海外情報紹介 ICAOの市場に基づく国際対策(GMBM)に関する作業は、試案をさらに詳細をつめる段階に入る

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http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1953

2014年7月22日火曜日−国際航空排出物の増大を抑えるための、市場に基づく国際対策(GMBM)制度の設計要素をICAOの環境諮問団(EAG)がゆっくりしたペースでまとめている。3月に設立されたEAGはICAO運営理事会の17の代表で構成され、航空業界の代表も参加して、ICAO CAEPのサブグループであるGMBMのための技術的タスクフォース(GMTF)と並行して作業を行う。EAGは現在、ICAO事務局が起草した試案に基づき、カーボンオフセットのための国際制度の原則と詳細を作成中である。3月に試案第1.0版がEAGに示され、5回の会合後に第1.1版に進んだ。CAEPメンバーやオブザーバそして専門家に対し、EAGの活動と試案の透明性を強化するということで最近の理事会会合で合意が得られたが、今のところ試案の内容はEAGメンバー以外には公開されていない。
EAGとCAEP(航空環境保護委員会)のそれぞれの作業過程の間の密接な協力と参加の呼びかけは、EAGにはかなりの量の技術的分析が必要だという理解から、理事会に受け入れられた。たとえば、GMBMの下でオフセットされる排出物の総量とそれに付随する費用影響の定量化のため、国際航空が排出するCO2の量の評価を過去数年のデータを使って、2018年から2020年までを比較期間として、2035年までとそれ以降の将来について行わねばならない。早い成長、早期変動、新規加入について運航者数調整を見積もれる分析も要求されている。

他の作業としては、過去の排出量及び将来の予測排出量について、それぞれの加盟国を離発着する国際便すべてが生成する排出物の積算量を、最小排出国から最大排出国までの順で並べる全加盟国リストを作成する仕事がある。EAGは、航空市場の成熟度に応じて、飛行経路のグループ別に扱い方を変えるような段階的導入方法の提案を検討中である。1年あたりCO2排出量10,000トンの排出限界と技術的免除、最大離陸質量5,700kgの排出限界と技術的免除も検討中で、そうすると積算がまた必要となる。

数多くのGMBMシステムがこれまでに調査され、それでもあらゆる選択肢がまだ残っているとはいえ、付加的な収入を生み出す仕組みの無いカーボンオフセット制度が試案の基盤となっており、GMTFが制度にふさわしい排出単位についての基準提案のための作業に着手してきている。カーボンオフセットが国連のクリーン開発メカニズムにいかに適合するかについての調査が現在行われている。航空産業の代表者らは航空機運航者にとって最も費用対効果の高いオフセットクレジットを利用できることが好ましいと強調している。

しかし、1つの提案があった。おそらくは市場に基づく対策に反対しているロシア連邦から出されたものだが、GMBMの代わりに国際的な燃料税の検討をするというもので、これはEAGメンバーの中で広く支持を得てはいないと思われる。それでも事務局はそのような税のメリットとデメリットについて報告書を用意するよう依頼されている。

試案がさらに作成できるように、GMBMプロセス開始のための利害関係者との地域別会合すなわち、国際航空対話(GLADS)の開催を今年から多分2015年まで延期するという、もう一つの決定が前回の理事会会合において行われた。

ICAOは9月9日から10日までモントリオールにおいて、「グリーン技術を航空に導入」という環境セミナーを開催する予定であり、次世代航空機、調査プログラム、航空機リサイクル、環境に優しい運航、エコエアポート、航空用クリーンエネルギー、そして資金調達のようなテーマを扱う予定である。さらに、このセミナーでは昨年のICAO総会における環境関連の主要な成果を検討し、9月にニューヨークで開催される気候変動に関する国連サミットへのICAOの提案のための基礎として扱う予定である。

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