米国連邦省庁間の委員会(FICAN)が航空機騒音に関する報告書を公開

Research Review of Selected Aviation Noise Issues by Federal Interagency Committee on Aviation Noise, Apr 2018, 23page
ダウンロード:https://fican1.files.wordpress.com/2018/04/fican_research_review_2018.pdf
FICANについて:https://fican.org/
 この報告書は、1992年の「空港騒音分析のために厳選した諸論点に関する連邦政府関係機関による再検討」(「1992 FICON 報告書」)をアップデートしたものであり、連邦政府関係機関の懸案事項である空港騒音問題を最新情報で更新するものである。この報告書ではFICON以降で見解が変化したものや異なる発見につながった新研究を重点的に扱っている。なお、この報告書はFICON報告書に置き換わるものではなく、補足として扱うべき内容となっている。FICON以降の主要な発見には以下のようなものがある。
航空機のannoyance・・・FICON報告書公表後、追加調査やメタ分析が行われた。一般に以下のような傾向が見られた。(1)地上交通による騒音よりも航空機騒音の方が感情を阻害する度合いが大きい。(2)航空機騒音によるannoyanceはFICONが提案した量・反応曲線を上回る。欧州の調査からは、航空機騒音によるannoyanceはFICON報告書以降増大しているといういくらかの兆候が見られる。
 また、国際標準化機構(ISO)は環境騒音評価手法と、地域社会による様々な環境騒音への長期曝露によるannoyance反応の可能性を予測するためのガイダンスを提供するISO規格1996-Part 1に新しい付録を追加し、新しいデータを含めた分析に基づく地域社会のannoyance予測曲線が更新された。
騒音による睡眠阻害・・・1992年にFICONが暫定的な曲線を採用して以降の調査の大部分は米国以外で実施されたが、様々な手法を用いて様々な場所で睡眠阻害の実地調査が相当行われた。また、2012年にドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で、米国の科学者らは現場条件の1つである生理学的変化の監視手法を開発した。ECG電極とアクティグラフの組み合わせは非侵襲性で、覚醒状態を識別するための安価に使用できる技術となっている。この手法を使って米国で予備的な実地調査が行われ、航空機のsingle eventの室内騒音レベルと覚醒状態との関連が調査された。結果はDLRが行った2つの調査(STRAINとNORAH)の結果と似ており、航空機騒音が引き起こす覚醒状態の健康影響評価についてさらに正確な曝露反応関係を得るためには標本の数を増やし、騒音レベルの範囲を広げた調査が必要である。
 その他、騒音と学習騒音モデルの精度低周波騒音等についての情報が更新されている。

FICAN(1993年に結成された航空機騒音に関する米国連邦省庁間の委員会)メンバー:米国国防総省の空軍、陸軍、海軍。内務省の国立公園局。交通省のOffice of the Secretary of Transportation、連邦航空局。米国連邦環境保護庁。航空宇宙局(NASA)。住宅・都市開発省。