英国の空港委員会は航空機騒音のうるささ評価のために従来とは異なる評価量を使用する予定

英国の空港容量を効果的に活用するための滑走路構想の候補選定にあたり、英国の空港委員会は信頼性が疑われるLeqよりも、より現状を反映する騒音評価量を使用する予定であると、英国HACAN(航空機騒音管理のためのヒースロー協会)議長であるJohn Stewart氏がブログで述べています。
以下は英国の空港関連情報サイトであるAirportWatchのニュースとJohn Stewart氏のブログです。

原記事:
http://www.airportwatch.org.uk/?p=19619

海外情報紹介 ドイツは航空に関する欧州排出量取引制度の違反者リストを初めて公表するとともに航空機運航業者に590万ドルの罰金を科す

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2054

2015年3月5日木曜日−航空部門が規制対象となった最初の年である2012年に、ドイツは欧州排出量取引制度(EU ETS)を順守しなかった航空機運航業者のリストを、EU加盟国として公表する最初の国となった。ドイツの排出量取引局(DEHSt)によれば、リストに挙げられた44の運航業者に総計で5,363,400ユーロ(590万ドル)の罰金が科された。大部分は小規模な航空機運航業者だが、主要なドイツのエアライン2社すなわちエア・ベルリンとコンドル航空は意外にもリストに載った。 この2社は報告時の些細な相違のためにわずかな罰金が科されただけであるとコメントしている。2012年に欧州経済地域(EEA)内でフライトを運航し、縮小されたEU ETSの規制対象になっているが、それぞれが所属する国の政府がEU ETSの順守を許可していないという中国国際航空とアエロフロート航空がリストに無いことが注目に値する。
EU指令の第16条の下で航空部門がEU ETSの規制対象となり、EU加盟国は、自社の排出量を相殺するに十分な排出枠を放棄するという要件に違反しているが、いまだに放棄していない航空機運航業者について、EU加盟国は自国が管轄する分について名前を公表しなければならないとしている。2012年に関しては、2013年4月終わりまでに排出枠が提出される必要があったが、それから2年近く経っても、数不明のエアラインと小規模の航空機運航業者が非順守のままである。

航空機運航業者がこれまでに放棄していない排出枠については、CO2排出量1トンあたり総計100ユーロの罰金を科すよう、EU指令は加盟国に求めている。さらに運航業者は、罰金に加えて必要な数の排出枠を購入して放棄する必要がある。

排出枠を放棄するために、運航業者は欧州連合の登録台帳に口座を開設せねばならず、台帳では報告され検証された排出量データがEUの取引ログ(EUTL)に記録される。もし、ここまでを運航業者が対応済みで排出物が報告されていれば、排出枠を放棄しないことに対する罰金を算定することは簡単である。しかし、運航業者が排出量を報告しておらず、この管理業務を任命された国内の所轄官庁からの働きかけに応じなかった場合には、所轄官庁はユーロコントロールのデータに頼らねばならず、困難が生じる。運航業者にはその後推定排出量に対して抗議する時間が与えられ、罰則の実施を遅らせることができる。

各加盟国はEU指令を異なったやり方で各国の法律に置き換えることになるため、執行手順や「名指しして、不名誉とする」報告のやり方も国毎に違う。これまでに明らかになったのは、加盟国は特に欧州外の非順守エアラインのリストは誰もが見られるような形で公開することには抵抗がある。世界規模での市場に基づく対策に国際レベルでの合意を得て、欧州の炭素取引制度の廃止を目指す討論が継続中のため、政治的な感覚で議論をたたかわせている。EU ETSの完全実施の場合の規制対象は、EEA(欧州経済地域)内のみならず、EEAを離発着する全便の排出物を網羅することを目的として作られたため、インド、中国、ロシア、米国のような主要国によって激しくかつうまく戦わされた(訳注:これらの国家の猛烈な反対を受け、EUは完全実施を棚上げせざるを得なくなった。)。

EEA内空港間のフライトを運航する米国エアラインは、昨年EU機関で合意が得られた、EEA内を規制対象とする縮小範囲でのEU ETSの運用では大部分がそれに従っている。しかし、同様に欧州内での運航を行っているインドと中国のエアラインは、大部分が国有のアエロフロート航空のようなロシアのエアライン数社と同様に、管轄当局からの命令に従うことをいまだに拒んでいる。欧州で運航しているインドの主要エアラインであるエア・インディアとジェット・エアウェイズは英国が指定した所轄官庁の環境局には報告したが、2012年にEU内フライトを運航したかどうかが不明で、両エアラインとも2012年に適用される規制を順守したようにはみえない。英国の法律の下ではEU ETSを順守しないエアラインの名前を毎年6月終わりまでに公表することになっているのだが、今のところ2012年に関するリストは公表されていない。

アエロフロートと中国のフラッグキャリアである中国国際航空は共にドイツに報告しているが、DEHStが公表したリストに両エアラインの名前はない。2012年の順守期間中に中国国際航空はアテネ−ミュンヘン間で定期旅客便を運航し、アエロフロートはフランクフルト−ヘルシンキ間で定期貨物便を運航した。DEHStが個別のケースについてコメントする予定はないが、リストに載っていないのは「正式な支払い命令」が出ていないためであるかもしれず、その場合には基本的にまだ事務処理が完全に終了していないので、後日、リストに他のエアライン名を付け加えるかもしれないとコメントしている。

DEHStによれば、航空機運航業者が2012年の義務を果たさなかったことのために、これまでに総計5,363,400ユーロ(590万ドル)の追徴税が科され、そのうち罰金の最大額は3,017,800ユーロ(330万ドル)で最少額は80ユーロ(88ドル)であった。

ルフトハンザに次ぐドイツ最大のエアラインであるエア・ベルリンは1,000ユーロ(1,100ドル)に満たない「比較的少額の」罰金を科されたとコメントした。「これはDEHStに提出した排出枠数と2012年の特定の空港の組み合わせにおける実際の排出量との間の些細な差異のためである。」と広報担当者がGreenAir誌に説明した。

コンドル航空の広報担当者は自社の罰金の理由は、データ送信に係わる技術的問題で、すべての問題はこれまでに満足な解決をもって終了したと語った。

他にDEHStのリストに載っているエアラインには米国の貨物航空のライアン国際航空とエバーグリーン国際航空があるが、両者とも破産を申し立ててその後運航を停止している。リストに挙がった他の米国エアラインには1年前に運航を停止したワールド・エアウェイズがあり、EUの取引ログによると、必要数の排出枠は放棄したが、ことによると、それは期限後ではなかったかもしれない。

リストとしては公表していないが、フランスの所轄官庁であるDGACは最近、非順守の航空機運航業者に対して罰金を科し始めたと考えられている。フランドル当局はエアライン名を公表してはいないが、数ヶ月前、サウジアラビア航空に約800,000ユーロ(880,000ドル)の罰金を科したとみられている。

欧州委員会によれば、2012年は100社を超えるEU以外の航空機運航業者がEEA内フライトを運航し、そのほとんどがEU ETSを順守したと当局者が指摘している。
リンク:

DEHSt−2012年に関してEU ETSを順守しなかった運航業者リスト
2015年3月11日付更新記事:

DEHStへの追跡取材により、DEHStのウェブサイト上に掲載された詳細に関する記述の一部や、それを元に書かれた記事では、罰金について誤解を生む恐れがあることをGreenAir誌が知った。2012年に欧州指令を順守しなかったことによって納付通知書を受け取るか罰金を科された航空機運航業者が全部で60社あり、金額の総計は5,363,400ユーロ(590万ドル)となった。ウェブサイト上のリストに掲載された運航業者44社は「確定」とみなされ、総計597,000ユーロ(630,000ドル)の罰金を科され、その最小金額は100ユーロで最高金額は203,600ユーロである。他の運航業者16社は総計4,766,400ユーロ(500万ドル)の罰金の通知書を発行されたが、異議が唱えられたので罰金はまだ確定していない。これらの運航業者についての詳細や罰金の範囲については、罰金が「法的に有効」になるまでDEHStは明かすことができない。ウェブサイトで触れられた3,017,800ユーロ(330万ドル)の罰金1件は、EU ETSの規制対象である固定設備(訳注:発電所や工場など)に関するもので、航空機運航業者に対しての罰金ではない。記事では欧州指令を順守しない航空機運航業者のリストを公表した最初の加盟国がドイツであると述べたが、実際にはイタリア当局もまた2012年に欧州指令を順守しなかった13の運航業者リストを公表していた(これに関する情報へのリンクはここから)。

海外情報紹介 アフリカの恵まれない子供達の靴からデザイナーバッグまで、サウスウェスト航空の使い古しの皮製座席カバーをリサイクル

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2036

2015年1月27日火曜日−Evolveという名の事業の下で、サウスウェスト航空は運用するボーイング737-700型機と737-300型機の一部の大幅なデザイン変更を行い、80,000席分の皮製の座席カバーを環境に優しい素材と交換する。この結果、各機体の重量の約600ポンド(270kg)の削減につながるが、エアラインは43エーカー(17.4ヘクタール)の皮を処分することになる。サウスウェスト航空は埋め立て処分をする代わりに、昨年LUVシートと呼ぶ取り組みを開始し、皮は付加価値の高いものに作り替えられ、ケニヤやマラウィや米国のプロジェクトに寄付された。皮は現在、アフリカで靴やサッカーボールのようないろいろな品物を製造する社会プロジェクトで使用され、米国オレゴン州ポートランドのメーカーでは購入予定者の順番待ちリストができるほど人気があるブランドものの旅行カバンシリーズを売り出した。
ナイロビでは、孤児と困窮家庭のために奉仕する組織で、今回のプロジェクトの主非営利パートナーである「SOS Children's villages Kenya」が他の3つの協力組織のAlive & Kicking、Masaai Treads、及びLife Beads Kenyaと共に、地元の地域社会グループに配給するための物品製造に皮を使う予定である。

この協力関係を通じて、「SOS」の若者が皮から靴やサッカーボールを作るために、有給で実習や訓練を受けている。サッカーボールはスポーツによってHIV/AIDSやマラリア予防の関心を高めるという教育プログラム支援のために寄付され、靴は人の皮膚に寄生するツツガムシの幼虫退治キャンペーンの一環で配布される。これら寄付される品物を受け取る組織の一つがCura児童養護施設で、AIDSで両親を失った子供達が暮らしている。

他の協力組織には米国を本拠とする非営利組織のTeamLiftがあるが、この組織はマラウィで建設中の全寮制学校施設で皮工芸の技術訓練プログラムを展開中であり、学校運営を支援する収益を生み出す一方で、企業家能力を教えることになる。

一方、ポートランドでは、高級な余った材料を取り出して環境に優しい製品にデザインし製造する企業であるLooptworksが、Luv座席皮革を限定版のハンドメイドバッグにアップサイクル(高品位な再利用)をしている。Looptworksはバックパック、ダッフルバッグ、両面が使えるトートバッグの3種類のデザインを考え出し、小売値は150ドルから250ドルである。注文してから納品まで現在は5週から7週待ちという人気商品である。

この企業は、リサイクルでない皮でバッグを作るのと比較すると、1つのバッグを作るのに排出するCO2の量は72%少なく、水は4,000ガロン節約できると主張している。この企業はまた、サウスウェスト航空の使用済み座席器材の分解と清掃の仕事を成人の身体障害者に与える地元の非営利組織と協力して作業をしている。

サウスウェスト航空は、この取り組みが使用済みの皮を再利用する世界規模のアップサイクル計画の、複数年キャンペーンの第一段階であるとコメントしている。

「Evolveでの再デザインリサイクルは我々の持続可能性目標支援のための主要目標の1つだった。」とサウスウェスト航空のサプライチェーンマネージメント担当副社長であるBill Tiffany氏は語った。「しかし、我々はこのことにとどまらず、ナイロビ、マラウィ、米国でのLUV座席プロジェクトの試験運用で、職業訓練、雇用創出そして最終的には生産品の寄付を通じて、社会に影響を与えるという新しい構想に進んでいる。」

「残りの皮をどのようにアップサイクルすべきかを従業員、顧客、一般市民とアイデアを共有するため、#LUVSEATというハッシュマーク(#)タグを使った行動での呼びかけを通して、さらに協力者が増えることを我々は期待している。」 リンク:

サウスウェスト航空−LUV座席
SOS Children’s Villages Kenya(助けを求める子供達の村ケニヤ)
Alive & Kicking(元気旺盛)
Masaai Treads(マサイの歩み)
Life Beads Kenya(命のビーズ・ケニヤ)
TeamLift
Looptworks – LUV 座席
※原記事にはLUV座席プロジェクトについてのサウスウェスト航空のビデオや、地元テレビ局のKGWによるLooptworks社製LUV座席カバンについてのレポートのビデオがあります。

海外情報紹介 将来複合材を使用した航空機材は、航空ライフサイクル炭素排出量を15%削減できる可能性があると調査によって判明

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2024

2015年1月7日水曜日−シェフィールド大、ケンブリッジ大、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)による研究によると、2050年までには世界的に運用されている複合材製航空機が航空の炭素排出量を14〜15パーセント削減できるだろうと結論づけている。ボーイング787ドリームライナーやエアバスA350のような複合材製の航空機の包括的ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、その結果から世界規模の推定を行ったのは最初だと、研究者らは述べている。ボーイング787や、エネルギー使用と航空機組み立てロボットのような供給プロセスについて公的に利用できる情報を使用し、LCAとしては製造、使用、廃棄を網羅したものである。従来型の重量が重いアルミニウム製の航空機に比べて、複合材製の航空機はCO2排出量を最大20パーセント削減可能である。その一方、ケンブリッジ大の別の研究者らはボーイングと共同で、飛行中にバッテリーの充電が初めて可能となった双発のハイブリッド式エンジンを持つ1座席の航空機で試験を満足に実施した。
International Journal of Life Cycle Assessment(国際ライフ・サイクル・アセスメント誌)で公表されたLCA調査では、複合材製の航空機製造工程での排出物はアルミニウム製の航空機の2倍を超えていたが、増加分は国際線での数回運用の後には速やかに相殺されることが明らかになった。

「この調査は、複合材料を用いることで製造工程での環境影響増大をはるかに勝る燃料消費節減が達成されることを示している。」とシェフィールド大の先端材料技術の教授であるAlma Hodzic氏が語った。「航空産業の中では議論が継続中であるが、複合材による環境上の節減と財政上の節減は、これらの材料がはるかに優れた解決策を提供することを意味する。」

LCAの比較分析がボーイング787の機体の46の部分について実施されたが、イタリアの航空宇宙企業であるAleniaが供給するチューブの部分の1つでは製造データが入手可能だった。787の機体は構造内で使用される複合材の割合が約50%と、高い割合であるという理由で選ばれた。

これからの25年間に複合材製の航空機が世界規模で運用機材として導入されるので、それが航空のCO2排出量へ及ぼす影響を評価するため、LCAのデータを広範な輸送モデルへ入れ込んだが、その際には新技術を導入するスピードのような他の要素も考慮した。

しかし、UCLのエネルギー・輸送の教授であるAndreas Schäfer氏 の予想ではすべての運用機が2050年までに複合材製のものになるわけではないので節減される排出量全体についての今回調査の予測は20%の可能性を下回るだろう。「2020年以前に運用機として投入された新型機は2050年まではまだ使用されている可能性があるが、この技術を取り入れるのが早ければ早いほど、環境的な利益は大きくなる。」と述べた。

現在から2050年までに航空交通が4倍に増えると予測して、使用する材料の変更により2050年にCO2の排出量を5億トン減らせる可能性があると、ケンブリッジ大の Lynette Dray博士は試算している。

Hodzic博士は付け加えた。「エアライン産業の目標は2050年までにすべての航空機についてCO2排出量を半減するというものであり、複合材はこれに貢献するだろうが、重量の軽い複合材製航空機の導入だけでは目標の達成は不可能である。しかし我々の調査では、他の技術や効率化の方策と合わせれば、複合材が目標達成に貢献するとみている。」

プロペラを駆動するために電気モーターとガソリンエンジンがプロペラを動かすハイブリッド型電気推進システムは、ボーイングの資金援助を受けてケンブリッジ大のエンジニアが設計・製造したものであり、商業化が可能なデモンストレーター航空機は、燃料のみを使用するエンジンを持つと同等な航空機と比較して燃料使用量が最大30%少なかった。

この航空機は4ストロークエンジンと電気モーター/発電機の組み合わせを使い、プロペラを回転させるために同じ駆動プーリーを介して連結されている。最大出力を要する離陸および上昇時は、エンジンとモーターが航空機に動力供給するために共に働くが、巡航高度に達すると、電気モーターはバッテリーの再充電を行う発動機モードへの切り替えが可能になる、あるいはハイブリッドカーに適用されるのと同じ方式で燃料消費を最小化するモーターアシストモードの使用が可能になる。

翼の中の専用区画に設置された16台の大型リチウムポリマー電池のセットから成るバッテリーに出入りする電流を、パワーエレクトロニクスモジュールが制御する。ガソリンエンジンは巡航時の出力において最も効率的な動作点をもつよう供給する最適サイズであり、それが燃料効率の全体的改善をもたらしている。

「ハイブリッドカーが市販されるようになってから10年以上たったが、これまでにハイブリッド式または完全な電気式航空機の開発が妨げられてきたのはバッテリー技術のせいである。」とケンブリッジ大工学部でプロジェクトを率いているPaul Robertson博士が語った。「最近まで、バッテリーは重量が重く、エネルギー容量も十分ではなかった。しかし、ラップトップコンピュータで使われているものと似た改良型リチウムポリマー電池の出現で、小型ではあるがハイブリッド型航空機が今や実現しつつある。」

重要なステップの中で、Robertson博士と彼のチームは電気モーターだけで動力を得る民間航空機が実現するのは10年後だと認めつつも、現代のジェット旅客機のすべてのエンジンと燃料を今日のバッテリーで置き換えたら、総飛行時間は、10分程度であろうとしている。

しかし、このプログラムに関するボーイングの研究責任者であるMarty Bradley氏は、革新的な解決策や技術を生み出すとともに航空産業の環境への取り組みを引き続き改善していく使命があると語った。

「ハイブリッド電力は我々の研究努力のいくつかある重要要素のうちの1つであり、我々はこれらの技術の実現可能性と、将来それらがどのように使えるかについて、日々学びを深めている。」

リンク:
国際ライフ・サイクル・アセスメント論文誌
シェフィールド大学機械工学科
UCLエネルギー研究所
ケンブリッジ大学航空・環境問題研究所
ケンブリッジ大学工学部
ボーイング民間航空機と環境問題

ワシントン州エバレットのボーイング787製造ライン
原記事にはハイブリッド電力航空機プロジェクトの説明をするPaul Robertson博士のビデオがあります。

海外情報紹介 アトランタ市はハーツフィールド・ジャクソン国際空港の熱望する空港リサイクル目標達成のために30エーカーの施設を提案

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2042

2015年2月12日木曜日−年間9,600万人の旅客を扱い、世界で最も繁忙な空港であるハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港から出る年間およそ25,000トンの廃棄物を処理するための大規模なリサイクル施設建設をアトランタ市は提案している。2013年に市のために実施された調査では2012年に空港の旅客ターミナルと7つのコンコースから出る廃棄物のたった5%しかリサイクルされていないことが判明し、市は埋め立て地に送るよりは、2020年1月までには少なくとも90%の廃棄物を再生または堆肥化することを考えている。空港南方にある市所有の30エーカー(12ヘクタール)の土地を建設予定地とし、土地のリースとグリーン・エーカーズATLエネルギーパークという名称になる施設の建設と運用の入札が公示された。
2013年の調査では旅客関連施設からでる現在の都市固形廃棄物(MSW)の約80%は、リサイクルや堆肥化が可能な材質から成るごみによるものであることを示し、食品廃棄物である29%と紙ごみである32%は堆肥化できると考えられている。

提案された施設はまた、年間で175,000ガロンの料理油と50,000ガロンの油溜り液体の処理だけでなく、市の公共部門から出る細断した庭ごみおよそ19,000トンの再処理とリサイクルが可能でなければならない。

市はATLエネルギーパークが2017年3月までに稼働を開始することを見込んでいる。その後において、教育センターや廃棄物を燃料化する施設、地元の食品生産、「緑をはぐくむ公園」が設置できるであろう。

企画案提示に先立ち、来週に会議が開催される予定で、提案依頼書(RFP)に対して3月11日までに回答することが要求される。

リンク
アトランタ市「グリーンエーカーズATLエネルギー団地」提案依頼書

ATLエネルギー団地の最終的な外観(図作成:ハートフィールド・ジャクソン・アトランタ空港)

海外情報紹介 ボーイングとエンブラエルがサステナブルな航空用燃料開発を支援する共同研究センターをブラジルに開設

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2030

2015年1月15日木曜日−ブラジルに航空用バイオ燃料産業を確立するための調査の共同実施、共同出資のために昨年協力協定に合意した後、ボーイングとエンブラエルはサン・ジョゼ・ドス・カンポスに研究センターを開設した。センターにおいて2社は、ブラジルの大学や他の研究機関と共同研究および共同出資を行う。原料生産、技術経済分析、経済的実施可能性調査、プロセス技術のような存立できる産業の創出における現実とのギャップに関係する技術に焦点をあてる。プロジェクトにおいてボーイングの作業を指揮するのはボーイング・リサーチ・アンド・テクノロジー・ブラジルで、これは6カ所ある国際的先端研究センターの内の1つである。エンブラエルは航空用バイオ燃料のいくつかの先駆的取り組みに係わってきたが、その中にはエンジンメーカーであるGEと共同で幅広い条件で実施したE-170のテスト飛行が含まれる。
「ボーイングとエンブラエルは、1企業が単独で成し遂げるよりも多くの進展をサステナブルな航空用バイオ燃料について成し遂げるため、先例のないやり方で提携を行っている。」とボーイング・ブラジル・アンド・ラテンアメリカの社長であるDonna Hrinak氏は語った。「サステナブル燃料産業における先駆者であるブラジルは、バイオ燃料産業を確立し、航空の環境目標達成を支援するための指導的役割を果たすことになるだろう。」

エンブラエルEVPエンジニアリング・アンド・テクノロジーのMauro Kern氏は付け加えた。「世界を視野に入れたサステナブルな航空用バイオ燃料産業をブラジルで確立するため、必要な知識と技術を開発して成熟させるための支援作業が我々の目的である。」

2012年と2013年の間、この航空機メーカー2社とブラジルの他の協力企業は、2014年に公表された詳細なロードマップへと結実した一連のワークショップを開催した。ボーイングとエンブラエルは、エンブラエルの本拠地のテクノロジーパークに位置する新しいボーイング−エンブラエル共同研究センターが開発した知的財産を共有するために協力を行ってきている。

リンク:
ボーイング−サステナブルな航空用バイオ燃料
エンブラエル−環境責任

エンブラエルとGEは2011年にHEFA方式のバイオ燃料を使用した一連の試験飛行を実施した。

ヒースロー空港、ガトウィック空港そしてスタンステッド空港における夜間飛行の制限に関する公開諮問

 英国ロンドンの3空港について、2014年11月以降の夜間飛行体制をどのようなものにするか、公開諮問が行われています。夜間飛行の健康影響等に関する興味深い資料も参照されていますので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:
https://www.gov.uk/government/consultations/night-flights-consultation

燃料消費と二酸化炭素削減を実現するための、ヒースロー空港行きの航空機のロンドン上空での待機時間削減に対する国境を越えた試行

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2026

2015年1月9日金曜日-ロンドンのヒースロー空港に進入する航空機は最終降下の前に平均8分間の旋回待機で周回するが、これは遅延の原因となるだけでなく、旋回待機の下にある地域社会に騒音影響を及ぼすとともに、燃料消費もCO2排出も余計にかかる。NATSが率いるプロジェクトは待機旋回時間の平均時間を1/4削減することを目的としており、2014年4月以来、試行によって促されたフライトでは最大1分間の時間削減を達成したと、この英国の航空交通業務プロバイダーが報告している。この試行によりエアラインの燃料コストがすでに約100万ポンド(150万ドル)、CO2排出量が5,000トン削減されたとNATSは述べている。この試行は、英国-アイルランド機能空域ブロック(FAB)の一環として、またFABECとヒースロー空港の共同で行われている。

海外情報紹介 燃料消費と二酸化炭素削減を実現するための、ヒースロー空港行きの航空機のロンドン上空での待機時間削減に対する国境を越えた試行

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2026

2015年1月9日金曜日−ロンドンのヒースロー空港に進入する航空機は最終降下の前に平均8分間の旋回待機で周回するが、これは遅延の原因となるだけでなく、旋回待機の下にある地域社会に騒音影響を及ぼすとともに、燃料消費もCO2排出も余計にかかる。NATSが率いるプロジェクトは待機旋回時間の平均時間を1/4削減することを目的としており、2014年4月以来、試行によって促されたフライトでは最大1分間の時間削減を達成したと、この英国の航空交通業務プロバイダーが報告している。この試行によりエアラインの燃料コストがすでに約100万ポンド(150万ドル)、CO2排出量が5,000トン削減されたとNATSは述べている。この試行は、英国−アイルランド機能空域ブロック(FAB)の一環として、またFABECとヒースロー空港の共同で行われている。
ヒースロー空港は98%の能力で運営されており、この空港では連続した待機交通の流れをくり返すことを行っていて、通常の状況下ではNATSが影響力を及ぼせるのは英国の空域に入ってからの航空機の進入に対してだけなので、これでは空港までの距離はわずか80マイル程度しかないかもしれない。

到着時の待機時間を最小化するための広域戦略の第一歩としては、ロンドンから最大350マイル離れた距離からの航空機の速度を落とすため、英国、フランス、アイルランド、オランダの航空交通管理者が共同で作業をすることが試行に含まれる。

「試行に促される航空機での待機時間60秒削減は、十分ではないと思うかも知れないが、これはかなりの成果であり、我々のエアライン顧客にとって相当な節減になっていて、この種の国境を越えた協力により真の利益が得られているということでもある。」とNATSの運航担当責任者であるMartin Rolfe氏は語った。

「次の段階ではこれまでに学習したことを取り入れて、さらに大きな成果を上げるため、やり方を改善する。」

9月に、この試行は新しい段階に入り、最小の待機遅延限界時間が9分から7分に減少し、最大速度の低減がマッハ0.03から0.04に上がった。

より多くの到着便に対応する試行に、ブレスト航空交通管理センター(ACC)が加わった。

「同時に、SESAR[単一欧州空域]プログラムの傘下で、ランスのUACがコンセプトを刷新して、ロンドン到着データの収集とレーダー軌跡予測モデル改善を合わせた新たなプロトタイプを導入した。」とフランスの航空航法業務プロバイダー(ANSP)であるDSNAのCEOであるMaurice Georges氏が報告した。「『共に作業する』精神が社会に真の利益をもたらしている。」

ヒースロー空港のエアサイドの役員であるDerek Provan氏が付け加えた。「この試行はより静かでよりサステナブルなエアライン運航に向かう、正しい方向への確実な一歩である。我々はNATSのこれまでの努力と、ヒースローが地域住民に対するよりよき隣人であるために我々と共に働くことを歓迎する。」

機能空域ブロック(FABs)はEUによる単一欧州空域プログラムの最重要ツールであり、欧州中の航空ナビゲーションサービス提供における現在の分割を減らす支援となること、及び空域の利用者の効率を増大させて費用を削減する支援となることを目的としている。2008年に設立された英国−アイルランドFABが、北大西洋、英国及びアイルランドの国内線、欧州の中心地域間の交通の流れを統合して、最初の4年間で、73,000トンの燃料及び232,000トンのCO2削減を達成したと主張している。

ANSPsには欧州の中心国6カ国のユーロコントロール・マーストリヒト・高高度管制センターが含まれるが、英国は、民間と軍用のANSPsから成るFABECの取り組みにおいての協力国である。

リンク:
NATS
ヒースロー空港−航空機の旋回待機
英国−アイルランド機能空域ブロック(FAB)
FABEC(機能空域ブロック欧州中央部)

海外情報紹介 変化する気候に航空輸送を適応させる一助として、ユーロコントロールとACI欧州が概況報告書を公表

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2010

2014年11月21日金曜日− 航空輸送部門が悪天候事象の扱いに慣れているとはいえ、気候変動の影響の高まりを我々が経験するにつれ、これらの混乱がより極端でより頻繁になりかねないと欧州の航空交通機関であるユーロコントロールが警告している。温度上昇や海面上昇、その他の気象変化が欧州の航空輸送ネットワークに及ぼす可能性のある影響について詳述した昨年発行の報告書に続き、ユーロコントロールは空港の業界団体であるACI欧州や他の組織と共に共同の概況報告書「変化する気候への航空の寄与」を作成した。最近、パリでのACIによるAirport Exchangeのイベントで公開されたこの概況報告書は、潜在的危険性の概要を述べ、航空部門が気候変動危険性評価を開始するのを支援するための質問のチェックリストとケーススタディを提供している。
「ユーロコントロールはネットワーク管理者として、気候変動につながる排出物を欧州航空が削減するために全面的な支援に努めている。」と事務局長のFrank Brenner氏が語った。「しかし、気候変動はこれからの数年間で欧州航空に様々な影響を及ぼすと予想され、今回の報告は適切な対応がとれるようにこれらの影響を特定するための支援を行う。」

IATAと協議し、概況報告書は各国の航空航法業務プロバイダー(ANSPs)であるAena、Avinor、NATSや、フランスのDGAC/STAC、ヒースロー空港、マンチェスター・メトロポリタン大学との共同作業によって完成された。

「一般に欧州では気温が上昇し、南域では水利用枠が減少し、中央域で対流気象が増加し、北域では降水量が増加すると予測できる。」とユーロコントロールの政策担当官であるRachel Burbidge女史がパリの会議で語った。

このため、危険性を特定することと、地域に適した地域とネットワークの回復策を実施することが航空業務プロバイダーには必要である、と彼女は述べた。「影響の多くは空港に集中するだろうから、これは遅延や時間厳守に係わる運航リスクにとどまらず、インフラにも影響が及ぶ可能性がある。例えば、降雨量が増えれば地上排水の問題が起きる可能性があり、そこで温度が上がれば滑走路の表面の問題につながる可能性がある。」

多くの組織はまだ気候影響の危険性を検討しておらず、インフラと運航計画のための費用効果の高い回復力強化には早めの行動が重要であるとBurbidge女史は報告した。

気候変動の影響がリスクになるかどうか利害関係者が評価を始めるためのチェックリストとなり、 すでに潜在的影響に適応しているいくつかの組織の事例研究となると同時に、航空が気候変動に適応するための援助リストの提供を概況報告書は目指している。

ノルウェーのANSPかつ空港運営者であるAvinorの上級相談役であるOlav Mosvald Larsen氏は、彼の組織する会議では2001年から気候への貢献を調べてきたと話した。現在作られたインフラはこの数10年を考えたものであり、気候の影響が考えられる間は、「先を考えることが重要である。」と彼は述べた。

北欧の将来の気候は今より暖かく、雨が多く、荒れることが予測されるとLarsen氏は述べ、永久凍土層のレベルにおける変化が滑走路の定着に部分的に損傷を与えているSvalbardのような空港ではすでにその影響が出ている。雨が多い気候と排水の悪さが合わさった結果、大嵐の後にはStavanger空港では滑走路に穴があき、他の空港では滑走路に岩が転がっていた。波や浸食の影響を受けないように、Avinorは現在、海抜7mより低いところには滑走路を建設しないよう要求していると彼は述べた。

Avinorは運営する46空港の内、約20空港は天気事象にさらされ、運営空港のうち42空港が長期の気候リスク評価を行い、11空港は危険であると分類した。

FAAの空港企画立案・計画作成事務局の責任者であるElliott Black氏は、最近FAA内で気候変動に関する懸念が提起されたが、それは二つの事件がきっかけとなったと述べた。最初は2009年でオマハ空港に近くのミズーリ川から水があふれて洪水の危険性が高いと大いに問題視されたが、空港が予防手段を講じて危険は回避された。2番目は2012年に台風サンディが米国東海岸の航空システムに及ぼす影響、特にニューヨークのラガーディア空港に及ぼす影響が行政官にとっての『目覚ましコール』のようなものであったと彼は述べた。

Black氏によると、米国では多くの空港が海岸や川に近い平坦な低地に建設するように制限されていて、約3,300の空港の内の244空港が洪水の危険にさらされ、約2,500空港が海岸や河川からちょうど1.5海里の場所にある。

「海面が上昇したら、問題が起きる。」と彼は代表者らに語った。「しかし、オマハ空港から我々が学んだことは、空港を守ることが可能な手段があるということである。」

リスクを最小にするための1つの方法としては、時間をかけての追加投資を通じて、滑走路の高さを徐徐に上げることだったと彼は述べた。

フランスの民間航空機関(DGAC/STAC)の技術業務部門は、気候変動に対する空港の脆弱性を評価する業務を行っていると、プロジェクト・マネージャーのAubin Lopez氏が会議で語った。この部門では気候変動が空港にもたらすリスクの特定と定量化を行い、空港の回復能力に関しての運営者の意識を高めるために、VULCLIMプロジェクトを立ち上げた。

その最初の段階ではまず気候変動の危険性と空港との係わりについてのリストを作成し、それに伴うリスクの特定と定量化のための方法論を作る。空港が長所と欠点を見極めるための自動化ツールを作っているところである。

発展途上国で空港と環境との調和についてこれまで以上に関心が高まっており、気候変動への寄与を含むICAOの空港計画資料の編集作業が進行中であると、ユーロコントロールの環境部門長であるAndrew Watt氏が語った。

新しい概況報告書へのコメントとして、ACI欧州の事務局長である Olivier Jankovec氏は語った。「我々の空港炭素認証制度を通じて空港産業の気候変動への寄与を減らしつつ、長年にわたって我々は気候変動式の両側をみてきたが、現在会員メンバーに気候変動が空港運営に及ぼす影響の可能性に関する評価、計画、準備の支援のためのツールキットを提供することになった。」

「安全性の面はまったく別のこととして、空港容量はここ欧州ではますます減少していくリソースであり、従って維持し、保護する必要がある。基本的に、これが空港容量に関連する安全性保持と経済繁栄に関するものである。」

リンク
ユーロコントロール−変化する気候への航空の適応
ユーロコントロール−「成長の課題:気候変動リスクと回復力」報告書(pdf)

気候の地域毎の欧州航空への影響(情報源:ユーロコントロール)

ハリケーンサンディ通過後の水に沈んだニューヨークのラガーディア空港