原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2106
2015年7月16日木曜日−航空に関する2012年のEU ETS(欧州連合域内排出量取引制度)を順守しないことで、エア・インディアと他の航空機運航事業者4社は総計95,456ポンド(150,000ドル)の民事制裁金を英国当局から科せられた。報告を義務づけられた各事業者の年間排出量について十分な排出枠を2013年4月末までに放棄しなかったと各事業者はみなされていた。そのうちの2社が順守することになってからは2012〜2014年の3年間分の排出枠を放棄したが、欧州内空港間のフライトの炭素排出量を現在対象としているこの欧州制度に従うことを、エア・インディアはインド政府の指導でこれまでのところ拒否している。エア・インディアがこの罰金を支払うべきではなく、この件は外交上の問題として扱われるべきだったとインド政府の担当者がGreenAir誌に対して語った。EU ETSに関する排出量を英国に報告するインドのもう一社のエアラインであるジェット・エアウェイズは最近、類似の罰金に対する訴えを退けられたが、制度を順守するようになってからは罰金通知リストには載っていない。 p>
英国の民事制裁金は運航業者が放棄しなかった(1トンのCO2に相当する)排出枠毎に、100ユーロに相当する英国通貨に基づいて計算される。排出計画を提出しない、航空排出物を監視しない、または航空排出物の報告をしない場合はさらに罰金を科すことができる。民事制裁金が6ヶ月以内に支払われない場合、運航業者の航空機を差し押さえて売却する権限があると英国法では規定され、および(または)欧州委員会に対して運航禁止を強制するよう要求する権限がある。
エア・インディアに科された罰金の総額は12,377ポンド(19,300ドル)にのぼる。他に罰金を科された運航業者はロシアで登録されたLoid Global(42,217ポンド)、米国を本拠とするMedia Consulting Services(12,787ポンド)、ナイジェリアの石油会社であるOranto Petroleum(9,325ポンド)、英領ヴァージン諸島に登録があるPrimevalue Trading(9,749ポンド)である。個々の運航業者の検証済み排出量と放棄された排出枠を記録している欧州連合の取引記録(EUTL)によれば、Media Consulting ServicesとPrimevalue Tradingは、2012年の排出量に対応するそれぞれ257と115の排出枠と、2013年と2014年分に対応するさらなる排出枠を現在放棄済みである。
EUTLにはジェット・エアウェイズが2012〜2014年までの欧州内運航便の排出量に対応する総計425の排出枠をこれまでに放棄したことが示されている。2012年の排出量に対応する150の排出枠を放棄しないことで科された罰金15,000ユーロ(16,000ドル)(これについてエアラインは異議申し立てを行った。)をこのエアラインが支払ったかどうかはこれまで公表されていない。ジェットエアウェイズの異議申し立ては不成功に終わったが、EUが独自の制度を外国の運航業者に対して一方的に強いたのはICAOで得られた国際的合意に反するし、インド政府がこの制度に対応するのを禁じたのだとこのエアラインは主張した(記事を参照のこと)。
インド政府の担当者は、EUの制度を順守するというジェット・エアウェイズの決定は、このエアラインの取締役会によって決定されたことを示唆した。アブダビに本拠を置くエティハド航空もEU ETSの目的に関しては英国が管理しているが、このエアラインはこれまでにこの欧州制度を完全に順守しており、2013年にジェット・エアウェイズに対する24%の資本参加を行っている。
エア・インディアはロシアとサウジアラビアのフラグキャリアであるアエロフロートとサウディアと共に、政府の指導で欧州の炭素制度順守を拒んでいる。サウディアはすでにフランドル地方の当局によって140万ユーロ(160万ドル)の罰金が科されている(記事を参照のこと)。