海外情報紹介 エアバスが、エアライン顧客の環境目標達成を支援するためのエコパートナーシッププログラムに乗り出す

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2085

2015年5月27日水曜日−エアバス社はサステナブルな航空従事プログラムを立ち上げ、顧客別のサービスおよびエアラインの乗客に対して環境影響低減を支援するための専門知識を提供する。このプログラムでは航空機技術、航空機運航、航空交通管理(ATM)、再生可能な航空用燃料を含め、エアライン毎に特定の目的に焦点を絞る。2016 年からこのプログラムが世界規模で他の運航業者にも拡大される前に、試験的なプロジェクトが現在3つのエアライン(キャセイ・パシフィック、英国航空、KLM)で作成されている。各社ともエアバスの最新型機であるA350 XWB の最初の引き渡しを待っているという状況下で、この3 エアラインはすでに、航空機騒音削減、耐用年数でのリサイクル利用、サステナブルなバイオ燃料開発に関しての共同プロジェクトを行っている。
エアバスの環境部門の広報部長であるダン・カーネリー氏は先週のツールーズにおける環境関連ブリーフィングで、最新技術を搭載したエアバス航空機を含め、2回の「完璧なフライト」が2011年と2012年に行われ、これらのフライトはベストの運航操作、最適化されたATMおよびサステナブルな航空燃料を活用して、最大で50%までのCO2削減の可能性を実証したとジャーナリストに対して語った。

「今や我々は、『完璧なフライト』と単なる実証を超えて、次の段階に進みたい。」と彼は語った。「この革新的なプログラムはサステナブルな航空という航空業界の目標に向かって、顧客にエアバスの専門知識やエアライン毎に合わせた製品とサービスを提供します。原則として、このプログラムは長期にわたる顧客との協力関係の枠組みであり、その目的は、エアバスの製品とサービスとで日々の環境性能を実証することです。」

航空機メーカー、エアライン、空港、航空航法業務プロバイダー、規制機関、環境NGOsを含む関連産業の協力が、世界の航空の自主的な排出物削減目標の達成においての鍵となったと彼は語った。

プレゼンテーションで、キャセイ・パシフィックの環境担当責任者であるマーク・ワトソン博士は戦略的パートナーシップがエアラインにとって基本的に重要であると語った。「簡単に言えば、我々が直面する環境課題の大きさと我々の気候変動への寄与の大きさを考えると、我々が単独で取り組むことは不可能で、パートナーシップのもとで取り組まなければならない。」と彼は語った。「技術が鍵であり、明らかに価値観を共有するエアバスのようなパートナーと協調して私たちのビジネスを合わせていくことが重要である。」

このことを理解するための実例としては航空機のライフサイクルでの取り組みがあるとワトソン氏は語った。「我々は製品の仕様やサプライチェーンの確立および運用効率をみながら、最も重要なことである耐用年数に達した機体をどうしたらよいのかを考える。Tarbesにあるエアバスの再生利用施設は本当に最先端の施設で、我々は社員と顧客に我が社のA340のうちの1機がどのように解体され、どのような複雑な処理工程があるのかをビデオで見せる予定である。」

決められたプログラムを通じて、このエアラインは、2016年の早い時期に引き渡しが見込まれる、注文中の48機のうちでの最初の1機のA350-900XWB型機が、香港国際空港においての騒音と排出物の問題をどの程度改善するか確かめるための共同作業を現在エアバスと行っている。これらの作業には、フィージビリティスタディ、データモニタリング、シミュレーションおよび試験が含まれるとワトソン氏は語った。

航空が経済成長や接続性に欠かせないとはいえ、その環境影響への問題はもはや欧州内に限定されないと彼は語った。「アジアにおいて空港拡大に対する意識が著しく変化してきており、我々は香港国際空港における第3滑走路の必要性と航空が果たす役割について先駆的な議論を行っている。ここ欧州で、特にヒースローで見られる多くの問題は現在、香港の状況として起こりつつある。3本の滑走路を運用することに関しての承認は得られたものの、実際の運用にはかなりの条件が付き、我が社の運航が許可されるための課題は増えている。雇用や繁栄など航空がもたらす幅広い恩恵のいくつかはしばしば、環境影響に関することで無いことになってしまう。」

「このすべてが、我が社の発展は持続可能な内容であることを確かに証明し、将来に責任ある成長の必要性を証明するようにという、フラッグキャリア(キャセイパシフィック)への相当な圧力になっている。我々の顧客、投資家、そして従業員はますます我が社の環境影響を気にかけるようになり、それに取り組むために我々が何をしているのかを知りたがっている。我が社には社会的及び環境的に責任ある企業であれという社是があり、業務のあらゆる場面で環境への配慮を確かなものにしたいと我々は考えている。」

エアライン産業による環境影響に関する取り組みが、成長が許されるための鍵であったと英国航空(BA)の環境担当責任者のジョナサン・カウンセル氏は同意し、協力企業と共同作業を行うことが環境問題に対処するには最も効果的な方法であると彼は主張した。

多くの焦点は炭素排出量を減らすことであったが、ここ数年は、周辺に人口が多い地域を抱える世界の主要空港において、空港拡張に対する反応としては、環境保全の課題である騒音がとりざたされるようになってきたと彼は語った。BAは利用する空港で騒音に悩まされる住民数を最小限にすることに専心してきたが、2013年との比較で2018年までには1便あたりの騒音を15%削減することを目標としている。

「この2年前、どのような協力がこの問題を進展させるかをみてきたが、エアバス社、ヒースロー空港、英国航空交通管理機関のNATSと『より静かな飛行』に関する協力関係を確立した。」と彼は語った。

このプロジェクトでは英国航空のA380型機のための騒音軽減出発方法を作り、この独特の方法では運航便の出発段階において一時的に推力を減らすことができる。これは特に最も人口密集度の高い地域のような、最も騒音に敏感な場所の上空でエンジン騒音を大幅に減らすことができるとカウンセル氏は主張している。最大5デシベルの騒音削減が達成可能なことが4回の飛行実験で確かめられたと彼は報告した。

これらの協力企業はまた、進入の角度を3度でなく3.2度とややきつくした降下も含め(あまりにも急勾配にすると、早めに着陸体勢をとる必要があるため、さらなる騒音を生む)、早朝の到着方法についての作業を行っており、今月試験が開始された。来年早々に第1段階の4度の進入からスムースに第2段階の3.2度の進入へと航空機を移行する2段階の進入に関する試験が開始される。

「急勾配の進入を早めに開始するとまだ高度が高いので、約10マイル離れたところで従来より1,000フィート高度が高くなり、その結果として騒音の5db削減になる。」と彼は語った。

サステナブルな代替燃料は、共同作業により航空部門の環境影響を減らす大きな機会を提供することができる別の領域であるとカウンセル氏は付け加えた。

エアバス社はすでにこのプログラム設立時の他の顧客であるKLMともサステナブルな燃料のための市場開発の共同作業を開始しており、2014年にA330-200でこのエアラインはアムステルダムからアルバとボネール島までの一連のバイオ燃料飛行を開始している。

「飛行中のエンジン性能を調査するプロジェクトの全てで、我々はエアバス社とともに熱心に作業をした。」とKLMの技術革新マネージャーであるEileen van den Tweel女史は報告した。「エアバス関与のプログラムはこの提携における理に適った次のステップと位置づけられ、我々はバイオ燃料以外の領域にまで我々の関係を拡大することができる。」

リンク:

エアバス社−環境効率
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英国航空−責任ある成長
KLM−持続可能性