FAAの騒音曝露とアノイアンスに関する全国調査

https://www.faa.gov/regulations_policies/policy_guidance/noise/survey/

米国連邦航空局(FAA)は、航空機騒音曝露が米国の民間空港周辺の地域社会に与える影響を定量化する目的で、2015年から複数年にわたって全国規模の「Neighborhood Environmental Survey(NES):近隣住民環境調査」を実施してきたが、調査結果をHPに公表した。
現在のFAAの騒音政策は1970年代に行われた社会調査とそれによる証拠に基づいた「シュルツ曲線」(図1)と呼ばれる曝露-反応曲線に基づいているが、1992年を最後にその後再検証行われていなかった(筆者注:1992年のFICON調査結果では、シュルツ曲線とほぼ一致していた)。近年このデータが航空機騒音曝露による迷惑(アノイアンスannoyance)を過小評価している可能性があることが指摘されていたことから、FAAはその妥当性を確認するために全国調査を行ったものである。
 調査対象は米国の代表的な20空港である。対象空港の騒音予測を実施したうえで、騒音曝露量DNL(Ldn)50~75までを5dBごとに区分し、周辺住民40,000世帯に郵送によるアンケート調査を行い (調査期間は2015年10月から12か月間)その結果約10,000人からの返送があった。また、これらのうち約2,000人に追加の電話調査を行った。
郵送調査は、航空機騒音を含めた住環境に関する様々な項目(におい、道路交通騒音など13項目)について「騒音性の生物学的影響に関する国際委員会(ICBEN)」の5段階言語尺度(「not at all(全くない)」、「slightly(それほどない)」、「moderately(多少)」、「very(だいぶ)」、「extremely(非常に)」)によって行った。このうち、「だいぶ」または「非常に」の2つの選択肢のいずれかに回答した場合、「Highly annoyed:HA(非常に悩まされている)」と定義している。
以前と同様のロジスティック回帰モデルを使用し航空機騒音に対する暴露-反応曲線を導出したところ(図2)、DNL65では約3分の2の人が非常に悩まされている結果だった(筆者注:1992年の調査ではDNL65で%HAが12.3%だったが、今回の調査では65.7%と大幅に増えた。また、DNL55でも同様に3.3%から32.1%に増えている)。
 FAAは、この結果を踏まえ、FAAの騒音政策に関して追加の調査、分析等の必要性について一般の人々から意見を聞くパブリックコメントを2021年1月13日から同年4月14日まで公募し、約4000のコメントを得た。
 FAAは今回の調査結果やコメントを踏まえて更なるレビューを行い、報告書を議会に提出する予定だ。