英国政府が「民間航空騒音に関する独立委員会」を廃止

2021年9月6日
https://www.gov.uk/government/speeche...tion-noise
https://iccan.gov.uk/wp-content/uploa...nal__-.pdf
英国政府は、2018年11月に空港拡張による騒音影響について、特に飛行経路の変更影響を調査し地域コミュニティのニーズを適切に検討するための政府から独立した支援機関として設立された「民間航空騒音に関する独立委員会:ICCAN」を2022年4月に廃止すると発表した。また、同機関の持っていた機能の大部分をCAA(民間航空局)に引き継ぎ、一部は英国運輸省(DfT)が担当するとしている。
 
見解を発表した英国運輸省政務次官によれば、同機関を廃止する詳細な理由までは述べていないが、「ICCANの機能の多くは、すでにより広範な環境権限を持っているCAAによって効率的に実行できる」としている。そのうえで、今後CAAは、CO2排出、大気質、騒音などのさまざまな環境問題について独立した専門家の助言を得るため、新たに委員会を設置する予定であると述べた。
 これに対しICCAN担当者からは、「航空機騒音に関しては政府や業界から独立した声が必要であり、後継機関は完全な運用上の独立性が重んじられることを期待する」旨の書簡が政務次官に提出されている。
 
筆者注:ICCANのホームページによれば、2021年9月30日をもってその活動を停止するとしており、CAAへの移行期間に入っているものとみられる。もともとのICCAN設立のきっかけは、空港や政府などの利害関係者とコミュニティとの間の溝を改善する目的であったとのことだが、短期間でそうした課題が解決されるとは認識しがたく、これまでの対策の後退ともとれる。書簡の内容は影響を懸念する声がICCAN担当者の中にも存在することを示すもので、今後コロナ禍後の増便とともにこの議論が再燃する可能性も捨てきれない状況だ。