国際航空からのCO2排出抑制策に関するセミナー開催報告

国際航空からのCO2排出抑制策に関するセミナー開催報告

報告者 航空環境研究センター 橋本弘樹
主催 財団法人空港環境整備協会・財団法人運輸政策研究機構国際問題研究所
開催日時:2007年8月30日(木)14:00~16:30
会 場 :航空会館7階大ホール(東京都港区新橋1-18-1)
参加人数:約190名(講演者等を含む) 8月30日に当協会と財団法人運輸政策研究機構国際問題研究所が共催し、国際航空からのCO2排出抑制策に関するセミナーを開催した。航空局の幹部をはじめ講演者等を含めて190名が参加し、大盛況のセミナーとなった。事前に参加を希望された方を考えると約75%の参加となり、ほぼ予想した人数となった。
北澤専務理事の司会でセミナーは、プログラムどおり行われた。はじめに塩田顧問からこのようなテーマで研究会を行った理由や、セミナーを開催するに至った経緯や、講演者、モデレーターへのお礼の言葉が述べられた。最初の講演は、JALの吉田部長から「地球温暖化の取り組み」と題してきめ細かくCO2排出抑制に取り組んでいることが紹介された。また、社会貢献の取り組みとして大気観測プロジェクトや、シベリア森林火災通報について紹介された。続いて、ANA佐々木主席部員から「ANAのカーボン・マネジメント ~CSRの視点から~」と題し、環境マネジメント、B787のローンチカスタマーになった話や社会貢献として森づくり、さんご再生、環境絵本コンクールを行っていることが紹介された。続いて、スカンジナビア航空のNäs氏から“The Environment, the Role of Aviation and What Can an Airline Do.”と題して航空会社としてできるCO2排出抑制策について網羅的に講演された。また、EU-ETSについても言及され、現在EU議会において審議中で数多くの修正案が出されているとのこと。続いて、研究会の報告として東京大学の山口教授が講演した。講演では、総合的アプローチの必要を述べ、これを進めていく上で、ICAO主導の元に共通の基準年・目標年を決定し、施策毎のロードマップを作成すべきではないかということを提案した。また、CO2排出削減目標の設定では、原単位を数値目標にしてはどうか、さらに原単位による排出権取引制度の導入を検討してはどうかとの提案をした。このような提案は、開発途上国、特に中国・インド・ブラジル等をこの仕組みの中に組み入れることを念頭に置いている。具体的な制度設計をどうするのか、また、現在既にある総量キャップの排出権取引市場と、どう組み合わせていくかといった問題が検討課題として残されている。
続いて、立命館大学の佐和教授をモデレーターとしてパネルディスカッションを行った。第1部で講演を行っていない航空交通管制協会の中野副会長、国際問題研究所の松岡調査役、航空環境研究センターの橋本が第1部を受けてコメントした後、CO2削減に向けた航空機・エンジンの技術の改善動向や原単位、航空管制についての議論が行われた。
最後に、国際問題研究所の丸山所長からセミナーへの参加のお礼と10月にワシントンD.C.で開催されるセミナーの紹介をし、挨拶とした。