海外情報紹介 EU ETSを順守しない外国エアラインに対し、順守を強制する対応策をとるよう民間団体(NGO)がEU加盟国政府に対し要請

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1830

EU ETSについて(環境省):
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/mrv-library/5.mrvprograms.html

 2014年2月28日金曜日−2012年に二酸化炭素排出制度を順守しなかったエアラインに対し必要な措置を講じるよう、航空関連EU ETS管理の責任があるドイツ、オランダ及び英国当局に対し、欧州の環境NGOが公式に要求した。中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、インド航空、ジェットエアウェイズ、サウディアそしてアエロフロートを名指しで、2013年4月30日の期限までにこれらのエアラインが、欧州内フライトが規制対象となる2012年の二酸化炭素排出枠を提出していないとNGOは指摘している。2012年に欧州を離発着した大陸間便による二酸化炭素排出量を報告する必要がエアラインにはあるのだが、国際的な反対に遭ったEUが、市場に基づく国際的な対策に関する合意をICAOで得るための進展が可能になるようにと、『時計を止める』適用制限の下で一時的にその排出量報告の要件適用を保留した。しかし、国籍にかかわらずエアラインは欧州内のフライトに関しては、EU ETS制度を順守することが変わらず求められていた。規則の公平な一貫した執行がなされないなら、規則を守るエアラインに対し違反しているエアラインの方が競争上の優位性を得ることになるとNGOは指摘している。
 Transport & Environment(T&E), Aviation Environment Federation, Natuur en MilieuおよびBUNDのNGOは、国際的な二酸化炭素排出規制計画に合意が得られるのだろうかと疑問を投げ、もし合意を得られても、その合意には実質的な影響力があるのだろうかと疑問を投げ、欧州のETS制度こそが航空排出物に対処するために実施される唯一の国際的対策なのだと彼等は主張している。「ETSを部分的に実施する、或いは恣意的で差別的なやり方で実施するのでは意味が無く、EUの立場が国際的に弱体化することになる。」と、これらNGOは声明で述べた。

 T&Eの航空担当のBill Hemmings氏は付け加えた。:「外国のエアラインがEU ETSの順守期限を破ってから約1年がたとうとしているのに、これまでEU加盟国政府がEU法を執行していないとは恥ずべきことだ。法を執行しないということは、法を順守して運航している運航者に対し、違反している運航者の方が競争的優位に立つということで、外国エアラインにとってEU法の順守は任意であるというメッセージを外国政府が受け取ることになる。だから、違反している運航者がEUのやり方に異を唱えるある国のフラッグキャリアであろうが、小規模な地域運航者であろうが、ビジネスジェットであろうが、EU加盟国は一貫性のある公平なやり方でETSの順守を強制しなければならない。」

 1年間はEEA内部を規制対象とするという、EU ETS法の適用制限の順守を拒んだエアラインについてEUの政治家らは不快感を表してきた。欧州議会、欧州委員会及びEU加盟国を代表する欧州連合理事会の間で現在、EU ETS制度の次の段階について交渉が行われているところである。これら3機関は異なる立場で三者会談に参加した。加盟国は『時計を止める』適用制限の修正版の継続を希望し、欧州委員会と欧州議会はEEA空域内の全便の排出物まで規制対象を拡大する案を強く押している。

 欧州議会の議員らはEU加盟国の圧力に屈する代わりに譲歩を引き出したがっている。自国のエアラインにEU ETS制度の順守を禁じたインドや中国のような国家のエアラインに対して罰則を課すという政治的に微妙な問題があっても、ETSを順守しないすべての航空機運航者に対し加盟国は速やかな措置を講じるべしというのがその要求の一つである。ETS法の欧州議会の報告責任者であるドイツ人の欧州議会議員Peter Liese氏は、EU加盟国が法の執行のために十分な措置を取らない場合は、三者会談の交渉を頓挫させると言って脅した。順守を強制しないEU加盟国を裁判にかける権限が欧州委員会にはある。

 先週、EUの管理当局は協調努力の一環として、非順守の違反者に執行通知を発送したとみられているが、どのエアラインにこれらの通知が送付されたのかはこれまで公表されていない(記事を参照のこと)。


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NGOの声明文