ジョン・F・ケネディ国際空港 / JFK International Airport

1.基本情報

● IATA/ICAO CODE JFK/KJFK
● 国・地域 アメリカ合衆国
● 所在地 ニューヨーク市
● 所有者 ニューヨーク市
● 運営者 ニューヨーク・ニュージャージー空港公社
      1947 年 6 月 1 日以降、ニューヨーク市からリースを受けて
      ニューヨーク・ニュージャージー空港公社(The Port Authority of NY/NJ)が運営を行っている
      http://www.panynj.gov/airports/jfk.html
      空港図 https://skyvector.com/?id=KJFK&zoom=2

 ジョン・F・ケネディ国際空港は、マンハッタン市クイーンズ区南東部。マンハッタン中心部から南東方向にある。都心から高速道路上の距離で15 マイル(24km)。4,930 エーカー(1,995 万平方メートル)。うち、880 エーカー(356 万平方メートル)のターミナル・エリア(Central Terminal Area)には、9 つの独立したターミナルがある。
 ニューヨークに隣接した都市型空港であるため空港需要は旺盛であり、旅客輸送量、貨物輸送量ともに堅調に推移していた。しかし、2001年9月11日の旅客機ハイジャックによる同時多発テロ事件以降、セキュリティーコストの増加、航空旅客の減少等により、一転して米国航空会社は非常に厳しい経営環境におかれたが、徹底したコスト削減等により、その後回復してきている。ただし、滑走路の本数及び長さの制約があり、今後、空港容量の大幅な拡大は望めない状況である。

● 統計 (AIC) 2014年 http://www.aci-na.org/content/airport-traffic-reports
   利用者数(2014年) 53,254,533人
   発着回数(2014年) 422,415回

● 滑走路:  南北方向に伸びる2本の平行滑走路と、東西方向に伸びる2本の平行滑走路の計4本の滑走路を有する。
 平行する2ほんの滑走路の一方を出発、他方を到着に使用する場合が多いが、到着を04Rとする運用では出発機を31Lと04Lに振り分けている。

方向 長さ×幅
04L/22R 3.460 m x 45 m
04R/22L 2,560 m x 61 m
13L/31R 3,048 m x 46 m
13R/31L 4,442 m x 46 m

2. 騒音軽減の取り組み

 米国最大の空港システムの運航者であるニューヨーク・ニュージャージー空港公社(以下、「空港公社」と記す)は、空港周辺の騒音を軽減するために多面的なアプローチで取り組んでいる。航空機騒音レベルの軽減に向けた継続的な取り組みとして、以下のものがある。
・専用のスタッフによる新しいノイズオフィスの設立
・騒音監視プログラムを拡大
・フライトと騒音監視の新しいウェブポータルの導入(WebTrak)
・騒音苦情管理システムの強化
・ラガーディア、ジョン・F・ケネディ国際、ニューアーク・リバティー国際、およびテターボロ空港におけるパート150の騒音互換性に関する研究
・空港コミュニティ円卓会議の設置

● 空港周辺対策に係る財源・法令
○ 財源
 FAAのAIP及びニューヨーク・ニュージャージー空港公社の空港改善計画
○ 騒音値に応じた課金
 J・Fケネディ国際空港では、出発機が発生する騒音は、最初に到達する居住地域に設置されている騒音監視局*地点において112 PNdB(知覚騒音デシベルレベル)を超過してはいけない規定がある。規定違反の場合、航空機事業者に対して罰金$250を課している。騒音監視局は、各滑走路の中心線から延長して、最初に到達する居住地に設置されている。

①航空機騒音の発生源対策

種類 制限の有無
チャプター2適合機材制限 1) 制限あり
チャプター2適合機の段階的退役 2) 制限あり
チャプター3適合機材制限 3) 制限あり

1)75000ポンドを超える航空機は全米48州での運航が禁止されている。
2)チャプター2適合機材は1999年12月31日に全て退役している(CFR91.801)。 75000ポンドを超える航空機は全米48州での運航が禁止されている。
3)運航管理者に自主的な措置において22時から7時の運航スケジュールを組まないことが要請されている。2000年1月1日以降、全ての75000ポンドを超える航空機は、チャプター3もしくはそれ以上の騒音レベルの認定がされている必要がある。

②騒音低減のため運航規制等の工夫

内容 実施の有無
連続降下到着 (CDA)
優先滑走路方式 連邦航空局航空管制滑走路均等使用及び優先滑走路システム
運航割り当て 高密度空域の運航規則を適用 1)
エンジン試運転の制限 有 2)
補助動力装置(APU)の運用制限
空港の夜間制限

1)運航制限(OPERATING QUOTA):高密度空域の運航規則を適用
米国及び諸外国からの定期便の出発並びに到着0600~2259(現地時刻)は1時間当たり81機を超えないこと。連邦航空局通達「ニューヨークJFK国際空港の運航制限」FAA2007-29320、連邦航空法第93条

2)エンジン試運転の制限(ENGINE RUN-UP RESTRICTIONS)
①空港の当直責任者から承認を受けた場所以外でエンジン試運転を行ってはならない。
②運航者は1回につき1機を超えて試運転を行ってはならない。
③一回につき1分以上「部分推力(80%を超えない範囲)」を超えて試運転を行ってはならない。また、7時~22時の間は一回につき1基以上エンジンの試運転を行ってはならない。
④22時~7時の間は、一回につき30秒以上「推力80%を超えない範囲」を超えて試運転を行ってはならない。また、一回につき1基以上エンジンの試運転を行ってはならない
⑤昼夜に関わらず航空機の保守のための離陸推力でのエンジン試運転を行ってはならない。

騒音軽減の手順
・24時間騒音への対応が必要な空港
・ジェット機の運航に係る諸条件(ラガーディア空港も同様)
 1. 離陸時の騒音は、最初に到達する居住地域に設置された騒音監視局において112PNdBを超えてはならない。
 2. 上記の条件のもとでの全ての運航は、航空管制の運用や連邦航空局が発行する規定および規則に従うものとする。行政権限がもつ機関が要求する滑走路の長さ、気温、風の状況、その他の安全に影響する条件に対応する総重量に制限を課すことはない。
 3. 高密度空港に適用される特別な空港規則第93条により事前の予約が必要である。

③空港周辺対策・土地利用

計画の種類 実施状況
防音工事 学校防音はDNL65以上で実施。2005年時点において17の学校で実施済み。7校以上について実施中
移転・住宅の買収補償 なし
移転・住宅の買収 空港駐車場 地域の野球及びサッカー場
公園 防音壁
航空機騒音コンター内の人口 DNL 65以上 : 43,822人
(70-75 DNL:550人、65-70 DNL: 43,272人
DNL 65以上 : 36,430人
(70-75 DNL:2,311人、65-70 DNL: 34,091人
現在までに費やした騒音軽減プログラム費用 学校防音 = $26.8 mil.
Total Board allocation for JFK active schools = $77.8 mil
モニタリングシステムの開発および保守費用等=$13 mil

FAR(連邦航空規則)PART150による土地利用ガイドライン
・騒音コンターの作成や騒音値の大きさ(65DNL以上)に応じて行う対策等を提示している。但し、ガイドラインの採否は最終的には都市計画作成者の裁量に委ねられている。

※防音工事は、Ldn65dB以上の学校を対象にPANYNJが実施している。ただし連邦政府からの補助金もある。なお、住居に対する防音工事は行っていない。

3. 環境に配慮した取り組み

 全ての航空機の離陸時における騒音を監視するための騒音監視システムが設置され、24時間稼働している。
 ニューヨークとニュージャージーの港湾公社は、周辺空港の航空機の飛行情報、騒音レベルをWebTrakと呼ばれるシステムで公開している。WebTrakとは、コンピュータのブラウザ上でニューヨーク都市圏内にある、JFK、LGA、EWR、TEB、およびSWFの空港における様々な情報を提供しているシステムである。情報として、以下のものがある。
1. 上記の空港を離発着する航空機の飛行
2. 航空機の種類、高度、出発空港・到着空港、フライト識別のフライト情報
3. 空港周辺の住宅地における騒音監視局の測定値
4. 騒音苦情もオンライン上で受け付けている。

システム 提供情報
騒音監視システム WebTrak
  URL
  騒音監視局 6局
  提供情報 ・航空機騒音
・周辺騒音
飛行航跡システム WebTrak
  URL
  提供情報 ・出発・到着・上空通過の種別
・航空機識別
・機種
・出発/到着空港
・高度
・速度
苦情の受け付け オンライン(WebTrak)


提供情報の一例

○ ステークホルダー・協議会
 ニューヨークとニュージャージーの空港公社は、米連邦航空局(FAA)と周辺住民の代表者と共同で、円卓会議を設置している。円卓会議では、空港騒音を管理し、空港と地域が共存し、実現可能な方法を模索するために設置されたもので、空港公社およびFAAとのオープンなコミュニケーションを維持するために、協議会を定期的に開催している。

○航空機の安全と騒音軽減に関する地域委員会(TVASNAC;Town-Village Aircraft Safety Noise Abatement Committee)
 http://www.toh.li/tvasnac
・1966年設立
・地域の騒音問題等に関連した事項について議論
・空港周辺自治体、住民、航空会社で構成