英国とEUの大気質目標に対する将来のコンプライアンスについてガトウィック空港とヒースロー空港がバトルを決する

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2002

2014年10月31日金曜日-ロンドンの2大空港の間のどちらの滑走路新設が許可されるかのコンテストで、ガトウィック空港は現在、2空港の大気質データを挙げてヒースロー空港に闘いを挑んでいる。競争相手と違い、EUと英国の年間大気質規制値にガトウィック空港が違反したことはこれまで無く、万一もう1本滑走路がうまく増やせても状況が維持できるとガトウィック空港は約束している。ガトウィック空港によると、ヒースロー空港に滑走路を1本新設した場合、大気質基準を達成できるのは空港関連の道路交通が現在より増えない場合に限ってであり、そのためには空港へ行く毎に40ポンド(64ドル)の課金ができるような汚染制限のための渋滞税の導入が必要だろうと述べている。一方、ヒースロー空港は第3滑走路を新設しても大気質規制値の順守が可能になる様々な戦略があると述べている。

ガトウィック空港は、空港の大部分が田園地帯の人口の希薄な地域に立地しており、また、空港を利用するのは欧州でも最も排出物の少ない航空機ばかりなので、英国やEUの大気質指針内の運用が十分に可能であると述べている。2002年に地域に独立した大気質管理エリアを設置してからは、窒素(NO2)の英国の年間目標値を超えたことはないとガトウィック空港は主張している。
「ガトウィックには環境に関する業界トップの実績があり、ヒースローと違って10年以上大気質基準を達成している。」とガトウィックの企業協同体の代表であるTom Denton氏は語った。「第2滑走路が増えてもこれらの基準内の運用が可能で、空港周辺の地方道路に渋滞税を導入する必要もない。」
ヒースローはヒースローに最も近い、2km以内の9箇所の監視ステーションの内の1箇所だけが2013年にNO2の規制値を超えたのだと応じた。この特定の場所は混雑するM4自動車道路に隣接したところにあり、空港の運用による排出物が関与する割合はその場所における窒素酸化物濃度全体の20%以下であるとヒースローは主張している。
「ヒースローの利用客や離発着航空機の数は増加したにもかかわらず、ここ10年間で我々は排出物の大幅な削減を達成した。」とヒースローの広報担当者が言った。「これはヒースロー空港の地域の大気汚染を減らすための数々の独自の取り組みによるものである。英国で最大の運賃無料ゾーンに資金供給して公共輸送手段の選択を促進したり、我々の『クリーン車両計画』を通じてより環境に優しい車両の利用を促進し、公共利用が可能な英国初の水素供給ステーションを運営したりしており、空港域内電動車両の保有車両数は欧州最大の規模である。」
新滑走路の必要の是非とどこに必要であるかという課題について、空港委員会への技術的提案の中で、追加する滑走路が運用される2030年までに地上アクセスと軽減対策を確立することで、一般人が大気汚染にさらされる可能性のある空港境界外ではNO2の年間平均規制値を超えることはないであろうとヒースロー空港は述べている。
「年間の航空輸送動向が740,000回に増え、予測される旅客処理量が1億3,000万人になる2040年であっても、二酸化窒素の法定基準値は順守されるだろう。PM10とPM2.5の法定基準値も同様に満たされるであろう。」とヒースロー空港は公約している。
「公共輸送の改善が一度達成された時点において」空港へ来る利用客に対する通行料の導入を検討するとヒースロー空港は5月に空港委員会に告げた。通行料をどのくらいにするかという試算に係わらず、第3滑走路ができても空港関連の車は現在より増えないことを確実にする助けとしてそのような制度が役立つだろうと、ヒースロー空港は述べている。公共輸送機関を利用する旅客の割合を現在の40%から2030年までには50%を超えるところまで増やすとヒースロー空港は公約している。
ヒースロー空港の広報担当者は、英国の航空旅客が60%増加しても、法的に強いられている英国の炭素排出目標には適合するという、政府諮問機関の気候変動委員会による研究結果と第3滑走路は矛盾しないと付け加えた。
ガトウィック空港は「変化の10年」と題した年次報告書を公表したばかりであり、この報告書は気候変動に係わる排出物、水利用や公共輸送の利用を含めた環境目標における進展を捕えたものである。報告書では2040年までのカーボンニュートラルを目指すガトウィック空港が、領域1、2、3の温室効果ガス排出量を2010年の721,502トンから「変化の10年」の開始年である2013年には700,562トンにまで削減したことを示している。
電力使用を減らしたこと、空港の滑走路と誘導路の照明をLEDに取り替えた世界初の空港となって飛行場のエネルギー使用を50%削減したことにより、この排出量削減が達成されたとガトウィック空港は述べている。また地上走行ではエンジン1基の使用で燃料燃焼と排出物を減らすことにつながった。
「我々の拡張計画は、環境保護のための正しい一歩を踏み出すことと、英国に必要な追加の空港容量を生み出すこととの適正なバランスをとっている。」とDenton氏は語った。
ロンドンで3番目に多忙な空港であるスタンステッド空港でも持続可能性年次報告書を公表し、2013/14年の炭素排出量を29,199トンから9,940トンに削減し、前年より66%削減できたことを示している。この空港はマンチェスター空港、イースト・ミッドランド空港、ボーンマス空港を所有するMAGが経営を引き継ぎ、スタンステッドのDirector of CSRであるNeil Robinson氏によれば、その結果として「石炭より木材やわらのようなバイオマスだけを使用して生成する低炭素電力を購入するMAGグループの契約に空港を移行したことで顕著な節約が達成された。」と述べている。
この報告書では、2008年に空港に設置されたバイオマスボイラーは「技術的困難」を経験したと述べている。
スタンステッド空港では、2012年には75%だったごみ廃棄場の廃棄物の転用率を2013年には93%にまでした。このことは英国リサイクル認定制度でのゴールド認証評価を得たことで広く認知された。この空港には2015年の終わりまでにごみ廃棄場の廃棄物をすべて転用するという目標がある。
その一方、リド空港という呼称を与えられたロンドンアッシュフォード空港は、英国の南東海岸に近い場所に位置し、ロンドンからかなり離れているにもかかわらず、ターミナルビルの新設や滑走路拡張に2,500万ポンド(4,000万ドル)を費やす開発計画で注目を浴びてきた。地元のShepway郡議会は環境コンサルタント会社であるEcusに、計画案に対しての生態学的(生物と環境に関する)助言を提供するよう依頼した。
有名なロムニー・マーシュの近くに位置するこの空港は、ダンジネス特別保護区を含めた自然上も環境上も国際的に重要な場所に立地している。空港は開発の影響を監視、記録、評価するための調査を実施し、地元の野生生物生息地のための保護、建設、軽減対策計画を提出する予定である。
「我々に付託された検討事項は空港の提案に関して独立公平な評価を提供し、この場所の自然と国際的に重要な生態系を守るための空港の広範囲に及ぶ軽減対策提案に対してShepway郡議会が十分な情報を得た上で政策決定できるようにすることである。」生態学に関するEcusのテクニカルディレクターであるChris John氏は語った。
「Ecusは英国において多くの類似プロジェクトで成功を収めており、我々はこれが地元の重要問題であると理解しているため、提出されたすべての情報を詳細な技術評価の対象とし、空港のサステナブルな開発を可能にする最適な解決策を見出すことが重要である。」

リンク:
ガトウィック空港-企業責任
ヒースロー空港-ヒースロー環境報告書
ヒースロー空港-第3滑走路の大気質評価
スタンステッド空港-持続可能性報告書
MAG社
リド空港
Ecus社