気候変動対策として国際航空の排出物をオフセットするICAOのCORSIA制度の動向

https://www.icao.int/Newsroom/Pages/ICAO-Council-reaches-landmark-decision-on-aviation-emissions-offsetting.aspx (2018/6/27)
https://www.icao.int/Newsroom/Pages/ICAO-announces-new-ACT-CORSIA-capacity-building-initiative.aspx (2018/7/5)
https://www.icao.int/Meetings/CORSIAHQ18/Pages/Presentations.aspx (2018年7月のCORSIAセミナー資料のダウンロード)
 産業部門別としては世界初の排出物オフセット制度となる「国際航空のためのカーボン・オフセットと削減制度(CORSIA)」に関して、ICAO理事会が6月27日にシカゴ条約第16付属書第4巻第1版を採択した。ICAO第39回総会におけるCORSIAに関する192加盟国の歴史的合意から2年も経たずの採択となったが、この国際標準及び勧告方式(SARPs)では特に、エアラインが国際航空から排出するCO2について2019年1月に情報収集を行うことを皮切りに、監視・報告・検証(MRV)(*注1)に関して誰が何をすべきかの情報を詳細に説明している。また同日の理事会では、小規模事業者のCO2監視・報告のためのICAO CORSIA CO2概算・報告の簡易ツール(CERT*注2)の2018年版の承認と、CORSIAのCentral Registry(CCR*注3)の仕様に関するさらなる合意が得られた。
 理事会のこれからの作業としては、堅固な基準1式に照らした炭素市場のオフセットプログラムの評価、適格な排出単位の決定、CORSIAの持続可能性基準に合致する航空燃料の選別を含めた、CORSIA実施に係わるその他の要素の時宜を得た実現がある。
 採択されたCORSIA SARPsは、航空航法の効率性の強化、採択済みの航空機のCO2排出証明基準、サステナブルな航空燃料の使用に関する長期展望を含めた一連の気候変動対策における他の方策の補完要素となる。

*注1:監視(Monitoring)は各運航便が使用する燃料の情報とCO2排出物の計算を指し、報告(Reporting)は航空機運航業者が各国の民間航空局経由でICAOへ行うCO2排出物に関する情報の報告、検証(Verification)は報告された排出物のデータに不備がないことの確認と誤りの回避を指す。
*注2:CERT(CO2 Estimation and Reporting Tool)は航空機の型式、出発地、到着地の3つの要素を使ってCO2排出量を計算する簡易ツールである。
*注3:CCR(CORSIA Central Registry)にはCORSIAに関して各国が提出した具体的情報を用いてICAOが計算したデータが蓄積され、これらのデータはICAO CORSIAウェブサイトから一般に公表される予定である。