スキポール空港でエンジンを使用しない地上電源ユニット試験運用中

https://news.schiphol.com/sustainable-taxiing-uses-half-the-fuel-of-standard-taxi-process/
2021年4月9日  航空機は機内の照明、換気、冷蔵庫、コックピット内のコンピューターなど、さまざまなシステムを維持するため電気を必要とする。空中では電気はジェットエンジンによって生成されるが、スポットで静止中エンジンは停止しているため、2つの方法で電源を確保している。
 一つは、機体尾部の補助エンジン(APU : Auxiliary Power Unit)から、二つ目は地上に設置された電源施設(GPU: Ground Power Unit)からだが、APUはケロシンで動作し、GPUは地上の固定電源設備から電源を取る方法と地上設備がないスポットは電源車というディーゼルエンジンで動作する機材を使用する方法がある。これらのエンジンを使用するAPUや電源車両は、CO2排出と騒音の問題があり、必ずしも環境にやさしいとはいえない。
 スキポール空港では、128あるスポットのうち、73スポットに固定電源設備がある。現在2030年までに空港内施設のCO2排出ゼロを目標に14の取り組みをかかげており、この取り組みの一環として今年3月初めから固定の地上電源設備の無いスポットで、ディーゼルエンジンを使用しない高出力電源ユニット5台を整備しての試験運用を開始した。
 基本的にはCO2排出の少ない地上の固定電源施設を増やす方向であるが、同施設の無いスポットにおける電源車による電源確保についても、パワーユニットサプライヤーであるITW社と共同で導入を進めてきた「e-GPU」※という電源ユニットを使用するという考えだ。
 「e-GPU」は約2×5メートルの大きさの車輪付きの筐体で、4つの非常に強力なバッテリーを搭載している。今後、試験運用の結果をふまえ、空港全体にこれらを展開して、ディーゼルGPUを段階的に廃止することを考えている。

※「e-GPU」:ITW社のHPによれば、航空機用はビジネスジェット用、ナローボディ用、ワイドボディ用と3タイプあり、バッテリーは充電式で近くの50/60Hzソケットから再充電が可能。また、給電と充電が同時に行えるほか、オプションでバッテリー残量を自動で検知して、ガソリン駆動の発電機を動作して充電するレンジエクステンダーをつけることも可能である(残量が一定量に達すると自動的にエンジンは停止する)。
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