海外情報紹介 国際航空排出物に上限を課すための国際対策についてのコンセンサスを得るため、ICAO加盟国を招集

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2232

 2016年5月11日水曜日−国際航空の総炭素排出物に上限を設けて市場に基づく国際方策(GMBM)策定で合意を築くために、モントリオールでの3日間の高官レベル協議(HLM)にICAO加盟国の担当者らが出席した。協議中の文書はICAO理事会議長が提案した決議案の草案の文章で、これは9月下旬に開催予定の次回ICAO総会に提出されることになっており、2020年以降の国際航空のカーボンオフセット制度(COSIA)導入へと道筋をつけるためのものである。差別化の問題が主な要因で主要国家間においてこの制度の主要素に顕著な見解の食い違いがあるとはいえ、ICAO担当者らは合意に至ることができるとひそかな自信があるが、総会で合意を得るまでには苦難がありそうである。

  HLM開催にあたり、ICAO理事会議長のオルムイワ・ベナード・アリウ博士は、排出物増大と、これまでにICAOの年間燃料効率2%の改善目標達成につながった技術の向上及びその効果との間のギャップを埋めるのにこの制度は不可欠なツールであると語った。

 全191加盟国への情報提供と加盟国間協議を行って、この制度の主要素に関する合意を得るためのICAOによる国際的取り組み努力の最終段階がHLMである。2013年の前回総会以降、ICAOの運営理事会はこの制度の枠組みを設計する環境顧問団(EAG)、排出物の監視・報告・検証(MRV)とカーボンオフセットのための適合基準に関する規則の検討及び推奨を行う国際MBMタスクフォース(GMTF)を結成した。ICAO事務局長はまた、この制度について加盟国の担当者と協議するための地域別の国際航空対話(GLADs)のセカンドラウンドを開催した。ごく最近、元ICAO理事会議長のロベルト・コーベ・ゴンザレス氏を委員長とした国際ハイレベルグループが、提案された草案を公式なものとするよう理事会をサポートするため結成された。

「従って今回のHLMの目的は、MBMに関する総会決議案文章の残りの論点を結論に結びつける討議に我々が重点的に取り組むことである。」開会式でアリウ博士は、加盟国、産業、市民の代表らに語った。「私はあなた方のサポートがあるので、第39回ICAO総会での決議の採択には楽観的である。」

「従って、2020年からこの制度を完全に運用するためにはいまだ多くの作業をICAOと加盟国によって行う必要がある。しかし、今回会議で決議案に合意を得て前進するための重要な動きが始まる。」

基調講演でカナダの運輸大臣であるマルク・ガルノー氏は、国際航空排出物に対処するために地球規模の方策策定に関する意見の一致を得ることは、パリ気候協定に続く重要な一歩だと語った。

 「国際的な産業部門全体に係わる排出物削減のための具体策で合意を得るために、国際社会が一致団結したのは初めてである。」と彼は語った。「国際航空からの排出物は急速に増大してきている。そして、2020年と2035年の間には80%程度の増加が続くと予想されている。このため、国際航空部門でサステナブルかつ責任ある成長をもたらすために、我々の作業が最も重要となっている。」

 HLMの議長を務めたのはカナダ運輸省の環境政策長官であるエレン・ビュラック女史である。3日間の会議は各国が決議案の文章のまとまった20の段落についてそれぞれの意見を述べるというもので、異論の多い7、8、9段落については今日、討論が行われる。明日(木曜日)の遅くまでに決議案全体が会議で検討され、総会前では最後である来月から始まる次回理事会の会合に提出する提言では合意が得られると見込まれている。

 草案に係わる総意が得られつつあるが、制度の開始当初から対象に含まれる加盟国と、どのようにオフセットを責任分担するかについては、解決すべき重要な問題が残っている。

「意欲的で実用的な結果をもたらすためには、我々がどのような取り組みに合意するにしても、主要な排出国はすべて対象にしなければならない。」とガルノー氏は語った。「過度な負担が生じ、世界の航空市場に歪みが生じかねない地域別制度が多いというような状況は避けねばならない。」

「差別のなく国毎の差異に十分配慮した結果が出せるように我々は作業をする必要がある。そして、完成かつしっかりとしたデータの監視・検証・報告を含めて、現実に排出物削減を立証するような結論に導くための作業を我々は行う必要がある。」

 「総会を成功に導くことが非常に大きな前進となるであろうし、成功の方法には必須である。国際的な合意を得ることは難しいことであるが、全加盟国を巻き込んだ大幅な歩み寄りが必要だと我々は皆わかっている。」

 航空関連産業の合同組織である航空輸送活動グループ(ATAG)が開催した国際サステナブル航空フォーラム(GSAF)の昨日の基調講演で、ICAO事務局長のファン・リウ博士は、GMBMがこの国際連合の機関が直面した最も難しく挑戦しがいのある取り組みであるけれども、環境保護が航空輸送のサステナブルな将来実現のための鍵であると語った。

 「国連事務局長の潘基文氏は今年これまでにICAOを訪問した際に、世界の人々は今、COP21後に我々の組織(ICAO)とその加盟国が行う具体的な環境活動に注目していると語ったが、我々はまさにそれを実行するつもりである。」と彼女は約束した。

リンク:
ICAO高官レベル協議
アリウ博士のHLMでのスピーチ原文
リウ博士のGSAFでのスピーチ原文