海外情報紹介 2023年時点での炭素排出量2億2000万トンの隔たりをエアライン産業がカーボンオフセットする必要があるであろうと研究調査で指摘

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2001

2014年10月31日金曜日−コンサルタント会社のICFインターナショナルの研究調査によれば、航空機技術の改善、エアラインの効率と運航の改善とバイオ燃料の導入と合わせても、2023年までの民間航空の予測とエアライン産業の目標の間には炭素排出量のかなりの隔たりがあるだろう。これらの改善とバイオ燃料の利用が無ければ、民間航空は2023年には現在より炭素生産量が53%増えるだろうとICFは見積もっており、これは2020年からの総排出量の上限を定めたエアライン産業の目標値と33%のずれを生じることにつながる。このコンサルタント会社独自の予測では2020年までに航空による世界のCO2排出量は9億4,200万トンにのぼり、この数字がエアライン産業のカーボンニュートラルな成長目標の基準になる。効率改善とバイオ燃料があっても年間の炭素排出量の隔たりは2023年までに2億2,000万トンの域で、カーボンオフセットによってこの数字は軽減されなければならないであろうとICFは述べている。
エアライン産業の企画立案と予測においては専門的ノウハウを持っているICFは、2013年に航空による世界の炭素排出量を約7億5,000万トンと見積もり、エアライン産業自体が見積もった数字である7億500万トンよりも高い予測値になった。2020年までに9億4,200万トンに達するという数字を出すにあたり、ICFは予測された世界の飛行時間の増大に対して、エアライン産業の2020年までの年間効率改善目標1.5%を関係要因に組み入れた。

つい最近のエアライン産業による予測と照らし合わせ、航空機の生産性の変化により、同数の旅客輸送に必要なエアラインのフライト数は減るだろうとコンサルタント会社は考えている。これからの20年間は、航空交通の成長率は4%で、その交通量を輸送するのに必要な航空機の増加は3.1%に相当するとこのコンサルタント会社は主張している。

飛行時間が緩やかに増えていくなら、エアライン産業による2020年からのカーボンニュートラルな成長目標達成が容易になるだろうとこの会社は述べている。「しかし、飛行時間の予測が低くても航空による炭素排出の基準値の見通しは、エアライン産業の2023年の目標をそれでも42%は上回るだろう。」とICFは自社の「炭素排出量の隔たりを考える」という名の白書で警告している。

その隔たりを埋めるため、ICFは2023年に年間炭素排出量を8%削減できるとして、今後10年間にエアラインや航空機メーカーが導入できる様々な技術改善や効率を研究調査した。この結果、ICFの2023年のCO2排出量の基準となる予測値は12億5,300万トンから11億9,500万トンに減少するであろう。

エアライン産業グループや個々のエアラインは、バイオ燃料が航空排出物の1つの解決策になるであろうという希望を抱いてきたが、自社の研究調査ではこの見込みについては、楽観的にはなれないとICFは記している。

「市場では短期または中期でバイオ燃料のコストを従来のケロシンと競争できる範囲の価格に持って行こうとする動向は見られない。」とこの資料は述べている。「米国が歴史的にトウモロコシを原料とするエタノール生産に対して行ったとき、あるいは多くの政府が再生可能電力を支援するために行ったときのような、このコストの差をカバーする政府助成金の要求はほとんどない。残念ながら、予測される航空の炭素排出量とエアライン産業の目標の間の隔たりをバイオ燃料が完全に埋めることはありそうにもない。」

しかし、ICFはバイオ燃料が2023年に排出炭素の隔たりを2億2,000万トンまで縮少するための、CO2のさらなる3,300万トン削減に貢献できると予測している。

ICAOに対しては航空排出物についての手引きを提供し、EUの排出物取引制度についての分析を行い、現在は中国の将来の炭素取引プログラム作成を補助しているコンサルタント会社は、隔たりを埋めるにはカーボンオフセットが最も費用対効果の高い方法だと考えている。 リンク:
ICFインターナショナル社−「炭素排出量の隔たりを考える」

※原記事には、ICFによる(効率性はあってバイオ燃料使用がない場合の)航空部門の炭素排出量予測の図があります。