英国運輸省、ロンドン3空港の夜間運航制限の枠組みを3年延長

2021年7月19日
https://www.gov.uk/government/consult...ght-policy
https://assets.publishing.service.gov...cument.pdf
英国運輸省は、ロンドン3空港(ヒースロー、ガトウィック、スタンステッド)の夜間運航制限に関する提案*1について関係コミュニティなどへの意見照会およびパブリックコメントを行っていたが、2021年7月、次の夜間運航制限に関する方針を決定し公表した。その、決定内容は、以下のとおりである。
• 3空港の夜間運航制限は、現行の制限を維持したうえで、当初の協議で提案されていた2年ではなく、2025年10月までの3年間継続する。
• 2022年10月以降、QC値4の航空機はNight Quota Period(23:30~6:30)において離着陸できない。
• 継続しているパブリックコメントの第2弾に対する回答を考慮したのち、2023年中に2025年10月以降の夜間運航規制に関する方針を公表する。

深夜の運航制限であるクオータカウント制度(QC)については、現行のNight Quota Period(23:30~6:30)の離着陸禁止はQC値が16と8となっていたが、これに加えQC値4の航空機も全て離着陸禁止となる。これまで、QC値4の航空機は空港の自主規制により同時間帯はスケジュール禁止だったものの、遅延等によるものは01:00まで認められていた。これによって、QC値4の代表的な機種であるB747-400は実質的に出発機の深夜時間帯運航が認められなくなる。

 現行の夜間運航制限の制度は2022年10月までの予定であり、仮にそれが失効してしまえば、制限なしの運営されることになる。「あらたな運航制限」を策定するためには、COVID-19の影響や航空需要の回復程度と速度を考慮しつつ、夜間飛行の騒音影響と利益についてのより有意な評価を得る必要があるため、当初提案の2年間ではなく、3年間の現行体制のロールオーバーを決めたものである。ただし、QC値4の完全禁止(23:00~0:100までの遅延も禁止)については、産業界への悪影響を最小限に抑えつつ、地域社会に利益をもたらすことを目的としている。

*1 夜間運航制限の提案内容(本年3月13日版の本HP記事参照)
その1:2022年10月から2024年10月までの2年間、既存の夜間飛行制限を維持するという提案と、夜間(23:30~06:00)にクオータカウント値4(例:B747-400、クオータカウントはEPNdB値 をベースにした機材制限と運航回数制限)の航空機運航を禁止するというもの。
その2:2024年以降、指定空港の将来の夜間飛行政策について、夜間騒音に関し現在の国の基本的な騒音対策すなわち、夜間運航の配分方式改訂の必要性、空港指定の基準設定のありかた、指定空港での将来の夜間運航体制のありかたなどについて。