パリ=シャルル・ド・ゴール空港 Aéroport Paris-Charles-de-Gaulle

1.基本情報

● IATA/ICAO CODE CDG/LFPG
● 国・地域 フランス
● 所在地 パリ
● 運営者 パリ空港会社 www.aeroportsdeparis.fr
● 位置    パリ=シャルル・ドゴール空港はパリから23Km、バスで約45分、
        首都圏鉄道で約35分というパリ郊外にある国際線専門の空港である。

● 統計
   利用者数(2014年) 53,254,533人 世界 18位
   発着回数(2014年) 422,415回
● その他
 フランスの545の空港(軍用空港、私用空港等を含む)のうち、275空港は国が、190空港は地方公共団体が設置している。その他、商工会議所が設置する空港等が43空港ある。なお、2004年8月の地方の自由と責任に関する法第28条により、2006年12月までに多数の国の設置管理の権限が地方に委譲される仕組みができ、その対象となるのは国設置空港のうち151に上る。

● 滑走路:

方向 長さ×幅
08L/26R 4,215 m x 45 m
08R/26L 2,700 m x 60 m
09L/27R 2,700 m x 60 m
09R/27L 4,200 m x 45 m

2. 騒音軽減の取り組み

● 空港周辺対策に係る財源・法令
○ 財源
 空港周辺における防音工事の財源となっているのが、TNSA (The Tax on air noise pollution)である。この税はすべての航空事業者が支払う。
TNSAの算出方法
     課税額 = log (最大離陸重量) x 変調係数 (modulation coefficient CM) x 空港毎のレート*

*シャルル・ドゴール空港: 19ユーロ
Acoustic Group 変調係数(MODULATION COEFFICIENT)
日中(0600-1800) 夕方(1800-2200) 夜間 (2200-0600)
1 12 36 120
2 12 36 120
3 6 18 50
4 2 6 12
5a 1 3 6
5b 0.5 1.5 5

https://www.formulaires.modernisation.gouv.fr/gf/getNotice.do?cerfaNotice=99003&cerfaFormulaire=12503*07

○ 制度
 シャルルドゴール空港周辺の環境対策に係る役割は,DGACが基本的に騒音対策に係る制度設計・規制に策定を行っている。シャルルドゴール空港の対策ゾーンの設定等はパリ空港公団が行っている。ゾーン内の対策及び補償は、法律で定められている範囲のみ国が実施し,住民の補償等はパリ空港公団が行っている。官選知事(日本の県知事に相当する)は都市計画においてコンター作成の権利を有している。  フランスにおける空港周辺の地域、とりわけ騒音による被害を受ける騒音区域における土地利用規制は特別法「空港騒音区域の特別規定」として都市計画法典(Code de l’erbanisme)に組み込まれている。  「空港騒音区域の特別規定」の中核は「騒音対応プラン(plan d’exposition au bruit)」および「建築等の制限」である。「騒音対応プラン」は航空機騒音に曝される区域を定めるとともに、その騒音の程度により、さらにその区分を分類している。この区分により、空港周辺は高騒音区域(zones de bruit fort)であるA区域、B,区域と低騒音区域(zones de bruit modere)であるC区域に分けられている。この騒音対策プランで分けられた区域それぞれに土地利用規制が課されている、この場合の土地利用規制の内容が「建築等の制限(第L.147-5条)」である。

①航空機騒音の発生源対策

種類 制限の有無
チャプター2適合機材制限 1) 禁止
チャプター2適合機の段階的退役 2) 禁止
チャプター3適合機材制限 3) 制限

②騒音低減のため運航規制等の工夫

内容 備考
連続降下到着 (CDA) 推奨 1)
優先滑走路方式
運航割り当て
エンジン試運転の制限
補助動力装置(APU)の運用制限
空港の夜間制限 夜間の着陸制限(0時から4時59分) 2)

1)最終降下開始高度は5000ft~6000ft程度。住民は、CDOの導入により騒音軽減を期待していたが、思っていたほどり騒音低減効果が少なかったとの報道があり。
2)一便当たり2万ユーロの違約金を払えば夜間の離着が可能となる。

③空港周辺対策・土地利用

計画の種類 実施状況
騒音評価指標 Lden
防音工事 実施
PGS 1)(Noise disturbance Maps)によって区域を指定
・ZoneⅠ(70dB以上): 防音対策(屋内外のレベル差SPL) 45dB
・ZoneⅡ(65 dB以上):      〃          40dB
・ZoneⅢ(55dB以上):       〃         35dB
移転補償 実施していない
土地利用に関する規制 PEB 2)( (Noise Exposure Maps:騒音曝露区域):建設規制のための基準
・ZoneA(70dB以上):空港関係施設以外は建設を禁止
・ZoneB(65 dB以上):空港運営に必要な宿舎以外は建設を禁止
・ZoneC(56 dB以上):空港に必要なホテル及び農業施設のみ可能
・ZoneD(50dB以上):防音設置を行えば住宅建築は可能
※建築等の制限(第L.147-5条)
対策費用の財源  

1)  PGS:空港ができる前から区域内に住んでいた住民に対する補償。工事に係る費用はTNSAが用いられている。

http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/Courbes_pgs_CDG.pdf
PGS(Noise Disturbance Map:騒音曝露区域)のマップ

2) PEB(Noise Exposure Map:騒音曝露区域)
http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/Courbes_peb_CDG.pdf

3. 環境に配慮した取り組み

・騒音監視システムおよび飛行経路監視システム及び苦情受け付け方法
システム 提供情報
騒音監視システム VITRAIL 1)
  URL
  騒音監視局 22局
  提供情報 ・航空機騒音
・周辺騒音
飛行航跡システム VITRAIL 1)
  URL
  提供情報 ・出発・到着・上空通過の種別
・航空機識別
・機種
・出発/到着空港
・高度
・速度
苦情の受付 受付窓口 3)

1) VITRAILの開発はパリ空港が費用を負担し,システムの開発を行った。VITRAILは,シャルル・ドゴール空港とオルリー空港周辺の各自治体の市役所等で閲覧可能となっている。情報遅延は30分である。


http://www.developpement-durable.gouv.fr/VITRAIL-le-systeme-de-mesure-de.html

3)Maisons de l'environnement (環境の家)
 苦情は,各空港に設置されている「Maisons de l'environnement(環境の家)」で受け付けている。
http://www.entrevoisins.org/maison_environnement/cdg/venir_a_la_mde.aspx

○ ステークホルダー・協議会
 主な協議会は,CCE(Environment Consultation Committee:環境諮問委員会)である。CEEの開催頻度は年1回あるいは2回であり,扱うテーマの多さに応じて開催頻度が異なる。議論事項は,苦情内容と対応に関する説明と報告,航空関係に関する新たな法律等の説明等である。運営者や開催は法律により決められており,官選知事が開催時に招集する。参加者は県地方長官(官選知事),DGAC,空港周辺の市長及び議員,航空会社や空港関係者,NPO(住民)である。CCEでは1.議員,2.航空会社等,3.住民の3つの立場はそれぞれ同等であるCCE開催後,3者の意見がまとまらない場合にACNUSAがintermediary(仲介)を行っている。

1. CCE(Environment Consultation Committee:環境諮問委員会)
   主催者:官選知事(法律により規定)
   開催頻度:年1~2回
   参加者:①議員②航空会社等③住民
   議論内容:新たな法律等の説明,苦情に係る対応等の報告,その他