海外情報紹介 新種のタバコハイブリッド品種をサステナブルなジェット燃料に転換するプロジェクトでボーイング社、南アフリカ航空そしてSkyNRG社が協力

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1954

2014年8月8日金曜日−ボーイング社と南アフリカ航空(SAA)による南アフリカにおける再生可能ジェット燃料部門の開発の取り組みの一環として、高エネルギーでニコチンを含まないタバコ作物の新ハイブリッド品種からジェットバイオ燃料を製造するプロジェクトがSkyNRG社と協力して進められることが公表された。ソラリスという名で知られている品種はイタリア企業のSunchemが開発したもので、試験栽培がすでに進行中である。SkyNRG社はSunchem社と組んで製造規模の拡大をはかり、ボーイング社とSAAはプロジェクトの一層の資金調達確保と現物取引契約の積極的支援をすることになっている。これら協力企業はこれから数年以内に大規模および小規模農場によるバイオ燃料製造が見込めると考えており、作物の種子からとった油をまずはジェット燃料に転換し、次に新技術が作物の残りの部分を将来の燃料製造の原料とすることが可能になるだろうと考えている。ボーイング社とSAAはサステナブルなバイオ材料のための会合(RSB)と共に、小区画の農地を所有する農家がバイオ燃料の原料栽培を行うための支援をしており、食糧の供給や新鮮な水の供給を、或いは土地の使用を損なうことのない社会経済的な価値がこの事業にはある。
南アフリカは長い間タバコ栽培に関っており、世界的に生産量が落ち込む傾向はあっても、今でもこの地域の多くの農民の重要な収入源となっている。

「ハイブリッドタバコを使うことで、喫煙を奨励することなく、市場性のあるバイオ燃料作物栽培に南アフリカのタバコ栽培者の知識を活かすことができる。」とSAAグループの環境問題専門家であるIan Cruickshank氏は語った。「これはSAAとボーイング社が南アフリカの経済的な契機を増やしながらサステナブルなバイオ燃料の開発を促進する一つの方法である。」

SkyNRG社はソラリスという原料なら化石原料と等価まで原価水準を大幅に下げるのに役立つと主張し、化石ケロシンと比較してCO2排出を80%減らせる可能性があると主張している。その製造施設は、植物油製造の他に、貴重な動物性タンパク質と農業電化の目的のバイオマス製造にも使用が可能であると、アムステルダムに本拠があり世界市場にサステナブルなジェット燃料を供給するその企業が述べている。

「SkyNRG社にとってはすべて右側のチェックボックスにチェックがつく、まさに我々が探し求めている事業であり、価格が手頃でサステナブルな燃料を供給する機会を与えてくれる。」とSkyNRG社の最高技術責任者であるMaarten van Dijk氏は語った。

Sunchem南アフリカの経営責任者であるJoost van Lier氏は、南アフリカのリンポポ州にあるMarble Hallで2年間、彼の会社がソラリス計画に従事しており、小規模の試験ではうまくいくことが証明されたと述べた。Sunchem社の報告によれば、ソラリスは1収穫ごとに1ヘクタールあたり平均3トンの種子がとれ、適切な条件で年に3回かそれ以上の収穫が可能な作物である。種子には40%の油分が含まれ、低温圧搾によって最大34%の油と62%のタンパク質の塊が製造できる。ソラリスはとても丈夫なので、様々な気候や土壌で耕作可能で、食糧生産には不向きな耕作限界地でも耕作可能であるとその企業は付け加えた。

SkyNRG社の指摘では、最も厳格な環境適合性基準を有する世界自然保護基金や他の国際的なNGOが、認証機関の環境適合性基準にソラリスが適合するという実証を、SkyNRG社とSunchem社はRSBの協力を得て行う予定である。

「RSBの主要メンバーによる、サステナブルなバイオジェット燃料と社会経済的発展の両方を実現する可能性を提供するこの重要な取り組みに、我々はとても喜んでいる。」とRSB幹事であるRolf Hogan氏は語った。
リンク:

ボーイング社−サステナブルな航空用バイオ燃料
南アフリカ航空−環境対策
Sky NRG社
Sunchem社
Sunchem社のソラリスのプレゼンテーション(PPT)
世界保健機関−タバコ環境問題
国際タバコ栽培者協会(ITGA)−タバコ農業:栽培者の視点

海外情報紹介 ハネウェルUOP社の再生可能ジェット燃料技術をオマーン湾岸に新設予定の大規模バイオ精製所用にPetrixo社が選定

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1952

2014年7月22日火曜日−ドバイに本拠を置くPetrixo Oil & Gasは、アラブ首長国連邦を構成する首長国の1つであるフジャイラ近郊に新規建設予定の精製所における再生可能ジェット燃料と再生可能ディーゼル製造用の技術として、ハネウェルUOP社の再生可能ジェット燃料処理技術を選定した。使用予定の原料の素材や種類はまだ明らかにされていないが、この技術によって約500,000トンの再生可能原料の処理が可能であると見込まれている。今年初めにPetrixo社は新しい精製所建設に8億ドル投資する予定であると公表し、設計上は100万トンの生産能力を持たせる予定で、北米以外で初の工業規模の再生可能ジェット燃料製造施設となると主張している。バイオ精製所はフジャイラのフリーゾーン(経済特区)とフジャイラ港内の460,000m2の土地に建設予定で、ペルシャ湾岸諸国と世界市場のための様々なバイオ燃料製品製造が見込まれている。
様々な再生可能原料の処理が可能で、この技術によりハネウェル製グリーンジェット燃料とハネウェル製グリーンディーゼルを生産し、費用や入手量などの変動要因により決まる原料混合を調整できるフレキシビリティーを提供するように設計されている。藻類や塩生植物から抽出する最新世代の原料の採用も、これらの脂質の発展からの大量供給事業も可能にできる技術であると企業は述べている。

塩水に耐性がある塩生植物の研究が、アブダビで、Masdar科学技術研究所によって行われている。MasdarとハネウェルUOPはボーイング社やエティハド航空とともにサステナブルなバイオエネルギー研究共同体(SBRC)の設立メンバーである。今年初めに、SBRCの科学者らは砂漠植物の方が他のよく知られた原料よりも効率よくバイオ燃料を生産できることを見い出したと公表した(記事を参照のこと)。同時に、BIOjetアブダビという名称のアラブ首長国連邦におけるサステナブルな航空用バイオ燃料供給プロセスを設立(記事を参照)するために、エティハド航空とボーイング社そしてMasdarに、燃料会社であるTotal社とTakreer社が加わった。

Petrixo社によると、プロジェクト設立のために主要な国際企業と金融機関がコンソシアムを作ったが、ハネウェルUOP社は別として、企業名はこれまでに明らかにされていない。

ハネウェル社は、自社のドロップイン(添加型)グリーンジェット燃料は石油系ジェット燃料に最大50%混合することで、温室効果ガス排出を65%から85%減らすことができると主張している。この技術は米国のルイジアナ州の工業規模の施設でグリーンディーゼル製造に使用されている。グリーン、或いは再生可能なディーゼルは、バイオディーゼルと同じではないが、標準化団体であるASTM Internationalが再生可能ジェット燃料への転換の可能性があるとして調査中である。

「UOP社の再生可能処理技術はバイオディーゼルのような燃料添加剤というよりむしろ燃料そのものを製造し、現在の燃料供給プロセスにシームレスに適合する。」とUOP社の副社長であり、再生可能エネルギーと化学製品事業分野の統括責任者であるVeronica May女史は語った。

リンク:
Petrixo社
Honeywell UOP社 –グリーンジェット燃料

海外情報紹介 ICAOの市場に基づく国際対策(GMBM)に関する作業は、試案をさらに詳細をつめる段階に入る

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1953

2014年7月22日火曜日−国際航空排出物の増大を抑えるための、市場に基づく国際対策(GMBM)制度の設計要素をICAOの環境諮問団(EAG)がゆっくりしたペースでまとめている。3月に設立されたEAGはICAO運営理事会の17の代表で構成され、航空業界の代表も参加して、ICAO CAEPのサブグループであるGMBMのための技術的タスクフォース(GMTF)と並行して作業を行う。EAGは現在、ICAO事務局が起草した試案に基づき、カーボンオフセットのための国際制度の原則と詳細を作成中である。3月に試案第1.0版がEAGに示され、5回の会合後に第1.1版に進んだ。CAEPメンバーやオブザーバそして専門家に対し、EAGの活動と試案の透明性を強化するということで最近の理事会会合で合意が得られたが、今のところ試案の内容はEAGメンバー以外には公開されていない。
EAGとCAEP(航空環境保護委員会)のそれぞれの作業過程の間の密接な協力と参加の呼びかけは、EAGにはかなりの量の技術的分析が必要だという理解から、理事会に受け入れられた。たとえば、GMBMの下でオフセットされる排出物の総量とそれに付随する費用影響の定量化のため、国際航空が排出するCO2の量の評価を過去数年のデータを使って、2018年から2020年までを比較期間として、2035年までとそれ以降の将来について行わねばならない。早い成長、早期変動、新規加入について運航者数調整を見積もれる分析も要求されている。

他の作業としては、過去の排出量及び将来の予測排出量について、それぞれの加盟国を離発着する国際便すべてが生成する排出物の積算量を、最小排出国から最大排出国までの順で並べる全加盟国リストを作成する仕事がある。EAGは、航空市場の成熟度に応じて、飛行経路のグループ別に扱い方を変えるような段階的導入方法の提案を検討中である。1年あたりCO2排出量10,000トンの排出限界と技術的免除、最大離陸質量5,700kgの排出限界と技術的免除も検討中で、そうすると積算がまた必要となる。

数多くのGMBMシステムがこれまでに調査され、それでもあらゆる選択肢がまだ残っているとはいえ、付加的な収入を生み出す仕組みの無いカーボンオフセット制度が試案の基盤となっており、GMTFが制度にふさわしい排出単位についての基準提案のための作業に着手してきている。カーボンオフセットが国連のクリーン開発メカニズムにいかに適合するかについての調査が現在行われている。航空産業の代表者らは航空機運航者にとって最も費用対効果の高いオフセットクレジットを利用できることが好ましいと強調している。

しかし、1つの提案があった。おそらくは市場に基づく対策に反対しているロシア連邦から出されたものだが、GMBMの代わりに国際的な燃料税の検討をするというもので、これはEAGメンバーの中で広く支持を得てはいないと思われる。それでも事務局はそのような税のメリットとデメリットについて報告書を用意するよう依頼されている。

試案がさらに作成できるように、GMBMプロセス開始のための利害関係者との地域別会合すなわち、国際航空対話(GLADS)の開催を今年から多分2015年まで延期するという、もう一つの決定が前回の理事会会合において行われた。

ICAOは9月9日から10日までモントリオールにおいて、「グリーン技術を航空に導入」という環境セミナーを開催する予定であり、次世代航空機、調査プログラム、航空機リサイクル、環境に優しい運航、エコエアポート、航空用クリーンエネルギー、そして資金調達のようなテーマを扱う予定である。さらに、このセミナーでは昨年のICAO総会における環境関連の主要な成果を検討し、9月にニューヨークで開催される気候変動に関する国連サミットへのICAOの提案のための基礎として扱う予定である。

リンク:
ICAO

海外情報紹介 気候変動の影響で観光産業と航空輸送分野の危険が強まるとケンブリッジ大が報告

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1945

2014年7月11日金曜日−観光産業は気候変動により深刻な影響をうける見込みであり、気候変動はまた航空輸送分野に重要な影響を及ぼすことが予想され、顕著なカーボンフットプリントを減らすよう観光産業と航空輸送分野にプレッシャーが強まる。この警告はケンブリッジ大学の持続可能性リーダーシップ研究所(CISL)が出した新しい報告書で強調されているが、この報告書は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の研究成果の要約である。人間が関与する温室効果ガス排出物のうち観光産業が係わる割合は3.9から6パーセントだが、この割合は現在のままでは2025年までに10パーセントまで増えるだろう。2005年の観光産業全体の排出物のうち43パーセントが航空輸送に由来するものだったが、航空旅行の数が旅行全体の回数に占める割合は17パーセントだった。最近別のケンブリッジ大調査によると、炭素税を使って旧型機を新型機に更新することで地球規模の航空排出物の1/3を2050年までに削減できる見込みとしている。
ケンブリッジ大学の経営大学院であるケンブリッジ・ジャッジ・ビジネススクールと欧州気候基金の協力を得て行われたCISL報告は、IPCCの第5評価報告書(AR5)から特定の経済及びビジネス分野について最も関連性の高い見解部分を抜き出したものである。「この報告は観光産業に関するIPCCの研究成果の極めて重要で有益な要約である。」とビジネス・イン・ザ・コミュニティの1部門である国際観光産業パートナーシップの統括であるStephen Farrant氏がコメントした。「観光産業のすべての部門でこの警告に注意を払い、気候変動に適応するために今以上に何が出来るかを考える必要があり、観光産業の環境に及ぼす悪影響を減らすことをいかに継続するかを考える必要がある。」

気温が上昇し冬が短くなることで営業が脅かされるスキー場が出るであろうし、海面が上昇しサンゴ礁が消滅して世界の観光産業で最も大きい部分を占める海岸観光が脅威にさらされるなど、気候変動が観光産業と旅行パターンに変化をもたらすだろうと報告書は述べている。例えば、海面が1メートル上昇することでカリブ海のリゾート施設の最大60%が損害を受け、21空港が破壊されるか或いは損壊し、35の港周辺の土地が浸水するであろう。世界のサンゴ礁は、年間の国際観光収入で115億ドルの寄与がある。

もうひとつのマイナス影響はエコツーリズムにおける生物学的多様性の変化であり、例えば、2080年までにサハラ以南のアフリカでは国立公園における40%の種が絶滅の危機に瀕するであろう。

これらの直接的影響に加えて、気候変動の結果、貧しい国家において浄水がさらに不足し病気が広く蔓延し、治安が悪化し社会がより不安定になって、観光産業は間接的な影響を受けるであろう。一方、気候の変化が、氷河の溶解を目にする「ラストチャンス」のような新しい観光の機会に結びつく可能性はあるが、これらは当然長続きはしない。

観光産業は、世界中で2億5,500万人を超える人々の生活を支え、世界のGDPの9%程度を占め、毎年6兆ドルを超える収入を稼ぐ、世界でも最大の産業の一つである。観光産業分野は世界の最貧国のいくつか、特に小さな島国にとってはとりわけ重要な産業である。

世界のGDPに占める割合に比べれば世界の排出物に占める割合は低いが、観光産業は部分的にエネルギーを大量消費する産業であり、顧客はしばしば船や航空機で長距離を移動する。これまで通りのシナリオではこの分野の排出物は2005年と2035年の間に130%に増えることが予測され、航空旅行と宿泊施設による排出物は3倍になるという予測である。観光産業が気候変動に及ぼす影響のうち建造環境によるものが約20%を占め、輸送によるものが75%を占める。航空旅行は観光産業部門の総排出量の43%の排出源であり、海洋クルーズもまた高い排出量を伴うので、観光産業による排出物を削減するには輸送分野の効率改善が大きく関わることになるであろう。

ここで、新型航空機は現在の型式よりも概して20-30%の燃料効率改善が見られることから、事態は進展していることをその報告書は見い出している。報告書は、2030年から2050年までの間に、2005年のレベルと比較してさらに40-50%の効率改善が得られ、代替燃料の採用によって温室効果ガスが30-90%削減できると述べている。

しかし、燃料効率の改善と技術的解決による排出量削減は、観光産業の繁栄によりおそらくは相殺されるとみている。

もし各国政府が2℃目標に合わせた気候変動抑制政策を立てた場合には、旅行と観光産業による排出物を軽減せよという圧力がいっそう強くなるだろうとその報告書は述べている。大きな価格要因が必要であるような場合で特に旅客輸送の挙動を変更するためには、強い政策的判断が必要であると、報告は示唆している。

気候政策機関であるClimate Strategies のために昨年、ケンブリッジ大の研究者が行った調査の結論は、もし賢明なやり方で実施されれば、世界の最貧国家へ顕著な経済的影響を及ぼすことなしに、炭素税やカーボンオフセットや他の市場に基づく対策(MBMs)が航空産業と海運産業によるCO2排出物の影響に効果的に対処できるということだった。

世界規模でMBMsを実施した場合、海運や航空による観光産業や貿易に依存しているか、または遠隔地であると言うことから、より顕著な影響を受けると予想されるという理由で選ばれた発展途上世界の10カ国について、この調査はMBMsの経済的影響を定量的に示した。研究者らが見い出したことは、これらの国家の多くについて経済的影響がとりざたされるが、例えば一定の航路の適用免除、一括割り戻し、インフラの効率化や効率のよい船や航空機の開発への投資を通じて経済的影響は最小にできる可能性があるということである。MBMsの実施には数多くの課題が伴う一方で、MBMsは特に発展途上国にとっては気候変動緩和のための事業と計画を支援するための重要な資金源になり得ると言われている。

「一方では、観光産業に大きく依存している貧しく小さな島国は例外扱いにできるだろう。しかし、他方では、太平洋の真ん中にある小さな島国であれば、長距離便にすでに$1,500払っている観光客にとって$50の炭素税の加算はたいした問題ではないし、$50は気候変動解決進展のための費用に充てることができるだろう。」とケンブリッジ大の気候変動軽減調査センターのメンバー時にこの調査のリーダーであり、現在はイーストアングリア大学に在籍するAnnela Anger-Kraavi博士は述べた。

さらに、Transport Policy誌で公表されたケンブリッジ大学の別の調査が、「廃棄」のスキームを通じて旧型機を更新するため、助成として世界の炭素税収入を使用する政策が及ぼす影響の大きさを評価した。この調査は、そのような政策が、2050年までにこれまで通りのシナリオと比べて最大1/3まで航空機排出物を減らす可能性があることを見い出している。別の研究は、現在の航空機がすべて最新型機に置き換わったら、世界の航空排出物の約10%ほどは速やかに削減可能なことを見い出している。

「どちらのシナリオも実際上は現実的でない。これは明らかに政策提言ではないのだ。」とケンブリッジ大の航空環境研究所で調査を率いたLynette Dray博士は言った。「しかし過去30年から40年にわたって年間約2.5%で増え続けてきた航空排出物は古い技術がもたらしたことだということを実証するためには有益なシミュレーションである。」

「航空排出物の抑制が難しい理由の一部は、航空機の寿命が長いことにある。航空機は30年かそれ以上持つように設計されているので、新しく、よりクリーンな技術が浸透するには比較的時間がかかる。」

Dray博士と彼女のチームは今、現存の航空機の排出物を減らすためにいくつかの低コストの改修策を作ることの影響をテーマに調査している。それらには、軽量の客室や椅子の設置という改修や空力性能改善のためのウィングレットの設置という改修がある。

昨日発表された最新の市場展望では、Boeing社はこれから20年間で5兆2千億ドルに相当する36,770機の新型機の需要があることと、その1/3を超える部分はアジア太平洋地域からの発注を見込んでいる。
リンク
ケンブリッジ大CISL − IPCC AR5気候変動の観光産業とのかかわり
ケンブリッジ大/国際航空と国際海運部門における排出物に対処するための対策が発展途上国に及ぼす影響を評価するための気候戦略調査
ケンブリッジ大調査「炭素税を財源とするエアライン所有機の更新:総合アセスメント」

海外情報紹介 英国の業界団体であるSustainable AviationとNATSが連続降下効率改善のための率先した取り組みを開始

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1942

2014年7月3日木曜日−業界団体のSustainable Aviation (SA)は、英国中の空港で連続降下運航(CDOs)の回数を増やすキャンペーンを開始した。英国の航空ナビゲーション業務プロバイダー(ANSP)のNATSはその管理下にある15空港全体で5パーセントのCDOs増加を目指す事業を率いている。この方式で運航するフライトが30,000便増えれば年間約10,000トンのCO2および、約200万ポンド(340万ドル)の燃料代が節約でき、航空機到着時の騒音も小さくなる。最近まで関心が集中していたのは、航空機が一旦6,000フィートを切る高度まで降下してからの連続降下進入(CDAs)の実施で、力点が置かれたのは到着時の騒音を減らすことだったが、それに対して通常航空機が最高高度約20,000フィートのポイントからCDOsを開始すると、燃料と排出物の顕著な節減につながる。
NATSによれば、6,000フィートからの連続降下では1〜5デシベル騒音を減らし、燃料を約250kg節約するが、20,000フィートからの連続降下であれば燃料節減は約1トンに達し、これは経費約650ポンド(1,100ドル)の節約に相当し、CO2排出量では3トンの削減になる。

英国空港、特にロンドンの主要空港に到着する航空機が実施したCDAsの数はここ数年で急激に増えている。NATSのデータによれば、ロンドンの空港でCDAsを実施する航空機の平均数は2000年の66%から2006年は84%に増え、昨年は全体の90%を占めた。一方で、ロンドンの4空港を含めた英国の15空港すべての平均は、2006年の56%が2013年は74%に改善した。今回のキャンペーンの目的はSAによれば、今度は、英国全体のCDAsの割合を増やすことであり、さらに高い高度からの降下プロファイル(降下軌線)の改善であるとのことだ。

この事業の下で、NATSはSAの他の参加企業(エアライン、空港、航空宇宙関連メーカー)と共に、CDOの効果を進展させモニターするために産業間協調で取り組んでいく。

「5%の目標達成にはパイロット、航空交通管制官そして空港運航者の間の密接な協力と共同した努力が要求される。」とNATSのATM環境部門長であるCarrie Harris女史は説明した。「CDOは特にロンドンの主要4空港においては長い時間をかけてすでにかなりの改善を遂げており、特にBristol空港でのeasyJetのような小規模の試験でも大きな成功が見られたことから、この目標は達成できる。重要なのはNATS、エアラインが、英国のすべての空港において、同時にこのキャンペーンを実施することであり、国中で継続的な進歩を達成できるという勢いを維持することです。」

Harris女史は、目標を達成すべき日付を決めてはいないが、これからの2年間で『十二分に改善』する余地があると信じていると語った。

「英国政府、業界規制担当官や地域社会グループは航空産業に対し、騒音影響低減のための活動を短期的にもっと実施するよう求めてきた。」とSustainable Aviation協議会議長であるJonathon Counsell氏は語った。「CDOは騒音軽減のための重要な機会であるとSustainable Aviationは位置づけてきたし、だからこそ英国全体でこのCDO行動計画を応援している。」

SAはエアライン、空港および航空交通管制官のために『連続降下運航の手引き』を発行した。

一方、NATS、エアラインおよび飛行計画のための情報提供者で構成され、飛行効率の改善や燃料費の節減のための実用的方法を定めるために設立された事業団である飛行効率共同事業団は、昨年度に19,000トンの燃料を節減し、設定した18,000トンの節減目標を上回ったと報告した。昨年この事業団は飛行ルート制限の変更を定め、エアラインが実際の手順に沿った正確な飛行計画が立てられるような合意案を出した。

「我々の空域の効率改善を顧客とともに行うことは、顧客がさらに正確な飛行計画を作れるということを意味し、その結果飛行開始時に必要な燃料が少なくて済み、飛行中の燃料燃焼が減る。」とNATSの顧客担当統括部長のAndy Shand氏は語った。

NATSは、2006年の基準値と比較して2020年までに、航空交通に由来する排出物をフライト毎に平均10%減らすことを目指している。これまでにNATSは、エアラインにとって2億7,000万ポンド(4億6,000万ドル)を超える経費節減に相当する、40,000トンを超える燃料節減を実現し、CO2排出物を120万トン減らした。

リンク:

Sustainable Aviation
NATS – 環境対策

海外情報紹介 ブロンマ・ストックホルム空港の地上騒音影響低減のための解決策コンテストでスカイウォールのコンセプトが優勝

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1943

ブロンマ・ストックホルム空港の地上騒音影響低減のための解決策コンテストについて:
http://www.aerc.jp/index.php?ID=145&cID=10

2014年7月4日金曜日−スウェーデンのブロンマ・ストックホルム空港近隣住民への地上騒音の影響を減らすための解決策を探すコンテストで、パリに本拠を置くRed-architectesが優勝した。スカイウォールのコンセプトは空港の所有者かつ運営者であるSwedavia(以下S社)と地元住民の代表から成る審査員が、音響分野、建築物の設計及び建設分野の専門家の協力を得て選び出した。賞金が10万スウェーデンクローナ($14,500)の国際空港革新の挑戦2014コンテストは、87カ国から約1,000の参加者を集め、100件ほどの独創的な解決策が提案された。S社によればスカイウォールは実績のある遮音技術と音の屈折技術に基づいており、主張している低減レベルは現実的で信用できるものだそうだ。光を通す壁の材料は風景にたやすく溶け込み、住民が壁を通して空港の活動を目にすることさえ可能だろうともS社は付け加えた。
S社は低減する騒音レベルは壁の高さと設置場所次第だという。ブロンマ・ストックホルム空港の環境アドバイザーであるLinnéa Franzén女史は変数を最適化してスカイウォールを地域の状況に最適化するためのプロジェクトが空港で開始されたと報告している。「たとえば、壁の土台の決定や建設のための最適素材の決定のために、より詳細な地質工学的解析が行われる予定である。」と彼女は述べた。秋には、設計について空港は地元住民とさらに打合せを行う予定である。

「審査員が最も印象を強く受けた革新的部分は、Red-architectesのチームがスカイウォールのデザインを空港と住宅地の風景に溶け込ませることをいかに上手に処理したかだった。」とFranzén女史は語った。「それはまるで滑走路に沿って曲げられた軽やかで美しいついたてである。近隣地域から空港への眺望を保ったままなので、地上からも空からもその良さがわかるだろう。」

「このデザインは空港を肯定的に引き立て、同時に騒音レベル低減という課題も解決する。だからこそ審査員は、空港の近隣住民、旅行者、そして従業員が体験する空港イメージの向上にスカイウォールが貢献すると考えたのだ。」

リンク:
ブロンマ・ストックホルム空港−環境対策
Red-architectes社
Swedavia – 環境対策

海外情報紹介 SkyNRG社とStatoil社がスウェーデンで初のバイオポートであると発表したカルルスタード空港でのスウェーデン初の商用バイオ燃料便

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1940

2014年6月26日木曜日−オランダのサステナブルな(持続可能な、地球に優しい)ジェット燃料の供給業者であるSkyNRG社と航空燃料の供給業者であるStatoil Aviation社は、カルルスタード空港がスウェーデンにおける初のバイオポートになることを発表した。バイオポートに期待されるのは2015年にこの空港から出発する商用フライトにサステナブルなジェット燃料を供給することであり、3月にこの燃料供給業者2社がSkyNRG Nordicの設立を公表して以来のこの地域におけるサステナブルなジェット燃料の基盤開発における第一歩となる見込みである。サステナブルな航空用バイオ燃料貯蔵のための固定タンク施設を空港に設置した記念に、スウェーデンにおいて航空用バイオ燃料を使用した初の商用定期便が今日飛び立った。1便はカルルスタードとフランクフルト間でbmiリージョナル便が運航し、もう1便はカルルスタードとストックホルム間でNextjet便が運航した。
「この施設は欧州で最初、多分世界でも初の航空用バイオ燃料のための固定貯蔵タンクである。」とStatoil Fuel and Retail Aviation社副社長のThorbjörn Larsson氏は語った。「バイオ燃料の発展に貢献し、ひいては航空のための長期に渡るサステナブルな将来に貢献するこの小さいがとても重要な1歩を、我々は力を合わせて設立することができた。」

環境的認証を受けたカルルスタード空港は、地方自治体が所有し運営しており、環境目標を明確に定めている。空港は昨年、110,000人の旅客と2,700の出発便を扱ったが、多くのチャーターによるバケーション用エアラインと共にこの空港を利用している他の航空会社にはSASやノルウェーの航空会社がある。

「長年、スウェーデンは環境活動分野での推進力となっていたが、再び欧州における指導的立場に立つ。スウェーデンは他国の手本となることを望み、航空産業が、環境により優しく発展することは可能であると示したい。」とカルルスタード空港のCEOであるPeter Landmark氏は述べた。「我々の努力を通じて他の空港に影響を与え、共に欧州の環境目標を達成したいと思う。」

世界中で20社を超えるエアラインにジェットバイオ燃料を供給してきたSkyNRG社のCEOであるDirk Kronemeijer氏は付け加えた。:「Statoil Aviation社の力で、SkyNRG Nordic社が市場における初の具体例を示せたことをとてもうれしく思っている。カルルスタードにはサステナブルなジェット燃料の主要な製造者になりユーザーになれる大きな可能性があると我々が考えているのは確かです。」

カルルスタード空港施設は、バイオ燃料混合と物流の流れ改善の経験を得るために使うつもりであると、協力企業は述べている。彼等はまた、地元の林業から得られる原料を使用したサステナブルなジェット燃料製造の実現可能性調査のため、地域の事業団であるPaper Provinceと可能性調査研究を行っているところである。

カルルスタード地域にはパルプ技術と製紙技術に国際的な専門技術を持つ100を超える企業の本社があり、これらの企業はPaper Province事業団の中で協力関係にある。「廃棄物の使い方の改善により、航空用バイオ燃料製造を含め一層効果的な森林資源の有効活用の可能性があることが分かってきた。」とPaper ProvinceのCEOであるMaria Hollander女史は語った。

定期供給ベースでバイオ燃料を出発機に供給することをIATAの航空環境−技術部門の次長であるThomas Roetger氏は歓迎した。「これは大きな前進である。これまではバイオ燃料は個々のエアラインの特定の便に供給されるのみだった。」と彼は述べた。「カルルスタード空港周辺地域には、地元で調達可能な材料すなわち林業の残渣と廃水を利用してサステナブルなバイオジェットが製造できる高い可能性がある。」

「しかし、 バイオジェット燃料配備の妨げになる主要な障害は、相変わらず高価格なことである。IATAとSkyNRGはこの環境に優しい技術を支援する財源調達の革新的なやり方を一緒に行っている。これには有利な法的枠組みで補完されることが必要である。」

航空用バイオ燃料は通常の航空燃料より3〜4倍高価であるという、価格の問題を解決するための努力として、事業部門、公共部門や私人による支援によって差額を補填するための『気候補償』基金をSkyNRGはStatoilと共同で設立した。長期的にはこの基金はまた研究支援にも使用されるだろうという。

現在バイオ燃料便を1便運航しているブリティッシュミッドランドリージョナル(bmiリージョナル)航空の取締役であるIan Woodley氏は語った。「カルルスタード空港における協力企業及びStatoil社と共に、我々はサステナブルなジェット燃料を使ったフライトをもっと頻繁に飛ばすつもりだ。このカルルスタードのバイオ燃料計画が欧州における新規のサステナブルなジェット燃料便経路のブルーフットプリント(環境改善の表れ)の役割を果たしてくれるものと、我々は心から期待している。」

リンク:

カルルスタード空港
SkyNRG
Statoil Aviation
The Paper Province
bmiリージョナル航空
Nextjet

海外情報紹介 4大陸の102空港が参加している空港カーボン認証制度は地理的範囲拡大の模様

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1939

2014年6月25日水曜日−欧州空港の業界団体であるACI(国際空港評議会)欧州が発足させてから5年、空港カーボン認証(ACA)制度の下で証明を得た空港は今や、4大陸に渡り100空港を超える。欧州委員会とユーロコントロール及び、国連機関であるICAOとUNEPから承認されたこの制度は、空港によるCO2排出の管理と低減の努力を独自に評価し、承認する。4段階の異なるレベル(*注1)で空港を認証し、欧州の16空港が今や最も高いカーボンニュートラルレベルを達成している。ACI欧州によれば、現在認証されている空港すべてを合わせると世界の航空旅客交通の23.6パーセントを扱っており、そのうち認証された欧州の85空港は欧州大陸の旅客交通の62.8パーセントを扱っている。
ACI欧州によれば、102空港はこの1年で(2013〜2014)、直接管理している排出物(温室効果ガスプロトコルの範囲1および2の排出物(*注2))によるCO2を総計で133,599トン減らした。認証された欧州の85空港では旅客1人あたりのカーボンフットプリント(*注3)の平均はCO2が2.01kgで、前年は75空港でCO2が2.75kgだった。

相対的に、旅客1人あたりの範囲1および2の排出物低減はこの制度で証明を得た全空港のCO2総計が0.26kgで、レベル2とそれ以上の証明を持つ空港のCO2総計が0.23kgであった。範囲3の排出物すなわち、空港が直接運営していない活動によるものだが、空港が指導する或いは影響力を及ぼす可能性がある排出物は、レベル3とレベル3+の証明を持つ空港で旅客1人あたりCO2低減が0.96kg達成されている。

範囲1と2の排出物については昨年、空港カーボン認証制度に参加する全欧州空港において平均5.98%のCO2削減を達成した。

空港カーボン認証制度のレベル3+である、カーボンニュートラル達成には、空港が削減できない範囲1と2の排出物について、国際的に認められたカーボンオフセットを空港は購入する必要がある。このレベルで昨年正式認可を受けた16空港は、その前年の相殺は66,724トンだったが、昨年は空港間で181,496トンのCO2を相殺した。

「空港カーボン認証制度でのレベルが上がるにつれ、空港はより効率的になり、排出物が減り、その上これを共同で行うために協力企業を引き込むことになる。ターミナルビルの床面積や旅客数が増えたからといって、排出されるCO2の量が増えることを意味するものではない。」とACI欧州の事務局長であるOlivier Jankovec氏はフランクフルトでのACI欧州の最近の年次大会で語った。

「ここまで5年かかったが、実績が上がっている。我々はこれからも空港産業のカーボンフットプリント低減のための新しい効率性と革新性を追求し、排出炭素削減計画について地理的範囲の拡大もまた行っていくだろう。」

4つの認証評価レベルはマッピング(整理)、削減、最適化とニュートラル化である。最近この計画に参加したのはオーストラリアのシドニー空港で、これまでに第1段階のマッピングレベルで認証を受けたが、この段階においては、空港の管理が及ぶ範囲の排出源を空港は特定し、年間の炭素排出量を計算し、カーボンフットプリント報告にまとめ、報告はその後、独立した第三者機関によって検証されねばならない。

「我々はシドニー空港のカーボンフットプリントをマッピング(整理)し、炭素排出量を削減する作業にとりかかっている。」とシドニー空港のCEOであるKerrie Mather氏は報告した。「我々は5カ年の環境戦略及び、新規のエネルギー節減、温室効果ガス排出削減、エネルギー効率化の機会、これらを特定する省エネルギー計画を作った。」

「我々の最近の環境的取り組みとしては、エネルギー効率のよい新型照明器具の様々な場所への設置、再生利用プラントを使った水資源の節約、緑化による保有車両の炭素排出の相殺、排出物の少ない次世代航空機の導入促進のための投資がある。我々はまた、地球規模でつながった空の交通を維持しながら、環境影響を減らすために航空関連産業と幅広く共同作業を行う。」

「これらの対策を行うのは環境問題が改善されるからだけでなく、空港の革新を進め、効率化を加速する。」

最近認証を受けた他の空港にはコペンハーゲン空港(レベル3の最適化)、ベルゲン空港(レベル2の削減)、ロンドン・スタンステッド空港(レベル2の削減)がある。

「カーボン認証は我々の環境対策や気候変動対策が誤った方向に進んでいない明確な証拠であり、CO2排出削減をするにあたってはオープンで透明性のあるやり方を目指しているという明確な証拠である。」とコペンハーゲン空港のCEOであるThomas Woldbye氏は語った。

「2020年までに旅客1人あたりのCO2排出量を1.4kgから1.0kgに削減できるような目標を我々は決めた。加えて、空港で営業する他の企業に環境意識を持たせる作業も我々は行っている。一例として、毎日数百人が働いている空港のエプロン(駐機場)に、環境に優しい装置を計画的に導入するという我々の方針がある。実際、空港の労働環境改善はすべての人々にとって共通の目標になった。」

OECD(経済協力開発機構)内にある政府間機関である国際交通大臣会議(ITF)の5月のライプチヒにおける、54カ国の政府大臣が出席した年次サミットにて、CO2認証評価計画は表彰された。空港カーボン認証制度は、ITFの運輸業績達成賞の2つの次点の内の1つに名が挙げられた。

「空港カーボン認証制度は、優れた実践の広く進歩的な普及を明快にやってみせた健全な制度だと審査員は称賛し、全世界の空港の排出炭素削減を可能にしたこの取り組みの成功に我々は感謝したい。」とITFの事務局長である José Viegas氏は述べた。

空港カーボン認証制度の公表されたばかりの年次報告書では、ラテンアメリカ地域までこのプログラムを拡大し、ACI参加空港すべての地域への普及を促進する計画を明らかにしている。もう一つの目標は、航空が気候変動に及ぼす影響に対応するため国家的行動計画を作成中のICAO加盟国が、ACAを各国の提案方策に含めるよう働きかけることである。

リンク:
空港カーボン認証制度
空港カーボン認証制度年次報告書2013-14(2.2mb PDF)
ACI欧州
国際交通大臣会議


*注1:ACAの認証レベル(4段階):
     レベル1 :マッピング
     レベル2 :削減
     レベル3 :最適化
     レベル3+:中立
(詳しくは、当センター発行の「航空環境研究」No.15(2011)、p.45-51を参照下さい。)

*注2:GHGプロトコル:国際的に認められるGHG(温室効果ガス)排出量の算出と報告の基準を開発し、利用すること。
    範囲1:空港事業者の直接的GHG排出
    範囲2:空港事業者が購入する電力、熱、蒸気導入等の排出
    範囲3:その他の間接的GHGの排出

*注3:カーボンフットプリント:二酸化炭素(CO2)の排出量を表す。商品、サービスだけでなく、個人、組織などを対象にするなど、様々な算出がされている。

海外情報紹介 ヒースロー空港最新騒音番付表に見る、各エアラインの着実な進展に見られる成長の余地

原記事:
http://www.greenaironline.com/news.php?viewStory=1936

2014年第1四半期の騒音番付表:
http://mediacentre.heathrowairport.com/Media-library/Fly-Quiet-table-Q1-2014-966.aspx

2014年6月18日水曜日−ロンドンヒースロー空港を使用するエアラインの上位50位までの「静穏飛行」騒音番付表の第3回の四半期結果で騒音の改善が全体的に着実に進んでいることがわかるが、着陸機による連続降下進入(CDA)運航の数を増やせばさらに改善が見られるだろうとヒースロー空港は述べている。上位3位のエアライン−英国航空の短距離便、エアリンガスとバージンアトランティックのリトルレッド−はこれまで公表された3回の表においては変化がないが、バージンアトランティックの長距離便とキャセイパシフィックについては改善が見られたとヒースロー空港は称賛している。空港によればICAOの最も厳しいチャプター4の騒音基準で運航されている航空機の割合が2012年の97.6%から2013年は98.1%に増加した。ヒースロー空港はまた、最新の年間持続可能性報告を公表し、騒音の実態、地域の大気質と炭素排出について評価している。 「静穏飛行」の表は、騒音効率、騒音証明、夜間運航と到着と出発の運航等6つの基準、及び累積点に基づく総合ランクによってエアラインを順位付けしている。エアラインには総合ランクと、各基準毎の赤/黄/緑ランクが与えられる。

2014年1月から3月の最新版の表では、上位50位までのエアラインにはam4:30以前の到着は無かったし、バージンアトランティックの長距離便はこの件と航路保持(指定されたルート内を飛行すること。)の両方で改善が見られ、結果として14位から6位へ8位も順位が上がることになった。昨年12月にこのエアラインは自社の保有機について騒音低減目標を備えた騒音管理戦略を初めて採用することを公表した(記事を参照のこと)。一方で、キャセイパシフィックは主要な4つの基準で改善が見られ、前四半期よりも上位に上がった。

航路保持とチャプター4の騒音適合機使用によりエアライン50社のうち49社の成績が前四半期より全体で10%改善され、航路保持では高い基準を達成し、チャプター4適合機を50社の内48社が運航した。ヒースロー空港には空港で運航される全航空機を2020年までにすべてチャプター4適合機にしなければならないという目標がある。

ヒースロー空港の最新の持続可能性達成報告である『ヒースロー環境報告書2013』で、政府が設定した昼間及び夜間の騒音に関する離陸制限違反が2013年には43件あったとこの空港は述べている。このうち11件が昼間の騒音制限の違反で32件が夜間の違反である。しかし、前年の総計73件と比較している。

CDAsについて赤ランクになったエアラインの数は9社と変わらず、そのことはヒースロー空港によれば「重要な着陸進入技術についてこれらのエアラインには一層の作業が必要であることを示す。」段階的進入では水平飛行が長期間あるのとは対照的に、CDAsでは一定の角度を保ったまま航空機は進入する。エンジン推力を減らし、高高度をより長く保つので騒音が減り、地上での騒音は最終進入経路から離れた地域では最大5dBA減らすことが可能であるとヒースロー空港は主張する。

『ヒースロー環境報告書』では四半期毎のCDA平均適合率が2012年の86.08%から2013年は87.28%に改善していることを示している。

この空港は航空機騒音問題と取り組むための広範囲の騒音活動計画の部分として静穏飛行プログラムを使用しているが、ロンドンの2つの大規模空港のうちのどちらに滑走路を増設するのが政府の決定として望ましいのかの論争では航空機騒音対策は決定的に重要である。ヒースロー空港は空港の運航による騒音管理を単独基準として他空港と比較した順位が2011年と比較して3位から2位に上がり、1位はブリュッセルになっていると主張している。

「この表が示すのはエアラインが騒音に影響される住民の数を減らすことにまだ取り組んでいるということだが、性能の改善で我々とエアラインとの共同作業が可能な分野がある。」とヒースロー空港の持続可能性担当重役であるMatt Gorman氏は語った。「基準に沿った評価が示すのは他の国際空港と比べて、これらの努力がヒースローの総合的騒音管理に重大な変化をもたらしていることである。」

『ヒースロー環境計画2020』の目的は、空港によれば、既存の持続可能性の努力と目標を、各課題分野に関する詳細な戦略及び活動計画と一緒にしてヒースロー空港の五カ年事業計画に連携させることである。

この報告が焦点をあてるのは例えば、今や運用開始から10年になったクリーン車両パートナーシップである。参加するヒースロー空港関連会社22社は、排出物の少ない新型の型式の車両の試用や最良の実践の共有を通じて3,000台の車両の排出物を低減した。

しかし、地域の大気汚染の扱いはヒースロー空港ではまだ課題として残っている。空港は地上のNOx排出量を2020年までに2008/2009年のレベルと比較して少なくとも5%減らそうとしているが、NOxの総排出量が過去2年間に渡りわずかに増えている。航空機の地上レベルの粒子状物質(PM10)の排出量もまた、2012年と比べて2013年は増加している。

ヒースロー空港は地上での排出物を管理するため補助動力装置(APUs)の使用に制限を課し、報告では基準へのエアラインの適合性は2011年の78%から2013年の84.15%まで改善されたと記している。APUsの必要性を減らすために、駐機場の90%に電力供給用の部品が取り付けてあり、20%ではあらかじめ調整済みの空気を供給する。

空港から排出されたCO2の総排出量は、2013年では合計2,271,000トンで、前年の2,332,000トンを下回った。地上の航空機と高度3,000フィートまでの航空機からのCO2排出量は2012年の1,220,069トンから2013年は1,208,146トンまで減少した。

この空港の2020年の目標は1990年と比較して建物内のエネルギー使用によるCO2排出量を34%低減することで、2013年は建物からのCO2排出量が予想の数字より4.4%低かった。

「『ヒースロー環境計画』は2020年までの目標を設定する明快で説得力のある計画で、前年比で年々性能を改善するため、我々空港と空港社会との共同作業をこの計画が後押ししてくれると我々は期待している。」とGorman氏は語った。
リンク:
ヒースロー空港−静穏化飛行計画の2014年1月〜3月の結果
ヒースロー空港−ヒースロー環境計画2020
ヒースロー空港−ヒースロー環境報告2013(4mb PDF)
ヒースロー空港−持続可能性の報告

海外情報紹介 フライト距離を延ばすと飛行機雲の気候影響を抑えられる可能性

原記事:
http://www.bbc.com/news/science-environment-27907399

文献:
http://iopscience.iop.org/1748-9326/9/6/064021/article


2014年6月19日最終更新00:47
Matt McGrath (BBCニュースの環境担当記者)

科学者によれば、航空機が作る空の巨大な飛行機雲は飛行経路を変更することで取り除ける可能性がある。

これらかすみのような人工の雲が気候変動に及ぼす影響を研究者らは懸念している。

しかし、従来の飛行ルートを変更することで温暖化への影響を抑えられる可能性が新しい調査で示された。

ロンドンからニューヨークへのフライトで大きい飛行機雲を作らないためには飛行距離を22kmだけ延ばせばよいと専門家は言う。

飛行機雲が形成されるのは航空機がとても温度の低い、湿った空気を通過する時で、航空機エンジンからの排気が凝集して目に見える煙になる。
寒冷化と温暖化の両方の影響を及ぼす雲
飛行機雲は巨大になることがある。:長さは最大で150kmになり、時間的には最長で24時間は消滅せずに残っていることがある。

飛行機雲は寒冷化と温暖化の両方の影響を及ぼすので、科学者らは長年、飛行機雲の気候影響について議論してきた。

飛行機雲は太陽光を宇宙へはね返して地球を冷やすが、赤外線エネルギーを大気中に捕らえて温暖化を推進する。研究者らは温暖化の影響の方が寒冷化の影響より顕著であると考えている。

Reading大学の科学者らは今回、長距離航空機と短距離航空機の飛行経路を変えることでいかにこの影響が減らせるかを理解しようとした。

これまでの調査では飛行機雲の発生を抑えるために航空機は低高度で飛行することが可能だと示されたが、これではかなり多くの燃料を燃焼しCO2の排出を増やすことになる。

Reading大学の調査では、最適の飛行高度で経路変更した場合、余計に燃料を燃焼するという不利益を飛行機雲の発生を抑えるという利益が上回るかどうか確かめようとした。

「これら飛行機雲の発生を避けるために何か途方もない距離を移動しなければならないように思えるだろう。」と筆頭著者であるEmma Irvine博士はBBC Newsに語った。

「けれど、地球は曲面体なので実際にはほんの少々余計に飛行距離を伸ばすことで実際にはずいぶん大きな飛行機雲の発生を抑えられるのだ。」

柔軟な飛行
研究者らは短距離航空機の方が燃料効率がいいので、飛行機雲の長さを10倍にしても温暖化への影響を全体では減らせることを見い出した。

そこで英国からスペインへのフライトが20kmの長さの飛行機雲を発生させると予測されても、その発生を避けるために200km未満の距離を余分に飛行する限り、温暖化への影響は全体で減るだろう。

長距離を飛行する大型の航空機なら、これで飛行機雲の長さを3倍まで減らす。

しかし、海の上と住民のいない地域上空を飛ぶ長距離ルートでは、飛行経路の変更を最小限にするためより融通が利かせられる。

ロンドンとニューヨーク間のフライトでは22km余分に飛行するだけで大型の飛行機雲の発生は避けられることを研究者らは見い出した。

「知るべき重要事項は大気の温度と湿度の状態であり、これらは現在予測可能なので、必要な情報はすでに揃っている。」とIrvine博士は言った。

「予測が目的達成に十分な精度かどうかは別の問題だ。」

航空機の総飛行距離の平均7%が、長時間消えない飛行機雲を発生させる性質の大気である。しかし現在、地球温暖化に航空が及ぼす影響を計算する場合、飛行機雲は計算対象に含まれていない。

欧州連合は欧州連合域内排出量取引制度に航空を含めようと試みてある程度は成功した。

EU発或いはEU着の長距離便は2017年から排出炭素規制制度の対象になる予定である。しかしReading大学の研究チームは、これらの努力ではまだ、航空による地球温暖化の大きな原因を規制し損ねるだろうと言っている。

「世界中で各国政府が現在採用している軽減目標ではまだ、CO2以外の飛行機雲のような航空による重要な気候影響を取り扱っていないが、これらは航空のCO2排出による気候影響と同じくらい大きな、あるいはより大きな影響を及ぼす可能性がある。」とIrvine博士は語った。

「航空の全体的影響と提案された軽減対策の確実性を科学者が評価することは政策決定に情報提供するために重要であると我々は信じている。我々の作業はこの道筋に沿った一歩である。」

この研究はEnvironmental Research Letters誌上で公表された。

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