ロンドン・ヒースロー空港における高降下角進入の正式運用開始

2021年12月2日
https://www.heathrow.com/company/loca...approaches

ロンドン・ヒースロー空港において検討されていた高降下角進入方式が、2021年12月2日から正式運用を開始した。
運用方式としてはRNAV方式の一つであるRNP進入方式による3.2°の進入方式で、2本の滑走路の4方向すべてに設定されている。ILS進入方式は3.0°のままで、進入角指示灯(PAPI)も3.0°のみとなっている。同空港のAIPには高降下角進入に関する記述は特になく、時間指定等の運用制限も設定されていない。

この方式は、2015年から2017年にかけて行われたトライアル結果を踏まえ、昨年3月から4月にかけて行われたパブリックコメントの結果も特に問題も発生しなかったことから今回の正式運用開始となった。
 今回の設定を踏まえ、CAAは1年後のレビュー(Post Implementation Review)を空港会社に義務付けており、それまでの期間においても空港会社は以下の内容を行う必要がある。
① RNAV 3.2°アプローチの飛行回数を記録する。
② ゴー・アラウンドが発生した場合は、その詳細を記録する。
③ 安全上の問題が発生した場合の詳細を記録する。
④ 関連する利害関係者の見解(問い合わせ/苦情データ)を収集し、CAAに報告する。10人以上から問い合わせや苦情があった場所や地域は、航空機の航跡データプロットの代表サンプルを表示した地図にプロットする。
⑤ すべての滑走路において、3.0˚ILSアプローチと比較して、RNAV3.2˚アプローチを行う航空機の騒音影響を監視し、報告すること。
⑥ 3.2˚ RNAV SSA を運用する航空機の飛行状況を監視する。
⑦ RNAV 3.2˚アプローチと3.0˚ILSアプローチの連続降下方式(CDA)の変更状況や燃料消費量の変化を把握するために、運航者と連絡を取り合うこと。

RNAV(Area Navigation:広域航法):航空機が搭載するFMS(航法用機上コンピューター)等により、GPS等を利用して自機の位置を算出し任意の経路を飛行する航法であり、地上施設(VOR/DME等)の配置に左右されることのない柔軟な経路設定が可能な運航方式。飛行経路設定時の物理的制約が大幅に緩和される。