海外情報紹介 米国の研究が気候および結果として燃料消費と排出物を増大させるフライト時間との間の関係を見い出す

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2111

 2015年7月24日金曜日−高高度の航空機が温暖化に及ぼす影響についてはいまだにわからない部分があるが、民間航空の排出物と気候変動との関連性についての広範な調査が行われた。しかし、惑星(地球)の温度が上昇すると飛行機旅行にどのような影響を及ぼすだろうか。マサチューセッツにあるウッズ・ホール海洋研究所(WHOI)とウィスコンシン・マディスン大学の研究者らは、気候と航空路線の飛行時間が長くなることとの間の関連性(飛行時間が長くなれば燃料消費と排出物が著しく増大する)を見い出したとしている。Nature Climate Change誌で公表されたばかりの調査を率いたWHOIのクリス・カルナウスカス氏が述べているのは、大気中に次々にCO2が追加流入される結果、大気循環中に新たに発生した変化がフィードバックされ増幅される可能性があるということである。この調査では過去20年間のホノルルと米国西海岸の3空港間のフライトをフライト毎に調査し、飛行時間と巡航高度での日々の風速データを比較した。

海外情報紹介 エア・インディアが航空に関わるEU ETSを順守しなかったことに英国が罰金を科す

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2106

 2015年7月16日木曜日−航空に関する2012年のEU ETS(欧州連合域内排出量取引制度)を順守しないことで、エア・インディアと他の航空機運航事業者4社は総計95,456ポンド(150,000ドル)の民事制裁金を英国当局から科せられた。報告を義務づけられた各事業者の年間排出量について十分な排出枠を2013年4月末までに放棄しなかったと各事業者はみなされていた。そのうちの2社が順守することになってからは2012〜2014年の3年間分の排出枠を放棄したが、欧州内空港間のフライトの炭素排出量を現在対象としているこの欧州制度に従うことを、エア・インディアはインド政府の指導でこれまでのところ拒否している。エア・インディアがこの罰金を支払うべきではなく、この件は外交上の問題として扱われるべきだったとインド政府の担当者がGreenAir誌に対して語った。EU ETSに関する排出量を英国に報告するインドのもう一社のエアラインであるジェット・エアウェイズは最近、類似の罰金に対する訴えを退けられたが、制度を順守するようになってからは罰金通知リストには載っていない。

海外情報紹介 NGOsが納得していない中で米国環境保護庁(EPA)が二酸化炭素排出基準に通じる航空機排出物対処のための規制プロセスを開始

(今回の記事は決まったことではない意見の羅列であるため、以下は主要部分の要約としました。原著を直訳したものではありませんので、不足の場合は原著をお読みください。)

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2092

2015年6月11日木曜日−環境団体が規制措置を求めて8年間争った後で、米国環境保護庁(EPA)は航空機が排出する温室効果ガス(GHG)排出物が気候に悪影響を及ぼすので対応が必要であると結論づけた。EPAは米国が全世界の航空機のGHG排出物の29%の排出源で、航空が米国では未だにGHG基準の対象にしていない単一にして最大の移動排出源であると述べている。この問題に取り組むため、ICAOで開発中の国際的CO2排出基準に関してEPAはすでにFAAと共に作業を行っているが、この基準がICAOで承認されれば、米国大気浄化法の下で米国は国内でも採用する必要があるであろう。エアライン産業が自産業の世界的目標に寄与するだろうと主張しているこの基準はしかし、厳格性が十分でないので排出物削減にはほとんど影響が無いのではとNGOsは危惧している。そのなかでEPAは差し迫る60日間のパブリックコメント期間を広報した。
昨日公表された規則制定案の先行公示(ANPR)は、ICAOが設定する国際的なCO2排出基準をEPAが採用するための第一歩であり、その194ページの文書は、民間航空機排出物が気候に及ぼす影響とICAOによる基準設定のプロセスに関する情報を明らかにしている。

2009年にEPAが自動車と小型トラックは気候に悪影響を及ぼすと断定して以降、人為的な気候変動に関わる科学は、航空機エンジンが排出するGHGsが人の健康と幸福を危険にさらす気候変動原因である大気汚染と関連があるというEPA提案の危険性認定根拠を強化し、支援してきた。提案された原因と関連性との見解は、航空機エンジンCO2排出物に関して今後取りまとめられる国際基準と米国基準を整合させるための最初の一歩であるとEPAは述べている。また、今日の動きは炭素汚染の大規模排出源からの排出物を減らすという(オバマ)大統領の気候変動行動計画の目標達成を支援するものである、とEPAは表明している。

訴訟を起こしている米国の環境団体は、航空機による炭素汚染を規制するためのこの重要な第一歩を踏み出したEPAを称賛するが、航空機が気候変動に及ぼす影響の大きさを考えるとEPAが現在検討中の暫定的な取り組みでは目的達成に不十分であり、これら有害排出物を減らすために大気浄化法に関するEPAの権限を使う代わりにICAOの後に続き、今後10年の排出物増大を固定する従来通りの基準を設定することをEPAは提案していると批判する。ICAO理事会で承認されて2016年内に開催予定の総会で承認される前に、NGOsや産業の代表もメンバーとして参加するICAOの航空環境保全委員会(CAEP)の2016年2月の会議で、この国際基準については合意が得られると見込まれているが、この基準の厳格性と適用性については重大な疑問が残っている。90-95%の航空機がすでに適合しているような基準を設定しようとしているので、ICAOの基準では実質的な削減は見込めない。また、ICAOがこの基準を適用するのは20-30年の耐用年数がある現在の航空機ではなく新型機にのみ適用する予定で、段階的導入をさらに先送りすることになると批判している。

クリーン輸送に関する国際協議会(ICCT)の分析では、2020年に適用される基準は2030年に世界で運用される機体の5%しか対象にならず、ANPR文書についての解釈では、基準が目指す現在の方向性には米国は完全には満足しない可能性があるとしている。さらに、効力のある実行手段を持つ基準でICAOが合意しなければ、米国がさらに先を行くことをANPRは暗示しているとの解釈もある。これは、領海の外で運航するよりも米国領海内での航行に厳しい環境要件を適用するという、国際船舶について米国が採用したようなやり方と似たもので決着するかもしれないという期待からである。一方、EPAには大気浄化法の下で米国の航空機を規制する権限があるので、単に米国ではICAO基準を実施するのでなく、現在使用中の航空機も対象にしてICAOで熟考されている基準内容よりさらに厳しい基準をEPAは設定できないことはない。EUがEU域内排出量取引制度(EU ETS)で航空を対象に含めたように、EPAはCO2基準を米国の大気浄化法の要件に合うように設定でき、それについてはICAOのスケジュールに縛られるわけでもないということもICCTは認めている。

航空機エンジンに関する国際排出基準はまずICAOが制定し、続いてICAOのエンジン基準と少なくとも同程度の厳しい米国内基準を制定するためにEPAが規則の作成を開始したとANPRは言及している。しかし、ICAOを設立したシカゴ条約では、ICAO基準よりも厳しい独自の基準をICAO加盟国が採用する可能性を認めている。ICAOで国際基準が検討されているが、EPAが危険性を認定したことにより、それよりも厳しい規制をEPAが提案する可能性があるとの解釈がある。

エアライン産業の業界団体である米国エアライン協会(A4A)は、ICAOが新型機用にCO2証明基準を開発する作業を支援したと語ったが、米国エアラインは米国の経済活動の5%を行ったとしても、温室効果ガス排出量では米国全体のわずか2%にすぎないと指摘している。また、A4AはICAO基準と内容が異なる国内基準について米国が独自に作業をするべきではないと警告している。航空は世界産業であるため、航空機排出物基準については引き続き国際レベルで合意を得ることが肝要であるとの考えのもとで、いかなる規制措置も大気浄化法下でのEPAの権限とICAOでこれから成立する基準との整合性がなければならないと主張している。米国の航空産業の燃料効率は1978年以降120%向上して、CO2排出を38億トン抑えており、昨年米国エアラインは2000年と比較して20%増の旅客と貨物を輸送したがCO2の排出量は8%減少したことを主張している。

航空機及びエンジンの製造業者を代表する航空宇宙工業協会(AIA)は、EPAによる航空機のGHG排出物評価の動きは航空宇宙産業にとっては驚きではなく、米国最高裁がGHG排出物は大気浄化法下での『大気汚染物質』であると定めた2007年以降、EPAは事業別にGHG排出物分析を行ってきたことによると解釈している。航空宇宙関連製造業者は航空部門のその他業者とともに、排出物削減と燃料効率向上のために知恵を絞ってきており、他の環境規制によっても厳しく規制され、航空機の安全性と耐空性の厳格な要件にも適合しなければならないと考えている。また、航空は経済成長と繁栄を推進する重要な世界産業であり、EPAがGHG排出物に対していかなる規制措置をしようと、大気浄化法とICAO基準のもとで考えられるEPA権限はそれに見合うものでなければならないとして、NPRが米国連邦広報に掲載されてから開始されるパブリックコメントの期間中の解答提出期限前に、AIAはEPAの提案を再検討し、会員企業と協議すると述べている。

なお、EPAの提案した危険性認定の対象は、最大離陸重量(MTOM)が5,700kgsを超えるジェット機と(これには民間機と大型のビジネスジェット機が含まれる)、MTOMが8,618kgsを超えるターボプロップ機であるとしている。

リンク:
米国環境保護庁(EPA)−航空

海外情報紹介 エアバスが、エアライン顧客の環境目標達成を支援するためのエコパートナーシッププログラムに乗り出す

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2085

2015年5月27日水曜日−エアバス社はサステナブルな航空従事プログラムを立ち上げ、顧客別のサービスおよびエアラインの乗客に対して環境影響低減を支援するための専門知識を提供する。このプログラムでは航空機技術、航空機運航、航空交通管理(ATM)、再生可能な航空用燃料を含め、エアライン毎に特定の目的に焦点を絞る。2016 年からこのプログラムが世界規模で他の運航業者にも拡大される前に、試験的なプロジェクトが現在3つのエアライン(キャセイ・パシフィック、英国航空、KLM)で作成されている。各社ともエアバスの最新型機であるA350 XWB の最初の引き渡しを待っているという状況下で、この3 エアラインはすでに、航空機騒音削減、耐用年数でのリサイクル利用、サステナブルなバイオ燃料開発に関しての共同プロジェクトを行っている。
エアバスの環境部門の広報部長であるダン・カーネリー氏は先週のツールーズにおける環境関連ブリーフィングで、最新技術を搭載したエアバス航空機を含め、2回の「完璧なフライト」が2011年と2012年に行われ、これらのフライトはベストの運航操作、最適化されたATMおよびサステナブルな航空燃料を活用して、最大で50%までのCO2削減の可能性を実証したとジャーナリストに対して語った。

「今や我々は、『完璧なフライト』と単なる実証を超えて、次の段階に進みたい。」と彼は語った。「この革新的なプログラムはサステナブルな航空という航空業界の目標に向かって、顧客にエアバスの専門知識やエアライン毎に合わせた製品とサービスを提供します。原則として、このプログラムは長期にわたる顧客との協力関係の枠組みであり、その目的は、エアバスの製品とサービスとで日々の環境性能を実証することです。」

航空機メーカー、エアライン、空港、航空航法業務プロバイダー、規制機関、環境NGOsを含む関連産業の協力が、世界の航空の自主的な排出物削減目標の達成においての鍵となったと彼は語った。

プレゼンテーションで、キャセイ・パシフィックの環境担当責任者であるマーク・ワトソン博士は戦略的パートナーシップがエアラインにとって基本的に重要であると語った。「簡単に言えば、我々が直面する環境課題の大きさと我々の気候変動への寄与の大きさを考えると、我々が単独で取り組むことは不可能で、パートナーシップのもとで取り組まなければならない。」と彼は語った。「技術が鍵であり、明らかに価値観を共有するエアバスのようなパートナーと協調して私たちのビジネスを合わせていくことが重要である。」

このことを理解するための実例としては航空機のライフサイクルでの取り組みがあるとワトソン氏は語った。「我々は製品の仕様やサプライチェーンの確立および運用効率をみながら、最も重要なことである耐用年数に達した機体をどうしたらよいのかを考える。Tarbesにあるエアバスの再生利用施設は本当に最先端の施設で、我々は社員と顧客に我が社のA340のうちの1機がどのように解体され、どのような複雑な処理工程があるのかをビデオで見せる予定である。」

決められたプログラムを通じて、このエアラインは、2016年の早い時期に引き渡しが見込まれる、注文中の48機のうちでの最初の1機のA350-900XWB型機が、香港国際空港においての騒音と排出物の問題をどの程度改善するか確かめるための共同作業を現在エアバスと行っている。これらの作業には、フィージビリティスタディ、データモニタリング、シミュレーションおよび試験が含まれるとワトソン氏は語った。

航空が経済成長や接続性に欠かせないとはいえ、その環境影響への問題はもはや欧州内に限定されないと彼は語った。「アジアにおいて空港拡大に対する意識が著しく変化してきており、我々は香港国際空港における第3滑走路の必要性と航空が果たす役割について先駆的な議論を行っている。ここ欧州で、特にヒースローで見られる多くの問題は現在、香港の状況として起こりつつある。3本の滑走路を運用することに関しての承認は得られたものの、実際の運用にはかなりの条件が付き、我が社の運航が許可されるための課題は増えている。雇用や繁栄など航空がもたらす幅広い恩恵のいくつかはしばしば、環境影響に関することで無いことになってしまう。」

「このすべてが、我が社の発展は持続可能な内容であることを確かに証明し、将来に責任ある成長の必要性を証明するようにという、フラッグキャリア(キャセイパシフィック)への相当な圧力になっている。我々の顧客、投資家、そして従業員はますます我が社の環境影響を気にかけるようになり、それに取り組むために我々が何をしているのかを知りたがっている。我が社には社会的及び環境的に責任ある企業であれという社是があり、業務のあらゆる場面で環境への配慮を確かなものにしたいと我々は考えている。」

エアライン産業による環境影響に関する取り組みが、成長が許されるための鍵であったと英国航空(BA)の環境担当責任者のジョナサン・カウンセル氏は同意し、協力企業と共同作業を行うことが環境問題に対処するには最も効果的な方法であると彼は主張した。

多くの焦点は炭素排出量を減らすことであったが、ここ数年は、周辺に人口が多い地域を抱える世界の主要空港において、空港拡張に対する反応としては、環境保全の課題である騒音がとりざたされるようになってきたと彼は語った。BAは利用する空港で騒音に悩まされる住民数を最小限にすることに専心してきたが、2013年との比較で2018年までには1便あたりの騒音を15%削減することを目標としている。

「この2年前、どのような協力がこの問題を進展させるかをみてきたが、エアバス社、ヒースロー空港、英国航空交通管理機関のNATSと『より静かな飛行』に関する協力関係を確立した。」と彼は語った。

このプロジェクトでは英国航空のA380型機のための騒音軽減出発方法を作り、この独特の方法では運航便の出発段階において一時的に推力を減らすことができる。これは特に最も人口密集度の高い地域のような、最も騒音に敏感な場所の上空でエンジン騒音を大幅に減らすことができるとカウンセル氏は主張している。最大5デシベルの騒音削減が達成可能なことが4回の飛行実験で確かめられたと彼は報告した。

これらの協力企業はまた、進入の角度を3度でなく3.2度とややきつくした降下も含め(あまりにも急勾配にすると、早めに着陸体勢をとる必要があるため、さらなる騒音を生む)、早朝の到着方法についての作業を行っており、今月試験が開始された。来年早々に第1段階の4度の進入からスムースに第2段階の3.2度の進入へと航空機を移行する2段階の進入に関する試験が開始される。

「急勾配の進入を早めに開始するとまだ高度が高いので、約10マイル離れたところで従来より1,000フィート高度が高くなり、その結果として騒音の5db削減になる。」と彼は語った。

サステナブルな代替燃料は、共同作業により航空部門の環境影響を減らす大きな機会を提供することができる別の領域であるとカウンセル氏は付け加えた。

エアバス社はすでにこのプログラム設立時の他の顧客であるKLMともサステナブルな燃料のための市場開発の共同作業を開始しており、2014年にA330-200でこのエアラインはアムステルダムからアルバとボネール島までの一連のバイオ燃料飛行を開始している。

「飛行中のエンジン性能を調査するプロジェクトの全てで、我々はエアバス社とともに熱心に作業をした。」とKLMの技術革新マネージャーであるEileen van den Tweel女史は報告した。「エアバス関与のプログラムはこの提携における理に適った次のステップと位置づけられ、我々はバイオ燃料以外の領域にまで我々の関係を拡大することができる。」

リンク:

エアバス社−環境効率
キャセイ・パシフィック
英国航空−責任ある成長
KLM−持続可能性

ヒースロー空港最新騒音番付表に見る、各エアラインの着実な進展に見られる成長の余地

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1936
2014年第1四半期の騒音番付表:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Media-library/Fly-Quiet-table-Q1-2014-966.aspx

 2014年6月18日水曜日-ロンドンヒースロー空港を使用するエアラインの上位50位までの「静穏飛行」騒音番付表の第3回の四半期結果で騒音の改善が全体的に着実に進んでいることがわかるが、着陸機による連続降下進入(CDA)運航の数を増やせばさらに改善が見られるだろうとヒースロー空港は述べている。上位3位のエアライン-英国航空の短距離便、エアリンガスとバージンアトランティックのリトルレッド-はこれまで公表された3回の表においては変化がないが、バージンアトランティックの長距離便とキャセイパシフィックについては改善が見られたとヒースロー空港は称賛している。空港によればICAOの最も厳しいチャプター4の騒音基準で運航されている航空機の割合が2012年の97.6%から2013年は98.1%に増加した。ヒースロー空港はまた、最新の年間持続可能性報告を公表し、騒音の実態、地域の大気質と炭素排出について評価している。

海外情報紹介 欧州裁判所がスイス航空について審議を行うことになった折に、中国とインドのエアラインはEU ETSを順守することになる。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2084

2015年5月19日火曜日−強制的に欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)の対象にされたことで長い間EUと争っていた中国とインドのエアラインは、欧州経済地域(EEA)内で運航したフライトの2012年に加えて2013年と2014年の排出量についてもついに法律要件で完結した。この欧州の制度が本来の対象範囲から大陸間便を除外するという変更を行った後も、これらのエアラインは自国政府からこの欧州制度には対応しないようにという命令を受けていた。中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空とインドのジェット・エアウェイズは運航者所有のアカウント(排出量数値簿)を開設し、現在EUの登録簿には報告された排出量と放棄された排出枠の3年分が示されている。しかし、エア・インディアはいまだに順守の方向に向かっておらず、自国の所轄官庁から指示されているアエロフロート(ロシア)とサウジアラビア航空も同様に順守していない。その一方で、スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)は、2012年にスイスとEEA国家間で運航した自社便をEU ETSの対象に含めることについて、除外扱いと補償をEUの最高裁判所(欧州裁判所European Court of Justice)にて要求することが認められた。
航空関連EU ETSの国際的対立では、EU内空港で離着陸する全航空機をEU ETSの対象にするというEUの計画に反対して多くの主要国家(中国、インド、ロシア、USA他)が2011年と2012年に「不本意同盟」として団結することとなった(記事を参照のこと)。そのような反対に直面したことと、市場に基づく国際的対策に関するICAOでの調整を進展させるための支援として、EUが譲歩して「時計を止める」ために法律の修正を行い、航空がEU ETSの対象となった最初の年である2012年は対象範囲を狭めてEEA内のフライトのみを対象とすることになった。2014年の早い時期に成立した新しい法律ではさらにこの対象範囲を狭め、適用期間も2013年から2016年までと延長した。

対象範囲がEEA内のフライトに狭められてから、米国はEU ETSへの反対を取り下げて、ほとんどの米国のエアラインと貨物航空、ビジネスジェット機運航業者はこれまでにEU ETSを順守してきた。しかし、インド、中国、ロシアのエアラインはEU法の下で2013年4月30日を実行期限として義務づけられていたにもかかわらず、2012年に運航した欧州空港間路線のフライトによる排出量を現在まで報告しておらず、必要な量の排出枠の放棄も行っていない。これらのエアラインを管理する義務を負うEU加盟国の担当機関によって、順守するよう説得する努力が水面下で行われたが、現在までのところ進展は無い。加盟国はEU ETSを順守しない運航業者のリストを公表する必要があるが、政治的対立を避けるため、これら非順守国家のエアラインの名称はこれまでのところ公式に公表していない。

改正されたEU法の下で、2013年と2014年は特別なケースとみなされ、年1回報告する代わりに、運航業者には今年3月終わりまでにこの2年分の排出量を報告し、必要な量の排出枠を先月終わりまでに放棄するように要求された。

個々の運航業者アカウントの検証済みの全排出量と放棄された排出枠を記録し、その正当性を裏付ける欧州連合の取引記録(EUTL)によれば、中国国際航空の子会社を含めた中国のエアライン3社とジェット・エアウェイズは合計で63,000を超える排出枠(CO2で63,000トンに相当する)を3社の中で3年間についてこれまでに放棄した。この期間中に中国国際航空はアテネとミュンヘン間の定期旅客便を運航し、中国南方航空はアムステルダム〜ウィーン間、中国東方航空はフランクフルト〜ハンブルグ間で旅客定期便を運航した。EUTLはこれらエアライン4社の排出量がそれぞれの担当のEU管理局によって個別に検証され承認されたかどうかについては明確にしていない。

最近ジェット・エアウェイズは、一方的にEU ETSの対象にするのはICAO総会決議で得られた世界的な合意と主旨が一致しないことから、インド政府はEU ETS順守を禁じていたと主張する内容で英国に対する法的申し立てをしたが、敗訴した(記事を参照のこと)。このエアラインはGreenAir誌に対し、この裁判についてはコメントしたくないと語り、裁定に従ってEU ETSを順守する許可をインド政府から得たのかどうかも今のところ不明である。

これまでのところ、政府所有のフラッグキャリアーであるエア・インディアやアエロフロートによる業者所有のアカウントは開設されていないが、他の小規模なロシアとインドの航空機運航業者はEU ETSの規定に従っている。自国の政府が国際的EU ETS反対同盟の主要メンバーであるフラッグキャリアーとしてのサウジアラビア航空に対しては、140万ユーロ(160万ドル)の罰金がフランドル地方の担当機関によって科されたと考えられており、単一に科せられた罰金の中で最大のものの1つであるとフランドル地方の担当機関は報告している。

翌年4月末日の期限までに制度を順守しない場合には、排出したCO2の1トンあたり100ユーロの罰金の義務づけをEU ETS法は強く要求しており、ドイツ(記事を参照のこと)やイタリアなどのEU加盟国数カ国は、2012年の排出量についてEU ETSを順守しなかった航空機運航業者のリストを最近公表した。ドイツ環境庁(DEHSt)に報告する中国国際航空とアエロフロートはまだ最終的な排出量とはみなされなかったのでリストされていない。

Carbon Pulse誌の報告には、2012年の排出量についてエア・インディアを含めた海外の航空機運航業者6社に対して、EU ETSを順守しなかったため、英国当局は総額113,000ユーロ(128,000ドル)の罰金を科し、さらに罰金が科される可能性があると述べられている。英国法は、毎年6月末日までに非順守の運航業者の各年毎の完全なリストを公表するように求めている。

これまでにEU ETSを順守していなかった欧州以外の他のエアラインとして、エチオピア航空が2012年のEEA内の運航によりCO2排出量がほぼ20,000トンにまでなり、イタリア当局から罰金を科されたと考えられている(記事を参照のこと)。しかし、現在EUTLには2012-2014年の分としてアフリカの航空会社が62,655の排出枠を放棄したことが示されており、これは中国の航空会社4社とインドの航空会社であるジェット・エアウェイズを合わせたものとほぼ等しいほど多量である。

航空危機管理会社のAvocetは、EU ETS順守の経緯を追跡しているが、そのCEOであるバリー・モス氏は語った。「以前はEU ETSに違反していた多くの航空会社が現在はEU ETSを順守しているのを知って嬉しい。まだ明らかになっていないのは交渉の余地がない罰金が規制当局によって強制執行され、これらのエアラインが順守すべき2012年の排出分について罰金を払うかどうかである。もしEUがEU ETSを適用する運航業者に対して差別無く適用されることを望むなら、各加盟国は各国の法律に書き入れ、EU指令として行動しなければならない。」

その間に、ロンドンの最高裁判所で述べられたSWISSの訴えでは、EU加盟国でもなくEEA国家でもないスイスに離着陸するEU/EEA便に対し、2012年については「時計を止める」としたEU ETS順守免除の特例扱いがなされず、不当な差別があるとする欧州裁判所(ECJ)への付託要請が認められた。EU ETS制度の下で、SWISSは英国が担当する。

欧州委員会が一時的な執行停止を考えた時には、欧州委員会はEU ETSをスイス国内航空と同等に関連づけようとスイス政府と交渉中であり、改正したEU/EEA内のみを対象とする規制範囲にSWISS便を含めることに従う義務があるとスイス当局が考える理由が欧州委員会にはあった。Carbon Pulse誌によると、2010年に開始されたこの交渉の速度が遅かったが、航空が規制対象に含まれることが見込まれる今年には合意が得られると予想している。

「時計を止める」規制対象範囲が2013-2016年の期間についてもさらに見直しが行われた時に、スイスを発着する便は一時的に規制対象から外されたが、SWISSはこれらのフライトがEUの炭素制度の2012年の取引分からも除外されていないのは不公平だと主張している。このエアラインのEUTL登録内容からみると、2012年にEU/EEA国家を発着する自社便について総計123万トン少々の炭素排出量があるが、ほぼ600,000の無料排出枠を配分として受け取り、残り約630,000の排出枠の購入が残っている。1トンあたり約6ユーロの取引価格と仮定し、ある割合の排出物はEU/EEA内の便に由来するだろうという事実を考慮に入れると、いずれにせよ改正制度の下での責任は負うことになるので、必要な排出枠の購入費用は350万ユーロ(400万ドル)を超えていた可能性があり、それに関してこのエアラインは申し立ての中で英国からの償還を求めている。

これまでの裁判の判決では、スイスのような非EU加盟国に対してEUが異なる扱いをすることが同等扱いの原則により認められないことになっており、たとえこの原則が適用されたとしても、この場合には違反ではなかった。しかし、Vos判事が裁定する最高裁判所訴訟規則では、その原則の範囲に十分な疑いが存在すると判明し、今回のケースではその原則の適用について、EU指令が無効かどうかを裁定する権限を有する唯一の法廷であるECJへ付託することが正当化された。

「欧州委員会とEU議会は、スイスを除外扱いすることを正当化するための十分な努力をしていないという議論には説得力があると私は思う。」と判事は判決で語った。「まず、スイスが他の多くの第三国と比べ、政治的、経済的、地理的に全く異なる立場にあることは私も認める。しかしその特殊な立場により特別扱いは自動的に正当化されるということではない。」

SWISSの広報担当者はGreenAir誌に対してECJで引き続きこの件を追求することは認めたが、その詳細についてさらにコメントすることは断った。

もしECJがSWISSの訴えを認める判決を下した場合には、2012年にスイスを発着してこれらのフライトに関する排出量を報告し、それに従って対応する支払いを行い排出枠を放棄した他のすべてのエアラインに影響を及ぼすことになる。

欧州委員会は昨日、EU以外に本拠を持ち、EEA内でフライトを運航した100社を超える運航業者を含め、2013-2014年の期間は、EU ETSの対象になる航空排出物の99%でEU ETSが順守されたとの順守のレベルを報告した。EEA内にある空港間の航空機運航によるCO2排出量の検証済みの数字は、2014年には5,490万トンにのぼり、2013年の5,340万トンから2.8%増加したと述べている。

中国国際航空はアテネ−ミュンヘン間のEU内定期便を運航してきた。

海外情報紹介 排出目標達成に見合った市場に基づく対策が必要と航空産業とNGOsがICAO加盟国に対して強く主張

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2081

2015年5月1日金曜日−ICAOが先月、5つの世界地域で開催した一連の世界航空対話(GLADs)には、国際航空のCO2排出量削減に取り組むための市場に基づく世界規模の対策(GMBM)作成について、加盟国と話し合うという目的があった。しかし、会議において航空産業と環境グループからの力強い表明があり、双方とも航空部門の気候影響増大を軽減するための国際制度の導入を強く主張した。「これは航空産業にとって極めて重要な問題で、MBMは我々の全体戦略に欠かせない。」IATAの上級副理事長のポール・スティール氏は、マドリードのGLAD参加者に語った。MBMsについての一般的な理解が欠けているにもかかわらず、GLADsは多くの進展があり、とても建設的で有益なプロセスだった、と彼は語った。 航空産業には2つの理由から、GMBMを通じた規制を望んでいるとスティール氏は語った。「1つには、ICAOの目標と非常に近い我々が設定した気候目標達成の支援となること。また、航空産業は国際基準のための作業をしているので、結局は環境にとっても航空部門にとって役に立たない国別の取り組みの寄せ集めよりも、我々には1つの国際対策が必要だからである。」

GLADsの作業によって、この問題に関して航空産業とICAOがよりよいコミュニケーションをとる必要性をもたらしたと彼は語った。「その場においてICAOへの情報提供を支援できたことに大変満足している。」

今はGLADsが終了し、GMBMの選択肢を絞り込む時であると彼は語り、以下を付け加えた。「我々航空産業の人間はすべてのことに答を持っているわけではないが、このGMBM作成プロセスがどのように進展していくかに関心があり、我々は意味のある結果が出ることを望んでいて、これからの航空のサステナブルな成長を推進するためには政府と一緒に作業を行う。」

ICAOに付属する環境NGOsの統合グループであり、サステナブルな航空のための国際的連携組織(ICSA)のティム・ジョンソン氏は、排出物削減に必要な目標が航空産業と一致していると語った。「MBM無しでは、ICAOで設定した目標の達成はかなり難しいだろう。」と彼は語り、そのような方策には環境の健全性がなければならず、そうでないと広範囲の気候変動問題に関心のある外部の関係者の信用を失うことになると彼は付け加えた。MBMを単純でかつ実施が難しく支援を欠く方法を用いて運用して費用対効果のあるものに保つためには注意深くバランスをとることが必要であると彼は語った。

彼はまた、GMBMのプロセスにおいては、よりよいコミュニケーションをとる必要性があると述べた。「加盟国とこの問題について話し合い、MBMがなぜそんなに重要なのか、2016年のICAOでの結論に向けて我々が作業するにあたりMBMsがどのようにすれば目的に合うのかについて加盟国と話し合うことは、航空産業も一緒になって果たすべき役割だと我々は理解している。」と彼は語った。

発表の初めの方で、航空産業の航空輸送活動グループ(ATAG)長のマイケル・ギル氏は、国際的方策は以下の4つの原則に従ったものであるべきであると語った。
1. 一般歳入の増加のために用いたり、航空旅行需要を下げるものであってはならない。
2. 環境の健全性を最大限に生かしたもので、かつ費用対効果のあるものでなければならない。
3. 競争の歪みは最小限にし、かつ
4. 実施と管理が容易であること。

実施が最も早く、管理が最も容易で、最も費用対効果があり、加えて旅客の自主的なカーボンオフセット制度を通じてすでにエアラインにはかなりの経験があるから、航空産業にとって好ましいのは強制的なカーボン・オフセットをするMBMであると彼は参加者に語った。

ギル氏は航空産業のGMBM作業プロセスへの協力によって成功に値する成果が出ることを確信していると何度も繰り返し語った。この課題を扱うためにICAOに設置された様々なグループでかなりの進展が見られていると彼は語った。「検討内容のレベルと加盟国の参加についてたいへん関心をもっている。」と彼は語った。「GLADsの進行を通じて過去3週間、我々はこのことを再認識した。」

マドリードの会議後にGreenAir誌に対して彼が語ったのは、円卓会議式の討議グループ制の形式で、非公式に考えや情報を交換する機会が与えられたことが、GLADsが成功した主な要因であったと彼は語った。「ICAOはこれについては褒められるであろう。ICAOとの係わりにおいて、過去に私はこんな経験をしたことは本当になかった。」と彼は語った。「5回の会議すべてから沢山の前向きなメッセージが出てきたのは、事務局がこの方法を選んだ結果である。」

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海外情報紹介 航空の二酸化炭素排出を扱う市場に基づく対策に関する世界規模での加盟国との対話をICAOが終了

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2080

2015年5月1日金曜日−世界の5地域で4月に開催された、ICAO主催による一連のICAO気候変動セミナーは今週マドリードで終了した。国際航空対話(GLADs)会議の目的は、国際航空の炭素排出量削減のために取り組んでいる、軽減対策についての情報をICAO加盟国に提供することであったが、特に2020年以降の航空部門の総排出量の上限設定のため、提案する市場に基づく対策を加盟国に説明して話し合うことになっていた。正式な結論は出ていないが、現在ICAOで対策の作成に携わっている加盟国にとってはカーボンオフセット制度が好ましい選択肢と考えられており、航空産業や市民社会の代表を含め、GLADsの参加者はこの制度に関する考えや提案の提出を求められた。ICAOの試算では、カーボンニュートラルな成長目標達成には、2025年まではエアライン部門で年間約28億ドルの費用が必要となる可能性があり、2035年までではその金額が119億ドルにまで上がる可能性がある。
人の活動に由来する世界のCO2排出物の約2%が航空に由来し、ICAOは航空による排出物のうちの国際航空部分についてのみ取り組むことが義務づけられており、国際航空の割合は航空全体の約65%である。ICAOの統計によれば、1億4,200万トンの燃料が消費された結果、2010年の国際航空によるCO2排出量は4億4,800万トンに達した。この国連の専門機関は、2040年までに燃料消費量がこの数字の2.8から3.9倍に増加し、交通量(RTKs(訳注:Revenue Ton Kilometers有償トンキロ)で計算)は約4.2倍に増加すると予測している。そのため、国際航空部門のCO2排出量は、「かなりの量であり、増大し続けている」とICAOは警告し、1. 加盟国の行動計画を通じての排出量の把握、低減策の有効性の確認および実施、2. 加盟国への支援、最後には3. 削減策実施のための国際的活動という3本柱からのアプローチによりICAOは問題解決にあたっている。

ICAO加盟国は航空部門の年間2%の燃料効率改善目標に合意してきたが、世界の航空交通は5%近い成長率で増大を続けており、「排出量と排出目標との隔たり」を埋めてカーボンニュートラルな成長目標(これはこれまでのところICAOの努力目標であるが)を達成するため、サステナブルな代替燃料の使用を含めた他の一連の技術的な対策や運航による対策とともに、市場に基づく世界規模の対策(GMBM)が必要とされている。航空機に関する新技術が将来導入されることにより得られる総効率の向上は、0.57%から1.5%(年換算ベース)の間くらいになりそうだとICAOは見積もっている。言い換えると、2035年に購入される航空機は2010年の新型機よりも13%から31%程度効率がよくなっているという予測である。

ICAOの予測では2020年には国際航空の使用する燃料全体の3%がサステナブルな代替原料由来のものになるだろうが、長期の生産予測にはいまだにかなりの不確定性があるとしている。ICAOの航空環境保護委員会(CAEP)が設立した代替燃料タスクフォースは将来の生産性とライフサイクルでの利点をさらに評価しているところである。CAEPが他に検討しているのは代替燃料を使用する飛行からの排出量を算出する場合、どこまでGMBMで配慮すべきかということである。

課税や排出物取引のような他のMBMの形態も検討されてきたが、大幅に値を下げられるカーボンオフセットが、より単純で、実質的で、費用がかからず速やかに導入できる選択肢と考えられている。1つの部門(この場合は航空部門)からの排出物を発電や農業のような他の部門での排出削減によるオフセットで埋め合わせる。この制度の完全性を守るため、排出量削減は対象になるエアラインの排出量の厳格な検証と証明、および購入される排出物量によって確実なものにしなければならない。

2013年遅くに開催された前回ICAO総会で採択された決議(A38-18)に従い、GMBM作成を指導するため、ICAO理事会は理事会メンバーの17加盟国とIATAの代表で構成される環境アドバイザリーグループ(EAG)を設立した。排出単位の適格性、監視・報告・検証(MRV)の諸要件、MBMの影響評価に関する作業を行っているサブグループとともに、ICAO事務局およびもう一つのCAEPタスクフォースであるGMTF(Global MBM Technical Task Force)が技術支援を行っている。GMBMの枠組みは2016年秋の39回総会での決定のため、2016年の半ばまでに作成を完了して、理事会による合意を得ることを期待している。

GMBMの作成を目指して、ICAO事務局は昨年EAGのために、提案の概略と制度のために考えうる基礎となる主要素を作りだし、それ以降さらに改良されてStrawman(たたき台)と呼んでいる。これらにはたとえば成長の速い航空機運航事業者や新規参入事業者、事業者毎の燃料効率がすでに航空産業の平均を十分に上回っている「早期達成」事業者に配慮するための調整を組み込んでいる。

ICAOは現在、「どの加盟国も遅れさせない。」というスローガンのもとで、加盟国が世界基準に適合するよう支援するため、必要な援助と必要知識の積み上げに一層の重点を置いている。この目的に沿って、GLADsはICAOがMBMの背景にある原則について加盟国に情報提供し、ICAOの3年周期の中間の時点において検討に値する情報と意見交換を行うための1つの機会となった。全5回のGLADsに参加したICAO事務局メンバーの報告では、この問題について様々な理解のされ方があったが、GMBMの企画において加盟国が知りたかった事項についてかなりの共通性が見られたとのことだった。

2日間のGLADsの半分の時間を「対話」セッションに費やし、参加者は少人数の討議のグループに分かれて国際航空のGMBMで最も重要な検討事項に係わる問題に取り組んだ。加盟国、産業、NGOsからの代表は見識や発想を発表するよう促され、その結果は全体会議に反映された。

GreenAir誌が参加した欧州・北大西洋地域のGLADでは多くの主要問題についてかなり高い割合で共通意見があった。:

 ・MBMは分かりやすく管理が簡単で費用対効果のあるべきもの。
 ・環境に適応したものでMRVの頑健性がなければならない。
 ・競争的ゆがみを避け、差別のないものとする。
 ・航空の成長を妨げるべきではない。
 ・収益の創出でなく、排出物削減を推進すべきで、排出物の二重集計を
  避ける。
 ・検証可能な広範囲の炭素単位が利用しやすく提供されること。
 ・開かれた対話とフィードバックにより、GMBM作成プロセスがすべて
  の加盟国と利害関係者との間でより透明であること。
 ・必要であれば、必要な知識の積み上げによる技術的援助を加盟国に提
  供する。
 ・GMBM実施には強い法体系の裏付けが必要。加えて、
 ・CBDR(共通だが差別化された義務)/SCRC(特殊状況と個々の能力)原
  則の十分な理解と根拠に基づく解決を考えることが必要。

GLADsのフィードバックは6月のICAO理事会で代表者に説明する前に、今月の次回EAG会議で討議される予定である。2回目のGLADsは来年の3月か4月の開催が見込まれ、その後GMBMに関しての特別な高官会議が行われる予定である。ICAOは今年遅くに開催されるパリでのUNFCCC COP21サミットでICAOの気候変動対策関連活動の進展を説明することになっている。ICAOはまた、9月に航空排出物削減に関してE-GAPと呼ぶ2日間のセミナーを開催するが、そこには炭素市場に関するセッションもある。

CAEPによる分析では、炭素価格に関するIEA予測を用いると炭素予想価格が6ドルから20ドルの間であるとすると、航空産業による炭素オフセット費用は2025年では19億ドルから62億ドルの間(ミッドレンジが28億ドル)であるとみている。この数字は、炭素価格が12ドルから40ドルの間とすると、2035年までには72億ドルから239億ドル(ミッドレンジ119億ドル)の間まで上昇することになる。ミッドレンジの炭素価格なら、これらの費用は2025年の年間航空輸送収益見積額の0.3%となり、2035年には収益の0.9%まで上昇することになる。(下の表を参照)

マドリードの最後のGLAD開催までに、加盟国約100カ国から350人を超える参加者が5回のICAO関連会議(GLAD会議)に出席した。「参加者が多かったことがとても励みになったし、ものすごく得るものの多いセミナーだった。」と航空輸送局の環境部門次長のJane Hupe女史はGreenAir誌に語った。「対話セッションで私達が聞いた質問への答えは、5回のGLADsを通じて多くの似たようなものがあった。」

GLADsの開催前は、多くの発展途上国がMBMの目的をよく認識しておらず、誤解している国もあったと彼女は述べた。しかし、排出物削減達成のための様々な方策の一部として、「全体構想」の中にどのようにMBMが組み込まれるのかを加盟国が今では理解し、UNFCCC CDMの炭素クレジットを用いて発展途上国でのプロジェクトを支援することは多くの加盟国にとって重要な考え方となったと彼女は付け加えた。

「全ての人がMBMの実現を熱望しているわけではないが、国際航空が排出量ギャップを埋めてICAOの環境目標を達成する助けとなる1つの方策がMBMであるという理解はされている。同様に、加盟国がMBMから何を期待しているか我々は良く理解することができ、加盟国の要求にいかにICAOが対応できるかについては、これから配慮されるだろう。」

GLADsからの発表、対話セッションで出された質問、関連資料はICAO GLADsウェブサイトからダウンロード可能である。

ICAO CAEPが見積もるカーボンニュートラルな成長目標達成のためのオフセット購入費用:

航空産業の収益に対するオフセット購入費用のICAO CAEPによる見積もり ※GLADsで上映された「国際航空のためのサステナブルな将来への道のり」というICAOのビデオが原記事から見られます。

ヒースロー空港はエアラインを騒音のうるささでランク付けする

BBC.CO.UKの5月30日付け記事に、英国ヒースロー空港のこれからの騒音対策について紹介記事が掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-22711211
ヒースロー空港のこれからの騒音対策に関する報道発表:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Press-releases/Heathrow-publishes-commitments-on-noise-reduction-measures-57f.aspx
ヒースロー空港静穏化計画に関する資料のダウンロードーページ:
http://www.heathrowairport.com/noise/what-we-do-about-it/a-quieter-heathrow

海外情報紹介 米国FAAは航空機騒音影響の測定方法を再評価(FAAの報道発表より)

原記事:
http://www.faa.gov/news/press_releases/news_story.cfm?newsId=18774

2015年5月7日
連絡先:ローラ・ブラウン
電話: (202) 267-3883
Eメール:laura.j.brown@faa.gov

ワシントン − 米国運輸省・連邦航空局(FAA)はまもなく航空機騒音暴露とそれが空港周辺地域社会へ及ぼす影響の間の関係についての科学的証拠を更新するため、複数年に渡る取り組みにおける次の段階の作業に着手するだろう。
「航空機騒音に関する公衆の不安にFAAは敏感である。この調査を迅速に進めることに意味があると我々は理解しているので、できるだけこの作業を速やかに終わらせる予定である。」とFAA局長のMichael Huerta氏は語った。「航空騒音に関する地域社会の不安に真剣に応える責任がFAAにはある。我々の作業は、大変重要な問題に関する全体像と視点を公衆に提供する機会を与えるためのものだ。」

これからの2〜3ヶ月間に調査を開始し、FAAは米国の複数空港を選んで周辺の住民と郵便と電話で連絡を取り、1年間に渡って航空騒音に関する一般大衆の考え方を調査する。これは米国内でかつて実施された調査の中で単一の騒音調査としては最も包括的な調査になり、国内の20空港周辺の地域社会で聞き取り調査が行われる予定である。調査の科学的完全性を維持するため、どの地域社会で聞き取り調査を行う予定かはFAAは公表できない。

FAAは米国行政予算管理局から先週、調査実施のための承認を得て、2016年終わりまでにはデータ収集を終えたいと考えている。FAAはその後、騒音暴露の測定方法を更新するかどうか決めるため、結果の分析を行うだろう。

この調査の枠組みは全米科学アカデミーズの運輸研究委員会(TRB)が運営する、空港共同研究プログラム(ACRP)を通じて開発された。この調査の枠組みを使って、望ましい土地利用を検討し、航空機騒音によって日常生活が阻害される地域に連邦が費用を出すことの正当性を裏付け、FAAの現在の取り組み方を変えるかどうか決定するだろう。

航空機騒音は現在、24時間の地域社会騒音をすべて平均するという尺度を使って測定されており、夜間と早朝時間帯の騒音に10倍のペナルティを課している。昼夜平均騒音レベル(DNL)で知られるこの測定の科学的根拠は、1970年代の輸送騒音の社会調査の結果に基づいている。

1981年にFAAは防音工事や他の騒音軽減対策に連邦政府の補助金が適用できる指針としてDNL 65デシベルを定めた。このやり方は1980年代末期と1990年代初期に行われた調査によって再度確認された。

それからの数年間、航空機メーカーは飛躍的に音が静かな航空機を生み出す技術を実現した。しかし、航空産業の成長が続くのに伴い、米国の多くの大規模空港周辺の住民が航空機騒音に関して不安を表してきた。地域社会や国中の多くの都市の指導者らを含めた利害関係者との間で引き続き行っている対話の一環として、FAAは騒音測定のためのFAAの取り組みの見直しをはかっているところである。

変更するのが正しいという裏付けがとれれば、省庁間の調整や公開レビューとパブリックコメントは必要になるが、改訂政策、関連ガイダンスや関連規則をFAAは提案することになるだろう。
訳注:なお、この調査についてはgreenaironline.comの以下のURLにも関連記事が掲載されています。
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2086

この記事では昨年ACRPの後援でTRBが開催したオンラインセミナー(聴力、睡眠、健康、うるささや学習環境に航空騒音が及ぼす潜在的影響に関するもの)について触れています。このウェブセミナーの詳細は以下です。
http://www.trb.org/main/blurbs/170120.aspx