海外情報紹介 エアラインの運航によるインドの炭素排出量は2013年にやや増加したが燃料効率は改善

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2013

2014年11月27日木曜日−インドと外国エアラインの炭素排出量は2013年に1.57%増加して1,563万トンになったが、インドの民間航空局(DGCA)が航空部門の排出炭素量測定を開始した2011年の1,633万トンよりは減少している。航空部門の昨年の総排出量はインドの人為的排出量の1%に満たないが、世界の総炭素排出量における航空部門の占める割合2-3%と比べれば格段に低い値である。排出量が増加したにもかかわらず、インドの定期旅客エアラインの炭素利用率は、2012年の有償貨物トンキロあたりのCO2が0.99kgであるのに対して2013年は0.96kgである。この数字は最近では2011年に測定した世界の航空部門の平均値0.95と比較される。これ以上に利用率の改善がなく、インドの航空輸送市場の速やかな成長を仮定すると、2020年までに排出量はほぼ倍の2,800万トンに増加する可能性があるとDGCAは見込んでいる。
つい先頃公表された「インドの航空による炭素排出量2013」報告書において、インドでは2013/14年度に100を超える空港で約1億7,000万の旅客を扱ったとDGCAが述べており、国内と国際の旅客交通はそれぞれ年間成長率12%と8%で拡大し、2020年までには世界で3番目の市場になるだろうと期待している。

「インドの航空産業はインドの発展に顕著な貢献をしているが、当然環境問題、特に気候変動に結びつく。」と報告書では述べている。「気候変動の問題に対処する効果的な政策を策定するために重要な要件は、航空のCO2排出の排出源と排出レベルを特定することであり、その傾向を見極めて将来の成長に関する予測を立てることである。」

2013年の報告書の排出物データはインドの定期旅客エアライン6社すなわち、エア・インディアグループ、ジェットエアウェイズ、ジェットライト、インディゴ、スパイスジェットそしてゴーエアーから得たものであり、それに加えて4つの共同事業空港(バンガロール、デリー、ハイデラバード、ムンバイ)から得たものである。7番目の新規参入エアラインであるエア・コスタとともに、これらエアラインは2013年には国内旅客61,400,000人を超える輸送に係わった。

個別に報告された国際排出物については、定期旅客便を運航する外国エアラインとインドのエアラインがインドから外国の目的地へ運航した便による2013年のCO2排出量は、2012年からは約1%減少し、最高だった2011年の記録である6,597,000トンからは1.89%低下して6,472,000トンに達した。

報告された2013年の排出量が前年より全体的に上昇しているのは部分的には航空機の離発着数が3.61%増加していることで説明がつけられるが、これは離発着1回毎の炭素排出量が0.22%減少していることで相殺された。旅客1人あたりの平均炭素排出量が158.3kgから153.8kgへ2.86%減少したとはいえ、2012年に比べて2013年の旅客数は6.42%増加した。

DGCAによれば、燃料効率と炭素利用率の改善に関して、最も貢献したエアラインはジェット・エアウェイズで、その次がスパイスジェットとゴー・エアーとエア・インディアグループであり、やや性能が落ちたのがインディゴとジェットライトだった。「インドの定期旅客エアラインには世界的平均を下回るものがあったが、上回るものもあり、効率についてはまだ改善の余地があることを示唆している。」と報告書では述べている。

DGCAは最近の改善傾向の原因として新型で燃料効率がより高い航空機がインドのエアラインの保有機に加わったことを挙げている。ボーイング787はエア・インディアに加わり、ボンバルディアQ400はスパイスジェットが運航しており、機体幅の狭いエアバスやボーイングの機体にシャークレットやウィングレットのような燃料を節約する装置が装備されている。報告書で触れられている他の取り組みとしては、エア・インディアのエンジン洗浄、ブルーダートのエンジン1基の地上走行手順、ジェットエアウェイズの搭載重量の削減、スパイスジェットの燃料管理の改善がある。

さらに触れられているのがインドの次世代航空航法プログラムや、排出物削減のためのインド洋戦略パートナーシップ(INSPIRE)のような航空航法業務の取り組みである。

バイオ燃料はCO2排出物削減のための主要な手段と位置づけられてきたと報告書には述べられており、不安定な燃料価格を落ち着かせるとともに化石燃料への依存を減らすことや地元でナンヨウアブラギリのような原料の地元栽培の可能性をもたらすという付加的利点がバイオ燃料にはある。インド石油研究所の水素化研究室が、国際規格に適合するジェット燃料をナンヨウアブラギリを原料としてエンジンテスト用に開発したような奨励できる進展があったとDGCAが述べている。ジェットエアウェイズとエア・インディアはバイオ燃料を国内でのデモ・フライトに使用する計画があると報告書には書かれており、技術採択と原料供給に係わる「重要な課題」と認めている。

インドが航空に見込まれる実質的成長とそれに伴うCO2排出量の増大を与えたことについては、DGCAは炭素排出量の年次報告の一層の開発、排出物に関する情報の普及や報告、インドのエアラインと空港運営者のための定期的なセミナー開催を含め、多くの行動を提案している。航空が気候変動に果たす役割についての認識向上促進や、データ収集手順の改善、効率に介入する分野の特定と排出物削減達成のため利害関係者間の協調と緊密な協力関係を促進する目的でこれらの行動が行われるべきだとDGCAは提言している。

DGCAはまた、次回ICAO総会で承認を得て2020年から実施するため、国際航空排出物のための市場に基づく国際対策を開発するというICAOの決定にも言及している。しかし、DGCAは以下のように述べている。「インドの発展と環境保護の願望の両立のため、航空市場の成長や発展の度合いのようなインド独特の条件への配慮を考慮すべきである。」

リンク:
DGCA−インドの航空による炭素排出量報告書2013


2011年から2013年までのCO2排出量の概要(情報源:インドDGCA)

航空によるCO2排出物の2050年までの増加予測(情報源:インドDGCA)