海外情報紹介 英国の空港容量拡大のためのヒースロー第3滑走路建設について(英国交通省「Airports: The Government's View, Summary document」より)

 空港容量拡大のため、英国政府はヒースロー第3滑走路建設を推進することを決定したという政府声明が10月25日に交通省から出されました。経済成長を重視する賛成派と環境影響を問題にする反対派の間で以前より様々な議論が出ている話題ですが、テリーザ・メイ政権がひとまず政府としての方向性を決めました。ただ、この決定については4つの自治体とグリーンピースによる訴訟が予定され、建設反対運動も衰えていないことから実際に建設が開始されるまでにはまだ紆余曲折がありそうです。
 BBC NEWSでも多くの記事が掲載され、英国での関心の高さが窺えます。皆さまのご理解の助けになればと思い、以下に交通省による資料「Airports: The Government's View, Summary document, Moving Britain Ahead, October 2016」からの抜粋を掲載します。

海外情報紹介 新規建設が予定される西シドニー空港の環境影響評価報告書2016を公開

(オーストラリア政府のインフラ・地域開発省のウェブページhttp://westernsydneyairport.gov.au/resources/eis/index.aspx 他より)

 西シドニー空港の環境影響評価報告書(EIS)のとりまとめが最終段階だと2016年9月15日に都市インフラ大臣のポール・フレッチャー氏が公表した。この報告書は検討のため環境・エネルギー省大臣のジョシュ・フライデンブルグ氏に回された。彼が空港計画案修正版とこのEISを検討した結果、諸条件や規定等が付けられるかもしれない。

海外情報紹介 米国連邦航空局(FAA)の南カリフォルニア大都市圏プロジェクトが実施間近

 米国では空域全体の安全性強化と効率性の改善のために数年来、NextGenの取り組みが行われている。単純に言うと、A地点からB地点まで航空機がより直線的に移動できるように、最先端の技術や運航方式を配備してゆくというものである。米国連邦航空局(FAA)はエアライン、空港、航空関連団体、州政府や地元自治体等と協力してこの取り組みを進めている。

海外情報紹介 国際航空における市場メカニズムを利用した温室効果ガス削減制度

 2016年9月27日から10月7日にかけて第39回国際民間航空機関(ICAO)総会が開催された。総会において市場メカニズムを利用した温室効果ガスの削減制度(GMBM: Global Market-Based Measure)についての協議が行われ、全会一致で決議された(国土交通省, 報道発表資料)。GMBMには我が国を含む64か国が自発的な参加を表明しており、2021年より運用が開始される。それにより、わが国の航空会社は国際航空より2020年より増加したCO2排出量に応じて排出権の購入を義務付けられる。
 2015年12月に国連気候変動枠組み第21回締約国会議(COP21)が開催され、京都議定書に変わる新たな法的枠組みである「パリ協定」が採択された。パリ協定では主要排出国を含むすべての加盟国に温暖化ガスの削減目標が定められ、その実施手法の一つとして市場メカニズムの活用が位置づけられている。一方で、京都議定書において国際航空からの温室効果ガス排出の抑制・削減はICAOを通じて活動することが定められていたことから、GMBMはパリ協定や国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)とは独立した制度として設計されている。

海外情報紹介 代替ジェット燃料開発を遅らせている主要課題に取り組むための研究開発戦略を米国政府が計画

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2266

 2016年7月29日金曜日−商業的規模で採算性のある代替ジェット燃料(AJFs)の開発・製造・使用を遅らせている主要な科学的、技術的課題に取り組むため、ホワイトハウスは優先すべき研究開発(R&D)の最終目標とそのための具体的な達成目標を設定した米国連邦戦略を公表した。様々な連邦機関やそれ以外の利害関係者から情報を得て、政府横断的に専門家の代表で構成される省庁間の作業グループによってこの戦略はまとめられた。過去10年間、商用航空や軍用航空によってAFJsの開発、評価、配備には顕著な進展が見られたが、航空産業のニーズに合うような、石油燃料と価格競争ができるほど十分な量はまだ得られていないと研究担当者が指摘している。この課題に取り組むためには連邦政府と、産業やNGOsや学会を含めた民間部門との間の協力関係および国際的協力も不可欠であると戦略報告書は述べている。

海外情報紹介 「時計を止める(EU ETSの完全実施が延期されている)」状況下で引き続きSwissの運航便をEU ETS制度の対象に含めるのは合法的なものであるとECJの法務官が語る

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2263

 2016年7月26日火曜日− EUとスイス間で運航されるフライトを引き続き欧州連合域内排出物取引制度(EU ETS)の対象にすることは、欧州裁判所(ECJ)の上級顧問が正当性があり、合法的であるとした。EEA加盟国(EUとアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)とほとんどの第3国との間の運航便については、排出物を測定して報告し、排出枠を放棄するというエアラインの義務を一時停止するという、2013年のEUによる「時計を止める」決定は、スイスにまで一時停止を延長するものではなかった。現在係争中の訴訟において、スイス国際エアライン(SWISS)はEU法のもとでの扱いが不平等であると主張し、2012年のEEA加盟国とスイスの間のフライトによる排出物について排出枠の購入及び放棄の補償を求めている。

海外情報紹介 2014年のEUの国際航空による排出物は1.6%増加し、初めて国際海運を上回る規模となる。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2249

 2016年6月21日火曜日−1990年から2014年の間、EUの国際航空による温室効果ガス(GHG)排出量の増加率は95%で、同時期の国際海運の増加率の24%と比べて、2014年には初めて国際航空による排出量が国際海運による排出量を上回った。この両部門を合わせると2014年ではEUのGHG排出量全体の約6%を占める。EUの国際航空によるGHG排出物は2013年と比べると2014年には1.6%上昇し、その一方で国内航空による排出量は0.8%減少した。EU加盟国28カ国とアイスランドを合わせた2014年の全体のGHG排出量は1990年のレベルを24.4%下回り、2013年から2014年の間には4.1%減少している。欧州環境機構(EEA)が最新版のEU GHG目録年次報告で、部門の大部分はGHG排出物が減少したと報告しているが、道路輸送は明らかな例外であり、また国際航空と国際海運が排出量増加に最も寄与している。

海外情報紹介 分析:国際航空が提案した世界規模の炭素排出規制案の複雑な基本ルールを紐解く

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2249

 2016年6月1日水曜日− 国際航空の増加が早い炭素排出物に対応するため、市場に基づく国際対策(GMBM)の試案を検討しようと最近行われたICAO加盟国の高官レベル協議(HLM)は、根深い意見対立である意味で損なわれたという見方があった。しかし、交渉に係わりの深いメンバーらにとっては合意が得られるという確信が以前より強くなっている。一般的な合意が得られる部分の話合いの間にかなりの進展があったことを報告しつつ、9月下旬に開催される第39回ICAO総会で加盟国191カ国による検討を行う前に、この制度の主要要素については「まだすべき作業が残っている」ことをICAO理事会議長のオルムイワ・ベナード・アリウ博士は認めた。今回の記事はICAOでの会議結果を反映し、初めて世界規模の排出炭素規制制度の基本原則を提示することを目指す総会決議案を紐解くために企画した。

海外情報紹介 国際航空排出物の二酸化炭素規制に係わる主要素に意見の不一致があるにもかかわらず、ICAOの理事会議長は成功を確信している。

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=2233

 2016年5月15日日曜日−3日間の難しい調整が終わり、国際航空の正味炭素排出量に上限を課すための市場に基づく国際対策(GMBM)については、9月下旬から開催される3年に1度開催のICAO総会で合意を得る方向にICAO加盟国は動き出したところである。しかし、ICAOが招集した高官レベル協議(HLM)の期間中、検討された総会決議案の文章で提案された重要部分については意見の相違が残ったままで、これについては総会中に解決されそうもない。しかし、ICAO理事会議長のオルムイワ・ベナード・アリウ博士は、夏の間も引き続きICAOによる一層のイニシアチブと二国間交渉を期待しており、この国連機関が総会決議を承認し、提案した国際カーボンオフセット制度を開始することについて、なおかなり楽観的である。

国際航空排出物の二酸化炭素規制に係わる主要素に意見の不一致があるにもかかわらず、ICAOの理事会議長は成功を確信している。

 2016年5月15日日曜日-3日間の難しい調整が終わり、国際航空の正味炭素排出量に上限を課すための市場に基づく国際対策(GMBM)については、9月下旬から開催される3年に1度開催のICAO総会で合意を得る方向にICAO加盟国は動き出したところである。しかし、ICAOが招集した高官レベル協議(HLM)の期間中、検討された総会決議案の文章で提案された重要部分については意見の相違が残ったままで、これについては総会中に解決されそうもない。しかし、ICAO理事会議長のオルムイワ・ベナード・アリウ博士は、夏の間も引き続きICAOによる一層のイニシアチブと二国間交渉を期待しており、この国連機関が総会決議を承認し、提案した国際カーボンオフセット制度を開始することについて、なおかなり楽観的である。