海外情報紹介 英国の空港容量について検討するためのAirports Commissionの設立

 英国ロンドンのヒースロー空港は、欧州内の他の国際ハブ空港(パリのシャルルドゴール空港、フランクフルト空港、アムステルダムのスキポール空港)と比べて空港容量に余裕がないため、何らかの対策を講じないと中国やインドなど新興成長市場への路線を運用することができずに英国経済の衰退を招くとして、エアライン等から、第3滑走路を増設して容量問題を速やかに解決せよというプレッシャーが英国政府にかかっています。ただし、現連立政権は前労働党政権と異なり、第3滑走路増設には反対して2010年の総選挙に勝ったので、できれば他の望ましい選択肢を選びたいところです。
 ヒースロー空港では現在、「無制限運航試行」が行われ、一定条件下では2本の滑走路を同時に着陸に使用することが許されています。そのせいか、今年の夏は航空機騒音に対する苦情が劇的に増加したそうです。現在の空港容量を効率的に運用するための実験だったはずですが、地元住民にはさらなる騒音問題をもたらすこととなりました。環境に優しく、経済的にも効率のよい空港運営には様々な検討が必要となるでしょう。
 この英国の空港容量問題解決のために空港委員会(Airports Commission)が設立されました。2013年に中間報告、2015年に最終報告を出して、英国の航空政策のための提言をすることになっています。ただし、最終報告が出されるのが2015年の総選挙後ということで、この問題に関する決定を先延ばしにした、と現政権に対して非難の声が上がっています。御参考までに空港委員会設立に関する英国運輸省の発表を掲載します。

原文:
http://www.dft.gov.uk/news/statements/mcloughlin-20121102a/


空港委員会の構成員と付託条項

発表者: Patrick McLoughlin (運輸大臣)
公表者: 英国運輸省
発表年月日: 2012年11月2日
様式: 声明書

 世界の航空ハブである英国の立場を維持するための政府の選択肢を特定して提言するための、Sir Howard Daviesを委員長とする独立委員会を設置する計画を、9月7日に政府は公表した。Sir Howardと検討した結果、政府は委員会の全構成員と付託条項をここに公表することとなり、委員会は空港委員会(Airports Commission)と命名されるだろう。
 空港委員会の構成員を選ぶにあたり、政府はSir Howardと協力して、様々な技能、経歴そして経験を持つ個人名を挙げていった。委員会ではまた、構成員の直接の専門ではない分野の問題検討の機能を強化するために、専門家のアドバイザーによる小委員会の選任を予定している。  Sir Howard Daviesの他に、委員会の構成員は以下の5名となる。:

・Sir John Armitt、Olympic Delivery Authorityの元Chairmanで
 Network Railの元Chief Executive
・Professor Ricky Burdett、ロンドン大学経済学校(LSE)の都市研究の
 教授でLSEの都市 研究センターの所長
・Vivienne Cox氏、BP Alternative Energy社の元CEOで元Executive
 Vice Presidentであり、BP Executive Management Teamのかつての
 構成員
・Professor Dame Julia King、Aston大学の副総長で気候変動委員会の
 構成員であり、航空宇宙産業の経歴がある
・Geoff Muirhead CBE、Manchester Airport Groupの元CEO  委員会の付託条項は以下である。:

 委員会は欧州の最も重要な航空ハブとしての英国の立場を維持するためのさらなる空港容量の必要性の規模と拡張すべき時期を調査する。;そして、さらなる空港容量の必要性を短期的、中期的、そして長期的にいかに満たすべきかを定義し評価する。
 英国規模の視点を保ち、いかなる提案も国家的かかわり合い、地域的かかわり合いそして地元とのかかわり合いにおいて、適切に配慮する。
 利害関係者や一般人と率直に議論をかわし、証拠や提案を示す機会や、委員会の仕事に関連する展望を発表する機会を持つ。
 反対派はもちろんのこと、地元自治体や権限を委譲された政府を含めた様々な利害関係者と議論する機会を求め、委員会の取り組みと提言を支持するための合意を成立させる。  委員会は2013年の終わりまでに以下について報告を行う。:

・世界のハブとしての英国の立場維持に必要な段階的方策の性質や規模
 そして実施時期についての証拠の評価;そして
・現在の滑走路能力の使用法を改善するための、これからの5年間に行う
 速やかな対策に関する委員会の(1つ或いは複数の)提言−これは信憑性
 のある長期の選択肢と矛盾しない。

 委員会の中間報告での評価と提言は、航空の需要や接続性に関する現在の英国の立場、これらがいかに発展していくかの展望、そして国際及び国内の接続性について見込まれる英国の要件の将来の様相に関する証拠の詳細な精査で実証されねばならない。
 速やかな対策の可能性について委員会が評価するにあたり、経済的、社会的そして環境的費用と利益、そしてoperational deliverabilityを考慮に入れねばならない。また、一層詳細な展開に値する、信憑性のある長期の選択肢の初期的高レベル評価によって情報はもたらされねばならない。  委員会は2015年夏までに以下について報告せねばならない。:

・英国の国際的接続性の必要性を満たす選択肢の、経済的、社会的そして
 環境的影響を含めた評価
・いかなる必要性も満たす最適なアプローチに関する委員会の(1つ或いは
 複数の)提言;そして
・要求される時間内で実行可能な限り迅速に、その必要性が満たされる
 ことを確実にするための委員会の(1つ或いは複数の)提言

 委員会は最終報告では、信憑性のある選択肢のそれぞれについて詳細な考察にもとづいて提言を行わなければならない。各選択肢の運用上の実行可能性や商業的及び技術的実行可能性の検討とともに、各選択肢の詳細な投資対効果検討書と環境影響評価書の展開或いは分析が盛り込まれねばならない。
 主要空港のインフラに関する将来の計画申請がいかなるものであれ、この詳細な分析に基づき、その解決を早めるために政府が National Policy Statementを準備するのを支援するための材料もまた、2015年夏の最終報告書の部分として委員会は供給しなければならない。

海外情報紹介 −ヒースロー空港に第3滑走路を建設すると大気汚染による死亡が3倍になると調査が警告する。

 10月12日付けのguardian.co.ukに英国空港と健康影響に関する学術的調査について報告がありましたので要約を掲載します。英国では空港容量を拡大するために様々な提案がなされていますが、騒音や大気汚染などの環境問題もあり、2015年の総選挙までは政府の方針が決まりそうもないので、喧喧諤諤の議論になっているようです。  論文審査があるAtmospheric Environment誌に掲載される予定の「英国の空港が大気質と公衆衛生に及ぼす影響 第二報:影響と政策の評価」によれば、ヒースロー空港に第3滑走路が建設されると、ヒースロー空港の大気汚染による早死には2030年までに3倍になるとのことである。調査では英国の20主要空港、特にロンドン周辺空港での運航が公衆衛生に及ぼす影響に焦点をあてている。
 この調査は英国の主要空港の航空機有毒ガスと健康の因果関係を分析する初めての調査であるが、それによれば、年間50の早期死亡はヒースロー空港の大気汚染に起因すると考えられる。
 空港を拡張しない場合でも、飛行回数が増えることで大気汚染による死亡の数は2倍を超えることになるだろうと著者は結論づけている。
 ヒースロー空港拡張に反対している活動家や政治家なら間違いなくこの調査結果に飛びつくだろう。
 ヒースロー空港のように人口集中地域の真ん中にもともと空港があるのが問題なのだとマサチューセッツ工科大学の航空と環境研究所のdirectorであり今回の調査の上席著者であるSteven Barrett教授は言う。「また、英国の卓越風により、排出物がロンドン全体に渡って吹き渡ってしまうのだが、テームズ河口に空港を建設すれば、主要な大都市圏から十分離れていて、卓越風がイギリス海峡と北海へ汚染物質を運んでくれるだろう。」とのことで、ヒースロー空港の運航がテームズ河口の新規ハブ空港へ移管されれば、健康上の大きな利益があることが調査で明らかになった。
 地域の大気質を悪化させるのは着陸時と離陸時の排気ガスだけではない。航空機の地上走行、空港の地上支援装置、ジェット燃料を使用して機内電力を生成する補助動力装置もまた汚染の原因となる。
 研究者らは、2005年のデータに基づき、英国空港は各年で110の早死にに関与していると結論づけ、その多くの死因は肺がんと心肺の病状によるとした。この中で、50がヒースロー空港のみに由来すると関連づけられると彼らは計算する。
 政府の統計によれば、これからの20年で航空旅行は50%を超える増加が見込まれているので、公衆衛生への影響もまた増大するだろう。ヒースロー空港に第3滑走路が増設され、制約無しで航空交通が増大するなら、空港による早死にが150になり、英国全体の死亡は260になるだろう。第3滑走路を建設しなくても、死亡率の数字は実質的には上昇するだろう。他空港がより多くの交通をになうなら英国全体の死は250で、ヒースロー空港に直接由来するのは110になるだろうと研究者らは見込んでいる。
 研究者らはまた、ヒースロー空港を完全に閉鎖し、テームズ河口の新規ハブ空港(ロンドン市長のBoris Johnson氏が提案したので「ボリス島」と時折呼ばれる)に全運航を移管するという、根本的に異なるシナリオも予測した。
 すると、英国全体で60の生命が救われ、新規に建設されるハブ空港自体が今度は現在のヒースロー空港と同様の50の早期死亡の原因となるだろうとのことである。空港を移転しても飛行機からのCO2排出により空港が気候変動に及ぼす影響にはたいした変化はないだろう。
 この予測は政府の航空に関する諮問文書にも取り入れられることになりそうであり、ロンドン市議会の健康と環境委員会の議長Murad Qureshi氏によれば、同委員会でも討議されることになっている。
 大気汚染物質の医学的影響に関する政府の諮問委員会(COMEAP)で汚染リスクに関する主要な調査を指揮する疫学者の Fintan Hurley氏は、この報告書を歓迎したが、自動車や大型トラックがヒースロー空港へ乗り入れることの付加的影響は分析に含まれていなかったので、空港計画を完全に比較するには、例えば鉄道の路線が加わる等の将来の変化についても考慮に入れるべきであるとのことだ。
 2008年にHurley氏が率いた委員会調査では、英国では大気汚染が年間29,000の早死にの原因になっているそうだ。彼によれば、「110の死は英国全体の汚染物質による死亡と比較すれば小さい数字だが、もし航空機の墜落による死者が英国で年間110ならば、大規模な調査が行われていただろう。」
 Barrett氏によれば、死亡の多くは比較的単純な対策で避けることが可能らしい。飛行機は電力を機内の補助動力装置から得ているが、飛行機がスポットにある時は運転を止めないことがしばしばある。空港の電力供給設備につなげばこれらの排ガスが減るだろう。空港支援作業に電気自動車を使用することも同様である。脱硫燃料使用で燃料コストは2%しか増えないが、健康影響は20%低減できる。汚染を軽減する努力によって全体で、空港の運営によって排出される汚染物質を半減することが可能だろう。
 ヒースロー空港の広報担当者は言った。:「航空が大気汚染に占める割合は道路交通に比べればずっと小さいが、我々は問題に取り組むための十分な措置をすでに講じている。たとえば、車が無くても無料で空港にアクセスできるよう、地元の公共交通を我々は支援している。また、どれだけ環境対策を行っているかに基づいてエアラインに課金しているが、最も環境対策が進んでいる航空機はヒースロー空港の着陸料が少額ですむ。」
原記事:
http://www.guardian.co.uk/environment/2012/oct/12/heathrow-third-runway-air-pollution?INTCMP=SRCH

原著論文:
(抄録を見るのは無料ですが、全文ダウンロードは有料です。):
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/
S1352231012009818/


 ちなみに上記調査の第一報は、2011年の第45巻第31号p.5415-5424に掲載されています。

海外情報紹介 −ヒースロー空港の飛行パターン実験が進行中である。

 Your Local Guardian.co.ukに英国ヒースロー空港の『無制限運航試行(Operational Freedoms trial)』に関する記事が掲載されましたので、要約を載せました。なお、現在は第2期の試行期間で(2012年7月1日から2013年3月31日まで)、第1期は2011年11月1日から2012年2月29日までに行われたそうです。

(Your Local Guardian.co.ukの2012年10月23日付け記事を要約)
 ヒースロー空港では、通常は飛行しない時間帯にもWandsworth地区上空で航空機が降下を可能とする新飛行方式を試行中である。
 『無制限運航試行』は、空港の運行効率を向上させるため来年3月まで継続されるが、航空機の飛行回数は変更されない。
 ヒースロー空港の現在の運用方式は、1本の滑走路を離陸、もう1本を着陸に使用することのみが認められており、午後3時を境に飛行経路下の住民を頭上の航空機から解放するために使用滑走路を変更することになっているが、空港当局(BAA)は、試行中は到着機に10分以上の遅延が生じる場合にのみ同時に2本の滑走路を着陸に使用することを認めている。
 これは、ロンドン中心部上空をWandsworth地区住民が航空機騒音から解放される8時間を含む半日間に現在以上の航空機が着陸のために通過することと言える。
 本試行は政府により認められているが、地元自治体は意見を述べる機会を与えられなかった。
 Wandsworth地区議会は、本試行方式を実用化する前に騒音影響に適切な配慮がされているか否かについて調査中である。
 本試行に意見を持つ或いは騒音が増加したと感じる住民は、自治体のウェブサイトに意見を投書することが出来る。
 飛行経路下に住む住民の意見こそ地方議会の重要な課題であろう。
原記事:
http://www.yourlocalguardian.co.uk/news/topstories/10002352.
Heathrow_Airport_flight_pattern_trials_underway/


ヒースロー空港の無制限運航試行に関する詳細:
http://www.heathrowairport.com/noise/noise-in-your-area/operational-freedoms-trial

海外情報紹介 ― 風力タービンでEast Midlands 空港が英国で最も環境に優しい空港になる。

 Derby Telegraph紙に英国で最もgreenな空港であるEast Midlands空港の紹介が掲載されましたので、御参考までに要約を載せました。ちなみに、この空港は2011年の旅客数がCAAの統計によると4,215,192人だそうで、これはこの年の英国空港では12番目の旅客数だそうです。

(Derby Telegraph紙の2012年8月23日付記事を要約)  英国で初めて、地上作業をすべてカーボンニュートラルな空港にするという目標を達成して、East Midlands空港の職員が祝っている。
 空港の親会社であるManchester Airports Groupの「企業の社会的責任と年次報告書」の中で発表された。
 風力発電所を含む、再生可能エネルギー資源に空港は400万ポンド費やした。
 ターミナルビルにバイオマスボイラーを設置して、そのボイラー用の燃料に使用するため現地に26ヘクタールの柳林を植林した、英国で最初の空港である。
 また、現地に風力タービンを2機設置して空港の電力の5%を供給する英国で最初の空港になった。
 East Midlands空港は、また、目標の廃棄物リサイクル率40%という数字を大幅に超えた、英国の空港では最も高い88%を達成した。
 Manchester Airports Groupの総務directorであるNeil Robinsonは、「East Midlands空港が英国で最初にカーボンニュートラルな地上作業を実現した空港であることを喜ばしくまた誇らしく思う。」と述べた。
 「我々は英国の他のどの空港よりも先駆けて実行しており、炭素排出低減のために我々の経験を同業者の間で分かち合いたいと思っている。」
 一方、Manchester Airport Groupの年次報告が今日公表され、East Midlands空港の収入は昨年と比べて3.5%増加し、5,000万ポンドになった。
 旅客数も4.1%増加して430万人になった。これで、MAG全体で1,350万ポンド利益が増加して6,550万ポンドになった。
 East Midlands空港では2番目に大きい格安航空会社のBMI Babyの、同空港からの最終フライトは9月9日に運航することが告知された。
 その後、BMI Babyが運航していた32ルートの何ルートかを、Monarch、FlybeそしてJet2を含むエアラインが引き継ぐ計画が発表された。

原記事:リンクはこちら

East Midlands空港の環境対策:リンクはこちら

海外情報紹介 FAA航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議開催時期の延期について

 今年の4月24から25日まで、FAA主催で米国において開催される予定だった第2回航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議が延期になった、と2月26日付のメールで連絡がありました。ご参考までに翻訳を掲載します。

 騒音研究ロードマップに変わらず関心をもっていただきありがとうございます。2012年4月に次回ロードマップ会議を主催する予定でしたが、参加機関のスケジュールが合わないため、また、何名かの主要参加者が予算不足で参加不可能により、その時期では開催ができないことになりました。夏の終わりか秋の初めに会議を開催することで再度日程調整をする予定です。日程について何か情報が入り次第、再度開催時期をご案内します。航空機騒音研究のあらゆる分野における、引き続きのご協力、ご関心を願っております。

 何か御質問がありましたら、ご遠慮なく私に連絡して下さい。


Rebecca Cointin
Noise Division Manager代理、AEE-100
環境とエネルギー課(Office of Environment & Energy)
連邦航空局
電話:202-493-5047
携帯:202-527-4544
ファックス:202-267-5594
Rebecca.Cointin@faa.gov

海外情報紹介 タイ国における空港騒音評価と騒音マネージメントについて

 タイ国の若手研究者Krittika Lertsawatさんにお願いして空港環境問題の解説記事を2件寄稿していただきました。その抄録(和文)と原文(英文)を掲載します。
1.Airport Noise Management in Thailand 原文はこちら 抄録はこちら
2.Airport Noise Assessment in Thailand  原文はこちら 抄録はこちら
1.タイにおける空港騒音マネージメント

 1944年の国際民間航空条約(シカゴ条約)が、発生源での航空機騒音の低減、騒音に見合った土地利用、騒音低減飛行方式、運航の制限、及び騒音料や騒音税という、空港の騒音対策の根幹要素を規定する。これらの法的対策が、1971年の民間航空法B.E.2514のもと、1975年のB.E.2518から、条約加盟国であるタイで採用されるようになった。条約には、2006年の付属書16第1巻への4度目の修正〔1〕後に採用された、汚染管理のための航空機騒音料、騒音証明、運航及び航法の規制に関する数多くの修正がなされた。「バランスのとれたアプローチ」政策〔2〕が国の政策として、航空輸送システムと空港騒音管理において、問題解決のためにより効率的かつフレキシブルに、実用的な形で採用されるべきである。1992年の、環境の質を向上させ、広く普及させるための法律B.E.2535の法的諸装置、すなわち、空港騒音の許容値とその測定方法、空港騒音の計算と、経路追跡システムとセットになった空港騒音モニタリングシステムの決定が、騒音に関連づけた民事での賠償或いは補償のための騒音コンター図も含めて、適切に整備されねばならない。

2. タイの空港騒音評価

 タイにおいて、空港計画は、法によって環境影響評価(EIA)を要求される開発計画リストに含まれる。空港開発計画用のEIA報告をとりまとめるコンサルタントが自由に選択して空港騒音影響評価手順が提案される。空港騒音評価手順は50年を超える年月もの間、米国のコンサルタントが提案したNoise Exposure Forecast (NEF)に沿って行われてきた。タイでは、空港騒音に関してどの騒音評価量を使用するか、どのような計算をするかについて指定するいかなる規則、規制も存在しない。NEFは現在、空港騒音レベルとそのコンターを計算するために有用な、よく用いられる騒音評価量であり、提案された空港開発計画とその拡張についてEIA報告で空港騒音軽減手法や監視計画を決定するための1案としてのコンター図を作成する。騒音暴露レベル(SEL)を用いた、昼夜騒音レベル(Ldn)と昼夕夜騒音レベル(Lden)測定もまた、将来の土地利用の適正さを考慮するために提案された。タイにおいて空港騒音評価の計算と測定に特定した規則を提案する目的で、それらの測定と計算が調査の秤に載せられてきた。

海外情報紹介 FAA航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議開催案内

 今年の4月24日から25日まで、米国バージニア州アレキサンドリアにおいてFAA主催で開催される第2回航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議の開催案内が米国連邦航空局からメール通知で届きました。参加条件については明記されておりませんが、興味深い内容ですので、ご参考までに翻訳を掲載します。


航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議2012年4月24-25日開催について

2012年4月24-25日に第2回航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議を、バージニア州アレキサンドリアにて開催します。

 航空機騒音影響研究に関するロードマップ会議(ANIRR)の第2回年次会議が、ワシントンDC地区において4月24-25日に開催されます。ANIRRの趣旨は、限られた資源を有効に活用しつつ、航空機騒音が社会に及ぼす影響問題に取り組むための最良の方法について、知識を深めるための組織的で、重点的かつ相補的調査計画を定めることにあります。

 第1回ANIRR年次会議は2011年4月に開催され、進行中の活動についての討議、調査成果の調整の目的で、航空機騒音コミュニティを招集することに成功しました。出席者は連邦機関、国際機関、学術研究機関、産業界、そして一般人からの幅広い代表者達でした。参加した連邦機関は米国運輸省/連邦航空局、国防総省、航空宇宙局、国立公園局、住宅都市開発省、疾病対策予防センター、国立衛生研究所、海洋大気局でした。

 発表された資料や、討議、知識の隔たりアンケートに対する解答に基づき、ANIRR2011の記録がまとめられました。記録には重要な調査要素の概略、進行中の計画やプロジェクトの概要が含まれ、現在の知識の隔たりや将来の調査活動を確認しています。ANIRR2011の記録と2011年会議の全ANIRRの発表が、航空機騒音に関する連邦省庁間委員会(FICAN)のウェブサイトhttp://fican.org/で入手できます。

 第2回ANIRR会議は2012年4月24-25日にEmbassy Suites Hotel(1900 Diagonal Road, Alexandria, Virginia 22314)での開催が予定されています。この会議の目的は重要な調査の必要性を確認し、優先順位を明確にすることです。2012年の会議は以下の論題に焦点をあてる予定です。:航空機騒音のうるささ、健康と福祉に及ぼす騒音の影響、国立公園と原野における騒音、そして航空機騒音のモデル化。将来の年次会議の形式やロードマップの記録についてのオープンな討論が、議題には含まれる予定です。

 ANIRR2011の記録は、調査の成果についての現在の状況を反映するように、会議後に更新される予定です。

 もし発表或いは声明のご希望があれば、また、ご質問があるなら、FAAの環境とエネルギー課のDr.Natalia Sizovに連絡をして下さい。連絡先はNatalia.sizov@faa.gov, 202-267-3553です。

Natalia Sizov, Ph.D.
環境とエネルギー課(Office of Environment & Energy (AEE))
連邦航空局
800 Independence Ave., SW, Washington, DC
20591, 202-267-3553, natalia.sizov@faa.gov

海外情報紹介 米国科学アカデミーの空港協力研究パネルが実施中の騒音関係のプロジェクトについて

 米国科学アカデミーの輸送研究委員会の空港関連パネルで現在進行中のプロジェクト「航空機騒音のうるささと睡眠障害を理解するための調査方法」について情報提供がありました。計画概要の翻訳を掲載しましたので、ご参考までにご覧下さい。 米国科学アカデミーの輸送研究委員会のACRP(Airport Cooperative Research Panels)で現在進行中のプロジェクト(ACRP 02-35)(情報提供:英国のBernard F. Berry氏)

航空機騒音のうるささと睡眠障害を理解するための調査方法

背景 航空機騒音にさらされる地域の人々は、昔から空港活動や空港開発に対して反発を示してきた。1978年に公表されたSchultzによる起源的論文が、昼夜平均騒音レベル(DNL)で表す輸送騒音暴露レベルとその騒音に大変悩まされている人口の割合の間の相関関係(暴露と反応の関連性)を、うるささを測定するための最も一般的に認められている方法である社会調査を使って明らかにした。Schultzの成果は1992年にFederal Interagency Committee on Noise (FICON)が再確認した。それから、米国における航空機騒音影響に関する研究は足踏みをしており、その一方、交通量は実質的に増加し、航空機1機毎の騒音レベルは目覚ましく改善されるという状況の中で、航空機騒音問題は広がり続けている。そのため、現在入手できるデータに基づく暴露−反応関係が今日の米国空港の状況を十分に表しているかどうかがはっきりしない。

 航空機騒音はまた、睡眠を妨害する可能性がある。睡眠障害の度合いと騒音暴露レベルの間の関係性を明らかにすることが、騒音の悪影響をとらえて、共同体をそれから守るためには不可欠である。現在、睡眠障害について広く受け入れられた暴露−反応関係が無い。

 米国における、共同体のうるささと睡眠障害に関して、時宜に適った暴露−反応関係を確立するには、様々な空港のタイプ、立地状況をカバーした、データ獲得のための大規模な組織的活動が必要であり、次には、よく設計された調査が必要である。

 騒音暴露−うるささ関係を理解するためのデータ取得のためと、航空機騒音が睡眠に及ぼす影響をより理解するための方法開発のための、大規模な社会調査を行うための実施要綱開発のために調査が必要である。


目的 今回の調査の目的は、(1)米国内の航空機騒音暴露−うるささ反応の関係についての大規模調査のための調査実施要項の開発と有効性の実証及び、(2)米国空港のための、航空機騒音と睡眠障害の関連性評価のためのフィールドスタディーのための代替調査手法の提案である。


進行状況 調査は進行中で、委員会は詳述した作業計画を再検討し、承認した。

海外情報紹介 European Commission(欧州委員会)の環境部門が発行しているニュースペーパーより、「環境騒音」に関するテーマ号が発行されました。

 昨年11月に、European Commission(欧州委員会)の環境部門が発行しているニュースペーパーの、「環境騒音」に関する特集号が発行されました。欧州の環境騒音対策に関する興味深い記事が掲載されているので、抜粋ですが翻訳を掲載します。

原文のページはこちら
-----------------------------------------------------------------------------
DG Environment News Alert Service
Thematic Issue
November 2011, Issue 29

環境騒音

総論「騒音公害を低減するためのステップ:より健全な住環境のために」

報告1.交通騒音は100万を超える健康な年月を阻害している。
報告2.航空機騒音が引き起こす認知障害:家庭と学校で
報告3.騒音マップによれば健康影響を受ける騒音レベルにさらされている多くの人々が存在する。
報告4.人々が航空機騒音のうるささの影響をより一層受けるようになったのは本当か?
報告5.道路の表面が静かであると、音響的効果同様に財政上の利益もある可能性がある。
報告6.交通管理と物理的手法を組み合わせると騒音が減少する。

(記事の詳細はPDFにリンクしてあります。)

海外情報紹介 インターノイズ2011における航空機騒音関係の投稿論文から

 昨年の9月4日から7日まで、大阪市のグランキューブ大阪において、騒音制御に関する国際会議「インターノイズ2011」(毎年開催)が開催されました。各国から興味深い発表が多数寄せられましたが、航空機騒音関連の発表3件について、著者のご了解を得て抄録(和文)を掲載します。 バンコク国際空港の航空機騒音低減のために経済的装置は必要か?

Krittika Lertsawat、Lalin Kovudhikunrungsri、Surocha Phoolsawat

 2009年における航空機の発着回数が約253,967回で旅客数が3,904万4,949人[1]である新バンコク国際空港(BIA)、別名スワンナプーム空港は、他の繁忙な空港と同様、空港周辺の共同体において深刻な騒音問題に直面してきた。この問題はチャプター2航空機の段階的締め出しや騒音監視手法のような技術的な仕組みで軽減されてきた。その一方、いかなる経済的な仕組みも取り入れていない。離着陸料は、たとえ計算が可能でも、騒音をもう1つの要素としてとらえていない。現在、タイ空港株式会社(Airports of Thailand Public Company Limited (AOT))は、騒音問題に直面している空港周辺の建物の居住者や所有者に補償をしなければならない。騒音料を集金することは補償を助成するもう一つの方法になりうる。航空機騒音軽減のために、騒音に課金する2つのモデルを配慮深く提案する。


騒音パネル報告:ICAO CAEPワークショップ、気候変動、騒音と大気質に航空が及ぼす影響を数量化するにあたっての不確実性とギャップ、及び現在の科学的知識を評価する

Lawrence Finegold、Michel Vallet

 この記事は、2007年10月29日から11月2日にかけて、カナダのモントリオールで開催された、国際民間航空機関(ICAO)の航空と環境保護に関する委員会(CAEP)ワークショップの結果報告である。「気候変動、騒音と大気質に航空が及ぼす影響を数量化するにあたっての不確実性とギャップ、及び現在の科学的知識を評価する」という標題の最終報告書は米国連邦航空局のPARTNER Center of Excellenceウェブサイト:
http://web.mit.edu/aeroastro/partner/reports/caepimpactreport.pdf
でダウンロードが可能である。委員会の研究の知識基盤を広げ、新しい局面をもたらすため、CAEPは、航空機騒音や航空機エンジン排出物が健康や福祉に及ぼす影響のような、時機を得た、浮上してきた新領域についての助言を求めて定期的に国際的なワークショップを開催する。そして、それによって先端の調査の展開を絶えずうかがい観ることが可能になる。
 2007年のワークショップは、CAEPが入手可能な最良の専門知識を収集し、充分な情報を得た上での意志決定を補佐するために航空業界へ配布するというやり方が成功した一例であった。ワークショップの結果はICAOに重要な情報をもたらしたので、この分野でのいっそうの展開を可能にするだろう。2007年のモントリオールでのICAO CAEPワークショップは、航空機政策及び調査を援助する活動に関連したCAEPの活動に携わる国際的な専門家達を、1つの大きな集団として招集し、航空が環境に及ぼす影響を最小限にするための計画の研究と発展を目的とした、かくも他に類を見ない国際フォーラムとなった。この論文ではICAO CAEPワークショップ報告全体の中の騒音委員会部分からの詳細を報告する。



欧州及び米国から選んだ国際空港における騒音管理及び騒音軽減対策調査:ICAOのバランスのとれた取り組み方法

Lawrence Finegold、Michiko So Finegold、Bernard Berry、Ruud Ummels, Royce Bassarab

 2009年1月、日本の空港環境整備協会(AEIF)は、日本の東京にあるアン環境文化研究所に対し、欧州では2ヶ所、米国では1ヶ所の下請け業者を通じて、英国のヒースロー空港、オランダのスキポール空港、米国の重要な3空港において、国際民間航空機関(ICAO)の、空港改善への「バランスのとれた取り組み方」という、以下の4つの概念をどのように実施してきたかについての情報を供給するという契約を発注した。
   ●発生源での騒音低減
   ●土地利用計画と管理
   ●騒音低減運航手順、そして
   ●航空機に課す運航制限
 日本の航空局(CAB)には、ICAOの「バランスのとれた取り組み方法」を、東京の羽田空港の将来の開発で取り入れる計画がある。今回の論文では、欧州及び米国の主要5空港の発展過程で、いかに上記の各4要素が実施されたかについて述べる。調査した空港はすべて、ICAOの「バランスのとれた取り組み方法」のガイドラインにかなり忠実に従っているように見える。幾つかの概念的な差異にもかかわらず、調査対象空港間の相違よりも類似性がはるかに際だっている。騒音について充分な情報を供給すること、公衆を空港計画の段階で巻き込んでおくことを含め、公衆との相互関係に重きを置くことが、全調査空港の取り組み方法の核をなす要素である。各空港における対策の詳細、特に各空港がICAOのバランスのとれた取り組み方法の核になる概念をいかに使用しているかについては本文で述べる。