海外情報紹介 欧州議会の報告責任者は航空関連EU ETSを修正するなら排出量上限を厳しくして無料割当枠を減らすことを提案

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1793

 2013年11月28日木曜日−航空を欧州域内排出量取引制度(EU ETS)の規制対象にすることに関する欧州議会の報告責任者であるPeter Liese氏は、航空分野は同じ制度の他の産業と横並びにしなければならない、現在の上限より多く排出量を減らさねばならない、また、割当量の排出枠取引のレベルを高くしなければならないと述べている。航空排出物の規制範囲を元来の範囲から欧州の空域範囲へと狭めるという、欧州委員会の提案を彼は支持しているとはいえ、上限を厳しくすることで環境保全は部分的には保たれると彼は主張している。Liese氏はまた、次回ICAO総会で世界規模の炭素制度の進展をEUが再調査すべきであるため、空域方式を適用するのは2016年終わりまでであることを確実にするために、欧州委員会の提案に変更を望んでいる。彼はまた、排出枠取り引きの収入は世界規模の気候に関する財源と、航空排出物低減技術の研究開発投資に割り当てることを要求している。
 欧州議会を通じて新規の法律制定の舵取りをしているLiese氏は、欧州委員会の空域提案の根幹部分は支持すると述べた。ある者は完全実施への回帰を望み、他の者は1年間の「時計を止める」という適用制限を2016年まで或いはさらに2020年まで継続することを主張しており、欧州委員会提案の根幹部分は、欧州低運賃エアラインやいくつかのNGOそして多くの欧州議会議員を含めた利害関係者多数の意見の間の妥協案であると彼は述べた。

 「対象になるのが欧州内のフライトのみでなく、欧州でない国家へのフライトも、欧州空域内の飛行部分のみとはいえ対象になるので、このやり方は現在の『時計を止める』解決策よりずっとよい。」Liese氏の声明はこういう内容だった。「しかし、これは重要な点である。パリ或いはロンドンからイスタンブールの新ハブ空港へのフライトはほぼ完全に対象となるだろう。『時計を止めている』間は、これはまったく対象にならない。『時計を止めている』間は対象にならないアラブ首長国連邦のハブ空港へのフライトについても同様で、欧州委員会の提案によって部分的には少なくとも規制対象になるだろう。」

 Liese氏は、第三国を離発着するフライトはこの制度の適用対象から外せないと強く主張した。「2016年まで『時計を止める』のは私や多くの他の欧州議会議員の選択肢ではない。」と彼は述べた。「欧州内で離発着するフライトを、その欧州空域内部分についてすべて規制対象とすることは必要不可欠である。これは欧州のエアラインとその競合状態において公平を期すためと環境保護のためである。」

 Liese氏は『時計を止める』ことを延長すれば世界規模の制度設立に関する国際交渉において欧州連合による『無条件降伏』ととられかねない、と述べた。

 欧州委員会の提案は2020年までのEU ETS指令のさらなる修正を見越してはいないが、彼の公式な提案を欧州議会議員各位によって検討してもらうために、説明のための声明において、Liese氏は、欧州指令の修正が正当化されるのは世界規模の航空排出物に関して法的拘束力のある合意が見込まれるのが2016年のICAO総会だからであると述べた。「これが現実的選択肢であれば、指令の修正が保証されることはまずない。」と彼は述べた。「それが、2016年まで空域方式で規制し、2017年からのETSの完全実施の再導入が妥当である理由である。2016年にICAOで国際合意が現実に承認された場合はもちろん、欧州連合はそれに従って法律を修正するにやぶさかではないはずだ。」

 とはいえ、2016年にICAOで合意に達するという確信がLiese氏には無いようだ。「〔最近のICAO総会において〕モントリオールの10月からの取り決めはもはや、ワルシャワでのUNFCCC COPでなされた取り決めほど的確でも意欲的でもない。」と彼は述べた。国際航空に関する、市場に基づく国際対策開発のためのICAO総会決議は、重要な一歩ではあったが、多くの条件や前提条件がついてしまったと彼は付け加えた。

 「2016年に国際合意がなされなければ、それ以降は我々の制度を完全実施する準備をする必要がある。これはつまり、大陸間飛行も規制対象とすることを意味するだろう。」

 一般的な産業の平均競売率が40%なのに15%というレベルであり、他の産業が2020年までに21%排出物を低減しなければならないのに多くて5%という、航空領域を優遇することは、2007/2008年に欧州指令を立法化する過程で欧州議会からの批判の的になっていた、と彼は述べた。

 空域方式はEU ETSの元来の規制対象のわずか40%にまで、対象排出物を減らしてしまうと彼は述べた。「環境への悪影響を制限するため、競売のレベルを引き上げることは正当化され、少なくとも他の産業がすでに2013年の始めから順守しているレベルまでは排出物を減らす必要性がある。」

 もう一つの修正として、Liese氏は競売の収入は、EU ETSの管理費用をまかないつつ、UNFCCCの環境のための気候基金に寄与しながら、EU及び第三国における気候変動軽減と順応の財源、低排出物輸送のための財源に割り当てることを提唱している。このことがEU ETSの国際レベルでの信用を打ち立てることになろうと彼は述べた。

 そのような約束には、元来の欧州指令を通過させる時に欧州議会によって異論が出たとLiese氏は述べた。「その時点では、加盟国はこれを受け入れる準備ができていなかったので、欧州指令に入っているのは勧告のみである。加盟国がもっと明快な約束を受容していたら、EU制度の承認は楽だっただろう。」

 法律の修正が4月終わりまでに通過しない場合には、元来の形での欧州指令が復帰するので、Liese氏は、欧州議会と欧州連合理事会の共同決定プロセスを速やかに進めることの必要性を強調している。この問題に関する環境委員会の投票は1月30日に行われ、欧州委員会と欧州連合理事会との3者会談後の4月の全体会議で最終投票が行われることになるだろうと、彼は言った。

 2013年12月16日に環境委員会が報告書案を検討する予定で、輸送委員会は欧州委員会の提案に関する独自の報告書案をほぼ同じ日程で検討の予定である。加盟国28カ国の環境大臣が2013年12月13日の会合でこの問題を話し合う予定になっている。


リンク:
Peter Liese氏の声明

海外情報紹介 国際航空のための〈非現実的〉なカーボンニュートラル目標と市場に基づく対策を再考するようロシアがICAOに要請

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1786

 2013年11月18日月曜日−最近開催されたICAO総会で市場に基づく国家的な対策や地域的な対策(MBMs)の役割を希薄化するため、主要な新興国家と共に主導的役割を果たしたロシア連邦は、2020年からの国際航空のカーボンニュートラル目標は非現実的だとコメントしている。そのような目標はMBMsの必要性をあらかじめ決定づけているが、MBMsは、ロシアに言わせると、国際航空領域の温室効果ガス排出を現実的に低減する可能性を減少させ、技術発展の速度は速くはないので、飛行の安全にも悪影響を及ぼしかねないとのことだ。排出物低減を現実に達成するには、ICAO理事会がICAO総会の気候変動決議で設定した目標を「再考」するようにと、ロシア連邦は要請している。カーボンニュートラル目標(CNG2020)はまた、欧州からは熱心さに欠けると批判され、ロシア以外のBRIC国家からは異議が出されている。
 ICAO総会決議(現在の正式呼称はA38-18である。)の要素について、計61カ国から留保或いは抗議が提出され、現在ICAOウェブサイトに掲載されている。それを見ると、先進国と発展途上国の間に明確な境界線があることがわかる。

 ICAO総会決議の中でCNG2020目標を扱うパラグラフ7に抗議しているブラジル、ロシア、インド及び中国のBRIC国家に同調するのはアルゼンチン、キューバ、ベネズエラ、バーレーン及びサウジアラビアである。

 「努力目標とカーボンニュートラルな成長に関し、我々は懸念を抱いている。これらの懸念は他の国家も同意見である。」とサウジアラビアは述べている。「我々が欲するのはこれらの懸念を一掃するICAO決議である。負担となる費用影響無しに、我々の経済的及び社会的利益に合った我々の民間航空領域の開発を行う権利を支持する。」

 留保の陳述の中で、中国は努力目標については問題無いが、ただ、低減対策は主導すべき先進国に責任があると述べている。

 「中国代表団の意見は、発展途上国の国際航空はいまだ発達の段階にあり、異なる責任無しに2020年からのカーボンニュートラルな成長目標を採用するのでは、発展途上国の国際航空のこれからの発展を妨げることになるだろう。」と中国は述べている(記事を参照のこと。)。

 MBMsの考案と実施にあたり、ICAO総会決議に添付された指針のリストの中に共通だが異なる責任(CBDR)というUNFCCC原則の文章を入れて承認することで発展途上世界の懸念を取り扱う試みは、今度は、先進国の反対に遭っている。

 オーストラリアは留保文書の中で、CBDRが、差別無く、公平で、等しい取扱いという従来のICAO原則を弱体化させ、混乱を招く結果、及び/または、差別的な結果に結びつく可能性について述べている。「ICAOは特殊事情と責任能力(SCRC)に配慮して、あまり進歩していない国家や運航者について必要ならばこれまでにあらゆる特別配慮が可能であった。」とオーストラリアは付け加えている。

 CBDR原則は国際民間航空活動を管理する原則と相容れないとカナダは述べた。独自の地域的MBM制度であるEU ETSを引き合いに出して、欧州の44カ国はCBDRは国毎の活動に適用されると述べた。国籍によって運航者の間に扱いの違いがあったなら、市場の歪みと差別は運航者の間に存在することになるだろう、と欧州は主張し、付け加えた。:「発展途上の国家を本拠とする多くの航空会社は、実際には世界の中でも最も巨大で最も進歩し最も利益を上げる航空会社に属する。」

 国際的対策が実施される以前の国家的及び地域的MBM制度を取り扱う、ICAO決議のパラグラフ16に懸念を抱いているシンガポールは、対策は同程度に、公平にそして差別無しに、関連する全航空運航者に適用されるべきだとコメントした。パラグラフ7は別として、このパラグラフは主に、国際交通の市場占有率が1%に満たない発展途上国を離発着するルートをde minimisで適用除外とすることに関して最も多くの異議を引き寄せた(パラグラフ16b)。このパラグラフが市場の歪みを引き起こす可能性を指摘するのは先進国のみならずカタール、アラブ首長国連邦そして興味深いことにアフガニスタンもである。

 欧州空港を離発着するフライトの欧州空域内の排出物を一方的にEU ETSの規制対象とすることにICAO総会決議がゴーサインを出すものと見込んで、欧州はICAO総会に参加した。ロシア及び発展途上のその連邦構成国家群はその規制範囲に影響される第三国の合意を得られたときのみMBMsが実施されるように文章を変更させることに成功した(パラグラフ16a)。

 当然、欧州諸国はこのパラグラフに留保を提出し、加盟国が自国の法と規制を全加盟国の航空機に対し差別無く適用する権利をシカゴ条約が認めており、ICAO総会決議はこの権利を縮小しなかったと述べた。

 欧州はまた、2020年までのICAOの年間2%の燃料効率改善目標を以てしても世界の航空排出物は2005年のレベルよりほぼ70%増加することが見込まれているため、CNG2020の努力目標を中途半端に野心的であると表現した。2005年レベルと比較した、2020年までの10%の世界規模の低減を目標として常に推奨してきた欧州の立場に変化は無いとのことだ。

 2週間前、環境保護と気候変動に関する2つの決議(A38-17とA38-18)に続くこれからの3年間の作業について検討する目的で、ICAOの環境保護委員会であるCAEP総会から第一回目の会議に46カ国の代表がドバイに集合した。

 ICAO総会後の第1回目ICAO理事会会議は今週始まり、国際的MBMに関わる将来の作業計画についての討議もまた行われることが見込まれている。

リンク:
ICAO第38回総会決議とA38-18の留保一覧

A38-18決議内のパラグラフに対する加盟国から提出された留保一覧
* ブラジルはアルゼンチン、キューバ及びベネズエラと共同で提出
** EU/ECAC加盟国42カ国の代表として
*** オーストラリアもまた、序文のパラグラフ10とパラグラフ6,7,20と21のSCRC或いはCBDRの解釈を容認しない。

パラグラフ7:
2020年からのカーボンニュートラルな成長の世界規模の努力目標
パラグラフ16(a):
国家的/地域的MBMsに関する双方の合意
パラグラフ16(b):
発展途上国に就航する航空路に関して1% RTK(有償トンキロ)のde minimis

附属書の原則(p):
MBMsのCBDR/SCRC/差別無しへの配慮義務

海外情報紹介 合意には遠いのか、そう遠くはないのか−欧州委員会による国際航空に関するEU ETS提案は懸念されている。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1770

 2013年10月18日金曜日−欧州空港から離発着する大陸間便による欧州空域内の航空排出物を2014年からEU ETSの対象とするという欧州委員会の提案が今週公表され、多くの関係者を驚かせた。今月初めの第38回ICAO総会で、第三国を市場に基づく国家的炭素取引制度やEU ETSのような地域的炭素取引制度の対象にするには事前に合意が必要であるとする制限を課すことにICAO加盟国は成功した。にもかかわらず、欧州委員会はその主権が及ぶ空域を規制するEUの権利を強く主張し、エアラインの業界団体は国際制度での合意を目指したICAOでのようやく手にした進展をEU提案が弱体化させる可能性を懸念して反応した。EU ETSが本来目指した環境有効性を大幅に減じるような空域の提案には至らないと信じる者もいる。
 世界のエアライン240社の代表である国際航空運送協会(IATA)は、水曜日に公表された欧州委員会の提案について「懸念と驚き」を表した(記事を参照のこと)。

 「2020年からの航空のカーボンニュートラルな成長という約束(CNG2020)を果たすための成功への鍵となる予定の、市場に基づく国際的対策(MBM)開発のための歴史的合意を得て、第38回ICAO総会は幕を閉じた。そのため我々は、欧州委員会が現在提言している一連の活動が、ここに至らせるまでの良識を無意味にする可能性があることを心配している。」とIATAの事務局長であるTony Tyler氏は語った。「欧州委員会の提案が欧州議会と欧州連合理事会との共同決定段階に移行するにあたり、国際社会を含めて広く利害関係者を巻き込んだ検討がなされるものと我々は信じている。」

 「ICAOを通じて国際的MBMを目指す過程で合意に至るように我々は皆懸命に作業してきた。欧州を含めた全員がCNG2020の全体像に集中し続けることを確保することは決定的な重要性を持つ。」

 欧州外部のエアライン業界団体からの代表者もまた、欧州委員会の意図に深い留保を表明した。

 「我々はこの展開を懸念し、傍観している。」とアジア・太平洋エアライン協会(AAPA)の事務局長であるAndrew Herdman氏は語った。「個々の政府の承認無しに国際エアラインを規制対象にすることは特に主要な発展途上国からの強い反対に会う可能性がある。このことはICAO総会でたどり着いた本質と精神に背く行為である。」

 「2020年までに国際的MBMを開発することで合意に達し、得られた良い進展を台無しにすることは我々には受け入れがたい。2020年までの国際的MBMの開発にこそ、我々の努力を結集すべきである。」

 欧州委員会の声明以前のブリュッセルでのスピーチで先週、アラブ航空会社機構(AACO)の事務局長である。Abdul Wahab Teffaha氏は、EUが非ヨーロッパ系の航空会社の二酸化炭素排出量を再び捕捉することを決定した場合に貿易戦争が起こる可能性を警告した。

 欧州委員会はその提案への米国政府の反応を綿密に観察するだろう。空域方式は元来、ICAO総会後に欧州がその二酸化炭素管理制度を継続するにあたって推進するにふさわしい方法として、米国がICAOに提出したものであり、ロシア、インドそして中国のような発展途上国による、「双方の合意」条項をICAO決議に取り入れるという提案に対してEU代表団の加勢をすることとなった。アメリカ連邦議会を通過することで、EU制度に参加することを米国エアラインに禁じる法の効力がたとえ発生しても、EUは米国によるEU ETSの空域方式の提案について米国が引き続き支持することを期待するだろう

 修正版EU ETS制度の規制対象となることに立ち向かう米国の主要エアラインを代表する、米国エアライン協会(A4A)は当然欧州委員会の計画に反対している。

 「2週間前にICAOで合意が達成されたという状況にもかかわらず、エアラインの登録国の合意無しに、EU ETSのEU域内の飛行への一方的な適用を継続し、EUを離発着する国際便の部分にまで拡張して適用するという提案が行われている。」とA4Aの広報担当であるKatie Connell女史は述べた。「この提案はまだ初期の草案なので、我々は欧州連合理事会と議会に対し、国際合意に沿った法律修正のための審議過程を踏むよう要請する。」

 欧州のエアラインはその一方で、現在EU ETSに起きていることについて異なる見解を持つが、彼等が対峙する欧州委員会の提案に基本的には満足していない。

 主要航路を運用する航空会社の代表である欧州エアライン協会(AEA)は、空域方式に反対ではないが、地域的MBM制度の双方の合意原則がICAOで採用されたことを考慮した上で欧州委員会が提案を行っていることに驚いたと述べた。

 「AEAが懸念しているのは欧州委員会が現在推奨している一連の活動が、我々をここまで連れてきた良識を無意味なものにしかねないということだ。」AEAの広報担当であるViktoria Vajnai女史がGreenAir誌に語った。「欧州委員会の提案が欧州議会と欧州連合理事会との共同決定段階に移行するにあたり、国際社会を含め、利害関係者を広く巻き込んだ検討がなされるものと信じる。そのような制度を採用すれば、再度、第三国の不服従と報復の可能性を誘発しかねないと我々は考える。」

 「EU域内の規制から空域での規制へという、提案された移行は、対象範囲を世界の航空由来のCO2の9%から13%までわずかに増加させ、或いはEUレベルでなら27%から39%まで増加させる程度で、同じ政治的障害物を解き放ったままであり、ICAOを通じて国際的な制度を設立しようというエアライン産業の要望を阻害しかねない。」

 地域航空会社を代表する欧州地域エアライン協会(ERA)の立場は、今や、2020年から実施される予定の国際的MBMについて合意に達するのを見こして、2016年の次回ICAO総会の結果が出るまで、EU ETSを完全に保留するべきであるというものである。

 他方で、欧州低運賃エアライン協会(ELFAA)は、ICAO総会は「実施のための明確な予定表があり、地域的制度から特定地域の制度までの暫定的制度の具体的な方策を伴った、国際的なMBMのための工程表を出せなかったのだから」欧州委員会の提案の内容では十分でないとして批判した。

 ELFAAは声明で述べた。:「法的に証明されたEU ETSの完全施行に戻すとしてICAOに明確な最後通告を出すかわりに、その独自の排出管理制度をさらに劇的に弱体化するような提案を欧州委員会が急ぎ行うのを目にしてELFAAは驚きそして失望している。欧州委員会の提案は適用対象外が増えて環境保護には不十分であり、現在うまくないやり方で適用制限されているEU/EEA内の運航者への、差別的で歪みを生む影響を修正する方策も不十分である。」

 「その上、EU ETSの規制対象範囲を劇的に狭めるのであれば、欧州委員会の提案はまた、排出量の割当に関する基準に従って再調整を行う期日の不履行を棚に上げることになり、これはEU/EEA内の運航者を不利にする。EU ETSの現在の一時的適用制限状態におけるこの異常事態に取り組むどころか、提案された修正案は最も早い場合でも2018年までは状況を正すつもりはないことを明確にしている。」

 ELFAAの事務局長であるJohn Hanlon氏はEUに対し、EU ETSの信頼性と環境的資質の回復を要求し、欧州連合理事会と欧州議会に「この提案によって損をするのは環境であり、欧州航空と欧州の消費者であるし、あまりよく練られていないこの提案を支持しないよう」要請した。

 ブリュッセルに本拠があるNGOのTransport & Environment (T&E)は、排出物規制は欧州の空域内に制限するという欧州委員会の提案は、ICAO加盟国の懸念を認めたものであるが、2016年にMBMを国際的に実施する場合の詳細に関しICAOプロセスで合意が得られなかった場合の代替条項を入れ損なっているとコメントした。T&Eによると、空域で規制するやり方は、長距離便に由来する、EUの規制対象外の航空排出物の巨大な容量を捕らえ損ね、世界規模では公海上の飛行のせいで、航空排出物の78%が規制されないまま残るとのことだ。

 2016年のICAO合意に関して不確定要素が残っているので、T&EはETSの規制対象を2017年から拡大し、あらゆる出発便の最初の50%とあらゆる到着便の終わりの50%が規制対象となるよう大陸間便を50/50の割合で規制するようEUに要請した。

 T&Eの航空管理者であるBill Hemmings氏は、欧州委員会の提案の発表を気候にとっての「灰色の日」と表現した。「外国と業界からの圧力が欧州に、欧州独自の航空排出物規制法を最低限まで縮小するよう強いたのは恥ずべきことだ。」と彼は述べた。「航空排出物が急激に増加する一方、欧州の航空気候対策は自らの翼を折ってしまった。」

 欧州委員会の立場を唯一人で支持して、Aviation Environment FederationのTim Johnson氏が、ICAOの根拠となるシカゴ条約が、ICAO総会の気候変動決議の条項より先に進んで地域的空域内で行動を起こす法的根拠をもたらすのだと述べた。

 「de minimisu条項のようなICAO決議の重要な要素や、ICAO総会に先立ち米国を含む多くの加盟国が示した空域方式への支持を認識しながら、欧州委員会の提案が元来の野心を可能な限り引き出すためのやり方としてこれを使うのは間違っていない。」と彼は述べた。

 「しかし環境的観点からすると、規制対象になる排出物を大幅に減らすことになるので、これはEU域内に由来するGHG排出物と取り組むために可能な全選択肢の再調査が必要になるであろう、2016年の次回ICAO総会後に、EU加盟国が再検討する一時的方策であるべきだ。」

 次週火曜日(2013年10月22日)のブリュッセル会議でこの提案について航空産業は欧州委員会と意見交換する機会が得られる予定である。

リンク:
欧州委員会のEU ETS提案
ICAO第38回総会気候変動決議

海外情報紹介 抗議が出始めたが、EU ETSを空域で実施するにあたり、ICAO決議はEUによって完全に順守されるだろうと欧州委員会の弁

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1773

 2013年10月24日木曜日 − 今月これまでにICAO総会で合意された気候変動決議を順守し、欧州域内の空港を離発着するフライトによるEU/EEA空域内の航空排出物を対象とするという欧州委員会の提案について、第三国との協議を行うだろうと欧州委員会は述べた。しかし、第三国の合意にかかわりなく、欧州内空域を規制する権利が欧州にはあると欧州委員会は言い張っている。この欧州の計画に最初に公に反対を表明した国がインドであり、米国上院にEU ETS禁止法案を共同提案しているJohn Thune氏はこの問題を運輸長官であるAnthony Foxx氏に提起したと受け止められている。昨日、欧州委員会はICAO総会の結果に沿った、EU ETSに利用可能な選択肢の影響評価を公開した。それと共に、ICAO総会決議を順守して、EU ETSの適用対象外になるだろう国家のリストも一緒に公開した。
 EU ETS提案を説明するために招集された火曜日の利害関係者会議で、市場に基づく国際的な対策開発のためのICAOの作業工程に欧州は集中しなければならないと欧州委員会の当局者が述べた。彼等によれば、たとえ世界の航空交通の55%にあたる国家がパラグラフ16の内容を留保していても、ICAO決議の物議を醸すパラグラフ16を欧州委員会の提案は順守するだろうとのことだ。

 パラグラフ16aでは、新規にMBMsを設計する場合とEU ETSのような既存のMBMsを国際航空で実施する場合、国家は「前向きな二国間及び/または多国間の協議に従事するべきであり、合意に達するために他国家との調整に従事すべきである。」と書かれている。当局者が指摘したのは、これは合意に至らない場合の実施を禁じてはいないということである。ICAO総会では、欧州の国々は「双方の合意」原則を拒否し、留保に入った。

 欧州委員会の提案の下では、炭素制度へ必要な調整を可能にするためと、EU加盟国が自国の法律に変更を反映させるための、1回限りの、2年間の対応期間がある予定である。そのために、準拠性に関する報告もなければ、2015年3月の終わりと4月までにそれぞれ、航空機運航者が排出枠を放棄するための要件もないだろう。当局者はこのことがまた、第三国との二国間交渉を行うための時間を稼ぎ出すと信じている。

 パラグラフ16bは、国際民間航空活動の占有率が、国際有償貨物トンキロ全体の1%の範囲に満たない発展途上国を離発着する飛行経路上にMBMsを適用するにあたっての例外を認めている。欧州委員会はこの例外を適用する予定であること、世界銀行によって低所得、或いは中流の下層所得経済に分類される国家を「発展途上」と定義し、EUの関税規則で、一般特恵関税制度(GSP)の恩恵を受ける国家と定めた。昨日、欧州委員会は範囲に満たない、GSPの恩恵を受ける73カ国のリストを公表した。欧州経済地域(欧州連合加盟国28カ国とアイスランド、ノルウェーそしてリヒテンシュタイン)内にある空港から直接離発着することのない国家はリストから除外されている。

 利害関係者会議では、EEAの外側にあって現在は除外されているスイスが、まもなく航空のEU ETSに加わる見込みだと当局者が公表した。

 欧州委員会の提案への速やかな反応として、インド政府の航空大臣であるKN Shrivastava氏はロイターに対し、欧州委員会の提案は総じてICAO総会の決定と相容れないので、ICAOが介入すべきだと述べた。ロイターの報告にはまた、米国エアラインのEU ETS参加を阻むことを米国の運輸大臣に許可する法律を共同提案した上院議員のJohn Thune氏が、Anthony Foxx大臣にあててECの提案はその法律に直接違反していると手紙を書いたと書かれている。空域による方式をICAOで提案した米国の政権は、公式には炭素排出制度に関する欧州の計画に対してまだ反応をしていない。

 まず最初に共同で決定する段階で合意されるべきところ、欧州委員会の提案は現在欧州議会とEU加盟国によって調査が行われている。その提案がICAO総会決議を順守しているとの信念が欧州委員会にはあっても、EU加盟国はインド、ロシアそして中国のような国々とのさらにもう1ラウンドの闘いに巻き込まれるのを警戒する可能性がある。

 先週の中国への貿易使節団の訪中時に、英国の大蔵大臣であるGeorge Osborne氏は、中国の建設会社がマンチェスター空港を空港都市として開発するための8億ポンド(13億ドル)のプロジェクトの主要な投資者になることを公表した。

 ロンドンでの月曜日の英国空港運営者協会の年次総会でのスピーチで、英国の航空大臣であるRobert Goodwill氏は、市場に基づく国際的対策の開発のICAOでの国際的進展を歓迎した。彼は付け加えた。:「私は、ルクセンブルクでの最近の欧州連合輸送委員会で、国際的な合意確立のために我々は作業すべきで、欧州においてのみ進めて競争を歪めるべきでないと明言した。」

 彼の発言を説明して、運輸省の広報担当がGreenAirに語った。「航空による排出物を扱う国際的合意に向けてICAOで前向きな進展が行われたのに続き、欧州委員会は航空のEU ETSを修正する提案を採用した。英国は提案を詳細に検討しており、これからの交渉の過程において、EUや国際的なパートナーらと密接に連携して作業をするだろう。」

 昨日公表された影響評価の中で、欧州委員会は2020年までの期間において国際航空排出物を規制するにあたり、EUによる活動の可能な選択肢を提示した。それによれば、その期間中にEUが確保せねばならない2つの明確な目標があるとのことだ。すなわち、国際航空からの全排出物を対象とする国際的なMBMの、2020年までの開発促進と実施であり、実施の保留であり、EEA内に離発着する全フライトからの排出物を対象とするEU ETSを継続することである。

 航空機運航者がEEA空港に離発着するフライトの全排出物に責任を持つようなEU ETSの完全実施を復活させることは、さらに国際的な反発を招き、国際的MBMについてのICAOの将来の交渉を妨害する危険性があると昨日の影響評価では認めている。

 空域の選択肢或いは、欧州委員会が混合選択肢と呼びたがる選択肢には国際政治の受容性が高いという利点があるとのことで、その理由は排出物の対象範囲がEEA内に限られているからとのことである。それはまた、現在の監視、報告及び検証(MRV)システムに基づいた実施が可能で、経由便も直行便も等しく対象とするため、公平性をゆがませる可能性を避けられる。EU ETSの完全実施と比較して、空域の制限が海岸から12海里(ノーチカルマイル(NM))まで拡張される領海で定義されるか、海岸から200NMまで拡張される排他的経済水域によって定義されるかによって、対象になる排出物は混合選択肢で39或いは47パーセントまで減る。

 「時計を止める」方式と同様に、EEA内部のフライトのみ残してEEAの外側のフライトは一般的に対象外とする場合、EU ETSの完全実施の場合に対象となる排出物と比較してたった25%しか対象にならない。

 欧州委員会が考えている他の代替案には、EEA内の全フライトと非EEA国家へ出発する便を対象とする出発便選択肢がある。影響評価によれば、この方式は、EUがICAOのMBMの枠組みの地理的範囲として最初に提案したものだったが、多くのICAO加盟国に拒否された。

 ほとんどの環境NGOが好むのはEU ETSの対象範囲をEEAの外部に離発着する便の50%に制限する50/50の選択肢だったと、欧州委員会は報告したが、この選択肢はICAOで検討されることはなかった。出発便と50/50選択肢の両方で、完全実施の排出物の62%の対象範囲になると欧州委員会は見積もっている。

 欧州委員会が検討したが、競争力にマイナスの影響を与え、監視・報告・検証を完全に変更することが必要で、新規に法的な異議申し立てが出されるリスクがあるという理由で却下したアップストリーム選択肢からも同様の対象範囲は可能だったろう。この選択肢の下では、制度を順守すべき存在は航空機運航者の代わりに燃料供給者になり、燃料供給者はEEA空港へ販売した燃料に応じた排出枠を放棄することになっただろう。燃料供給者の棚ぼた利益を避けるため、すべての排出枠は競売にかけられ、無料排出枠が割り当てられることはなかっただろう。法的リスクはそれが燃料税或いは燃料費に相当すると判断され、従ってシカゴ条約と航空業務合意の下では容認されないだろうということだ。

 欧州委員会の文書はまた、選択肢の社会的影響や管理上の影響を考察し、様々な利害関係者やこの件に関して行われた公的諮問について報告している。

リンク:

欧州委員会−影響評価
欧州委員会−対象外となる国家一覧
欧州委員会−法制に関する立案

海外情報紹介 ストックホルム・ブロンマ空港の地上騒音が及ぼす地域住民への影響を低減するための解決策のコンテストをSwedaviaが開始

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1806

 2014年1月7日火曜日−スウェーデンの空港運営を行うSwedaviaが、ストックホルム・ブロンマ空港に近接するBromma Kyrkaの居住地域に影響を及ぼす地上騒音の低減のために、革新的な解決策を発見しようとコンテストを開始した。賞金として100,000スウェーデンクローネ(米ドルで約$15,000)を用意しているこのコンテストには世界中のどの国の個人や団体も参加が可能である。Swedavia曰く、求めているのは「革新的で才気に富んだ設計」を表すアイデアで、実現可能性、騒音低減、金銭的な健全性、美的感覚について一定の基準に沿っているものだそうだ。ブロンマ(Bromma)空港はストックホルム市の町の中にある空港で、市の中心からちょうど9km離れた場所にあり、最も近接する住民は滑走路からたった180mしか離れていない住宅に住み、航空機や空港車両の騒音にさらされている。コンテスト参加の締め切りは2月28日で、春に受賞者が決まる予定である。
 Swedaviaの空港革新化の挑戦2014開始を告げるにあたり、ストックホルム・ブロンマ空港の環境と品質の管理者であるJenny Svärd女史は言った。:「最良の解決策を見つけることによりBromma Kyrka地域にプラス効果の影響を及ぼすと思われ、我々空港と近隣住民にとって、これはとても重要な課題である。空港開発にあたり、環境問題と気候問題を賢明に解決することに、Swedaviaでは高い優先順位をつけている。

 コンテストには個人或いは団体の参加が可能だが、Swedaviaとしては音響、建築或いは工学の関連分野の背景を持つ学識経験者、専門家或いは団体が参加することが望ましいそうだ。今回のコンテストの目的は、空港運営者によれば地上騒音低減装置−例えば、滑走路と住居地域の間に設置可能な遮蔽物、壁或いは他の何らかの設置物−の設計と精査だそうだ。解決策は現在利用可能な工法や材料を使用して実施することができなければならない。

 応募内容は、アイデアを実行する場合の実現可能性の度合いや、騒音低減の度合い、外観が環境と調和する度合い、また、費用効果の度合いによって2次審査まで審査される予定である。Swedaviaの専門家がアイデア開発の手助けをすることも可能だろう。受賞作品はSwedavia、関連分野の専門家やBromma Kyrkaの住民代表によって組織された評価委員会によって4つの評価要素に基づいて選ばれるだろう。

 コンテストの登録のための暫定的な締め切りは2月14日で、アイデアの提出期限は2月28日である。

 Swedaviaは国営企業で、スウェーデンの10空港を所有し、運営し、開発する。スウェーデンで旅客輸送の規模が3番目に大きいブロンマ空港は、空港における年間の航空機離発着数と航空機運航による最大騒音レベルを規制するための環境上の許可権限を持っている。空港産業の空港排出二酸化炭素認証評価計画の最高レベルの認証基準要件に適った最初の数空港の内の1つであった。


リンク:

Swedaviaの空港革新の挑戦2014
Swedaviaと環境

海外情報紹介 中国と他の主要新興国は自国をカーボンニュートラル成長対策の参加国から外すようICAOに主張

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1777

 2013年11月4日月曜日 − 最近開催されたICAO総会の結論が出た後、ICAO事務局長宛に出された公式の留保通知の中で、中国は、2020年からのカーボンニュートラルな成長目標の義務を差別化することなしに採用すると、自国の国際航空活動の発展を妨げることになると主張している。国際航空排出物低減目標設定を支持はしても、発展途上国の排出物増加の相殺を含む低減対策を先導する役割は、先進国の負うべき責任であると中国は主張している。別の新興勢力として、ICAOで合意した共通の国際的努力目標の再評価をすべきだという内容の書面をブラジルが、中国と同様に事務局長宛に出している。一方、アメリカ合衆国はICAO総会の気候決議のde minimis条項(影響度の低い条項)と差別化した責任原則を決議に含めたことについて異議を申し立てる書簡を出している。
 先月の早い時期に開催された第38回ICAO総会は国際航空排出物の増大を制限するため、市場に基づく国際対策(MBM)開発で合意して加盟国が前に踏み出し、大成功であると歓呼の声で迎えられた。2016年の次回総会で、2020年を開始年として国際的MBMを採用するかどうかについて加盟国が決定を行うと見込まれている。

 しかし、総会が進むにつれ、暫定的な国家的制度やEU ETSのような地域的制度のみでなく、国際的制度においてさえ、どの国家が係わるべきかについて先進国と発展途上国の考えの間に深刻な対立があることが露わになった。この問題に関する実行委員会での話し合いは、会議終了前日に危うく決裂するところだった。

 ICAO総会ウェブサイトに掲載されたばかりの留保のための書簡第一陣 − これから先もさらに提出が見込まれているが− から明らかなことは、実現されるはずの制度は現状のままでは名前のみ「国際的」な制度になりかねないということだ。

 10月8日付けの書簡の中でICAOへの中国代表団が明確にしているのは、すべての加盟国が対応せねばならないとしても、発展途上国には対処すべき重要な懸案事項があるのだということである。中国と他の11加盟国はMBMsや国際的MBM制度、2020年からのカーボンニュートラルな成長目標やMBM原則の指針に関するパラグラフの修正を提案する文書を提示したと書簡は指摘している。

 かくして、「個々の加盟国に特定の義務を負わせることなく、ICAOとその加盟国は関連機関と共に、国際航空による2020年からの世界の二酸化炭素総排出量を同じレベルに保つため、共有の中間的国際努力目標達成に邁進する目的で協力して作業するだろう。... 」と記されているICAO決議のパラグラフ7に中国は異議を唱える留保を行った。

 目標設定のためには、航空市場の成熟度と同様に、加盟国、特に発展途上国においての特殊事情や個々の能力に配慮しなければならないと、そのパラグラフが認めるとしても、中国はそれが十分に機能するとは思っていない。「発展途上国の国際航空による排出物増大を相殺するために低減対策を採用するにあたり、先進国が先導しなければならないと明示されるべきである。」と中国の書簡には書かれている。

 アルゼンチン、キューバそしてベネズエラの代表でもあるブラジルもまた、パラグラフ7の留保を行った。「ブラジルは[ICAO総会において]前向きにこの主題に関する討議に係わったが、国際的MBM制度設立へ向けた作業という課題がICAOに与えられた今、この問題に関する将来の一連の話し合いまで我々はこの問題を保留するつもりだ。」と、ICAO事務局長に宛てたブラジルのICAO常任委員による書簡に書かれている。「もう一方で、ICAO加盟国の異なる発展の度合いを反映するために、我々の共通の国際的努力目標には、まだ再検討と一層の分析が必要であるというのがブラジルの理解である。国際民間航空領域の現在及び将来の成長展望を目の当たりにするにあたり、これは最重要課題である。」

 ICAO総会で通過した気候変動決議の最近の変更は、国際航空用のMBMsの設計及び実施に当たり、共通だが異なる責任と責任能力(common but differentiated responsibilities and respective capabilities, CBDR)、特殊事情と責任能力(special circumstances and respective capabilities, SCRC)、差別のない等しく公平な機会の原則についてMBMが配慮すべきであると記す、新規原則についての指針のリストを付け加えたことである。

 留保の陳述書の中で、米国はこのリストを付け加えたことに異議を申し立てている。「周知の理由により、CBDRの原則を含め、国連の気候変動枠組み条約(UNFCCC)の諸原則が、独自の法制度で管理されるICAOに当てはまるとは米国は思わない。」

 米国はまた、加盟国或いは加盟国の集団が国家的或いは地域的MBM制度を設計し実施する時に、国際航空の有償貨物トンキロ(RTKs)が1%に満たない占有率の発展途上国を離発着する路線については例外扱いを認めると記す、決議文のパラグラフ16(b)を留保している。米国としては、de minimisの概念は支持しても、1%が適切な範囲だとは思わず、範囲は運航者に対峙する国家的航空活動に基づくべきか、発展途上国への到着便か出発便のどちらかによって調整がなされるべきだという意見である。

 「ICAOの差別無しの原則や市場の歪みを避けるという原則を特に踏まえるなら、これらの基準は結局、de minimis概念を扱うには不適切な手段にしかならない。」と米国の陳述文は述べている。「適用された場合、このde minimisの範囲が世界の大部分の国家をMBMへの参加から除外するという影響を及ぼすことになるだろう。その上、そして条文の言葉に忠実な範囲設定が行われるなら、米国としてはそのような範囲設定には国際的MBMの開発において何の意味も持たないと判断する。」

 UNFCCCでは発展途上国と定義されるも、EUの排出量取引制度継続のための新提案では先進国と定義されるアラブ首長国連邦もまた、パラグラフ16(b)を留保する書簡を提出済みである。de minimis条項は甚だしい市場の歪みにつながる可能性があり、一部の航空機運航者に憂慮すべき不利益を与えることになりかねないと書簡には述べられている。

 「これはシカゴ条約の条項11に真っ向から対立する。」と書簡は述べている。「決議文のパラグラフ16(b)の表現は不明確なこと甚だしい。これでは混乱を招くこと必至であろう。」

 ICAOの国際的MBMの実用性の開発と設計のための3年間の作業計画が緒に就き、対立するICAO/UNFCCCの原則をいかに満足な形で解決しうるかにも注目が集まらざるを得ないだろう。総会が終盤にさしかかって、ほとんど前例の無い氏名点呼投票がMBM問題について行われたことで、自国の要求に関しICAO加盟国の大部分を占める他の発展途上国からの支持をとりつけようとする新興国の力が示された。

海外情報紹介 第38回ICAO総会においては国際的MBM実現を目指す工程表で加盟国の合意は得られても、欧州がEU ETSで敗北

2013年9月24日から10月4日までICAO本部で開催された第38回ICAO総会における気候変動対策の議論について続報を掲載します。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1762

第38回ICAO総会気候変動決議と留保文書ダウンロードサイト:
http://www.icao.int/Meetings/a38/Pages/resolutions.aspx

 2013年10月4日金曜日−ICAO総会での集中協議の2日後、2016年の次回総会で市場に基づく国際的な対策について決定を行うことを目指した工程表をたどることで加盟国は合意に達した。ICAOとしては珍しいことに、ロシア、中国そしてインドが率いる多くの発展途上国が提出した決議草案への最終の修正について昨日票決が取られた。敗北を避けようと欧州が試みたにもかかわらず、EU ETSに外国の航空機の運航者を対象に含めないよう目指した段落を草案に盛り込むという重要な投票で、発展途上国が本質的に勝利を収めた。2020年に実施する国際的MBM(Market-Based Measure 市場に基づく対策)を2016年に決めることを目指した進展と引き替えに、対象とする空域を減らすという枠組みでICAO加盟国が容認しやすくなるだろうとEUは信じていた。結局、EUは出し抜かれ、数で負けた。

 採用された決議の段落16(a)は、暫定的MBMsの実施を模索する国家或いは地域、またはすでに実施されている暫定的MBMsを持つ国家や地域は「合意に達するために、建設的な二国間及び/又は多国間の協議そして他の国々との交渉に従事する」よう求めるものである。アメリカ合衆国を含むいかなる加盟国も、EU ETSが自国のエアラインを対象とすることに自発的に同意することは全くありそうもないので、欧州はEU ETSを適用する範囲をEU内の飛行のみに制限せざるを得ないだろう。外国の航空機運航者によるEU内の飛行でさえ、運航者の登録のある加盟国の承認なしでは対象外にせざるを得ない可能性がある。

 2016年に国際的なMBMを採用するという合意を期待してすでに譲歩し、元来の法律に規定されていたような全離発着便を対象とするものというより欧州の空域内で排出された二酸化炭素排出量を規制するというEU ETSの適用範囲を狭めることを受け入れた欧州の威信に対する大きな打撃である。現在の特例措置で一旦適用を延期しているEU ETSの施行を、「意味のある」合意が実現しない場合には速やかに復活させるだろうとEUは常に主張し、ICAO総会に出された決議草案を進んで受け入れていた。もし、EUがさらに中国、インドそして米国との対決を再開することを望んでいるのでなければ、EU ETSの拘束力が及ぶ範囲を変更することを受け入れざるを得ないようである。適用範囲をEU内とすることはEU法に反するという欧州の格安航空会社からの法的行為に直面する可能性もEUにはある。

 段落16に「双方の合意」を差し挟むという発展途上国の提案を阻止しようとして、欧州の代表団は、元来の決議草案から段落16全体とそれに関連する段落を削除することについての投票を要求したが、大敗を喫し、発展途上国の提案を採用するという説得力のある投票で発展途上国が勝利した。

 発展途上国はまた、米国のような加盟国からの反対にもかかわらず、RTKsの国際的負担が全体の1%を下回る発展途上国を到着点及び起点とする飛行経路については、国家的及び地域的MBMsからde minimisの例外として扱うという要求を取り下げなかった。BRIC国家(ブラジル、ロシア、インド及び中国)はまた、国際的MBMを設計及び実施する時にde minimis及び特殊事情と個別の能力(SCRC)とUNFCCCの原則である共通だが差別化された責任(CBDR)を考慮する参照を挟み込ませるのに成功した。

 新しい草案(WP/430)にはまた、実現可能性と実用可能性を含む、国際的MBM制度の技術的側面、環境影響や経済影響、そして可能な選択肢の様式をまとめる作業がなされるべきだという要求が含まれている。草案はまた、加盟国の支持を得て(MBMの過程に係わるすべての加盟国からの一層の情報を確保するために草案にさらに追加された)、国際制度についてワークショップやセミナーを開催し、加盟国に影響を及ぼす可能性のある主要な論点や問題を特定し、対処するようICAO理事会に要請している。理事会は国際的MBMを採用するかどうかについての決定に関し、第39回総会に報告するよう要求されている。

 決議では2020年までに国際制度を実施するという言及を入れないというBRICS国家及びその支持国家による提案は取り下げられた。

 昨日、欧州は落胆を味わったにもかかわらず、欧州委員会委員であり、それぞれ気候と輸送の担当であるConnie Hedegaard氏と Siim Kallas氏は全体的な結果について楽観的だった。「EUの懸命な作業が功を奏している。:棚上げになった取り決めについて、ICAOは初めて航空排出物低減のための国際的方法に合意した。市場に基づく国際的な対策である。」とHedegaard氏はツイートした。今日の本会議の後、Kallas氏が以下のように続けた。「排出物の取扱いについては航空部門が真剣に取り組んでいると今夜のICAOの取り決めが示している。」

 今日の本会議においては、主に先進国からde minimisの言及について(段落16bとその他)、そして発展途上国からはICAOの(努力)目標(段落7)についての懸念が出されるなど、数多くの留保事項或いは異議が多くの加盟国から提出されたが、総会で決議文は承認された。

 EU諸国の代表として、リトアニア代表が、総会は成功を収め、EUは次回総会で国際的MBMについての決定を期待することになるだろうと述べた。地域的MBMsについて合意に達することができなかったことを彼は残念がっていたが、EUは引き続きICAOを支持するだろう、航空産業との一層の関わりを期待すると彼は述べた。これからの数週間に決議文のいくつかの留保事項に係わることになるだろうと彼は付け加えた。

 米国代表で、米国の気候特命使節であるTodd Stern氏は、航空は気候変動に取り組むための努力における優先事項であり、米国はMBMs関連の継続作業について勤勉に従事することになろうと述べた。米国にとってはまた、決議文の若干の要素は容認しがたく、特にde minimisとCBDRの言及は容認しがたいものだった。

海外情報紹介 地域的な二酸化炭素規制制度の実施をICAOが制限し、欧州エアラインはEU ETSの次の手に異議を唱える。

現在運用されているMBM(市場に基づく対策)を国際航空に適用する場合は「他国の合意が得られるよう二国間及び/または多国間の前向きな協議及び折衝に携わらねばならない。」という文章をICAOが第38回ICAO総会の気候変動決議に差し挟んだため、欧州域内排出物取引制度(EU ETS)の実施は制限されることになるのですが、それに係わる動きについてGreenaironline.comの関連記事の要約をご参考までに掲載します。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1764
 2013年10月10日木曜日 − 欧州議員が先週のICAO総会における気候変動関連合意について討議したが、欧州エアラインは、航空に関する欧州域内排出物取引制度(EU ETS)をEUがいかに継続するかについて意見が異なるようだ。欧州の大規模エアラインである2社すなわちRyanairとeasyJetが会員になっている、欧州低運賃エアライン協会(ELFAA)は、欧州委員会或いは欧州議会が設定した「最後の一線」の条件をICAO決議は何も満たしていないと主張する。それでELFAAは、今こそEUはEU ETSを元来の条件で施行するという誓約を守るべきであるとの意見である。それに反して、欧州域内の地域航空を代表する欧州地域航空協会(ERA)は、少なくとも市場に基づく国際的な対策(MBM)のICAOによる正式な採用が可能になる2016年までEUが制度全体の施行を保留すべきであると信じている。一方、航空のEU ETSに関する欧州議会の報告者であるPeter Liese博士は、欧州域内の飛行のみ対象とするような制限付きの、対象範囲を狭めた制度を彼の同僚である欧州議会議員らが支持することはありそうもないと述べた。

 先週金曜日に合意された総会決議に言及して(記事を参照のこと)、ELFAAの事務局長であるJohn Hanlon氏は言った。:「同業者で総会の結果を画期的な決議と称賛するものもあるが、ICAO加盟国は航空排出物に対処するための、市場に基づく国際的制度に関する提案を引き続き調査することに合意し、実際には実体の無い誓約があるだけで、さらに3年検討期間が続くだけである。ICAOはEUが公言した2つの目標を断固として拒否した。2つの目標とはすなわち−第1は、国際的MBM開発のための現実的な道筋で合意に到達すること、第2は、国家的及び地域的MBMを国際航空に包括的に適用するための暫定的枠組みの合意を得ることである。」

 「ICAOの会議をEUは、国家の、地域のそして世界のCO2排出量の低減に大いに貢献する機会として捉えていた。その機会は失われた。」

 EU ETSをEUの空域内のみの国際便による排出物に適用するという、総会前のEUの妥協案を欧州議会は支持していたのだがICAOに拒絶されたと彼は言及した。EUの気候担当委員であるConnie Hedegaard氏が「EU ETSの適用を保留する」という特例扱いを去年11月に公表した時に引いた「最後の一線」も守られなかったと彼は付け加えた。

 EU域内のみの便にEU ETS制度の適用を限定すればEU内の航空によるCO2排出量のほんの一部を捕らえるだけの、全体として環境改善効果のないものになるだろうとHanlon氏は主張し、EU ETSが米国のエアラインを対象とすることに抗議して米国エアラインが起こした訴訟で欧州裁判所が下した判定を考えれば、差別的であるが故に非合法なものになるだろうと彼は信じている(記事を参照のこと)。加盟エアラインが欧州域内定期交通の43%を超える割合を占めるELFAAは、EUの次の手が保留されたままであるこのEU ETSの問題について、すでに法的手続きを開始した。

 「EUは今こそ、法的に『全便を対象とした』施行に立ち戻ることで、EUの信頼性とEU ETSの環境的有効性を復活させるべきである。」とHanlon氏は述べた。

 50社を超すEU域内地域航空を会員とするERAは、異なる立場をとる。

 「我々の見解は、2020年から国際的な対策を実施するための工程表でICAOは合意に達し、これは欧州委員会や他の多数から画期的であると称賛され、従って今や地域的制度に出る幕はない。」ERAの事務局長であるSimon McNamara氏はGreenAir紙に語った。

 「EUはEU ETSをすべての運航について保留にし、2020年実施を目指し2016年に国際MBM制度で合意しようという取り組みを支持すべきである。すべての便について特例措置を2016年まで延長し、いかに進展させるかを決めるべきであると我々は信じている。」

 彼は付け加えた。:「欧州域内の便にのみ適用する制度を運用することには意味がないし、CO2排出物のほんのわずかな部分しか捕らえないだろう。− 国際的な制度を必要とする、航空は国際産業である。EU ETSはすでに我々の会員が管理するには複雑過ぎて費用がかかりすぎるので、欧州のエアラインが不景気からの回復を試みるている時には有益でない。」

 ERAはこれまでのところ法的な異議申し立て手段はとっていないが、欧州委員会が「施行を保留する」範囲を拡張するという決定をした場合、「差別的で非合法なものになる可能性があるので、とても慎重に我々の立場を再検討し、どのような手段をとるか決定するだろう。しかし、公平な結果を確保するために、我々はこれから3ヶ月の間欧州委員会と前向きに作業を行うつもりである。」とMcNamara 氏は述べている。

 国際的MBMの開発のための時間をICAOに与えるため、EU ETS全体の施行を保留して欲しいというERAの望みは欧州議会において多くの支持を得られることはなさそうである。

 航空をEU ETSの対象とすることに関してと、「施行を保留する」特例に関しての欧州議会の報告者であるPeter Liese博士は、ICAO決議の最終的な文面は、総会に先立ってICAO理事会が合意した妥協案より内容が弱くなってしまったと述べた。2020年までに国際的なMBMが施行されるかどうかは「遙か先のこと」だと、彼は付け加えた。しかし、総会で到達した合意はEUが強いプレッシャーを与えた結果達成された第一歩であり、維持されることが必要だと彼は述べた。

 EU ETS法をどう扱うかについての法的選択肢と政治的選択肢は分析が必要であるとLiese 氏は述べた。「我々の現在の法律では、2020年まで国際航空について排出物取引を保留することは不可能である。」と彼は説明した。「私の見込みでは、欧州議会は2020年まで欧州域内の便のみを対象とすることに合意しないだろう。」欧州内で離発着する全便から生じる欧州空域内の排出物を対象とすることは「絶対に必要である。」と彼は付け加えた。

 欧州議会がEU加盟国を代表する欧州理事会と共同で、来年4月までに法的文面を決定するに至らなかったら、欧州空港を使用する大陸間国際便全便を対象にする元来のEU ETS法が再び効力を発することになるだろうと彼は警告した。

 主要な航空ネットワークを運航する会社を代表する欧州エアライン協会(AEA)は、今のところEU ETS自体には意見を表明していない。ICAO総会後の声明では、AEAはICAO合意を称賛し、そのことはAEAの言及によると欧州連合にも歓迎されたそうである。

 「これは現実世界の政策にとっての勝利である。」とAEAの事務局長代理であるAthar Husain-Khan氏は語った。「まったく進展が無いよりは少しずつでも進展があった方がいいし、意見の分裂や対立よりはずっといい。」

 ICAOが国際的MBMのための仕組み作成に打ち込んだ3年間の、「今回は意見のまとめ役として」EUは自らの統率力を再確認すべきだと彼は述べ、以下を付け加えた。「ICAO内の多様性を共通の目的へと導くことは骨の折れる作業になるだろうが、最終的に得られる恩恵は莫大なものだろう。第一歩が踏み出されたが、これは重要な一歩である。」

 欧州委員会は近々、EU ETSをこれからどうするかに関する提案を公表する予定である。

海外情報紹介 ICAO総会での敗北にかかわらず、欧州委員会は空域を対象にEU ETSを適用

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1768

欧州委員会によるプレスリリース(原文):
http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-13-906_en.htm

欧州委員会によるプレスリリース(参考訳)
http://www.aerc.jp/index.php?ID=143

 2013年10月16日水曜日−市場に基づく国家的及び地域的対策(MBMs)に制限を設けるという、ICAO加盟国の大半による最近の決定にもかかわらず、欧州委員会は2014年1月1日から欧州域内空域でEU ETSを適用しようとする提案を行った。この間の総会の終盤の動きで、暫定的MBMsを各国のエアラインに適用する前に第三国からの合意をとりつけるべきであるという文章を決議に組み入れることに、ロシア、インド及び中国のような多くの新興大国が成功した。しかし、欧州の気候委員であるConnie Hedegaard女史は今日、EU加盟国には自国の空域を規制する国権があると述べた。今回の提案の下では、世界銀行の定義のような、世界の国際航空に占める有償貨物トンキロ(RTKs)の割合が1%未満の低所得国と中流の下層所得国を離発着する便は例外扱いとなり、ビジネスジェット機の運航者には新規の適用免除基準が設定された。

 Hedegaard女史は今朝の記者会見で、国際的なMBMを開発するというICAO総会での合意はEUの圧力無しでは成立しなかっただろうが、今や2016年までに詳細についての合意を得て2020年までに施行するという決定が下されたと述べた。

 「それは大変な朗報である。」と彼女は述べた。「もちろん、より多くの国家がEU制度を支持し、ここ欧州で着手された取り組みに航空部門が貢献することになればさらによかったのだが。2020年から始めるのではなく、今から始めるべきである。ICAO加盟国の大半は異なる意見だったが。」

 2016年に確実に合意を得ることが現在の重要事項で、それまで欧州は欧州の空域内及び上空を規制する国権を主張しなければならないと彼女は述べた。

 「2020年までに国際的なMBMを実現するための暫定的な解決策として、欧州地域の現在の空域に入る到着便及び空域から出る出発便を規制するための提案を今日、欧州委員会が行う理由がこれである。すべての国家 ...がもちろん、主権空域内を規制する我々の権利を認識していると私は思っている。明白な理由で、これは重要な原則である。他の国家がこの原則をないがしろにするなど、私の想像の範疇外である。」

 「我々は他の国々と協議したいと思っているが、重要なことは、欧州の主権が及ぶ領空内の規則を決めるのは我々欧州だということだ。ICAOの協議では欧州は前向きに大変努力したと世界の他の国々は認めて欲しいものだ。我々は『時計を止める』努力をし、今やそれが目的を達して、今度は2016年までの交渉周辺に必要な良好な雰囲気を作り出すために我々の法律を調整しているところである。提示されたそのままの意図をここから諸同盟国がくみ取ってくれるよう切に望む。」

 期限があるので、来年3月までにEU加盟国の代表である欧州議会と理事会が速やかに採択することを欧州委員会は望んでいるとHedegaard女史は付け加えた。

 航空をEU ETSの対象にすることについての欧州議会の報告者であるPeter Liese博士は、彼の同僚である欧州議会議員らがEU/EEA内のフライトのみを対象とするような『時計を止める』特例扱いの継続を支持しないだろうという不安を、近頃表明した。そのため彼は、欧州委員会の提案を歓迎し、欧州の空域内の全フライトを対象とすることで、欧州のエアラインにとってやっと条件が公平になるだろうと述べた。この意見には欧州議会の環境委員会委員長であるMatthias Groote氏も同意している。

 「時計は再び時を刻み始めるだろう。」とGroote氏は述べた。「欧州連合がその空域内で規制を行うのをとやかく言われることはなく、航空排出物をETSの対象として扱うのが我々の任務である。」『時計を止める』特例扱いが終了し、欧州内で離陸或いは着陸するすべてのフライトからの航空排出物が規制対象になることについて来年4月までに法律の新しい条文で共同の決定に至るだろうと彼は警告した。

 今回の提案の下では、欧州経済地域(EU加盟国28カ国とノルウェー及びアイスランド)内の空港間のフライトからのすべての排出物は引き続き対象となるだろう。2014年から2020年まではEAAの外側の国々から離発着するフライトは、欧州委員会に言わせると、EEA空域外で発生するこれら排出物について一般的適用除外扱いの恩恵を被ることになる。

 EEA空域の定義は、EEA加盟国領土の間での第三国上空或いは海域上空の距離が400海里を超える場合は例外として、EEAの領土の海岸線の外周上の最も遠い部分から12海里先の地点から、出発或いは到着のEEA飛行場までの距離である。外縁部の領域にある空港と第三国にある空港の間のフライトによる排出物と、EEAとEEA加盟国の海外にある国と領土、つまりはEEAの部分でない国家と領土の間のフライトによる排出物は対象外となる。

 さらに、スイスのような欧州内の第三国領域上空の排出物や、欧州本土とEU保護領及び準州の間の海域上空の排出物を扱う例外規定がある。そのため、例えば、スイスから離発着するフライトは欧州地域内を飛行する距離に応じてのみ、これからは適用対象となるだろう。

 欧州委員会はまた、『時計を止める』特例扱いからの動向や、空域による規制が2014年に開始されることに配慮するため、適合性や監視、報告や検証の規則に対して、多くの重要な調整を行った。

 国家的及び地域的な暫定版MBMsに関する、ICAO総会の気候変動決議の段落で重要な要素は、多くの国家が異議を唱えたにもかかわらず、MBMsのような制度から発展途上国を除外するde minimisの範囲に言及していることであった。「de minimis規則について我々は留保したが、2020年までの時間について話す限りは配慮をすることになるだろう。」今日、Hedegaard女史はそのように述べた。

 de minimisの例外規定が適用される場合は、国際航空の有償貨物トンキロ(RTKs)の占有率が全体の1%に満たない発展途上国を離発着するフライトは規制対象から外さねばならず、EUはだからこの原則を容認した。決議文には『発展途上』の明確な定義が無いので、欧州委員会は世界銀行から『低所得』または『中流の下層所得』と定義された国家を指すことに決めた。

 この定義を用いると、1%の範囲を超えるようなインドや中国やアラブ首長国連邦のような国々や、主要な東南アジアのハブ空港を離発着するフライトが欧州連合の空域の飛行部分についてはEU ETSの対象になるようだ。ブラジル、南アフリカ及びサウジアラビアのような国々から離発着するフライトもまた対象になる。というのもたとえこれらの国家が1%の範囲内に入っていても、世界銀行によって中流の上か高所得経済に分類されるため、新規提案の下でのEU ETSのde minimisの範疇外だからである[記事は10月17日に更新された]。

 欧州委員会は新しく提案した規制を、ビジネスジェット機やCO2の年間排出量が1,000トンを超えないいわゆる『少量排出者』のような小規模で商用でない航空機運航者を、管理業務単純化のため対象外扱いとする機会にした。これで、EU加盟国によって規制される航空機運航者の数は約2,200減少すると見込まれるが、これは排出量の0.2%にあたる。2013年の時点では、年間総排出量が25,000トンに満たない他の小規模な航空機運航者−商用或いは非商用にかかわらず−が、これから単純化された手順を利用することができる。

 競売にかけるべき航空排出枠の割合はEU ETS指令により15%にとどまるが、それより低い量の排出枠が2013年から2020年までの間は競売されるだろう。というのも規制対象の範囲が減るので流通する航空排出枠の総量が少ないのを反映するからである。


リンク:(以下から直接はリンクしていないので、原記事から参照して下さい。)

欧州委員会が提案を発表
提案に関する欧州委員会の質疑応答
欧州委員会によるEU ETS指令への修正案(pdf)
世界銀行−国別の所得分析
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海外情報紹介 太平洋便が最も大量のオゾンを生成

IOP PublishingのEnvironmental Research Lettersの第8巻第3号に「航空のNox排出物に係わるオゾンの影響の時間的及び空間的なばらつき」という発表が掲載されました。以前この欄でも紹介しましたマサチューセッツ工科大学のSteven R. H. Barrett教授らによる新たな研究発表です。ご参考までにIOP Publishingのプレスリリースの要約を掲載します。

原記事:
http://ioppublishing.org/newsDetails/pacific-flights-create-most-amount-of-ozone

原論文:
http://iopscience.iop.org/1748-9326/8/3/034027/article

2013年9月5日

 航空機による汚染物質から生成されるオゾンの量は、オーストラリアとニュージーランドの離発着便によるものが最も多いと、新規調査が示している。
 オゾンの温室効果ガスとしての短期的影響は、二酸化炭素(CO2)の短期的影響に匹敵するほど強いので、今日9月5日木曜日にIOP Publishingの雑誌Environmental Research Lettersで公表された発見は、航空政策に幅広い関わりを持つ可能性がある。
 マサチューセッツ工科大学の研究者達は全球化学輸送モデルを使用して、世界で特にオゾン生成に反応しやすいのはどこか、そしてその結果最も多い量を生成するのはどの便かを調査した。
 その結果わかったのは、ソロモン諸島の東1,000kmあたりの太平洋上空域が最も航空機排出物に反応しやすいということである。この空域においては、航空機排出物1kgが − 特に一酸化窒素や二酸化窒素のような窒素酸化物(NOx)が − 1年間でオゾン15kgを余分に生成することになるだろうと研究者達は見積もった。
 この空域の感受性は欧州のそれより約5倍高く、北米の空域の感受性より3.7倍高かった。
 論文の筆頭著者であるSteven Barrett氏は言った。:「新規の排出物に対し、大気の最も清浄な部分が最も劇的な反応を示すと我々の発見が示す。太平洋のこの部分において新規排出物は比較的大きい大気の反応を引き起こすだろう。」
 約83,000便を個別に分析し、出発地か目的地がニュージーランドかオーストラリアの便が上位10位のオゾン生成便であることを研究者達は発見した。感受性が最も高い太平洋上の空域を大部分の便が通過する、シドニーからボンベイへの便が最も大量のオゾン − 25,300 kg − を生成することが判明した。
 さらに、オーストラリアとニュージーランドを出発地と目的地にする航空機は大概が機体が超大型でかつ飛行時間がしばしば大変長時間なため、多くの燃料が燃焼されて多くのNOxが排出される。
 オゾンは比較的寿命の短い温室効果ガスで、その生成と破壊はその場の大気の化学状態にかなりの部分依存しているため、世界規模で影響を及ぼすというより、特定の時間において特定の区域に影響を及ぼすようだ。
 4月のフライトよりも10月のフライトの方が40%多いNOxを排出することを研究者達は発見した。
 「民間航空による排出物が大気に及ぼす影響全体については多くの調査が行われてきたが、個々のフライトがいかに環境を変化させるかについてはほとんど知られていない。」
 「排出物に対する感受性が現在最も高い区域は民間航空の成長が最も速い区域であり、NOx排出物に対するオゾン生成の感受性が高い、世界の特定空域を迂回するよう航空機の経路を変更する取り組みが、航空による気候への影響を顕著に減らせる方法になりうる可能性がある。」
 「もちろん、長距離便の方が燃料を多く燃焼し、CO2の排出も多いので、飛行距離の増加とオゾンの影響のような気候への他の影響との間にトレードオフがあるだろう。よりよい理解を得るためと、そのようなトレードオフが正当化出来るかどうか見極めるために、このトレードオフの科学的根拠にはさらなる調査が必要である。」とBarrett氏は続けた。