欧州委員会による『空港改善のための包括的提案(Better Airports Package)』の一部として、航空機騒音に係わる運用制限を決定するにあたって透明性を改善するための新規EU規則が提案されていましたが、法律として成立することが決まりました。この法律は従来の欧州指令2002/30/EC(欧州共同体の空港における騒音関連運用制限導入のための規則及び手順の制定を扱っている。)を廃止し、それに置き換わるものになるようです。ご参考までに欧州委員会のプレスリリースを掲載します。
なお、この規則の原案である欧州委員会の提案(COM(2011)828 final)の試訳がありますので、興味がおありの方は03-3747-0175(中村)までご連絡下さい。
原記事:
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-14-444_en.htm欧州委員会プレスリリース
ブリュッセル、2014年4月16日
航空機騒音に係る運用制限規則の決定に関し透明性を改善するための新規EU規則について
欧州委員会は騒音関連運用制限規則の透明性を高めて根拠を盤石にするための、欧州議会による本日の決定を歓迎する
欧州委員会のVice-Presidentであり、運輸担当であるSiim Kallas氏は述べた。:「これらの新規規則により、国際規則を十分に尊重し、空港が地元経済に重要な経済影響を及ぼすという視点を忘れることなく、空港に近接する地域の住民を満足させる解決策を創出することが今より容易になることだろう。」
これら新規の規則によって、国家当局及び地元当局は、各空港独特の性質に合わせた騒音関連運用制限に関して、具体的な決定の責を担う。しかし、これらの決定はEUの調整プロセスに沿って行われるだろう。このことがあらゆる方面にとっての公平な結果を保証することになろう。欧州委員会の役割はこれらの処理の過程の内容を精査し、必要なら、市民や企業や利害関係のあるすべての関係者の権利を保証するために、運用制限が実施される前に適切な法的行為を行うことになるだろう。
騒音に関する運用制限、例えば騒音割当の導入、滑走路の使用制限、最も騒音のうるさい航空機の締め出し或いは夜間飛行禁止の実施は、空港の運用の容量に影響する対策である。
空港騒音に関しては、これからのいかなる決定のプロセスにおいても以下に焦点を合わせる。:
国際的に認知されたデータと方法に基づく証拠収集;
すべての利害関係者との時宜にかなった実質的な協議;
影響を受ける運航者に対する十分な周知時間の提供。
最後に、国家当局は各個別事案について受容可能な騒音の内容を決定し、騒音影響軽減のための最も費用効果の高い解決策を探すことになろう。
背景事情
航空交通騒音は欧州で250万人程の市民に影響を及ぼしている。同時に、航空活動が地元経済の成長と雇用を促進している。騒音の環境影響を軽減しつつ、接続性を最大化する地域及び地元の政策を追求することが課題となる。
新規規則はこのプロセスを容易にするだろう。これらの規則が、環境騒音指令の下で行われる戦略的騒音マッピング活動との関係を明確にし、最も費用効果の高い対策の選択が可能になるよう政策決定者のための判断の根拠を盤石にする。新規規則は騒音管理のための国際的原則すなわち、国際民間航空機関(ICAO)が開発したいわゆる「バランスのとれた取り組み(Balanced Approach)」に完全に準拠している。
今回の対策は欧州委員会が空港改善のための包括的提案の部分として提案したものであった。発着枠と地上業務についてはまだ保留中である。
これからの進展に関して
本日の決定は通常の立法措置の締めくくりである。欧州連合理事会のPresident及び、欧州議会のPresidentはこれから欧州法に署名する義務がある。新規の法律はその後、これから数ヶ月の間に公表されるだろう。公表の2年後、すなわち2016年の半ば頃にこれらの法律は効力を生じることが見込まれている。関連資料
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連絡先 :
Helen Kearns (+32 2 298 76 38)
Dale Kidd (+32 2 295 74 61)
一般の方は以下へ:
Europe Directによる電話:00 800 6 7 8 9 10 11 或いは e-mail(訳注:Eメールでの連絡先については原記事を参照して下さい。)
訳注:『空港改善のための包括的提案(Better Airports Package)』について欧州委員会のWEBページより
原記事:
http://ec.europa.eu/transport/modes/air/airports/
EU空港の容量増大と品質向上のために
欧州の航空部門は欧州経済の高性能で活動的な部門の1つである。欧州連合から離発着及び欧州連合内で離発着する航空路を使用して約8億人の旅客が毎年空路で移動しており(世界市場の1/3であり、1990年代初期に航空交通が自由化されてから約3倍に増加している。)、欧州の航空部門は世界の先端産業である。
しかし、交通量増加のせいで、空港はそれ自体の成功の犠牲者であり、欧州の主要空港の多くが現在、容量不足の危機に直面している。企業や移動する公衆による航空ネットワークの有効活用を可能にするために、我々は今行動しなければならない。フライトの遅延全体の70%がすでに空中でなく地上の問題のせいで起きている。現在の傾向として、19の欧州空港が2030年までに便数の増加に対応不可能になるだろう。その結果航空交通の過密状態のせいで欧州の航空ネットワークの全運航の半分で遅延が起きる可能性がある。厳しい国際競争の前では、現状維持は欧州空港の選択肢ではない。
空港改善のための包括的提案に着手
欧州空港の容量不足を取り扱い、旅客に提供するサービスの質を改善するための諸対策の包括的提案を、2011年12月1日に欧州委員会が採用した。包括的提案には離発着枠、地上業務、騒音に関する3つの法制関連の立案と、「欧州連合の空港政策−成長、接続性、持続可能な移動性を促進するための、空港容量と品質の取り扱い」COM(2011)823という通信文書[69 KB]が含まれている。
海外情報紹介 欧州の空港騒音に関する決定の透明性を改善するための 新規規則が成立
- 2014年5月12日(月) 09:00 JST