英国交通省が英国の新航空戦略に係わる資料を公開

Beyond the horizon, The future of UK aviation, Next steps towards an Aviation Strategy, April 2018
政府のニュース:https://www.gov.uk/government/news/government-puts-consumers-at-heart-of-the-aviation-industry
資料ダウンロード:https://www.gov.uk/government/consultations/a-new-aviation-strategy-for-the-uk-call-for-evidence
関連記事:http://www.airportwatch.org.uk/2018/04/dft-publishes-aviation-strategy-with-focus-on-growth-and-helping-passengers-little-on-environmental-impacts/
 英国政府は政府の産業戦略実現のための重要な役割を果たす部門として航空部門を優先度の高い部門と位置づけ、さらなる発展を目指すために航空戦略を策定しているところである。この新しい航空戦略は2050年までとそれ以降の航空政策の長期的方向性を示すもので、2018年秋にはグリーンペーパーで詳細な政策提案を行い、2019年早期には最終版の航空戦略文書が出される予定になっている。
 この戦略策定の第1段階として実施された2017年7月の意見聴取により、372件の回答を得た英国政府は回答の概要も示しつつ、産業や旅客との共同作業で新戦略を策定するため、将来の課題や発展の機会に関する詳細な話合いの出発点として今回「Beyond the horizon, The future of UK aviation, Next steps towards an Aviation Strategy」という資料を公表した。以下は、環境対策関連部分からの抜粋である。

 航空輸送事業に対する需要は2050年まで引き続き顕著に伸びると英国政府は予測している。英国南東部の航空容量を2030年までに増やす必要性については明快で強い証拠を政府は持っている。しかし、航空部門の成長がサステナブルで、地域や世界の環境に係わる課題とのバランスもとれたものであることを政府は確保しなければならない。また、航空機騒音は地域レベルでは主要な環境問題となっており、大気質への影響を含めたこれらの問題に航空部門が対処するために適切な規制、対策、インセンティブが整っているかを政府は検討する必要がある。
 英国の航空部門の温室効果ガス排出量は英国全体の排出量の約7%(2016年)を占め、2005年の約5%から増加している。エネルギーや製造業のような他部門のCO2排出量削減は速やかに実現可能なため、この割合はさらに増加する可能性がある。英国では2008年の気候変動対策法が、1990年との比較で2050年までに少なくとも温室効果ガスを80%削減するという法的拘束力のある目標を設定している。この目標は英国内で離着陸する国内航空も対象となっている。国際的には国際航空による炭素排出量が世界全体の排出量の2%未満だが、この割合は2050年までに2倍から4倍になる可能性がある。国際的な目標としては2015年のパリ協定による「温度上昇は2度以内に十分おさめる」目標とICAOの「2020年以降のカーボン・ニュートラルな成長」目標があり、政府は航空部門が相応の排出物削減によって国内及び世界の目標達成に貢献できるのか航空戦略によって見直しを行う。
 サステナブルな航空用代替燃料は、航空部門の長期での持続可能性にとって重要な要素であると広く思われている。政府はRenewable Transport Fuels Obligationの適格性を航空燃料まで拡大する法律を制定し、Future Fuels for Flight and Freight Competitionを通じて航空用と重量物運搬車用の低カーボン燃料の製造支援に2,200万ポンドのmatched capital fundingが利用できるようにした。航空戦略を通じて、特にCO2排出量削減が難しい航空部門においてサステナブルな代替燃料を長期に採用する支援策を導入できる政策を政府は検討する。