原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2266
2016年7月29日金曜日−商業的規模で採算性のある代替ジェット燃料(AJFs)の開発・製造・使用を遅らせている主要な科学的、技術的課題に取り組むため、ホワイトハウスは優先すべき研究開発(R&D)の最終目標とそのための具体的な達成目標を設定した米国連邦戦略を公表した。様々な連邦機関やそれ以外の利害関係者から情報を得て、政府横断的に専門家の代表で構成される省庁間の作業グループによってこの戦略はまとめられた。過去10年間、商用航空や軍用航空によってAFJsの開発、評価、配備には顕著な進展が見られたが、航空産業のニーズに合うような、石油燃料と価格競争ができるほど十分な量はまだ得られていないと研究担当者が指摘している。この課題に取り組むためには連邦政府と、産業やNGOsや学会を含めた民間部門との間の協力関係および国際的協力も不可欠であると戦略報告書は述べている。
この詳細な計画は、航空科学技術に関するホワイトハウスの科学技術政策評議会の小委員会の下で2013年末に設立された代替ジェット燃料の省庁間作業グループ(AJF-IWG)による作業の成果である。9つの連邦機関の代表で構成されたAJF-IWGは戦略に記された取り組みの実施を指導し、民間航空代替燃料イニシアチブ(CAAFI)を含めた連邦や連邦以外の利害関係者と協力して進行中の連邦の取り組みの分析を行う。CAAFIは調査と過程の再検討に参加して、2014年1月に行われた主要な利害関係者の討論を通じてこの戦略に対しての情報提供を行い、現在の課題についての解決を目指す強力な役割を引き続き果たすことになると述べている。
この戦略では4つの主題分野を特定している。原料の開発・生産・輸送;燃料転換と規模拡大;燃料試験と評価;そして持続可能性のような総合的な課題である。各分野の最終目標とそのための具体的な達成目標において、短期(5年以内)、中期(5-10年)そして長期(10年以上)の期間での達成を見込んでいる。
戦略報告書は商業的規模でAJFsを作るには、実際上特に科学的または技術的ではない課題にも直面している。それらの課題としては従来型燃料の価格の不安定さ、生産インフラの障壁、立法上・規制上・政策上の障壁、複雑な資金調達構造、投資の不確実性、労働力と技術の制約がある。これらが科学的、技術的な研究開発の進歩による利益を制限する可能性があるが、この新産業の広範な状況および社会経済的分析のような非技術系調査での役割を認識することで、その影響を最大化することができる。「科学技術の研究開発は政策決定に情報提供することができ、技術的リスクを減らすのに役立ち、経済的リスク及び財政リスクを潜在的に軽減するのに役立つ。」と報告書は述べている。
国際的な調整は連邦機関が引き続き支援すべきであるとの戦略を推奨している。国際的な調整が必要な主要分野としては、相互にリスクを分担し、取り組みの重複を最小限に抑え、最良の実践による利益を得るための多国間協定や二国間協定の下で行われる科学技術研究開発;望ましい地球温暖化ガス削減目標を達成するバイオ燃料が食糧安保や生物学的多様性に悪影響を及ぼさないことを保証するための持続可能性基準を決める種々の取り組みとの調和;AJFsの国際市場確保のための政策と市場形成;が含まれる。
この米国の戦略を歓迎してCAAFIは「この戦略が民間航空と軍用航空でAJFsの配備を加速するだろう。連邦の取り組みと連邦以外と産業界の利害関係者をつなぐ重要な接点としての役割を果たすのが我々のリーダーシップと作業チームである。この戦略の実施を支援するため、AJF-IWGにおいて各機関と連携作業することを期待している。」と述べた。
CAAFIはこの戦略に関して10月に開催予定の隔年総会でいくつかのセッションのホストを務める予定である。セッションでは、連邦機関が率いる戦略の遂行に関する検討;戦略目標を達成するための官民パートナーシップを交えた進行中と予定された活動との統合;そして戦略構想を実現するために着手可能な適合した目標と活動に関するフィードバック提供が含まれる予定である。