ヒースロー空港最新騒音番付表に見る、各エアラインの着実な進展に見られる成長の余地

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1936
2014年第1四半期の騒音番付表:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Media-library/Fly-Quiet-table-Q1-2014-966.aspx

 2014年6月18日水曜日-ロンドンヒースロー空港を使用するエアラインの上位50位までの「静穏飛行」騒音番付表の第3回の四半期結果で騒音の改善が全体的に着実に進んでいることがわかるが、着陸機による連続降下進入(CDA)運航の数を増やせばさらに改善が見られるだろうとヒースロー空港は述べている。上位3位のエアライン-英国航空の短距離便、エアリンガスとバージンアトランティックのリトルレッド-はこれまで公表された3回の表においては変化がないが、バージンアトランティックの長距離便とキャセイパシフィックについては改善が見られたとヒースロー空港は称賛している。空港によればICAOの最も厳しいチャプター4の騒音基準で運航されている航空機の割合が2012年の97.6%から2013年は98.1%に増加した。ヒースロー空港はまた、最新の年間持続可能性報告を公表し、騒音の実態、地域の大気質と炭素排出について評価している。

 「静穏飛行」の表は、騒音効率、騒音証明、夜間運航と到着と出発の運航等6つの基準、及び累積点に基づく総合ランクによってエアラインを順位付けしている。エアラインには総合ランクと、各基準毎の赤/黄/緑ランクが与えられる。

 2014年1月から3月の最新版の表では、上位50位までのエアラインにはam4:30以前の到着は無かったし、バージンアトランティックの長距離便はこの件と航路保持(指定されたルート内を飛行すること。)の両方で改善が見られ、結果として14位から6位へ8位も順位が上がることになった。昨年12月にこのエアラインは自社の保有機について騒音低減目標を備えた騒音管理戦略を初めて採用することを公表した(記事を参照のこと)。一方で、キャセイパシフィックは主要な4つの基準で改善が見られ、前四半期よりも上位に上がった。

 航路保持とチャプター4の騒音適合機使用によりエアライン50社のうち49社の成績が前四半期より全体で10%改善され、航路保持では高い基準を達成し、チャプター4適合機を50社の内48社が運航した。ヒースロー空港には空港で運航される全航空機を2020年までにすべてチャプター4適合機にしなければならないという目標がある。

 ヒースロー空港の最新の持続可能性達成報告である『ヒースロー環境報告書2013』で、政府が設定した昼間及び夜間の騒音に関する離陸制限違反が2013年には43件あったとこの空港は述べている。このうち11件が昼間の騒音制限の違反で32件が夜間の違反である。しかし、前年の総計73件と比較している。

 CDAsについて赤ランクになったエアラインの数は9社と変わらず、そのことはヒースロー空港によれば「重要な着陸進入技術についてこれらのエアラインには一層の作業が必要であることを示す。」段階的進入では水平飛行が長期間あるのとは対照的に、CDAsでは一定の角度を保ったまま航空機は進入する。エンジン推力を減らし、高高度をより長く保つので騒音が減り、地上での騒音は最終進入経路から離れた地域では最大5dBA減らすことが可能であるとヒースロー空港は主張する。

 『ヒースロー環境報告書』では四半期毎のCDA平均適合率が2012年の86.08%から2013年は87.28%に改善していることを示している。

 この空港は航空機騒音問題と取り組むための広範囲の騒音活動計画の部分として静穏飛行プログラムを使用しているが、ロンドンの2つの大規模空港のうちのどちらに滑走路を増設するのが政府の決定として望ましいのかの論争では航空機騒音対策は決定的に重要である。ヒースロー空港は空港の運航による騒音管理を単独基準として他空港と比較した順位が2011年と比較して3位から2位に上がり、1位はブリュッセルになっていると主張している。

 「この表が示すのはエアラインが騒音に影響される住民の数を減らすことにまだ取り組んでいるということだが、性能の改善で我々とエアラインとの共同作業が可能な分野がある。」とヒースロー空港の持続可能性担当重役であるMatt Gorman氏は語った。「基準に沿った評価が示すのは他の国際空港と比べて、これらの努力がヒースローの総合的騒音管理に重大な変化をもたらしていることである。」

 『ヒースロー環境計画2020』の目的は、空港によれば、既存の持続可能性の努力と目標を、各課題分野に関する詳細な戦略及び活動計画と一緒にしてヒースロー空港の五カ年事業計画に連携させることである。

 この報告が焦点をあてるのは例えば、今や運用開始から10年になったクリーン車両パートナーシップである。参加するヒースロー空港関連会社22社は、排出物の少ない新型の型式の車両の試用や最良の実践の共有を通じて3,000台の車両の排出物を低減した。

 しかし、地域の大気汚染の扱いはヒースロー空港ではまだ課題として残っている。空港は地上のNOx排出量を2020年までに2008/2009年のレベルと比較して少なくとも5%減らそうとしているが、NOxの総排出量が過去2年間に渡りわずかに増えている。航空機の地上レベルの粒子状物質(PM10)の排出量もまた、2012年と比べて2013年は増加している。

 ヒースロー空港は地上での排出物を管理するため補助動力装置(APUs)の使用に制限を課し、報告では基準へのエアラインの適合性は2011年の78%から2013年の84.15%まで改善されたと記している。APUsの必要性を減らすために、駐機場の90%に電力供給用の部品が取り付けてあり、20%ではあらかじめ調整済みの空気を供給する。

 空港から排出されたCO2の総排出量は、2013年では合計2,271,000トンで、前年の2,332,000トンを下回った。地上の航空機と高度3,000フィートまでの航空機からのCO2排出量は2012年の1,220,069トンから2013年は1,208,146トンまで減少した。

 この空港の2020年の目標は1990年と比較して建物内のエネルギー使用によるCO2排出量を34%低減することで、2013年は建物からのCO2排出量が予想の数字より4.4%低かった。

 「『ヒースロー環境計画』は2020年までの目標を設定する明快で説得力のある計画で、前年比で年々性能を改善するため、我々空港と空港社会との共同作業をこの計画が後押ししてくれると我々は期待している。」とGorman氏は語った。

リンク:
ヒースロー空港-静穏化飛行計画の2014年1月~3月の結果
ヒースロー空港-ヒースロー環境計画2020
ヒースロー空港-ヒースロー環境報告2013(4mb PDF)
ヒースロー空港-持続可能性の報告