パリ空港の環境対策について(パリ空港公団の2017年報告書より)

Registration Document and Annual Financial Report 2017 (GROUPE ADP), 6 Apr 2018, 338p (環境関連情報はp.138-145)
https://labrador.cld.bz/ADP-REGISTRATION-DOCUMENT-2017 (報告書ダウンロード)
http://ev-labo.aeroportsdeparis.fr/environnement/air/suivi-temps-reels-air (空港公団の研究所の大気質監視サイト)
騒音軽減対策
 地域住民への騒音影響を削減するため、パリ・オルリー空港では1968年以降午後11:30から午前6:00までの夜間は飛行禁止となっている。また、1994年以降はこの空港が年間運航できる便数の上限が250,000便に設定されている。
 パリ・シャルルドゴール空港では夜間の交通が制限され、total weighted measured noise index (IGMP)が2003年に規則で定められた。パリ空港公団はRégis Guyot知事が議長を務める夜間飛行作業グループに引き続き参加している。エアラインと共同で行ったこの分野での作業の結果、午前0:00から午前5:30の間の連続降下方式が2016年9月に採用され、パリ・シャルルドゴール空港の滑走路では最も一般的な機材であるエアバスA320の機体改修(*注)によってこの航空機の騒音は半減した。
 航空機の騒音カテゴリーに基づく着陸料と航空機騒音汚染税(TNSA)も、音が静かな航空機の使用の奨励と、夜間飛行にペナルティーが科されることで騒音削減に役立っている。TNSAはフランス民間航空局が徴収し、その収益はパリ空港公団が地域住民の防音工事の財源として使用する。
 この対策の枠組みにより、パリ・シャルルドゴール空港、パリ・オルリー空港、パリ・ル・ブルジェ空港近辺の騒音公害計画対象家屋に住む空港周辺住民のために、家屋の防音工事助成申請をパリ空港公団が取り仕切っている。2017年は申請書及び関係書類提出のための24時間アクセス可能なインターネットサイト開設が行われ、処理過程でのデータ追跡性を改善し、紙の使用を減らした。2017年は2,198件の申請が処理された。
 また、パリ空港公団は航空機の飛行経路と関連情報を入手するためのVitrail(VIsualisation des Trajectoires et des Informations en Ligne)ツールをシャルルドゴール空港とオルリー空港の環境対策に係わる広報センターである「環境の家」及び24の市役所等で一般に公開している。
(https://www.ecologique-solidaire.gouv.fr/riverains-des-aeroports-parisiens)
*注:A320の翼下部にあるFOPP(Fuel Over Pressure Protector、燃料の圧力上昇時の減圧孔)の上を空気が通過して発生する笛のような音を器具の装着により軽減することを指すと思われる。
(参考:http://a320whine.com/wp-content/uploads/2016/01/SA-FOPP-Air-Flow-Deflectors.pdf
 、 http://www.airbus.com/newsroom/news/en/2014/07/an-even-quieter-approach-airbus-introduces-air-flow-deflectors-on-the-a320-family.html)
大気質監視
 フランスの適格性認定委員会であるCOFRAC(Comité français d'accréditation)の認定を受けた空港公団の研究所が、パリ・オルリー空港とパリ・シャルルドゴール空港の5箇所の大気質監視装置を運用している。航空機や発電設備や空港活動に由来する道路交通からの排出物を記録し、ターミナル内、駐車場、メンテナンス施設内の大気質調査を行う。NO2、NO、PM2.5、O3の濃度を継続して測定している。