英国の空港容量を効果的に活用するための滑走路構想の候補選定にあたり、英国の空港委員会は信頼性が疑われるLeqよりも、より現状を反映する騒音評価量を使用する予定であると、英国HACAN(航空機騒音管理のためのヒースロー協会)議長であるJohn Stewart氏がブログで述べています。
以下は英国の空港関連情報サイトであるAirportWatchのニュースとJohn Stewart氏のブログです。
原記事:
http://www.airportwatch.org.uk/?p=19619
(AirportWatchのニュースより)
ブログで、John Stewart氏は-ようやく、そして今更だが-空港委員会が今やLeqによる評価制度の改善を考えているとコメントしている。従来、航空機騒音を測定し、平均して出す数字はLeqだった。飛行経路下の住民が経験し、悩まされてきた、実際の騒音を典型的に表すものではないので、これは航空産業にとっては重宝なものであった。例えば、一定期間にわたって騒音事象を平均することで、騒音の面では1機のコンコルドが上空通過するのと、約4時間に渡り、2分毎にボーイング757が上空通過するのとは同じであると主張することができる。数千数万もの住民に対してより多くの航空機騒音の負荷を負わせる決定をする場合には、明らかに、実用にかなった騒音評価量とは言えない。コンター作成時には常に57Leqコンターが理論上、騒音が「やかましい」地域を示すために使用されてきた。これから、空港委員会は他の評価量も使うことになるだろう。そして、候補に挙がる滑走路構想を推奨する者はその評価量を使用するよう要求される。1つはLdenで、昼間12時間の間、騒音が測定され、;夕方は4時間;そして夜間は8時間測定される。;夕方と夜間はそれぞれ5デシベルと10デシベル加算され、これらの時間帯は背景騒音レベルが低いことが反映される。そして54 db LAeq評価量。そしてN70-これは上空を通過する、70デシベルを超える航空機の数を測定する。
(以下はJohn Stewart氏のブログ)
2014年1月27日
静かな革命
空港委員会は航空機騒音の測定法に静かな革命を起こすかもしれない。
騒音測定についてのブログ?!
読むのは止めようなんて思わないで下さい! これは空港委員会が発信する最も重要で影響力絶大なことの1つになるかもしれないので。
数十年間、英国運輸省(DfT)は、現代の現実とはかけ離れ、恐ろしく時代遅れであるという圧倒的な証拠にもかかわらず、運輸省にとっては好ましい航空機騒音測定法にしゃにむに固執してきた。
ハワード・デイビス委員長の本気の取り組みがその測定法の齟齬を解明し、今やその事実が白日の下にさらされることとなった。
騒音(或いは騒音のうるささ)を測定するためにDfTが使用している現在の評価量-そしてこれはヒースロー空港が第3滑走路を増設する場合の評価量として採用した-は、Fulham、Putney或いはEalingのような地域では航空機騒音による問題は何もないと示している。
明らかに現実的ではない!
このLAeqという、大きな批判を浴びている評価量は、日中16時間にわたって騒音を平均して算出し、次に通常1年間に渡って平均される。1日の内には静かな時間帯や1年の内には静かな日々もあるので、人々が騒音に悩まされている状況を正確には反映していないと大概の人は思っている。
この評価量はまた、個々の航空機の騒音(これは年々小さくなっている)に重きを置きすぎて、上空を通過する航空機の数を十分に配慮していない(これは、不景気による一時的休下落はあれど、最近数年で劇的に増加している)。LAeqを使うと、2分間に1回の頻度でボーイング757が4時間継続して飛行するのと、1機のとてつもなくうるさいコンコルドが飛行してその後3時間58分は静かであるのとではうるささは同じということになる。これは明らかに現実を反映していない! 騒音のうるささのレベルが設定されている57 db LAeqは非現実的なほど高いレベルであるという批判も以前からある。
空港委員会が候補に挙げた提案をこれから数ヶ月間で評価するにあたり、空港委員会の見込みとしては57 db LAeqの評価量を歴史的比較に使用するだけだろう。空港委員会の評価によって騒音測定のまったく新しい時代の到来を告げることになる。
文書のダウンロードは以下のアドレスから。
https://www.gov.uk/government/consultations/airports-commission-appraisal-framework
騒音を日中は12時間測定し;夕方は4時間;そして夜間は8時間測定し、;夕方と夜のレベルにそれぞれ5デシベルと10デシベル加算してこれらの時間帯は背景騒音が低いことを反映させるという、欧州委員会が要求する評価量であるLdenを、空港委員会は使用し、候補に残った滑走路構想の推奨者はこの評価量を使用するようにと空港委員会は要求する。
多くの人々が、これは騒音のうるささをずっと正確に表現できると主張する。空港委員会はまた、54 db LAeq評価量を使用するだろう。さらに、補足的評価量としてN70を使用するだろう。これは不動産の上空を通過する、70デシベルを超える騒音を出した航空機の数を測定し、地元住民が正しく理解するような、いわばわかりやすい情報をもたらす。
そして評価量が影響を及ぼす数の違いを空港委員会は使うだろう。そして、英国運輸省が使用した数字は驚くべきものである。55 Ldenを使うとヒースロー空港の騒音の影響を受ける住民の数は725,000人で、;57 db LAeqを使うと245,000人まで減ってしまう。
英国運輸省或いは個々の空港が57 LAeqだけを使って騒音のうるささを測定するという以前のやり方に戻るのは、デイビス委員会(空港委員会)の評価後は大変難しくなるだろう。
滑走路の提案からどんな結果がでるにせよ、空港委員会は航空機騒音測定に静かな革命を起こし始めた。これからの政策は以前よりずっと正確な騒音測定に基づいて策定されるだろう。
http://hacan.org.uk/blog/?p=225
空港委員会の評価の枠組みは、騒音を48ページから56ページで取り扱っている。
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/
attachment_data/file/271679/airports-framework-consultation.pdf
以下の表は56ページに掲載されている。
訳注:HACANについて
HACANのホームページによれば、HACAN ClearSkiesは航空機飛行経路の及ぼす影響で苦しんでいる人々のために組織的運動に心血を注ぐ欧州で最大の任意団体だそうである。
HACAN ClearSkiesは1960年代にKACAN - Kew Association for the Control of Aircraft Noise(航空機騒音管理のためのKew協会)として誕生した。10年の間に略称が変わり、HACAN - Heathrow Association for the Control of Aircraft Noise(航空機騒音管理のためのヒースロー協会)になった。
ロンドン地域とヒースロー空港からもっと離れたThames Valleyで航空機騒音が初めて深刻な問題となった1999年/2000年にHACANはHACAN ClearSkiesになった。活動資金は支持者からの、主に会員会費によってまかなっている。民間航空産業とは違って、この団体は納税者が治める税金を原資とする助成金や交付金は受け取っていない。
航空交通が増大し、それにより新規の飛行経路が集結することで、ロンドンやThames Valleyのいたる所で航空機騒音と排ガスの影響を受ける人々が増加する。今やこの団体のメンバーは西はWindsorから東はGreenwichまで、北はMile EndとMuswell Hillから南はEpsomまでと、広い範囲から集まっているそうである。