海外情報紹介 第38回ICAO総会において加盟国間の意見相違が二酸化炭素排出管理の世界的合意を阻む要因

10月4日まで、現在ICAO本部で開催されている第38回ICAO総会(開催は3年に1度)において、地球温暖化対策として世界規模のMBMs制度設立による二酸化炭素排出量低減のための検討がされていますが、国家間でいろいろ意見の相違があり、ICAO理事会が承認済みの決議案のままでは承認できない国々もあるようです。各国の主張についてgreenaironline.comで概説されているのでご参考までに要約を掲載します。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1747

ワーキングペーパーのダウンロードサイト:
http://www.icao.int/Meetings/a38/Pages/documentation-wp-presentations.aspx

 2013年9月24日(火曜日) − 今年の総会のためにICAO加盟国が提出したワーキングペーパーが、市場に基づく対策(MBMs)問題に関する意見が異なることを示し、今週木曜日(26日)に検討される予定の気候変動決議に関する合意形成が困難であることを際立たせている。ワーキングペーパーの大部分が国際的MBMをいくらか支持する方向を示していても、多くの加盟国はEU ETSのような国家的或いは地域的な制度には気乗りがしないままであり、双方の合意に基づいてのみ実施されるべきだということらしい。他の国々は原則を概して支持していないのだが、アフリカの国々はまたそのような制度からde minimis の例外として逃れる道を探している。ロシアはさらに掘り下げて、航空排出物が実際に低減されるとは思えないと主張して、原則的にMBMには反対の立場である。その代わり、ロシアは国際的な航空燃料税と経済的誘因の提示を提案している。

 アフリカの諸国家は、国家的や地域的な政策の「寄せ集め」は過渡的措置であり補足的技術手段であるとの理解の下で、それよりは世界的なMBMが好ましいと述べている。発展途上国に関しては国際的な制度においてCBDR/SCRC原則が考慮されるべきであると、彼等は付け加えた。アフリカ諸国家内でも現在の決議案の文面に意見の相違があり、国際制度が施行される以前にMBMを実施する国家或いは地域は、影響を受ける第三国の納得を得られるよう努力することが求められるべきだと彼等は述べている。国際航空の便数の総計がRTK thresholdの1%を下回る発展途上国への飛行経路とその発展途上国からの飛行経路についてはまた、そのような制度(MBM)は例外を認めるべきである。これはアフリカ諸国の全エアラインをEU ETSの適用外にする影響を持つことになる。

 このde minimis の範囲設定は前回総会の気候変動決議(A37/19)に含まれていたが、その後、ICAO理事会会長が前例のないほど多くの留保を受け取るという状況で、多くの国家から異議が出された。それが今年の決議草案の背景であるが、再度一般的な反対が出される模様である。

 アラブ首長国連邦(UAE)はワーキングペーパーで、ICAOの長年に渡る差別無しの原則と相容れないし、実施不可能なので、de minimisの概念は手放す必要があると述べている。決議草案の表現は国家と運航者のどちらを免除しようとしているのか明確にしていないので不明確で不適切である、または同じ飛行経路を飛行する航空機は同じ規則の対象になるだろうという、顕著な市場のゆがみを引き起こしかねない再確認の表現があると、UAEはワーキングペーパーで述べている。UAEはまた、de minimisの例外が他の航空関連問題に関する危険な前例になり得ることを懸念しており、国際政策に関する将来の例外範囲の予断を懸念している。

 しかし、差別無しの原則が十分に順守される限りは、たいした排出量の無い参加国を例外扱いすることには異議がないとUAEは述べている。

 UAEはまた、アフリカが双方の合意の原則を強調することに異議を申し立てている。暫定的なMBMがICAOの枠組み、すなわち一通りの指針に従っている限りは、双方の合意は必要とされないと主張している。「提案された決議が空域方式に沿っているならば、ICAOの枠組みはどの運航者を例外とすべきかを指示すべきではない。」とUAEのワーキングペーパーには書かれている。「これは国家の空域に係わる排他的主権の長年にわたる原則に反する。」

 しかし、第三国の同意を得られた時のみ国家或いは地域がMBMsを実施すべきであるとしてロシアは譲らず、ワーキングペーパー(WP/275)において、枠組みの文章の表現と、国家による暫定的なMBMの実施を許可する段落(17)を、この要件を反映して変更するよう要請した。サウジアラビアとベトナムもまた、双方の合意を当てはめるよう要求している。

 この問題は、今月これまでにICAO理事会の特別会議で提起され(記事を参照のこと)、決議案で妥協に至るため大部分が棚上げになったが、de minimisとともに、今週の総会に決議が提出された時に審議の焦点になりそうである。

 ロシアは総会にワーキングペーパーを2件提出し(WP/250と275)、国家的なものであれ、地域的或いは世界規模のものであれ、MBMsに対する一般的反対を表明し、決議文の多くの段落の書き換えを要求している。航空による正味の二酸化炭素排出削減を確実に行うには、国際的MBMは費用がかかって効率のよくない方法であることが判明するかもしれないとロシアは考えており、炭素市場をあまり信頼していない。 − 例えば排出量の割当量を「甘やかし」と呼んでいる。国際的なMBMの有効性が証明されず、必ずしも適した方法でない場合にはさらなる作業の着手が必要になり、国際的なMBMを扱う段落(20)の修正に反映されるべきだとロシアは考えている。

 その代わり、ロシアは意外なことに、航空燃料に世界一律で1%の課税を要求している。UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)のGreen Climate Fundに国際航空が貢献するよりも、世界中の森林火災に対処する機動的な消化部隊をICAOが始動することをロシアは提案している。というのも森林火災は気候変動の原因の一つだからである。ロシアはまた、世界の食糧安全保障への潜在的影響のため、航空用代替燃料にはたいして熱心ではない。

 ロシアはまた、前回総会で合意された国際的(努力)目標を改訂し − 上げるのか下げるのかには言及がないが − 、正味の排出物低減を達成するための経済的誘因を作り出してICAO気候変動基金の可能性を調査するようICAOに要求している。

 排出物低減のために、軋轢を生じるMBMsの問題に焦点を合わせるよりも、所有機の近代化や航空航法システムの改善のような運航対策に多くの時間をさくべきだとサウジアラビア(WP/176)は主張している。「そのような対策には全員の合意が得られるので。」

 現在、交代制であるEUの議長国であるため、EUとECACの44カ国の代表のリトアニアがその提案(WP/83)の中で、欧州のみの運航対策や技術対策、そして国家的活動や地域的活動を行っても、航空部門が直面している問題解決には不十分であろうし、MBMsを含めた世界的な取り組みが、ICAOの排出物削減目標達成には必要であると述べている。

 アメリカ合衆国(WP/234)は、MBMsが航空による排出物低減とICAOの目標達成のための重要な補足要素であることは認めている。MBMsが技術的に実行可能であるというICAOの専門家グループの評価は歓迎しつつ、すでに完了したICAOの作業を足場とすることが今必要であり、「2016年の第39回総会においてICAO理事会がそのような制度についての勧告を行うことで、世界規模のMBM制度の開発のための作業をすることが今必要であると米国は信じている。限定するわけではないが、将来の作業には、排出物の監視、報告及び検証の共通の方式の開発、市場に基づく対策を順守するにふさわしい、容認可能な内容の炭素クレジットの制定、そして特殊な状況や個々の能力に合わせた方式の開発が含まれるだろう。」

 加えて、新しい航空機技術の開発の奨励、運航の改善の実施、航空機のCO2基準の開発の完了と採用、環境に優しい代替燃料の開発と配備、国家的活動計画強化のための作業努力を含めた包括的取り組みにICAOは引き続き従事するべきであると米国は述べている。

海外情報紹介 環境活動を討議するICAO加盟国会議はMBMsについては意見の一致が見られずに終了

ICAO本部(カナダのモントリオール)にて、9月24日〜10月4日まで第38回ICAO総会が開催されていますが、航空機排出物低減による地球温暖化対策として、MBMs(市場に基づく対策)で世界的にCO2の排出量を管理する制度を設立しようと、加盟国の合意を得てこの総会の決議文に関連条項を組み込もうとする動きがありますが、国によって意見が異なり、今回の総会で具体的な枠組みを決めるのは困難な状況にあるようです。どの程度の内容が最終的に決議文に組み入れられるのか注目されるところです。greenaironline.comに掲載された報告の要約をご参考までに掲載します。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1758

ICAO第38回総会:
http://www.icao.int/Meetings/a38/Pages/default.aspx

 2013年9月27日(金)−ICAOの環境保護計画を検討する、昨日の午前中の会議で、代替燃料、国家的活動計画や国家援助に関するICAOの作業について加盟国間で広く支持を得られた。しかし、午後の会議は総会に提出される気候変動決議案(WP/34)の、論争の的になっている市場に基づく対策関連の表現の扱いにほとんどの時間が費やされた。ICAOの運営組織であるICAO理事会が合意した妥協案のあたりで合意を形成しようという大多数の加盟国の要求にもかかわらず、国家的及び地域的な暫定的MBMの制度を扱う段落と、そのような制度から160カ国余りの発展途上国を適用除外とするde minimisの条件を扱う2つの段落(17と18)に対しかなりの異議が出された。主要な発展途上国からはまた、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)の、共通だが差別化された責任の原則をよく認識すべきだという要求もあった。

 相違の度合いを考えて、第38回総会の会長でもある、会議議長のフランス大使Michel Wachenheim氏は、今日の午後(27日金曜日)に非公式の二国間協議を持ち、明日に加盟国の主要グループに合意を求めると述べた。来週の水曜日(10月2日)の総会で提示することになる、現在の決議草案の下書きの改善を目的とした、次週の早い時期のさらなる会議が見込まれている。総会は来週の金曜日(10月4日)に閉会し、同じ決議について合意が得られないことを最終日に議決しただけという、2010年の前回総会の再現は何としても避けたいところであろう(記事を参照のこと)。

 会議ホールを満席にした会議では、現在のままの決議案をよしとする44カ国の欧州国家からの幅広い支持があり、韓国、日本、マレーシア、そして多くのラテンアメリカ国家からは条件付きの支持があった。決議には統一的立場をとっているアフリカ諸国は、世界の総計のRTK shareが1%より少ない発展途上国家を暫定的MBM制度の適用対象から外すde minimisの段落(18)がある限りという条件で、大部分を支持した。

 アメリカ合衆国はde minimisで例外扱いすることを真剣に懸念している。国家ではなく運航者に適用されるべきだという方針を設定して採用した前例のためである(ロイターの記事を参照のこと)。昨日、例外扱いに懸念を表明した他の国家にはカナダ、日本そしてニュージーランドが含まれている。

 ロシア、中国、ブラジルそしてインドは、南アフリカ、サウジアラビア、キューバ、ボリビア、ベネズエラを含む様々な国家の支持を得て、世界的制度に先立ち実施される国家的或いは地域的MBM制度 − EUの欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)が含まれることになる − に不満がある。そのような制度は双方の合意によってのみ、一方的でなく、適用されるべきで、発展途上国の共通だが差別化された責任(CBDR)の原則が守られるべきであるという意見の加盟国がある。

 サウジアラビアの意見では決議草案は先進国をひいきしてゆがめられており、さらなる手続きの前に発展途上国へのこの制度の経済的影響について調査を行うようEUに要求した。インドの代表は、EU ETSを引き合いに出して、地域的MBM制度は報復措置の寄せ集めを作り出すと述べ、法律問題が発生するのでインドは空域方式には反対するとのことだった。

 新政府が政権の座について国内の炭素税を止める予定のオーストラリアは、MBMsに関するICAOの作業に反対はしないが、多くの条件付の下でのみ支持を示し、それまでの一方的な行動には反対した。

 航空排出物を低減する必要については争うところがないと会議の議長は結論づけ、ICAOこそ討論の場であるがMBMsについては意見の相違があることを認めた。

海外情報紹介 ヒースロー空港の騒音軽減運用試行が「住民10万人の支えになった。」

2012年11月5日から2013年3月31まで実施された、ヒースロー空港の騒音軽減運用試行について報告書が公表され、8月14日付けのBBC NEWSに内容が紹介されました。この運用試行については以前この欄にも掲載しましたが、特定地域の住民を早朝の航空機騒音被害から守るため、到着便を特定の飛行経路へ誘導するというものでした。ご参考までに要約を掲載します。

原文:http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-23692965

ヒースロー空港の関連サイト2カ所:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Press-releases/100-000-get-noise-respite-from-night-flights-625.aspx
http://www.heathrowairport.com/noise/noise-in-your-area/early-morning-trial
(ここから報告書がダウンロードできます。)

NATSの関連サイト:
http://nats.aero/blog/2013/08/heathrow-trial-provided-100000-with-noise-respite/
(ここからも報告書がダウンロードできます。)

ヒースロー空港の騒音軽減運用試行について:
http://www.aerc.jp/index.php?ID=107&cID=10

ヒースロー空港の早朝便に係わる騒音軽減運用試行によって、飛行経路下の住民約10万人への騒音影響が軽減されたことがわかった。

 5ヶ月間の試行期間中、am4:30から6:00の間は特定地域の住民を騒音から守るために通常よりも限定された飛行経路へと航空機は誘導された。

 しかし、南東ロンドンにあるBrockleyのような地域では夜間騒音が一層うるさくなったことが調査結果からわかった。

 試行の報告書によれば現在のやり方で継続すべきではないとのことだ。

 毎朝4:30から06:00の間、ヒースロー空港には平均して約17便が到着する。

思いがけない悪影響

 航空交通管制官は通常、広範囲な飛行経路の中で最も安全で最も効率的な着陸経路を航空機に指示する

 昨年11月に開始された試行期間中は、実験に係わる特定空域を飛行しないようにパイロットは誘導された。

 Helios社による報告書に詳細が記されているが、試行の結果、Berkshireの多くの住民同様に南東ロンドンと東ロンドンの住民が恩恵を受けたことがわかった。

 しかし、試行は継続すべきでないと報告書は記し、「意図しない悪影響と、得られるだろう恩恵のバランスをよりよく理解するため、起こりそうな結果予測のための評価を試行実施前に行うべきだ。」とも報告書は記している。

注目すべき成果

 今回の試行の枠組みは、ヒースロー空港、英国航空、NATS(英国航空交通事業)そして航空機騒音反対運動を行うHACANの共同作業で形作られたものだった。

 HACAN代表のJohn Stewart氏は「このような形で我々が航空産業と共同作業したのは今回が初めてだ。」と述べた。

 「今回の試行には将来の実験で取り組む必要のある問題がいくつかあったが、10万人の住民を安心させたのは重要な成果だ。」

 ヒースロー空港のMatt Gorman氏は述べた。「地元の地域社会や、空港に係わる我々の協力企業とともに作業して、数万人の住民に騒音の小休止をもたらす新しい方法を発見できたことは、とても励みになる。」

 今回の試行で対象となった地域は、空港の東側がVauxhall、Wandsworth、Battersea、 Clapham Common、Westminster、BermondseyとStreatham及び、空港の西側がBinfield、 Reading、Purley-on-ThamesとWinnershだった。

海外情報紹介 空港委員会が討議資料の5番目として「航空機騒音」を公表

以前このホームページ上で紹介しました英国のAirports Commission(空港委員会)が、討議資料として「航空機騒音」を公表しました。ご参考までにプレスリリースの要約を掲載します。

原記事:
https://www.gov.uk/government/news/airports-commission-considers-aviation-noise

空港委員会について:
http://www.aerc.jp/index.php?ID=105&cID=10

資料のダウンロードページ:
https://www.gov.uk/government/publications/aviation-noise-discussion-paper 公表日:2013年7月5日

 空港委員会は、一般から意見を求めるための一連の討議資料の5番目として「航空機騒音」を公表した。

 この資料は、航空と騒音に関する現在の科学的理解と実際の政策を調査し、科学的根拠を発展させるための問いへの答えを求める資料である。航空機騒音の健康影響、うるささの問題や時間の経過によって問題がいかに進展するかについて検討するものである。資料では騒音測定や騒音軽減の取り組みの様々な方法を検討している。そして、夜間騒音を含めた特殊問題も扱っている。

 空港委員会の委員長であるSir Howard Daviesは以下のように述べた。:

 「航空機騒音が空港周辺の地域社会や飛行経路下の地域社会に及ぼす影響を理解することは、空港委員会の作業の中核を成す。」

 「現在の空港容量を最大限に利用するために委員会が選択肢評価を行うにあたって、この重要問題に関する解答が情報を提供し、新しい空港容量に関する将来の提案を英国政府にもたらすことになるだろう。」

 この資料は根拠に基づく委員会の取り組みをさらに実証するものである。資料で提起されている問題に関して2013年9月6日までに委員会へ証拠を提出するよう、関係者は求められる。

編集者への注記

 空港委員会は2012年11月2日に発足した。2013年の終わりまでには以下について報告をしなければならないという付託条項がある。

•世界のハブとしての英国の立場維持に必要な段階的方策の性質や規模そして実施時期についての証拠の評価
•現在の滑走路能力の使用法を改善するための、これからの5年間に行う速やかな対策に関する委員会の(1つ或いは複数の)提言−これは信憑性のある長期の選択肢と矛盾しない。

 委員会の付託条項はまた、2015年の夏までには以下について報告すべきであるとしている。

•英国の国際的接続性の必要性を満たす選択肢の、経済的、社会的そして環境的影響を含めた評価
•いかなる必要性も満たす最適なアプローチに関する委員会の(1つ或いは複数の)提言
•要求される時間内で実行可能な限り迅速に、その必要性が満たされることを確実にするための委員会の(1つ或いは複数の)提言

報道媒体の問い合わせ先

空港委員会の電話連絡先:020 7944 4833

空港委員会をツイッターでフォローするには以下で:@ukairportscomm

海外情報紹介 電動タキシング装置が航空機の燃料消費を減らす

6月17日から23日まで開催されたパリエアショーで、Honeywell社とSafran社のジョイントベンチャーによって開発中の、電動タキシング装置(Electric Green Taxiing System (EGTS))が実演公開されました。タキシング時に主エンジンを使用しないで、APU(補助動力装置)の電力を利用して自立走行するシステムです。主エンジンを使用しないので、燃料を浪費せずにすみ、排出ガスが減り、騒音も小さいとのことです。ご参考までにBBC Newsの記事の要約を掲載します。

原記事:
http://www.bbc.co.uk/news/business-22992654

装置についてのアニメーションビデオ:
http://www.youtube.com/watch?v=8av4C4Bn2JM&feature=player_detailpage

パリエアショーで展示するまでのビデオと、関連記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1710

Honeywell社の関連記事:
http://aerospace.honeywell.com/markets/airlines/2013/06-June/honeywell-and-safran-to-demonstrate-electric-green-taxiing-system-at-paris-air-show


パリエアショー:地上で最も有効に働く航空機技術

2013年6月20日

飛行する戦闘機が頭上でうなりをあげ、ぴかぴかの新型旅客機が並ぶ中で、旧型のエアバスA320がパリエアショー開催週の間、多くの注目を集めていた。

 この航空機は飛行せず、エンジンを始動することもなかった。が、とてもゆっくりと移動した。そして、このことが観衆を引きつけた。

 これはなぜ数年前に売り出されなかったのだろうか?と疑問を抱くような製品が、時折展示される。

 協力関係を結んでから2年後、航空技術界の2大ビッグネームであるHoneywell社とSafran社がパリエアショーに環境に優しい電動タキシング装置(Electric Green Taxiing System (EGTS))を持ってきた。

 先進工学が組み込まれた複雑な装置だが、説明は簡単にできる。

 制御装置が車輪に取り付けられ、航空機の主エンジンよりむしろ電力系統から動力を得る。そのため、空港で航空機がタキシングする場合、高価な燃料を浪費しない。

 2つの動力源を使用して効率性を高めるハイブリッドカーに少し似ている。

 その結果は? 排出ガスと運用コストが減り、エンジンの寿命が延びて騒音が減る。

試験運用
 とにかく、それがHoneywell Aerospace社のEGTS計画の統括責任者であるBrian Wenig氏の説明である。A320型の航空機では3%から4%の燃料を節約するだろうと彼は試算する。

 「この装置は劇的に燃料消費を減らし、運用コストを下げるだろう。」と彼は言う。「そしてこの装置は従って、駐機スポットの内外で航空機の地上器材を操作する必要性を、完全には取り除かないまでも、減らすことにはなるだろう。」

 Honeywell社とSafran社は、エアラインが航空機1機につき年間約$200,000(£129,000)の燃料費をこの装置で節約できるだろうと信じている。

 エールフランスはこれらの主張に合理性があるかどうか調査しようとしているエアラインの1つである。

 フランスを代表するエアラインはエアショーにおいて、EGTSの技術的恩恵の可能性と、運用上の恩恵と経済的な恩恵の可能性について分析するつもりだと公表した。

 単純に見えるが間違いなくそうではない、この種の装置の画期的な新局面である。ショーの間、メーカーは旧型のエアバスを使用し、電力系統から引き出した動力で、タキシング操作を行うにあたり、パイロットが重い機体を完全に制御したままでいられることを実演した。

 EGTSは開発中の唯一のシステムではなく、L-3社やWheelTug社が類似の製品を開発しているところである。

 その一方で、イスラエルの航空機産業には独自のTaxiBot 装置があり、メーカーの主張によれば、かなり大型の広胴機の操作に使用できるという追加利点があるそうだ。

 しかし、Honeywell社とSafran社は、この世界最大の航空宇宙イベントでオブザーバの視線を引き付けながらEGTSをうまく実演できたことで、競合相手をなんとか出し抜くのに成功したと感じている。

収入の流出
 パリエアショーの前に、このシステムは実際、約100マイルの滑走路上試験を経ていた。次の段階としては、速度を速めて最大離陸重量で試験を行う。

 言うまでもなく、EGTSは高機能な装置の一部であるが、Honeywell社とSafran社がこの計画に数千万ドルを注ぎ込む動機となったのは、技術的進歩が大きかったことよりむしろ、エアラインが燃料効率改善を要求したためだった。

 ボーイング社の787ドリームライナーと、ボンバルディア社の就航間近なCシリーズ機の開発もまた、顧客の、とてつもなく高い燃料費を削減する必要性が推進力となっていた。

 Wenig氏は言う。:「エアラインの燃料効率技術の要求は今や最優先事項である。高騰する燃料費がエアラインの収入と利益をますます食いつぶし、エアラインの直接的運営費の50%を燃料代が占めるという地域が世界にはある。

 「EGTSは小規模な改修のみで従来の着陸装置に取り付けられ、着陸装置の構造全体の機械設備を時間をかけて取り替える必要性を緩和する。」と彼は言う。

 エアラインのエンジンは飛行用に作られていて、離陸の順番を待って出発ゲートでアイドリングするためには作られてはいない。

 1日に数回使用される中距離型機については、問題が拡大する。少ない回数で長距離を飛行するジャンボジェットよりも不相応な量の燃料を燃焼するだろうからである。

 「通路が1本の航空機は、日に8回から10回のローテーションなら地上での運航が平均2.3時間で、結果として航空機が地上から飛び立つ以前にかなりの量の燃料を燃焼することになる。」とWenig氏は言う。

 そして、短距離型と中距離型の航空機を120機かかえるエールフランスのようなエアラインにとっては、節約する燃料の量はかなりのものになるだろう。現在使用されている通路1本の航空機は約10,000機で、Honeywell社とSafran社はETGSの潜在市場はこれらのうちの約80%であると主張している。

 Wenig 氏は、2016年の実用化に向けた準備が順調に進んでいると述べ、従来型の航空機用の改良版がその直後に市場に出るとのことだ。

海外情報紹介 ボーイング787の対抗機であるエアバスA350が6月14日に初飛行

6月17日から23日まで開催されるパリエアショーの展示には間に合わなかったようですが、直前の6月14日にエアバスA350の初飛行が行われました。リアルタイムの空撮ビデオを含めたオンラインストリーミングで配信されたairbus.comのウェブサイトで、50,000人を超える人々がA350 XWBの離陸を見たそうです。BBC Newsに関連記事が掲載されたので、ご参考までに要約を掲載します。
なお、今回飛行したA350 XWBは、MSN1と呼ばれ、A350-900型機で、-900は標準的3クラス仕様の314座席を表しているそうです。A350にはその他胴体が長く座席数が350の-1000型機と、定員270名の最も胴体の短い-800型機があるそうです。

1.A350:エアバス社が作りたかった航空機ではなかった。
2.A350が航空エンジンの新局面を示す。

1の原記事:
http://www.bbc.co.uk/news/business-22803218
2の原記事:
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-22889969
A350のサイト:
http://www.a350xwb.com/#timeline/8973 1.A350:エアバス社が作りたかった航空機ではなかった

2013年6月14日

設計図上で何年もの間検討され、150億ドル(95億ポンド)の資金が投入された、大ヒット商品になりそうなエアバス社の新型機が金曜日に、待望の初飛行を行った。

 (さらに胴体幅の広い)A350XWBは、燃料効率と環境性能に新しい基準を生み出すとエアバス社がコメントする航空機である。

 航空機技術を新しい水準へ引き上げたと主張するもう一つの旅客機である、ボーイング社の最新鋭787ドリームライナーの直接の競合機として、長距離型で、双発の飛行機は、売り込みが行われているところである。

 しかし、A350はまた、エアバス社が本気で建造を望んでいたわけではない航空機である。

 2000年代半ばまで、欧州のメーカーは遅れに遅れたA380スーパージャンボの発売準備で手一杯だった。

 2階立ての巨人は、極めて複雑な機械で、その開発コストはウナギ登りになった。そこで、エアバス社は数十億ドルを別の白紙状態の設計に投入することに気が進まなかった。

 しかし、ボーイング社が計画し、すでにエアラインがかなりの関心を抱いていたドリームライナーの対抗機としてエアバス社には新型機が必要だった。

 A350とは異なり、ボーイング社はドリームライナーをパリの展示会で展示するだろう。

 ドリームライナーは、軽量の炭素複合材を使用して建造されることになっていたし、燃料消費を減らし、運航費を減らすために最新の航空力学を取り入れることになっていた。

 エアバス社が考え出した設計は、既存のA330型機を元にして、しかし、胴体を軽く、翼やエンジンを新しくして、ドリームライナーの燃料効率に対抗しようと試みた。

 しかし、潜在顧客は強い印象を持たなかった。とりわけ熾烈な批評家が、膨大な数の航空機を購入する International Lease Finance CorporationのトップであったSteven Udvar-Hazy氏であった。

 社内でかなりの実力者であった彼は、公に、単純に設計されたA350では任に堪えないと示唆した。何社かのエアラインのトップも同意し、2006年半ばにエアバス社は設計図を引き直すことになった。

 その結果がツールーズのエアバス本社駐機場に今ある機体で、エアラインはすでにかなりの信任投票を与えているようである。
最新鋭機

 600を超える注文書が発行済みで、来週のパリエアショーでさらに多くの契約が公表されるようであり、エアショーではエールフランスは25機のA350とさらに35機の購入を選択肢として検討中と報じられた。

 アナリストはA350の初飛行は象徴的価値以上のものだと述べている。潜在的購買者に対して、複雑な産業プロジェクトが実を結んだことを明確に示している。

 787と同様に、A350は新鋭機である。長距離飛行を燃料効率改善と結びつける機会をエアラインに提供する。

 胴体は炭素繊維で補強したプラスチック製であり、重量を減らすために航空機の他の部分の多くでチタンと先進合金が使用されている。

 また、最先端の航空力学を取り入れ、エンジンメーカーであるRolls Royce社は新規に特注設計の動力装置を制作した。

 これらすべての要素によって、現世代の同等クラスの航空機よりもA350は燃料使用量が25%減るだろうとエアバス社は主張している。また、騒音と排出物が現在の基準をはるかに下回るだろうとも指摘している。

 A350が狙っている市場区分は大きな成長が見込まれていると、エアバス社の最高執行責任者であるJohn Leahy氏はBBCに語った。彼の予測では、これからの20年間に世界のエアラインにはその種の航空機が6,500機程度必要になるだろうとのことである。

 その上、彼はA350がドリームライナーをリードしていると思っている。Leahy氏は言った。:「787がこれまでに達成したよりかなり早い期間に、A350の販売機数は600機を超えた。そうして、市場自体がA350の圧倒的な需要を証明してきた。」

 しかし、最近ボーイング社が787で、新しい、未確認の技術は欠点がある可能性を発見した。

 運航開始から1年そこそこの1月に、787のバッテリーがオーバーヒートして、ある機体では火が出て、もう1機の機体からは煙が出た後、ボーイング社の主要機は取締官によって飛行禁止になった。

 787は、ラップトップPCや携帯電話のような装置ではよく使用されるリチウムイオンバッテリーを使用していたが、民間航空機にいまだかつて設置されたことは無かった。軽量で、大量のエネルギーを蓄積できる一方、過熱しやすい傾向もある。

上空飛行

 速やかな設計変更後、787は4月に飛行を再開した。その一方で、エアバス社はリチウムイオンバッテリーはA350に使用しないことを決定した。− 元来は使用する計画だったのだが。代わりに、実績のあるニッケル−カドミウム技術を引き続き使用するだろう。

 しかし、A350開発に関してエアバス社が警戒心を見せていることが、今年の航空宇宙産業の展示場であるパリエアショーでA350が一般に公開されないだろう理由を説明する助けになるかもしれない。

 今回の展示会はエアバス社の本拠地で行われるだけでなく、1909年の第1回からパリで開催されている航空展示会の第50回目である。

 エアバス社は心底、同社の新しいおもちゃをこの展示会で展示したかっただろう。しかし、エアバス社は新型機を大急ぎで空へ飛ばすことについて大変慎重にことを運んできたように見える。

 それどころか、世間の目から隠して、誤作動解決に時間を費やしてきた。初飛行が行われたのが遅すぎて、A350がパーティに参加するのは許されない。

 そのため、来週のル・ブルジェ空港ではいずれにせよ、ボーイング社はライバル社を出し抜くことができるだろう。米国メーカーは傷ついた評判を再建しようとするので、787は派手な展示になるだろう。

 しかし、最近空に舞い上がったA350が少なくとも上空を飛ぶ、わくわくするような可能性が残っている。

 そしてもし上空飛行できたら、A350がエアショーの目玉になる可能性がある。

エアバス社について
■1967年:フランス、ドイツそして英国政府が協同で航空機を生産することに合意
■1972年:初めて制作されたエアバス機であるA300が処女飛行を行う 
■エアバス社は現在、Franco-German EADS groupが所有している 
■約63,000人が雇用されている
■世界最大の航空機であるA380を製造する
■会社設立から7,877機の航空機をこれまで引き渡した 



2.A350が航空エンジンの新局面を示す

2013年6月14日

 世界で最も効率的と言われる英国製航空機エンジンは金曜日に最もきつい試験に臨んだ。

 ロールスロイス社が製造したトレントXWBエンジンは、フランスのツールーズからデビュー飛行を行った、新型機エアバスA350に装備された。

 重量をそぎ落とし、燃料消費を最小にするために考案された新規技術が新型エンジンには投入されている。

エアバス社と、最近ドリームライナーを就航させたボーイング社の間の熾烈な競争における最近の展開である。

 そしてその戦場にロールスロイス社とその米国の競争相手であるゼネラルエレクトリック社が加わった。

 航空エンジンの注文は数十億の売上につながるので、顧客獲得競争は熾烈である。

 トレントXWBはA350用の特注設計で、これまでに1,200を超える製造依頼がきている。

 BBCニュースはDerbyにあるロールスロイス社の工場で生産過程を見学するという滅多にない機会を得た。

 まず人目を引くのがこのエンジンの大きさで、エンジン前部にあるファンブレード1式の直径は118インチ(299cm)と、この英国企業がかつて作った中でも最大であり、コンコルドの胴体も収容できるほど広々としている。

 ブレード自体はチタン製で、中が空洞になっており、内部の顕微鏡スケールの極小グリッド構造で強化されている。GE社は複合材料製のファンブレードを選んでいた。

 ファンの大きさが毎秒、スカッシュコートを満たすに十分なほどの空気の吸い込みをエンジンに可能にし、ロールスロイス社がこれまでに達成した最大の圧力である、50対1のいわゆる「圧縮比」で、その後冷凍冷蔵庫の大きさまで圧縮する。

 エンジンに流れ込む空気の流れが大きいほど、そして潜在的圧縮が大きいほど、プロセス全体の効率が向上する。

 燃料の混合体と空気に着火されると、結果としてできるガスは2,200Cという途方もない温度になる。これはこれまでに達成されたことのない高温であり、燃料1滴から最大限の出力を得ることを意味する。

 2,200Cの強烈な熱は実際、この急速に膨張するガスで動くタービンブレードも含め、燃焼室の部品の融点より700C高い。

 そのため各ブレードは人間の髪ほどの大きさの小さい穴が網のように300個あけられている。これがタービン表面の薄いフイルム内を流れる空気の冷却を可能にし、1種の断熱材の役割を果たす。

 この途方もない熱とそれに伴う巨大な圧力に耐えるため、68枚のタービンブレードは、ニッケルを基にした合金で製造され、脆弱さの原因になる内部亀裂の危険を避けるために、単結晶になっている。

 膨張するガスで動くブレードのそれぞれが、エンジン前面にある巨大なファンブレードを動かす内部シャフトを回転させ、F1レースカーのように大きな動力を生み出すことになる。

 XWB計画の指導者であるChris Young氏によれば、このエンジンは一連の斬新的な改善を追求した科学者や技術者の数年に渡る作業の成果だそうだ。

 「ここでは1パーセントにかかわる個々のシステム設計、そこでは0.5パーセント、あそこでは数十分の1というように、個々の技術が数多くつめこまれている。」

 「エンジンには最新技術を採用しようとしてきた。これは最も新しく開発された、そして最新技術をすべて組み合わせた、世界で最も効率のいいエンジンだ。」

 平均して、航空機エンジンは過去20年間にわたり、毎年1%燃料効率を向上させてきた。

 ロールスロイス社の主張の後には必然的に、次のエンジンが公表された時のGE社の同様な主張が続くことだろう。

 燃料費の価格高騰に直面するエアラインは費用削減に必死で、航空産業全体としてはまた、炭素排出量を最小限にすべしというプレッシャーにさらされている。

 しかし、最新世代のエンジンは以前より効率がよくなり、温暖化ガスの低減よりも航空交通の国際的成長、とりわけアジアにおける成長の方が重要視されている。

 マンチェスター大学の航空宇宙工学の講師であるPeter Hollingsworth博士は、基礎物理によって、既存の設計からどれだけより多くの効率性が引き出せるかについては限界がある可能性があると述べた。

 「真の難題である。現在の成長率で航空産業が成長するなら、できることはほとんどない。年間平均1-2%ずつ改善して多くの年数のうちに20%を達成できても、それさえかなりの難題だ。」

 「今やエンジンはずっと効率がよくなり、20%の改善は昔ほど価値がないので、常に利益を打ち消されながら作業に従事し、同時に、航空は成長を続ける。」

 航空産業は2005年のレベルと比較して炭素排出量を2050年までに50%減らすという目標を自ら設定している。そして、設計における革命的変化が起きた時のみそれは達成可能だろうという認識がある。

 検討された案の中には、翼と二重反転プロペラに埋め込むエンジンというアイデアがある。

 ロールスロイス社の先進プロジェクトの技師長であるAlan Newby氏は言った。:「結局のところ、我々が急進的な改革を行おうとするなら、航空機の外観は今とは違ったものになってゆかざるを得ないだろう。」

 「顧客と環境のために確保する必要がある目標を、我々が達成するつもりなら、2020年代の達成は多分無理で、2030年以降になるだろう。」

海外情報紹介 ヒースロー空港はエアラインを騒音のうるささでランク付けする

BBC.CO.UKの5月30日付け記事に、英国ヒースロー空港のこれからの騒音対策について紹介記事が掲載されましたので、ご参考までに要約を掲載します。

原記事:
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-22711211

ヒースロー空港のこれからの騒音対策に関する報道発表:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Press-releases/Heathrow-publishes-commitments-on-noise-reduction-measures-57f.aspx

ヒースロー空港静穏化計画に関する資料のダウンロードーページ:
http://www.heathrowairport.com/noise/what-we-do-about-it/a-quieter-heathrow

空港周辺地域の静穏化計画の一環として、ロンドン・ヒースロー空港の管理者達は、航空機の騒音のうるささによってエアラインをランク付けする予定である。

 ヒースロー空港の責任者達はまた、騒音規制値を超えたエアラインへの罰金の値上げを望み、新規出発ルートと急勾配の進入角を試したいようだ。

 静穏化計画には、ヒースロー空港周辺の家屋や事務所に新規の防音計画を導入することも含まれている。

 静音飛行計画(Fly Quiet programme)は今年これから開始の予定である。

 ヒースロー航空機騒音管理協会(HACAN)は、静穏化計画を歓迎したが、住民達はそれでも空港拡張計画を容認しないとコメントした。

争いの種

 ヒースロー空港の最高責任者であるColin Matthews 氏は言った。:「ヒースロー空港は航空機騒音と取り組む国際努力の最前線にあり、その結果、1970年代から便数がほぼ2倍になったにもかかわらず、騒音の影響を受ける住民の数は減っている。」

 一方で「ヒースロー空港がもたらすvitalな接続性と経済成長を堅守しつつ」、ヒースロー空港はエアラインや航空交通管制企業であるNats、政策立案者や住民とともに、騒音低減のためにさらに努力を続けるだろうと、彼は述べた。

 独立した輸送委員会が水曜日に公表した、英国の航空インフラストラクチャーの将来についての報告書では、ヒースロー空港周辺地域はスタンステッド空港或いはガトウィック空港周辺よりも人口密度が高いという事実を強調している。

 報告書によれば、今のところ、最も音のうるさい航空機は「夜間」(23:00から07:00)には定期便としては運航されないかもしれず、「夜間割当時間帯」(23:30から06:00)では便数と騒音割当で航空機の運航は制限されている。

 報告書では、以下のように付け加えている。:「これら早朝の、長距離便の到着による騒音は長い間、ヒースロー空港周辺の世帯にとって頭痛の種となってきた。」

 先月、ヒースロー空港拡張の可能性に対する抗議行動が行われ、西ロンドンの住民は早朝便による騒音を問題にした。

 HACANの代表であるJohn Stewart氏は、「これら静穏化のための対策は歓迎だし、住民の騒音環境を改善してくれることだろう。」と述べた。

 「しかし、第3滑走路が建設されて便数が大幅に増加するなら、これらの対策による恩恵はほぼ確実に凌駕され、静穏化の努力はすべて水泡と帰すだろう。」

 Hounslow議会の副議長であるColin Ellar議員は言った。「協議において、ヒースロー空港の改善は望んでも拡大は望まないと声高にかつ明確に主張した地方議会や住民の意見に、ヒースロー空港が耳を傾けるようになったようだ。」

海外情報紹介 ICAO(国際民間航空機関)が環境問題に関するシンポジウム「Destination Green」を開催

ICAO本部(モントリオール)で5月13日から16日まで航空と気候変動に関するシンポジウム「Destination Green」が開催されました。
航空環境に関する最新の動向について、加盟国や主要な利害関係者と情報を分かち合うための行事を、ICAOは3年に1度行っているそうです。この種の行事としては今回のシンポジウムは第4回目で、今年9月の第38回ICAO総会に向けて環境と航空について参加者の対話を促進する目的で開催されたそうです。
以下のサイトから各発表の資料がダウンロードできるようになっています。セッション1から8まで、48編の発表が掲載されています。航空機騒音に関する発表も5編あります。

http://www.icao.int/Meetings/Green/Pages/Presentations.aspx

なお、ICAOジャーナルの最新号(68巻2号)はシンポジウムと同じく「Destination Green」と表題のついた環境特集号で、今年2月4日から15日までICAO本部で開催された航空環境保護委員会第9回会議(CAEP/9)に関する記事も掲載されています。

ICAOジャーナルのダウンロードサイト: http://www.icao.int/publications/Pages/ICAO-Journal.aspx?year=2013&lang=en

海外情報紹介 英国の空港容量を検討する空港委員会が、新たに環境問題を含めた専門家委員会を設置

英国の空港容量について検討するためのAirports Commissionの設置については、以前このホームページにも掲載しましたが、その機能を補佐するための専門家委員会が設置されました。メンバーには騒音や大気汚染、気候変動など環境問題の専門家が含まれています。ご参考までにプレスリリースの要約を掲載します。

原記事:
https://www.gov.uk/government/news/airports-commission-unveils-new-expert-panel

専門委員会の付託条項等詳細に関する資料ダウンロードサイト:
https://www.gov.uk/government/policy-advisory-groups/expert-advisory-panel

空港委員会について:
http://www.aerc.jp/index.php?ID=105&cID=10

プレスリリース:空港委員会は新規の専門家委員会設置を公表する。

関連機関:空港委員会
公表日:2013年5月3日
方針:環境と地域社会に及ぼす影響を減らしながら、英国の空港とエアラインの立場が安全で堅固で競争力を保ったままであるのを確認するため

空港委員会が最高の科学技術の専門知識を確実に入手できるようにと設立された専門家委員会

 英国の長期的な航空容量需要評価のために英国政府が設立した空港委員会が、環境や工学や輸送の一流の専門家による、審議を補佐するための小委員会設置を公表した。この小委員会がさらに一歩踏み込んだ課題を提示し、その内容の確かさを保証することで、空港委員会は最高の科学技術の専門知識を確実に入手するだろう。

 Howard Davies氏が委員長を務める空港委員会はまた、長期的に空港容量を増やすためのあらゆる提案を精査するために使用する基準を公表した。

 以下はHoward Davies委員長のコメントである。:

 「空港委員会の作業をはかどらせるために、我々が任命した専門家達が様々な技能や経験を持ち寄ることで、空港委員会は良質の科学技術の専門知識を幅広く確実に入手できるだろう。」

 「加えて、経済、社会、環境及び運用の論点を含む、関連する諸問題を全方位に渡って検討するという段階を踏もうという空港委員会の意図を、我々の精査基準は明確に示すものである。」
 
 今日(2013年5月3日)、公開された精査の基準は、今以上の容量の必要性を記述すべきならば、どの長期的空港容量付加の選択肢についてさらに詳しく展開させるかを決めるための、委員会に必要な情報の概要を説明するものである。

編者への注記

 空港委員会は2012年11月に設立された。その付託条項によって、委員会は2013年の終わりまでに以下について報告をせねばならない。:

•世界のハブとしての英国の立場維持に必要な段階的方策の性質や規模そして実施時期についての証拠の評価

•現在の滑走路能力の使用法を改善するための、これからの5年間に行う速やかな対策に関する委員会の(単数或いは複数の)提言−これは信憑性のある長期の選択肢と矛盾しない。

 付託条項によって、以下についても空港委員会は2015年夏までに報告をしなければならない。:

•英国の国際的接続性の必要性を満たす選択肢の、経済的、社会的そして環境的影響を含めた評価

•いかなる必要性も満たす最適なアプローチに関する委員会の(単数或いは複数の)提言

•要求される時間(尺度)内で実行可能な限り迅速に、その必要性が満たされることを確実にするための委員会の(単数或いは複数の)提言

長期にわたる容量の選択肢−精査の基準

 2月に、空港委員会は関係者に対し、彼等の業務に関連した、英国空港容量の長期的需要に適う選択肢を提示するよう要請した。今以上の容量の必要性に関して明確化すべきであるなら、どの選択肢をさらに詳細にわたって展開させるべきかを、空港委員会がいかに決定するのかについて、精査基準では詳細な情報を提示する。推進したい計画がある関係者は2013年7月19日までに空港委員会に対し、提案書を提出しなければならない。


専門家による諮問委員会

本日(2013年5月3日)、任命された専門委員会のメンバーは以下の方々である。:

• Helen Apsimon教授; Imperial College Londonの大気汚染学の教授
• Charlotte Clark博士; Barts and the London School of Medicineの環境精神衛生疫学の上級講師
• Piers Forster教授; University of Leedsの物理的気候変動学の教授
• Andrew Kempton博士; ロールスロイス社の騒音専門家主任
• Peter Mackie教授; University of Leedsの輸送学の研究教授
• Andrew McNaughton教授;High Speed Two Ltdの技術部門の重役、また以前はNetwork Railの主任技術者
• Henry Overman教授; London School of Economicsの経済地理学教授
• George Paulson氏; 独立コンサルタント;ユーロコントロールの安全・航空宇宙担当の前重役
• David Quarmby博士; RAC財団の会長であり、Strategic Rail Authority とBritish Tourism Authorityの前責任者
• Andreas Schäfer教授; University College Londonのエネルギー・輸送学の教授
• Keith Shine教授; Reading大学の物理気象学教授
• David Starkie氏; Case Associates社の古参社員
• Callum Thomas教授; Manchester Metropolitan大学の持続可能な航空学の教授

 専門家による諮問委員会への任命はすべて、委員それぞれの個人の能力に対してなされるものである。
 
 空港委員会の作業に関するインタビューの申込や他のメディアの問い合わせ先は電話:0207 944 3118である。

 空港委員会についてツイッターでフォローするには以下で。:
@ukairportscomm(https://twitter.com/ukairportscomm)

海外情報紹介 「環境に優しい航空産業:航空用バイオ燃料に世界中が殺到している」

米国の独立した政策シンクタンクであるオークランド研究所が、航空用バイオ燃料をとりまく状況について報告書を公表しました。排ガス削減の切り札としての役割を期待されているバイオ燃料が、その探求によって環境破壊につながりかねない一面も持っているという、意欲的な報告書です。ご参考までに報道発表記事の要約を掲載します。


原記事及び報告書のダウンロード:
http://www.oaklandinstitute.org/press-release-eco-skies-global-rush-aviation-biofuel

カメルーンのヤシ農場の真実について:
http://www.oaklandinstitute.org/herakles-exposed


プレスリリース:エコスカイ:航空用バイオ燃料に世界中が殺到している。

日付:2013年3月18日 太平洋標準時刻午前8時
連絡先: Anuradha Mittal
amittal@oaklandinstitute.org; +1 510 469-5228

新規報告書であるEco-Skiesは、航空排出物削減目標への警鐘を鳴らす。

フライドポテトの油で燃料を作ったり、バイオ燃料のために土地の争奪戦を行っても解決策にはならない。

 カリフォルニア州オークランド:オークランド研究所が公開した新規報告書であるEco-Skies: The Global Rush for Aviation Biofuelは2050年までに排出物を減らそうという航空産業の野心的な目標に対して警鐘を鳴らしている。このまま行くと、バイオ燃料の製造が飛躍的に増加することになり、もはや貧困国のみにとどまらず、すでに発展途上国の国民の生命と生活を脅かしている土地の収用が加速されることになるだろう。

 一見すると、再生可能な、表向き環境に優しいバイオ燃料に依存するところが大きい戦略理念は航空産業にとって前向きな一歩に聞こえる。事実に基づいたものでさえあれば、そして将来の成功を示す証拠でもあればよいのだが。この新しい報告書では環境に影響を及ぼす可能性と人間の生命に損害を及ぼす可能性両方ともに、この新規の目標を評価するにあたり十分に分析されてこなかったことを明らかにした。それどころか、航空産業の燃料供給のためにバイオ燃料を探求すれば、この新しい環境対策が新型の環境破壊そして人間生活の破壊へと導きかねないという深刻な疑問が提示されることになる。

 飛行機を飛ばすには大量の燃料が必要である。現在、バイオ燃料は民間機の運航に本気で使用するには希少で高価である。オークランド研究所のFellowであり、報告書の著者であるLukas Rossはエアラインが、経済的制約及び、化石燃料とCO2排出物に関する環境問題の狭間で板挟みになっていることを教えてくれる。エアラインは両方を解決するための答えとしてバイオ燃料を扱いたがっているが、Ross氏は言う。「航空産業のCO2削減目標達成のためには気の遠くなるような土地の広さが必要であることを考えると、航空用バイオ燃料には、人間も地球も支払うべきでない値札がついているということだ。」

 現在の航空の必要を満たすためには、−−将来の需要の増大は言うまでもなく−−オーストラリアの約3分の1に等しい面積で生産される2億7千万ヘクタールのジャトロファ属の畑が必要となるか、2015年に見込まれる面積の25倍が必要となるだろう。

 テキサス州ほどのかなりの面積の必要面積の4分の1でさえ、もはや食用植物栽培には利用できない。現在ある量と比較してバイオ燃料の本当の必要量を考えると、将来を見通すのは不可能で、商用航空の必要を満たすための量を調達する意欲が結果として、持続不可能な、食物の安全を脅かす土地の収奪に結びつかないという保証はない。

 おそらくこれらの恐怖を軽減するために、航空産業は環境に優しい航空燃料使用者グループ(SAFUG)を設立した上、生物学的多様性を保護して食物栽培とは競合せず、地球温暖化ガス低減の重要なライフサイクルを確保するようなやり方でのみバイオ燃料を探求するという、拘束力のない誓約に署名した。

 たとえその誓約が書面上は良さそうに見えても、すでに飛行済み(2012年5月現在で1,500回)のバイオ燃料によるフライトの社会的費用、環境コストに関して、すでに合理的な疑問があり、まして航空用バイオ燃料がそもそも完全商業化された場合の費用についてはなおさら辛辣な疑問が増えている。

 新規報告はまた、使用済み料理油を商用航空機の燃料の原料として転用することの欠点もまた取り上げている。マクドナルドがフライドポテトを揚げるのに使うのと同じ油で飛行機が飛べるという考えは持続可能性を何か目新しい、おあつらえ向きのものにし、生活様式の変化から言えば何も変化が必要でない。

 現実的には、2010年に米国は使用済み料理油を14億360万ポンド製造し、−−最後の一滴まで航空用バイオ燃料に転換しても1億8,500万ガロンの燃料が製造されるだけである。2012年に米国だけでほぼ210億ガロンのジェット燃料を消費するということを考えると、米国の全使用済み料理油を転用しても米国の飛行機を空中に留めるためには3日も持たないことを意味する。

 潜在的需要と可能な供給量の間がかくも大きく乖離していては、使用済み料理油を持続可能性への通り道であると、真剣に考えられるエアラインはないだろう。

 「エアライン産業は価格安定性と環境に優しいイメージを熱心に求めているので、バイオ燃料に関して、土地の所有権や食料安全保障、及び温室効果ガスの排出に破滅的な結果をもたらしかねないほどの空前の需要を作り出すという危機的状況にある。」とオークランド研究所のexecutive directorであるAnuradha Mittal女史は語った。「バイオ燃料の製造は今や、発展途上世界における土地取引の最大で唯一の目的である。低所得の国々では商業的農業を貧困から抜け出すための手段として受け入れることが奨励されているので、多くの問題が起きている。我々の研究は十分に練られていない思いつきによる経済開発計画がいかに食料不足の悪化や、強制退去、そして環境破壊に結びついてきたかを明らかにした。」

 十分に練られていない解決策によってさらにもう一度、発展途上世界が人的損失や環境コストを背負う前に、Eco-Skies報告書はこのように、エアライン産業の分析専門家にデータをよく検討するよう警告を与えるものである。

 オークランド研究所は現代の最も切迫した社会問題、経済問題、環境問題に新鮮なアイデアや大胆な行動を持ち込む、独立した政策シンクタンクである。2011年から、研究所はアフリカの土地投資取引の仕組みを明らかにし、透明性や公平性や説明責任を欠いた厄介なパターンを暴露した。調査と支援運動と国際的なマスコミ報道の間の動的関係が、結果として一連の驚くべき成功や、米国や海外における組織化につながってきた。www.oaklandinstitute.orgを参照のこと。