調査研究事業概要

航空環境調査研究

 航空環境調査研究では、①航空機騒音の予測精度向上のための調査研究、 ②航跡観測の精度向上のための調査研究、 ③航空関連の大気環境、環境と健康に関する調査研究、 ④海外との関係の充実化、その他の調査等を行っています。


航空機騒音予測技術検討調査

 航空機騒音予測手法の精度向上の検討を中心として航空機騒音の評価並びに測定解析の方法について研究しています。最近は、空港における地上走行やエンジンテスト等の地上音を考慮に入れたコンター作成を目指すとともに、局所的な地形地物(および気象影響)を考慮した予測ニーズに対応できるようにすることや、その他、機体側方の地表面による過剰減衰(EGA)の予測精度の改善、地形地物(地形、構造物、インピーダンス)の影響を考慮した場合の予測精度の改善、気象(気温、湿度、風速、風向等)の影響を考慮した場合の予測精度の改善を目指しています。

航跡観測装置に関する性能向上

 騒音予測等の基礎資料とするために空港周辺における航空機の飛行状況を把握することが必要です。そこで、当研究センターでは、新型飛行経路測定装置(スカイゲイザー)を開発して、飛行経路測定等に活用してきました。平成25年からは3カ年計画のもと、リオン(株)と共同で電子航法研究所に性能向上に関する共同研究を行い、偽航跡情報(ゴースト)の低減化及び除去並びに機能向上を行っています。

航空関連の大気環境調査の動向調査

 空港周辺での大気汚染の実態調査として、昭和47年から大阪国際空港周辺に「大気汚染監視測定室」を設置して継続的に大気成分の測定を行ってきました。また、航空関連の大気環境調査の動向について幅広い文献調査を行うとともに、航空機エンジン排出物の測定、空港周辺大気の排出ガス拡散シミュレーションによる予測調査などを通して、排出物の低減や大気環境影響評価に関する報告及び提言を行っております。

空港周辺における環境と健康に関する疫学的研究

 空港周辺の人々との調和を図る上で基本となる「心身の健康」を見守りながら、より快適な住環境の条件、空港のある町のあり方等について研究しています。具体的には、健康疫学調査、社会調査等を通じて、地域環境の総合評価と、生活・健康への影響を検討しています。さらに、住民の目で見た主観的な環境評価をふまえて、空港に関連して生じる様々な問題を健康科学(ヘルスサイエンス)の視点で評価し、空港を中心とした街づくりのための基礎研究も進めています。

海外主要空港周辺における環境施策並びに運航方式の現状

 航空機騒音軽減に向けた各分野の弛まぬ努力の成果、空港周辺の住宅地における騒音レベルは相当低くなった一方、運航頻度の増加に伴う発着回数の増加や、新たな経路設定による騒音影響範囲の拡大への懸念など、従来とは異なる航空環境の課題に直面しています。こうした状況は諸外国においても同様で、環境対策について様々な取り組みが行われています。そこで、特に、諸外国における環境施策並びに運航方式についての事例を把握し、騒音影響軽減のための情報を整理して国内における対策の参考として役立てることを目的として行っています。
 平成25年から調査を開始し、これまでに、5カ国7空港の事例を収集しました。また、平成28年度には、米国ワシントン及びニューヨーク地区の現地調査を行いました。それらの情報の一部につきましては、航空関連情報に掲載していますで、ご参照下さい。

ICAO/CAEP動向調査

 航空機騒音の規制や評価の方法に関する国際基準や、大気質等を検討する国際民間航空機関の航空環境保全委員会(ICAO/CAEP)の活動に参加、協力し、かつ情報収集しています。

空港周辺地域における航空機騒音の経済評価

ICAO、その他の関連活動

○ICAO(国際民間航空機関)/CAEP(航空環境保全委員会)における活動・協力
○ICAO/CAEP各種作業部会への参加
○JICA(国際協力機構)活動への協力
○国・自治体との協力関係

(1)国交省管理空港等の環境対策における協力(制度上、国によることが難しい空港周辺住環境向上対策の実施等)
(2)航空環境技術向上における協力(騒音予測モデル等の開発・改良、自主的な環境影響測定等)
(3)ICAO/CAEP活動における協力( CAEP活動における航空局の支援)
(4)航空環境関連調査(騒音予測モデル、騒音コンター図作成、騒音・飛行経路実態調査、空港周辺大気環境実態調査等)の受託
(5)航空機騒音防止法等における騒音評価指標改訂に関する検討調査の受託

研究発表会

 当研究センターでは、航空環境に関する動向や研究成果を広く社会に還元・普及することを目的として研究発表会を開催しています。