原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2143
2015年10月15日木曜日−航空産業の連合体である航空輸送活動グループ(ATAG)は、65カ国の400を超える組織による炭素削減の取り組み100件のケーススタディを通じて航空部門のサステナブルな発展を推進するための報告書を発刊した。世界の運用機材に投入される新型航空機の大きなステップでの変化となる技術的進展を注視しているけれども、この「航空に関する気候変動解決策」という報告書は、ATAGの事務局長であるマイケル・ギル氏が「差益」と呼ぶ、航空産業が気候変動対策目標を達成しようとする際に必要になるもっと規模の小さいエネルギー効率改善のプロジェクトに注目している。ギル氏はこの報告書の発表の際、2009年から2020年までの平均年間効率改善の短期目標を1.5%としているところ、現在の数字は2.9%で進んでいることを明らかにした。しかしながら、これから数年はこの数字が標準的なものになると彼は期待している。
ジュネーブで開催された航空産業のサステナブルな航空のための国際サミットで公表されたこの報告書で扱われる気候変動対策活動の範囲は、代替燃料の開発、搭載装置の軽量化や、より考えられた離陸・飛行・着陸方式による運航上の効率向上、新技術の開発、空域と航法の系統的な変更をカバーする。
「新型機の就航のような効果が大きい活動もあれば、効果が小さい活動もあるが、それぞれの中においては、どちらも重要である。」とギル氏はコメントした。「この報告書は航空産業の全体を写し出している。広いレベルで気候変動の課題に取り組むためには何が必要かを写し出している。小さな活動も発想の大きな転換もあるが、経済のあらゆる部分と社会のあらゆる部分には果たすべき役割がある。」
彼は今回のサミットでは、現在の効率化のレベルを保つのは難しいことと、2005年のレベルと比較して総計50%の航空排出物削減という航空産業の長期目標達成は「とてもチャレンジングなこと」であると語り、限界損失の可能性について警告した。
「なるべくタイトなスケジュールで実行し続ける必要がある。」と彼は語った。「我々のチームに効率化の機会を見極める力をつけなければならない。燃料価格の変動によって長期の効率化計画に遅れを生じさせることはできない。そして、エアラインの責任者らが概してこのような見方をしていることがわかって私は励まされている。」
「2つの理由で我々はこの報告書を発刊した。1つ目は世界規模で莫大な量の活動が行われていることを見てもらうためである。この報告書はまたハンドブックとかハウツー(やり方)のガイドとして、効率改善と航空部門の成長の機会を確実なものにするため、我々の国際努力が助けとなって効率を改善したいためである。私たちは、すべてのエアライン、空港、航空航法業務プロバイダー、製造業者や協力企業がこの報告書に目を通し、機会を見つけて燃料使用量と排出物の削減に取り組むことを強く望んでいる。」
この報告書の前書きでUNFCCC事務総長のクリスティアナ・フィグエレス女史は、ICAOと航空産業の2020年以降のカーボン・ニュートラルな成長目標は「前途有望なスタートであり、気候科学へ貢献するので、そのためには今世紀後半にできるだけ早く世界でカーボン・ニュートラルを達成することが必要である。これを航空分野で達成するために、運航改善からの技術の発展、市場に基づく対策や代替燃料などあらゆる方策が必要とされている。」
リンク:
ATAG−「航空に関する気候変動解決策」
ATAG−サステナブルな航空のための国際サミットにおけるマイケル・ギル氏のスピーチ
海外情報紹介 航空産業の気候変動対策活動報告書では炭素排出物削減を行う国際プロジェクトに注目
- 2015年12月 1日(火) 18:00 JST