原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2026
2015年1月9日金曜日−ロンドンのヒースロー空港に進入する航空機は最終降下の前に平均8分間の旋回待機で周回するが、これは遅延の原因となるだけでなく、旋回待機の下にある地域社会に騒音影響を及ぼすとともに、燃料消費もCO2排出も余計にかかる。NATSが率いるプロジェクトは待機旋回時間の平均時間を1/4削減することを目的としており、2014年4月以来、試行によって促されたフライトでは最大1分間の時間削減を達成したと、この英国の航空交通業務プロバイダーが報告している。この試行によりエアラインの燃料コストがすでに約100万ポンド(150万ドル)、CO2排出量が5,000トン削減されたとNATSは述べている。この試行は、英国−アイルランド機能空域ブロック(FAB)の一環として、またFABECとヒースロー空港の共同で行われている。
ヒースロー空港は98%の能力で運営されており、この空港では連続した待機交通の流れをくり返すことを行っていて、通常の状況下ではNATSが影響力を及ぼせるのは英国の空域に入ってからの航空機の進入に対してだけなので、これでは空港までの距離はわずか80マイル程度しかないかもしれない。
到着時の待機時間を最小化するための広域戦略の第一歩としては、ロンドンから最大350マイル離れた距離からの航空機の速度を落とすため、英国、フランス、アイルランド、オランダの航空交通管理者が共同で作業をすることが試行に含まれる。
「試行に促される航空機での待機時間60秒削減は、十分ではないと思うかも知れないが、これはかなりの成果であり、我々のエアライン顧客にとって相当な節減になっていて、この種の国境を越えた協力により真の利益が得られているということでもある。」とNATSの運航担当責任者であるMartin Rolfe氏は語った。
「次の段階ではこれまでに学習したことを取り入れて、さらに大きな成果を上げるため、やり方を改善する。」
9月に、この試行は新しい段階に入り、最小の待機遅延限界時間が9分から7分に減少し、最大速度の低減がマッハ0.03から0.04に上がった。
より多くの到着便に対応する試行に、ブレスト航空交通管理センター(ACC)が加わった。
「同時に、SESAR[単一欧州空域]プログラムの傘下で、ランスのUACがコンセプトを刷新して、ロンドン到着データの収集とレーダー軌跡予測モデル改善を合わせた新たなプロトタイプを導入した。」とフランスの航空航法業務プロバイダー(ANSP)であるDSNAのCEOであるMaurice Georges氏が報告した。「『共に作業する』精神が社会に真の利益をもたらしている。」
ヒースロー空港のエアサイドの役員であるDerek Provan氏が付け加えた。「この試行はより静かでよりサステナブルなエアライン運航に向かう、正しい方向への確実な一歩である。我々はNATSのこれまでの努力と、ヒースローが地域住民に対するよりよき隣人であるために我々と共に働くことを歓迎する。」
機能空域ブロック(FABs)はEUによる単一欧州空域プログラムの最重要ツールであり、欧州中の航空ナビゲーションサービス提供における現在の分割を減らす支援となること、及び空域の利用者の効率を増大させて費用を削減する支援となることを目的としている。2008年に設立された英国−アイルランドFABが、北大西洋、英国及びアイルランドの国内線、欧州の中心地域間の交通の流れを統合して、最初の4年間で、73,000トンの燃料及び232,000トンのCO2削減を達成したと主張している。
ANSPsには欧州の中心国6カ国のユーロコントロール・マーストリヒト・高高度管制センターが含まれるが、英国は、民間と軍用のANSPsから成るFABECの取り組みにおいての協力国である。
リンク:
NATS
ヒースロー空港−航空機の旋回待機
英国−アイルランド機能空域ブロック(FAB)
FABEC(機能空域ブロック欧州中央部)
海外情報紹介 燃料消費と二酸化炭素削減を実現するための、ヒースロー空港行きの航空機のロンドン上空での待機時間削減に対する国境を越えた試行
- 2015年1月15日(木) 09:00 JST