとしているという情報が載りましたので、ご参考までに要約を掲載します。

 (2012年8月5日のロンドン上空(25,000フィート以下)を飛行する全航空機の航跡について熱密度地図が示されている。)

 容量の制約があるロンドンヒースロー空港での夜間飛行制限をかわすため、自社のA380型機を傾斜のきつい角度で着陸させるという、中東のエアラインのエミレーツ航空が推進する構想を英国の航空交通管制機関であるNATSが検証している。

 この構想についてはA380型機のような航空機がそのような進入方式で飛行することの技術的側面についてかなり詳細にわたる調査が必要であるが、すでにNATS内では「最上位の」注目を集めていると、今日、英国輸送特別委員会の開始前にNATSの社長であるRichard Deakin 氏が述べた。

 「このような急な勾配でどこかのairports thresholdsへ進入してくるA380が今現在あるとは思えない。それについては実現可能性について何らかの技術的モデル化が必要だろう。明らかに、我々自身がCAAや空港、エアラインと共に一層の作業をすることが必要だ。」とDeakin氏は述べた。

 たとえその構想が国際条約の内容に反するものだとしても、「その構想には『確かに利点があり』、『疑いなく検証の価値がある』」と英国民間航空局の最高責任者であるAndrew Haines氏は、意見聴取の場で述べた。

 世界の航空規則を設定する機関であるICAOによって認可された3゜基準への唯一の例外として、障害物除去の目的なら容認されると彼は公聴会で述べた。「この場合の課題は、例えばLondon City空港なら傾斜のきつい進入がどこで開始されるかということであり、着陸ギアを下ろすのが早くなれば騒音がさらにうるさくなる。傾斜のきつい進入の主な利点は騒音を減らすことだ。それでも安定した進入を行えるように、安全面での問題同様に、解決が必要な問題だろう。」

 エミレーツ航空の目論みでは、ヒースロー空港へと傾斜のきつい降下で進入すれば騒音が15%から20%減り、このやり方ならハブ空港であるヒースロー空港での自社便の到着と出発が毎日am1:00まで可能になり、朝はam4:00以降に飛行が再開できる。

 ヒースロー空港のpm11:30からam6:00までの夜間飛行について、英国は現在、厳しい制限を設けていて、am4:30からam6:00までは長距離飛行便が平均18便、空港を使用している。

 ロンドン空港の運用状況が空港容量ぎりぎりに近いにもかかわらず、新しい離陸と着陸方式によってロンドンからドバイまでの毎日のA380のフライトを5便から7便に増やせると信じていると、エミレーツ航空社長であるTim Clark氏は今年これまでに述べている。

 航空機は従来の3°よりむしろ、5.5°の角度でヒースロー空港に進入し、空港近辺の住宅地から離れた1km先で着陸のために滑走路へ降下することになるだろう。

 A380型機のような音の静かな新型機であれば、夜間飛行禁止令の緩和が許されて、ヒースロー空港の現在の年間処理限界480,000機を超えたフライト数増加を可能にできるだろうとClark氏は信じている。

 「航空機の騒音プロファイルがかなり静かなことを実証できるなら、制約のあるハブ空港で空港容量を増やす手段として注目しない手はないだろう?」とClark氏はFinancial Times紙のインタビューに答えた。

 英国政府は現在、ヒースロー空港における新しい夜間飛行体制を諮問している最中である。

 NATSの社長であるRichard Deakin氏は、5.5°の進入角によって、南西ロンドン郊外のいくつかの住宅地の上空を航空機が通過する高度が2倍の高さになるだろうと述べた。活動家達はかねてより、夜間飛行の影響を受けるのは約500,000人で、進入角の勾配がきつくても問題解決の助けにはならないと警告してきた。

原記事:
http://www.airtrafficmanagement.net/2012/12/nats-mull-steeper-lhr-arrivals-to-cut-noise/