FAAが超音速飛行に関する試験飛行規則を発表

2021年1月6日
https://www.faa.gov/news/fact_sheets/...wsId=22754
https://www.faa.gov/news/press_releas...wsId=25581
https://www.geaviation.com/press-rele...e-55-years
民間超音速航空機については、1970年代に欧州で開発されたコンコルドなどが退役して久しいが、近年あらたに2020年台半ばの実用化を目標として超音速航空機の開発が進められている。具体的には、米国を中心としてAerion Supersonic、Spike Aerosace、Boom Technologyの3社がその開発を進めており、いずれも2020年台の商業運航の開始や飛行試験の実施を目指している。
 こうした状況を踏まえ、FAA(米国連邦航空局)は2021年1月初めに米国内での超音速飛行試験のFAA承認を取得するための手順となる最終規則を公表した。
米国では、1973年の連邦航空規則(14CFR§91.817)で陸上での超音速飛行が原則禁止となっており、この措置は現在も続いている。こうした措置の背景は、いわゆる超音速飛行の際発生する衝撃波と騒音影響(当時はアフターバーナーを使用していた)だが、近年の技術開発によって、より静かなエンジンが開発されている。例えば、Aerion社の超音速機「AS2」に搭載予定のターボファンエンジン「Affinity」(GE社)などはアフターバーナーを使用せず、米国の最新の騒音基準(Stage5)及び既存の排出ガス基準を満足するという。
また、衝撃波の発生についても一般的な話として、比較的低い超音速で飛行した場合、上空で発生した衝撃波が地上まで到達しないという状態もあるとのことである。
 こうした背景のもとICAOの中でも超音速機の騒音基準に関する検討が行われているほか、FAAは超音速機の騒音認証に関する規則制定と米国内の陸上域での超音速飛行試験を実施するための手順を明確にする規則制定作業がすすめられており、今回の発表は後者の具体化ということになる。
ただ、これらの現状は即陸上での超音速飛行の承認という動きにはなっておらず、まずは試験飛行の実施により騒音等の影響を把握し、データを収集するという段階とみられる。