2012年11月5日から2013年3月31まで実施された、ヒースロー空港の騒音軽減運用試行について報告書が公表され、8月14日付けのBBC NEWSに内容が紹介されました。この運用試行については以前この欄にも掲載しましたが、特定地域の住民を早朝の航空機騒音被害から守るため、到着便を特定の飛行経路へ誘導するというものでした。ご参考までに要約を掲載します。
原文:http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-23692965
ヒースロー空港の関連サイト2カ所:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Press-releases/100-000-get-noise-respite-from-night-flights-625.aspx
http://www.heathrowairport.com/noise/noise-in-your-area/early-morning-trial
(ここから報告書がダウンロードできます。)
NATSの関連サイト:
http://nats.aero/blog/2013/08/heathrow-trial-provided-100000-with-noise-respite/
(ここからも報告書がダウンロードできます。)
ヒースロー空港の騒音軽減運用試行について:
http://www.aerc.jp/index.php?ID=107&cID=10
ヒースロー空港の早朝便に係わる騒音軽減運用試行によって、飛行経路下の住民約10万人への騒音影響が軽減されたことがわかった。
5ヶ月間の試行期間中、am4:30から6:00の間は特定地域の住民を騒音から守るために通常よりも限定された飛行経路へと航空機は誘導された。
しかし、南東ロンドンにあるBrockleyのような地域では夜間騒音が一層うるさくなったことが調査結果からわかった。
試行の報告書によれば現在のやり方で継続すべきではないとのことだ。
毎朝4:30から06:00の間、ヒースロー空港には平均して約17便が到着する。
思いがけない悪影響
航空交通管制官は通常、広範囲な飛行経路の中で最も安全で最も効率的な着陸経路を航空機に指示する
昨年11月に開始された試行期間中は、実験に係わる特定空域を飛行しないようにパイロットは誘導された。
Helios社による報告書に詳細が記されているが、試行の結果、Berkshireの多くの住民同様に南東ロンドンと東ロンドンの住民が恩恵を受けたことがわかった。
しかし、試行は継続すべきでないと報告書は記し、「意図しない悪影響と、得られるだろう恩恵のバランスをよりよく理解するため、起こりそうな結果予測のための評価を試行実施前に行うべきだ。」とも報告書は記している。
注目すべき成果
今回の試行の枠組みは、ヒースロー空港、英国航空、NATS(英国航空交通事業)そして航空機騒音反対運動を行うHACANの共同作業で形作られたものだった。
HACAN代表のJohn Stewart氏は「このような形で我々が航空産業と共同作業したのは今回が初めてだ。」と述べた。
「今回の試行には将来の実験で取り組む必要のある問題がいくつかあったが、10万人の住民を安心させたのは重要な成果だ。」
ヒースロー空港のMatt Gorman氏は述べた。「地元の地域社会や、空港に係わる我々の協力企業とともに作業して、数万人の住民に騒音の小休止をもたらす新しい方法を発見できたことは、とても励みになる。」
今回の試行で対象となった地域は、空港の東側がVauxhall、Wandsworth、Battersea、 Clapham Common、Westminster、BermondseyとStreatham及び、空港の西側がBinfield、 Reading、Purley-on-ThamesとWinnershだった。
海外情報紹介 ヒースロー空港の騒音軽減運用試行が「住民10万人の支えになった。」
- 2013年8月16日(金) 19:00 JST