原記事:2015年4月8日水曜日−ヒースロー空港の貴重な運航枠をエアラインが国際線で使用することがますます増えて、ヒースロー空港における国内線への接続能力が低下してきたため、空港は国内旅客税を1/3値下げし、この値下げ分による減収を着陸料の中の環境絡みで課金する部分の値上げでまかなって状況を変えようとしている(訳注:なお、ヒースロー空港の場合、着陸料の大部分が騒音と排出物に関して課されるものとなっている。)。ハブ空港であるヒースローから国内空港への路線を運航するエアラインの£29.59 ($44)の旅客税を来年初めからから£19.59へ値下げすることを空港は提案している。旅客税の上限を設定するのは規制当局である政府であり、エアラインが空港へ支払う総額のうち21パーセントを占める騒音と排出物に関連する課金を28パーセントに増やして減収分を埋め合わせる。これでエアラインは排出物の少ない、音の静かな航空機へとさらに切り替えを進めるだろうと空港は述べている。一方で、ヒースローは空港で運航するエアラインを騒音性能で上位50社まで順位付けするという静穏飛行番付表の6回目の公表を行った。容量の制約があるヒースロー空港で運航される国内線は、1990年の18路線から現在の7路線にまで減少した。英国接続性タスクフォースによる最近の報告では英国の地方を国際市場と結ぶためにこの傾向は逆転されるべきという進言がなされた。欧州便枠の有効活用を促すためと、旅客を多く乗せて飛行することを奨励するため、ヒースローは欧州行きの旅客税を£5値下げして£24.59にすることも提案している。
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2068
ヒースロー空港の使用条件について:
http://www.heathrowairport.com/about-us/partners-and-suppliers/conditions-of-use
静穏飛行番付表(2014年第4四半期):
http://www.heathrowairport.com/static/HeathrowNoise2/Downloads/PDFs/fly_quiet_Q4_2014.pdf
値引きによる減収を埋め合わせるため、ヒースローはNOx排出料をほぼ2倍にして1kgあたり £8.57 ($12.80)から£16.51に値上げしようとしている。ヒースローで運航される航空機の99%が国際基準の最も音の静かなチャプター4とチャプター14に適合しているとはいえ、まだ音のうるさいチャプター3の機体を運航しているエアラインにはさらに料金の負担が増えることになるだろう。自社の音のうるさい機体を静かな機体に置き換えるなら「配慮する」から、と空港運航者はこれらのエアラインと調整中であると述べている。
「英国のハブ空港のみが提供できる世界の成長市場への接続によって、英国内のビジネスに利益が行き渡るようヒースローが腐心しているという我々の言葉は真摯なものであり、その一方では(環境にも配慮して)、ヒースローからは最も音の静かで排出物の少ない機体のみが運航されるよう奨励している。」とCEOであるJohn Holland-Kaye氏がコメントした。
エアラインに対し国内線の運賃値引を強制することはできなくても、ヒースローはこれらによってエアラインの負担費用が節減されれば旅客の負担費用も値下げされると期待するのは理にかなっていると考えている。
空港はすでにこの提案について多くの非公式な調整会議をエアラインや代表団との間で行っているが、5月14日までは利害関係者からのeメールによる意見も求めているとコメントしている。
4半期ごとのヒースローの静穏飛行番付表は2年目に入り、空港を使用するエアラインの騒音性能の向上を従来よりうまく監視することが空港に可能になった。エアラインは騒音関連の6基準で順位がつく。:騒音効率、騒音証明、到着の運航(連続降下進入)、出発の運航(騒音規制による指定航路の順守)そして2つの夜間到着運航。それぞれの指標に割り付けられた性能範囲に基づいて各評価基準に赤、黄、または緑のランクが割り当てられる。その結果、順位が下方にある運航業者よりも順位が上位にある運航業者の方が緑の得点が多くなるが、一定範囲内に点数がばらつくので、すべてが緑ランクの運航業者でも、黄色や赤ランクの点数を持つ運航業者より順位が低くなる可能性はあるが。
2014年10月から12月までを対象とする直近の四半期の表では、ヒースローで音のうるさい航空機を運航することをエアラインが敬遠し、エンジン推力が少なくてすむ、航空機の高度をより長い時間高く保つ連続降下進入(CDAs)の使用が増えたことがわかり、これが空港の騒音削減の一助となっている。
英国航空の短距離便の運航が引き続き最上位にランクされているが、ヒースローはCDAsの順守状況が改善されたことと空港の技術チームと共に継続して作業に従事していることで過去1年間の性能が向上したとしてキャセイパシフィックを特筆している。USエアウェイズも自社の繁忙期に、音が静かでより近代的な航空機を使用したので番付表で一気に9位上がったのが印象深いと称賛されている。
航空機騒音削減を目的としたこの空港の10項目の重点計画(Blueprint for Noise Reduction・・「騒音低減のための青写真」と呼ばれる)と静穏飛行番付表が環境改善の原動力となってきたと空港はコメントし、世界の他の空港で運航する機体よりも平均15%騒音が少ない機体を各エアラインはヒースローで離着陸させているのだと主張している。
「環境対策のためのパートナーである我々とエアラインが大変な努力を払い、開かれた会話をすることによって、過去1年間、地元住民のために静かな空を確保してきた。」とヒースローの持続可能性の責任者であるMatt Gorman氏は語った。「成すべき仕事がまだ残っていることは疑いようもないが、今年これまでに見られた改善に励まされ、さらには、騒音低減策を見つけ出して住民にとってのよき隣人であろうとするエアラインの新しい手法が我々に希望を与えてくれる。」
リンク:
ヒースロー−地域社会と環境
ヒースロー−静穏飛行