海外情報紹介 ヒースロー空港の滑走路再舗装作業で騒音被害が拡大する。

Your Local Guardian. co.ukにヒースロー空港の滑走路再舗装作業が騒音被害を増大させる可能性について記事が掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:http://www.yourlocalguardian.co.uk/news/10240634.
Runway_works_mean_more_noise/


ヒースロー空港ホームページの関連記事:
http://www.heathrowairport.com/noise/noise-in-your-area/runway-resurfacing 2013年2月21日木曜日am7:00

 ヒースロー空港の滑走路再舗装作業のせいで、飛行経路下の住民の航空機騒音被害が増大するだろう。

 南滑走路の再舗装作業のせいで、夜間飛行はすべて、北滑走路に着陸することになるだろう。− 夏の間中ほとんど、飛行経路はKewとBarnes上空を直接通過することになる。

 ヒースロー空港の広報担当者曰く、「約10年に一度の必須の滑走路再舗装作業によってご迷惑をかけるのは申し訳ないと思う。」とのことである。

 「飛行の総数が増えるわけではないが、北滑走路の飛行経路下の住民には早朝の騒音影響が不幸にも拡大することになるだろう。その分、南滑走路近辺の騒音は減るのだが。」

 ヒースロー空港はエアラインに対し、騒音のうるさい航空機にはより多く課金することで、夜間は最も静かな飛行機を飛ばすように奨励しており、影響を受ける住民には防音工事を提案している。

 ヒースロー空港拡張に関して5月に、Richmond upon Thames(ロンドン特別区の一つ)規模の投票を実施しようと準備をしている区議会のleaderであるLord True氏は、夜間飛行に悩まされる住民は皆、抗議すべきだと述べた。

 彼によれば、「安全を守るため、滑走路を再舗装する必要は理解しているが、ヒースロー空港はam4:30の目覚ましコールと耐え難い騒音で睡眠を妨害し、数週間或いは数ヶ月もの間、多くの人々に試練を味あわせてはならない。」とのことである。

 「作業の進行中は、いかなる飛行経路でも夜間飛行は増やさないという規則があるべきで、そのために再舗装作業中は何らかの業務の停止或いは日程変更が行われねばならないなら、我々は少なくとも、ヒースロー空港が万難を排して事に当たることを望む。」

 この作業は、3月3日から10月31日までの夜間飛行パターンに変更を生じさせ、必須のものであるとはいえ、ヒースロー空港拡張に強い反対が唱えられている時期に行われることになる。

 Richmond Park選挙区選出の下院議員であるZac Goldsmith氏は大臣達に対し、Richmondの住民のため、彼等の意見を現在の夜間飛行体制に反映して、Richmond Heathrow Campaignと緊密に連携するよう要求してきた。

海外情報紹介 実質的に煙突の役割をする、単純構造のブラストフェンスが空港の環境汚染を低減する可能性がある。

単純構造のブラストフェンスで空港周辺の大気質改善を行うための実験が英国のCranfield空港で実施されました。工学・物理科学研究委員会(Engineering and Physical Sciences Research Council, EPSRC)のホームページで概要が紹介されましたので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:http://www.epsrc.ac.uk/newsevents/news/2013/Pages/
virtualchimney.aspx


2013年1月31日付けプレスリリースより  最近の調査により、バッフルと呼ばれる単純構造の「ブラスト」フェンスが空港周辺住民のための大気質改善をもたらす可能性があるとわかった。

 滑走路の背後に設置したバッフルは「仮想煙突」として機能し、航空機エンジンからの排出物を1カ所に集めて上方へ流し、より効果的に消散させられるので、結果として近隣住民への環境影響を低減する。

 試作型バッフルはEngineering and Physical Sciences Research Council (EPSRC)の資金供給により、Manchester Metropolitan大学、Cranfield大学、 Southampton大学そしてCambridge大学の研究者チームによって実験が行われてきた。

 Cranfield大学による、様々な形状のバッフルを使用した予備的風洞実験の後、3列のバッフルを多数並べ、レーザースキャニング(Lidarといい、光学的レーダーである。)と化学的センサー技術を用いて、BedfordshireにあるCranfield空港で実験が行われた。低価格の農業用防風ネットを軽量フレームに張って組み立てた、人間の身長より低い試作型バッフルを使用することで、航空機の排気プルームを空港の境界柵内で地面から上昇させることができると、この実験が実証した。

 計画を指揮したMike Bennett博士によれば、:「飛行場の表面は通常、草が覆っていて、風がその上を自由に吹き渡っている。多数のバッフルを並べることで表面に空気力学的な意味でのでこぼこを作る。これが運動量を排気ジェットから吸い上げて、自然の浮力が作用し始めるのを可能にする。バッフルを適切な角度に配置することで、排気を上方へと押し上げてやることも可能になり、排気の地表からの上昇を促進する。」

 「我々が実験したバッフルは、この鉛直流を最大限に利用するためと、バッフルが機能停止しないよう確実にするために、40°から60°の傾斜をつけた。排気ガスがそれでもいずれは地上へとまき散らされるだろうが、濃度は低くなっているだろう。航空機が離陸する場所の背後にある外周フェンスで表面濃度を約50パーセント低減できればよいと思っている。」
 欧州内の多くの主要空港周辺で二酸化窒素(NO2)の長期地表面濃度は、EUが設けている法定限度をすでに超えている。

 実験の目的は、バッフルの空気力学的作用を基本的に検証することだった。試作品の設置は一時的だったので、常設のためにどのように設置するかという観点からは遙かにかけ離れたやり方で組み立てられた。各バッフルはジェットエンジンの80から90ノットの爆風に耐えられるように十分頑丈でなければならないが、航空機が衝突しそうな時は航空機を傷つけることなくつぶれるように十分壊れやすくなければならない。実験では、試作型バッフルの幅を約2メートルに制限することでこれは達成されたが、常設するなら、かなり幅を狭くすることで実用可能なものになるだろう。本格的使用にあたっては、滑走路背後に、ほぼ1,000平方メートルに渡ってバッフルを設置する必要があるだろう。

 実験では、エンジン騒音の流れをバッフルが適度に弱めることも分かり、空港の周辺部でジェット噴流を低減するにも有益であることが判明した。

 Bennett博士によれば、「2年か3年以内に空港でバッフルの設置を開始できない理由はどこにもない。」とのことである。「地域的大気質の点から見れば、バッフルは、NOxの低いジェットエンジン開発のための、時間と費用のかからない補完対策の代表である。」

 EPSRC(Engineering and Physical Sciences Research Council)が資金供給し、2008年設立で、航空分野における最先端の研究を請け負う、空港エネルギー技術ネットワーク(Airport Energy Technologies Network, AETN)の援助で計画は実施された。

編者のための注記

 2012年秋に完了し、EPSRCの資金供給をトータルで £413,000受領した、英国研究会議(Research Councils UK, RCUK)のエネルギー関連研究プログラムである「民間航空機の排気ジェットの実用的軽減技術の研究」の3年計画の一環としてバッフルの開発が行われた。 Cambridge大学は屋外実験での大気質監視のための専門技術を提供した。Southampton大学の音響振動研究所が音響学的調査を行った。

 Cranfield空港の屋外実験で使用した航空機は自然環境研究委員会(Natural Environmental Research Council, NERC)の空中大気測定のための設備で、4発のBAe146型機である。航空機は全部で12回離陸し、各回とも、5〜15秒間、離陸に先立ち滑走路端でエンジンをふかした。

 Lidarは光学的レーダーである。排気プルームの拡散を監視するために排気プルームをパルス状の紫外線レーザー波でスキャンした。

 空港エネルギー技術ネットワーク(AETN)に関連した初期のプロジェクトは、2009年11月のEPSRCのSandpit(砂場)行事の出力だった。Sandpitsは特定の論点を深く掘り下げて革新的解決策を見いだすために自由な発想が奨励されている集中公開討論会である。

 工学・物理科学研究委員会(Engineering and Physical Sciences Research Council, EPSRC)は、工学・物理科学の研究に資金供給するための英国の主要機関である。EPSRCは、英国が次世代の技術変革に対処するのを支援するため、研究と卒後研修に年間8億ポンド出資する。カバーする領域は情報技術から構造工学、そして数学から材質科学に及ぶ。この研究が英国の将来の経済発展の基盤を形成し、国民の将来の健康やライフスタイルや文化の向上の基盤を形成する。EPSRCには他の研究領域を担当する研究委員会との連携がある。英国研究会議経由で、これらの研究委員会は共通の懸念事項について共同で作業を行う。

 英国研究会議(RCUK)のエネルギープログラムの目的は、英国のエネルギー目標と環境目標及び政治目標を、国際的レベルの調査と訓練を通じて達成させようというものである。エネルギープログラムは低炭素の未来を開拓するための調査と技能に5億3千万ポンドを超える資金を投入している。これは過去5年間の実績額3億6千万ポンドの上に築かれている。

 工学・物理科学研究委員会(Engineering and Physical Sciences Research Council, EPSRC)の主導により、エネルギープログラムはEPSRCの作業と、生命工学・生物科学研究委員会(Biotechnology and Biological Sciences Research Council, BBSRC)、経済・社会研究委員会(Economic and Social Research Council, ESRC)、自然環境研究委員会(Natural Environment Research Council, NERC)、そして科学・技術設備委員会(Science and Technology Facilities Council, STFC)の作業を融合する。

 英国研究会議(RCUK)のエネルギープログラムは500を超える公的機関及び私的機関と密接な関係を持ちながら作業を行い、目下進行中の共同研究が1,100件ある。エネルギープログラムは英国政府が根拠に基づく決定や政策を行うのに役立っている。

 Manchester Metropolitan大学は英国で最も広いキャンパスを持つ、学部課程の大学で、総学生数が37,000人を超え、職業教育と職業能力を重視している。150年の歴史があり、1992年にuniversityの地位を得た。

 Southampton大学は英国における一流の教育・研究機関であり、工学、科学、社会科学、保健と人文科学の幅広い分野にわたる最先端の研究と奨学金で国際的に評価されている。

 23,000人を超える学生と約5,000名のスタッフがおり、年間取引高は優に4億3,500万ポンドを超え、Southampton大学は工学、コンピューター科学そして医学に関して英国の一流大学の一つという知名度がある。学問の優れたところと研究に対する革新的で起業家的なアプローチを組み合わせて、学生とスタッフを学問追求に従事させ、学問追求意欲をかき立てるような支援を行う。

 Southampton大学にはまた、音響振動研究所(Institute of Sound and Vibration Research)、 光電子工学研究センター(Optoelectronics Research Centre)、Web Science Trust and Doctoral training Centre, 健康と疾病に関する発生学的起源センター(Centre for the Developmental Origins of Health and Disease)、Southampton 統計科学研究所(Southampton Statistical Sciences Research Institute)などの世界の先端を行く研究センターがあり、Southampton大学はSouthampton 臨海キャンパスにある英国海洋学センター(National Oceanography Centre)の共同経営者でもある。

詳細についての問い合わせは以下まで:

Dr Mike Bennett, Manchester Metropolitan University, tel: 0161 247 6727.

画像はEPSRC Press Officeから入手可能である。
連絡先:telephone 01793 444404,
e-mail: pressoffice@epsrc.ac.uk

海外情報紹介 二酸化炭素排気と騒音汚染のバランスをとるために航空交通管理を行う

European Commission(欧州委員会)の環境部門が発行しているニュースペーパーに、出発時の速度制約とCO2排出量及び騒音の関係について行われたスウェーデンの調査について記事が掲載されましたので、要約を掲載します。

原記事:http://ec.europa.eu/environment/integration/research/
newsalert/pdf/314na1.pdf
2013年1月24日
314 号


 いくつかの空港で地域における騒音汚染を最小限にするために航空機の速度制約が導入されたが、そうすることで燃料効率が大変に悪化する可能性がある。出発時の速度制限を緩めることで、受容可能な騒音レベルを保ったまま、実質的にCO2の排出が低減出来る可能性が新規調査によって示された。

 航空産業は温室効果ガスの原因物質、特にCO2の主要な排出源である。気候変動に関する政府間パネルは、出発と到着の場面で燃料効率による排出削減が最大規模で可能であると見積もっている。多くの研究の焦点が着陸であろうと、出発もまた重要な場面である。欧州内の飛行なら、離陸してから巡航が開始可能になる最高到達点まで上昇するまでのこの短い場面で、全行程で必要な燃料の内、25-30%の燃料を必要とする可能性がある。

 この調査において、分析モデルを開発するために研究者はスウェーデンの Gothenburg Landvetter空港の実際の飛行データを使用した。このモデルは5つの出発例を使って空港周辺地域が経験するCO2排出量と騒音レベルを予測した。例の中には地上18.5kmの距離における速度制限205、210(実際の制限値)、220のノット表示対気速度(KIAS)による飛行が含まれている。さらに2つの分類として、高度10,000フィートに達するまで250 KIASで飛行するというものと、速度制約のない「自由速度」という分類があった。

 調査結果が示したのは、出発の場面での250 KIASの例では燃料効率が上がったことによりCO2の排出が105kg減少したということである。さらに、この効率上昇は、空港から11kmと18.5kmの距離の時に地上での騒音レベルのほんの少しの上昇(2dB)という結果に落ち着いた。26kmを超えた距離では1.5dBの騒音減少が見込まれた。

 完全に速度制限を取り除いた場合、出発時のCO2排出量が180kg減少したが、空港から18.5kmと26kmの距離の間で騒音レベルが4dB上昇した。たとえ速度制限を取り除いた場合に約70dBの騒音暴露地域が拡大しても、そして、たとえそのような騒音レベルが特に高く、健康に悪影響を及ぼすと見なされても、その程度の騒音レベルへの騒音暴露であればスウェーデンでの規制下では許容可能な範囲である。

 これらの結果が示唆するのは、航空機の出発時速度制限を緩めると、この例では騒音汚染レベルを問題になるほど高いレベルに上昇させることなくCO2排出量を減らすことができる可能性である。理由としては明記された空港から人口集中地域が10km以上離れているというだけであり、そこでなら騒音は減少すると予測された。しかし、研究者が警告するのは、空港にもっと近接した場所での騒音レベルの上昇は、特に速度制限を完全に取り除いた場合、さらに人口が密集している地域において空港騒音問題を引き起こす可能性があるということである。

出典: Mitchell, D. Ekstrand, H., Prats, X. et al. (2012). An environmental assessment of air traffic speed constraints in the departure phase of flight: A case study at Gothenburg Landvetter Airport, Sweden. Transportation Research Part D. 17: 610-618. DOI: 10.1016/j.trd.2012.07.006
連絡先: deborah.rushton@chalmers.se
主題: Noise, Sustainable mobility


原著論文:
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S136192091
200079X

( 抄録を見るのは無料ですが、全文ダウンロードは有料です。)

海外情報紹介 ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行の制限に関する公開諮問

 英国ロンドンの3空港について、2014年11月以降の夜間飛行体制をどのようなものにするか、公開諮問が行われています。夜間飛行の健康影響等に関する興味深い資料も参照されていますので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:https://www.gov.uk/government/consultations/night-flights-consultation

夜間飛行に関する公開諮問

関連機関:英国運輸省
公表:2013年1月22日
方針:英国の空港やエアラインが環境やコミュニティへの悪影響を減らしながら、安全で確実なまま、競争力を保てるよう確認するため。

諮問期間の終了は2013年4月22日である。
詳細事項

 第一回目である今回の諮問は、ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行の制限に関して意見を求めるものである。

 次期夜間飛行体制を設定するための最初のステップとして、今回の諮問は、次期体制に向けて我々の選択肢を発展させるような証拠情報収集のためと、空港委員会(Airports Commission)の作業のための証拠情報収集のために行う。

 今回の諮問は根拠に基づく情報提供の照会を広く一般に向けて行うものであり、異なる選択肢について相対的な実現可能性を評価する助けとなる証拠を収集したい。

 夜間飛行による損失と利益;航空機騒音の睡眠障害と健康影響についての精査;そして睡眠障害と健康影響の度合いを評価するために提案された手法に関して、運輸省から委任された我々の証拠開示の一環として、1月22日に民間航空局は2件の資料を公表した。

•ERCD報告書1208、「航空機騒音、睡眠障害と健康影響:概説」、2013年1月22日。

•ERCD報告書1209、「航空機騒音によって睡眠障害が引き起こされることの損失計算に関して提案された手法」、2013年1月22日。

関連文書

ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行制限について、運輸大臣(閣外大臣)による声明文、2013年1月22日。
諮問文書

ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港の夜間飛行制限に関する諮問文書
(ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行制限について我々は意見を求めている。)
(PDF, 1.05MB, 94 pages)

諮問文書の補助的文書

ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行制限に関する諮問文書の付属文書
(PDF, 13.9MB, 64 pages)

 諮問文書とその補助的文書については、提供ファイルが利用しにくい場合は異なる形式のファイルを要求のこと。
 点字や音声或いは異なるファイル形式のような代替書式でこの文書が欲しい場合は、文書の表題とあなたの住所、電話番号を書いたeメールをwebmasterdft@dft.gsi.gov.uk宛に送付のこと。

ご連絡は2013年4月22日までに。

ご意見はネット上から
https://consultation.dft.gov.uk/dft/aviation-night-noise/
或いは以下宛にeメールまたはお手紙で。

eメールの宛先:
night.noise@dft.gsi.gov.uk

郵便の宛先:
Department for Transport,
Great Minster House (1/26),
33 Horseferry Road,
London,
SW1P 4DR
United Kingdom

海外情報紹介 NRCが飛行中に試用した100パーセントバイオ燃料の分析で、排出物が減少したのが判明した。

 カナダ学術会議(National Research Council of Canada, NRC)が昨年10月29日に行った100パーセントバイオ燃料での試験飛行について、排出物測定結果がNRCのホームページに掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。 実現可能な代替エネルギー源に関する産業界との共同作業

2013年1月7日---オンタリオ州オタワ

 (バイオ燃料の排ガスについて情報収集するためFalcon 20を追尾するT33の写真が、原記事では掲載されている。)

 100パーセントバイオ燃料を使用して行った世界初の民間飛行の結果を今日カナダ学術会議(NRC)が公表し、昨年10月のテスト飛行で使用したバイオ燃料は従来の航空燃料と燃焼効率は同じで排ガスが少ないことがわかった。

 専門家チームによって飛行中に収集され分析された情報により、バイオ燃料を使用すると従来の燃料と比較してエアロゾル排出物が(50パーセント)低減するという重要な発見があった。さらに、(施設内で)固定したエンジンを使用して追加テストを行った結果、従来の燃料と比較して粒子状物質が(多くて25パーセント)減り、黒色炭素排出物が(多くて49パーセント)減るという顕著な低減結果を示している。これらの試験ではまた、エンジン性能は同程度でありながら、エンジンの定常状態運転時に燃費が1.5パーセント改善されたのがわかっている。飛行中に試用されたバイオ燃料が石油系燃料の仕様を満たすためのジェット機のエンジン改修は不要だった。

 「これらの有益な結果に我々は喜んでいる。順調に飛行し、収集データはバイオ燃料が環境に及ぼす影響のよりよい理解を我々に可能にした。」とカナダ学術会議のPresidentであるJohn R McDougall氏が語った。「我々は引き続き、パートナーであるApplied Research Associates社、Chevron Lummus Global社やAgrisoma Bioscience Inc. 社とともに、この効果的なエネルギー解決策を市場に出すための作業を行う予定だ。最終生産物は航空機排出物低減のための地球に優しい選択肢になるだろう。」

 NRCは2012年10月29日に混合物無しの100パーセントバイオ燃料で民間ジェット機を飛行させるという、航空産業にとっての偉業を成し遂げた。Falcon 20がバイオ燃料により、民間航空機の通常の高度と同じ30,000フィートの高度で飛行した。もう1機の航空機であるT-33が飛行中にFalconを追尾し、エンジン排出物を測定した。

(「バイオ燃料イニシアチブに関する詳細情報」と「100パーセントバイオ燃料を動力源とした世界初の民間飛行の詳細情報」のリンクが、原記事では掲載されている。)
Enquiries(問い合わせ先)
 Media Relations
 National Research Council of Canada
 613-991-1431
 1-855-282-1637
 media@nrc-cnrc.gc.ca
 Twitter: @nrc_cnrc

原記事:
http://www.nrc-cnrc.gc.ca/eng/news/releases/2013/biofuels.html

GREENAIR ONLINE.COMに掲載されている関連記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1637

海外情報紹介 英国の飛行効率改善を目的としたNATSの環境効率イニシアチブに褒賞が出た。

 11月1日付けのGREENAIR ONLINE.COMの記事に英国の航空交通管制業務プロバイダーであるNATSの飛行プロファイルモニター(FPM)システムに関する記事が掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。  2012年11月1日木曜日−空港運営者協会が、英国の航空交通管制業務プロバイダーであるNATSの飛行プロファイルモニター(FPM)システムに対して最高環境イニシアチブ賞を与えた。航空機の着陸や離陸の環境性能について以前はほとんど情報が無いかあるいは全く情報が得られなかった空港とエアラインが、FPMのおかげで騒音やCO2排出ガス低減のための運航支援にデータを使用できるようになった。Edinburgh空港での試行の主な結果から、進入時に継続的に降下するなら20%の改善が達成可能であると見込まれ、これにより年間8,000トンのCO2を排出せずにすむだろう。NATSは英国航空と共に、4ヶ月間、ロンドンヒースロー空港から北大西洋上空を通過する一連の環境的に「完璧な」飛行試行実施にも関わっている。一方、ANSPによると、NATSの3DI飛行効率単位に関する最近のデータは2012年の環境目標を順調に達成していることを示している。

 FPMの今年これまでのEdinburgh空港での試行では、出発の95%で継続的上昇−NATSによれば、最も環境的に効率のよい飛行プロファイルである−を達成し、着陸では55%のみが継続的降下進入(CDA)を行った。CDAを20%改善することで、8,000トンのCO2節減に加えて、エアラインにとって年間150,000ポンド(242,000ドル)相当の燃料費の節約が見込まれ、着陸時の飛行経路下の共同体への騒音も低減される。

 Edinburgh空港での作業はradar serviceの改善も含めて引き続き行われているが、NATSは飛行経路監視システムをNATSの環境プログラムの一環として英国の他空港に広げる計画を立てている。

 2010年にNATSはPerfect Flight計画に関わっていた。計画では英国航空のHeathrowからEdinburghへのフライトは飛行の全ステージを通じて環境的に最適化され、1/4トンの燃料を節約し、ほぼ1トンのCO2を節減した。フライトごとの経験に基づいて、NATSは英国航空やカナダのANSP(air navigation service provider)であるNAVCANADAを含めた、英国、カナダや米国の航空産業の他のメンバーと共に作業しながら、TOPFLIGHT計画を率いる予定である。欧州の空域を近代化して調和させるためのEUのSingle European Skyイニシアチブの技術的及び運用上の構成要素であるSESARプログラムの中でTOPFLIGHT計画は推進されてきた。

 計画の第1段階では、車両に押されて搭乗スポットから離れることに始まり、地上走行、巡航、連続降下進入(CDA)等の飛行全般を通じて遅延と排出物を最小化するために最適化された北米空港への大西洋横断飛行を60機が実施する。各フライトは約500kgの燃料を節約する見込みで、これはほぼ1.6トンのCO2に相当する。第二段階では周辺の空域を飛行する航空機に不利益をもたらすことなく、同時に多数のフライトの測定と実行が可能であるという概念をもたらすという目的で、多数の完璧な飛行が大西洋をいっせいに横断する。

 FAAのNextGen Implementation Planと連携して、SESAR は計画を拡張してBoston Logan国際空港やNew York JF Kennedy 国際空港へのフライトも計画に含め、北大西洋を横断する継続可能なゲートからゲートへの完璧な飛行の概念を創出する予定である。

 NATSはその管制下にあるフライトの環境性能や飛行効率を、NATSが開発した3Di効率単位を使って今年の初めから監視してきた。公開された第3四半期のデータにより、運用を始めた最初の9ヶ月で、英国のCAAが設定した尺度に基づき、3Diの目標値24に対し達成値が23.9であることが分かる。これは2012年の前半6ヶ月の結果と比較して0.1の改善を表す。

 CAAとの事前の合意で、3Di性能評価はオリンピック期間中のフライトは除外した。空域の効率のためにかけられる費用内ではあるが、容量増加支援と遅延最小化のために設計されたロンドン周辺での一時的空域調整のためである。

 3Diは、英国空域における各フライトの効率を正確に測定し、できるだけ環境的に最適なルートに近づけて飛行するよう航空管制官が航空機を誘導するのを支援する。航空機の実際の航跡をレーダーデータから取り出し、パイロットが要求する、最も直線に近い点から点への経路飛行のようななめらかに継続する降下或いは上昇の利点を計算するような最適プロファイルと比較する。3Di計量の得点は完全に効率的な飛行を表す0から、100を超える数字まで幅があり、ほとんどの飛行は概して15から35の間にある。

 NATSによれば、現在の結果では2014年までのCO2の600,000トン低減を順調にこなしていて、エアラインの燃料代を1億2千万ポンド(1億9千4百万ドル)節約しているとのことだ。CAAの目標を上回れば財政的にも利益を得、期待される効率向上が得られない場合に罰金が課される可能性もあるという、このように報奨金によって奨励される世界で唯一の航空交通事業であるANSPであるとNATSは指摘する。
「これら最新の結果が示すのは、我々の管制官達が従っている新しい手順が違いを生んでいるということだ。」とNATSの環境問題担当責任者のIan Jopson氏が語った。 原記事:http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1613

NATS – 3Di:http://www.nats.co.uk/environment/reporting/3di/

海外情報紹介 NATSは騒音低減と容量増加のために、ヒースロー空港への到着便の進入角を熟考する。

 Air Traffic Management.netの12月10日付け記事に、エミレーツ航空がA380型機を5.5゜の進入角でヒースロー空港に着陸させようとしているという情報が載りましたので、ご参考までに要約を掲載します。  (2012年8月5日のロンドン上空(25,000フィート以下)を飛行する全航空機の航跡について熱密度地図が示されている。)

 容量の制約があるロンドンヒースロー空港での夜間飛行制限をかわすため、自社のA380型機を傾斜のきつい角度で着陸させるという、中東のエアラインのエミレーツ航空が推進する構想を英国の航空交通管制機関であるNATSが検証している。

 この構想についてはA380型機のような航空機がそのような進入方式で飛行することの技術的側面についてかなり詳細にわたる調査が必要であるが、すでにNATS内では「最上位の」注目を集めていると、今日、英国輸送特別委員会の開始前にNATSの社長であるRichard Deakin 氏が述べた。

 「このような急な勾配でどこかのairports thresholdsへ進入してくるA380が今現在あるとは思えない。それについては実現可能性について何らかの技術的モデル化が必要だろう。明らかに、我々自身がCAAや空港、エアラインと共に一層の作業をすることが必要だ。」とDeakin氏は述べた。

 たとえその構想が国際条約の内容に反するものだとしても、「その構想には『確かに利点があり』、『疑いなく検証の価値がある』」と英国民間航空局の最高責任者であるAndrew Haines氏は、意見聴取の場で述べた。

 世界の航空規則を設定する機関であるICAOによって認可された3゜基準への唯一の例外として、障害物除去の目的なら容認されると彼は公聴会で述べた。「この場合の課題は、例えばLondon City空港なら傾斜のきつい進入がどこで開始されるかということであり、着陸ギアを下ろすのが早くなれば騒音がさらにうるさくなる。傾斜のきつい進入の主な利点は騒音を減らすことだ。それでも安定した進入を行えるように、安全面での問題同様に、解決が必要な問題だろう。」

 エミレーツ航空の目論みでは、ヒースロー空港へと傾斜のきつい降下で進入すれば騒音が15%から20%減り、このやり方ならハブ空港であるヒースロー空港での自社便の到着と出発が毎日am1:00まで可能になり、朝はam4:00以降に飛行が再開できる。

 ヒースロー空港のpm11:30からam6:00までの夜間飛行について、英国は現在、厳しい制限を設けていて、am4:30からam6:00までは長距離飛行便が平均18便、空港を使用している。

 ロンドン空港の運用状況が空港容量ぎりぎりに近いにもかかわらず、新しい離陸と着陸方式によってロンドンからドバイまでの毎日のA380のフライトを5便から7便に増やせると信じていると、エミレーツ航空社長であるTim Clark氏は今年これまでに述べている。

 航空機は従来の3°よりむしろ、5.5°の角度でヒースロー空港に進入し、空港近辺の住宅地から離れた1km先で着陸のために滑走路へ降下することになるだろう。

 A380型機のような音の静かな新型機であれば、夜間飛行禁止令の緩和が許されて、ヒースロー空港の現在の年間処理限界480,000機を超えたフライト数増加を可能にできるだろうとClark氏は信じている。

 「航空機の騒音プロファイルがかなり静かなことを実証できるなら、制約のあるハブ空港で空港容量を増やす手段として注目しない手はないだろう?」とClark氏はFinancial Times紙のインタビューに答えた。

 英国政府は現在、ヒースロー空港における新しい夜間飛行体制を諮問している最中である。

 NATSの社長であるRichard Deakin氏は、5.5°の進入角によって、南西ロンドン郊外のいくつかの住宅地の上空を航空機が通過する高度が2倍の高さになるだろうと述べた。活動家達はかねてより、夜間飛行の影響を受けるのは約500,000人で、進入角の勾配がきつくても問題解決の助けにはならないと警告してきた。 原記事:
http://www.airtrafficmanagement.net/2012/12/nats-mull-steeper-lhr-arrivals-to-cut-noise/